ひめられたもの(4) ◆WwHdPG9VGI




(武……。ごめんね、酷いこと言って。会ってちゃんと謝りたかったよ……)
  偽遠坂凛に殺されたという武に、魅音は語りかけた。
(どうして、ここに集められた奴はろくでもない奴ばっかりなんだ!)
  数時間前にホテルで分かれたばかりだというのに、武の命はもう失われてしまった。
  沙都子の隣で眠っているイガグリ頭の少年は、両親を失ったのだという。
  酷すぎる、あまりにも酷すぎる。
(何とかしないとね……。少しでも早くさ)
  早くこのゲームから脱出したい。
  脱出のお膳立ては整っているのだから、後はそれを力を合わせて解くだけだというのに。
  力を合わせようとしていた人間達の一部とは、分かれてしまった。
(セラスさん……大丈夫かな……)
  眠る北条沙都子の顔を見ながら、魅音は嘆息した。
  あの人形が、不意を突いてセラスに襲い掛かったらと思うと、心配でたまらない。
(何とか連絡つけて、あいつ等が悪党だってこと、教えないと……。でも、聞いてくれるかなあ?)
  どうやらセラスは、完全に騙されてしまっているようだった。
(セラスさん、人がいいから……。あの劉鳳とかいう奴は単純馬鹿っぽいしなあ)
  水銀燈とカレイドルビーこと遠坂凛は、今は集団の中に紛れ込むという方針を取っているようだから、
  すぐにどうこうということはないだろうが、やはり心配なものは心配だ。
  確かに、圭一やレナを水銀燈達が殺したというのは、まったく根拠がない思い込みだった。
  水銀燈達とレナや圭一が接触したかどうかすら、自分には分からないのだから。
  だが、カレイドルビーこと遠坂凛が、水銀燈を使って参加者を襲わせていたのはまぎれも無い事実。
  この事実がある限り、遠坂凛と水銀燈が悪党だということは揺らがない。
(多分、偽遠坂凛と遠坂凛は対立してるんだ。だから、本物の遠坂凛は偽名を名乗り、なるべく表にでないようしてた。
  偽遠坂凛は、あてつけに遠坂凛の名前を名乗った……。とまあこんな感じかな?
  ちぇっ! 悪人同士、殺しあって共倒れになればよかったのにさっ)
  その偽遠坂凛凛が誰なのかは、ロックの支給品を使えば、分かるだろう。
  名前を突き止めてもあまり意味があるとも思えないが、情報はあればあっただけいい。
(トウカさんは仇を討ちたいって言うだろけど……)
  あまり無理はして欲しくない。
  道の途中にあったクレーターの大きさ、そしてハルヒの言を聞く限り、二人の遠坂凛はどちらも強い。
(あいつらの腐りきった命とトウカさんの命じゃ、全然つりあわないよ)
  もう誰にも死んで欲しくない。
  涼宮ハルヒも加わったことで、首輪の解除や脱出に向けて一気に展望が開けるかもしれないという期待はある。
  脱出できるなら、ここにいるメンバー、そしてセラス達と何とか連絡をつけて脱出してしまえばいいと思う。
「それにしても、キョンとハルヒって……」
  再会した時の二人の顔を思い出し、魅音はクスリと笑った。
  不器用だなあ、と思う。
(まあ、私が言えた義理じゃないんだけどさ……)
  圭一の顔が瞼に浮かび、魅音の視界がわずかに滲んだ。
  圭一のに続いて、次にレナの顔が、そして目の前で死んでいった梨花の顔が次々と浮かんでくる。
「圭ちゃん、レナ、梨花……」
  魅音は、もう会えぬ友達の名を小さな声で呼んだ。
  帰っても、元の日々は戻らない。それは知っている。


 ――でも、あの日々の最後の欠片だけは。

  魅音は眠る沙都子の額ににそっと手を当てた。
  そして一言一言に、決意と誓いを込めて言った。

「沙都子……。あなたは、私が守る。私の命に代えても、必ず守るからね」

  沙都子の髪をなで上げ、静かに笑うと魅音は立ち上がった。
  居間の方で複数の声がする。
  どうやら、何か会議か調べものが始まったようだ。
「もう……。おじさん抜きで始めるなんてさっ!」
  自分も参加しようと居間へと急ぎながら、もう一度魅音は沙都子の寝顔に笑いかけ、ドアを閉めた。


【C-4・山間部と市街地の境目付近にある民家(居間)/2日目・黎明】
【ロック@BLACK LAGOON】
[状態]:若干疲労
[装備]:ルイズの杖@ゼロの使い魔 、マイクロ補聴器@ドラえもん、i-podのイヤホン(片耳)
[道具]:支給品一式×2、ipod(電池ほぼ満タン)、黒い篭手?@ベルセルク?、現金数千円
 :びっくり箱ステッキ@ドラえもん(10回しか使えない。ドア以外の開けるものには無効)
[思考・状況]
1:力を合わせて長門有希(ipodも服む)が残したものを解析し、脱出に努める
2:エルルゥが心配
3:沙都子を助けたい。
4:アルルゥの仇を捜す
6:しんのすけ、君島、キョンの知り合いを探す。
7:しんのすけに第一回放送・第四回放送のことは話さない。
8:一応、鞄の件について考えてみる。

[備考]※ケツだけ星人をマスターしました
  ※病院での一件をエルルゥにまだ話していません
  ※i-podの顔写真付名簿に一通り目を通しました
  ※キョンがノートパソコンから得た情報、及びキョンの考察を聞きました。

【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:疲労、全身各所に擦り傷、ギガゾンビと殺人者に怒り、強い決意
[装備]:バールのようなもの、スコップ
[道具]:デイバッグと支給品一式×4(食料-1)、わすれろ草、キートンの大学の名刺
  :ロープ、ノートパソコン+ipod(つながっている)
[思考]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:『射手座の日』もしくはTHE DAY OF SAGITTARIUS III というタイトルのゲームに
   心辺りが無いか全員に聞く。
2:長門の残した物(ipod含む)を解析し、脱出を目指す
3:アルルゥを殺したという『偽遠坂凛』をipodでチェックする。
4:トウカが心配
5:あれ? そういえばカズマってどこかで聞いたような……

[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。

【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:疲労(中)、右肩に銃創(弾は貫通、応急処置済、動作に支障有り)、クーガーの死による精神的ショック、空腹
[装備]:AK-47カラシニコフ(30/30)、AK-47用マガジン(30発×3)
[道具]:支給品一式、スルメ二枚、表記なしの缶詰二缶、レジャー用の衣服数着(一部破れている) パチンコ
[思考]
基本:バトルロワイアルの打倒
1:キョン、ハルヒに協力して脱出を目指す
2:沙都子を守る         
3:何とか病院にいるセラスと連絡を取りたい
4: クーガーの仇を取りたい(シグナムが対象)。
[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、及びキョンの考察を聞きました。

【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し)
[装備]: なし
[道具]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回) 、
  着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)、
[思考]
基本:SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出。
1:アルルゥの仇を捜す
2:ipodの調査も含め、長門有希の残したものを解析し、脱出に努める。
3:ドラえもんの言っていた『ディスク』が何か気になる
4:ヤマトが心配(ただ、超能力者であるドラえもんの仲間に期待しているので
           一般人がいくよりは、と思っている所がある。
           また、アルルゥ、長門という死者の方に気がいきがちである)

[備考] :
※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
※キョンがノートパソコンから得た情報、及びキョンの考察を聞きました。


  扉が閉まると同時に、沙都子の目が開いた。
「魅音さん……」

 ――殺すと決めていた。

  部活のメンバーであろうと殺し、最後まで生き残るつもりだった。
  でも、魅音の言葉を聴いてしまった。
  優しくて、慈しみの気持ちに満ちた声を、聞いてしまった。
  沙都子の胸に迷いが生まれた。

――あの魅音を殺す? 本当に?

  それとは別に、沙都子の心の水面を揺らしているものがあった。
(魅音さん……。一体どっちが本当のあなたなんですの?)
  いつかの鬼のような魅音と今の魅音はまったく違う、違いすぎる。
  でも、あの時の鬼のような魅音も、今の魅音も、どちらも真実に見える。
  鬼のような魅音も、今の優しい魅音も、どちらも演技ではありえないほど、表情に、声に、真実がみなぎっていた。
(分からない……。にーにー。私いったいどうすればいいんですの?)
  暗闇の中で、沙都子は答えの出ない問いを繰り返していた。

【C-4・山間部と市街地の境目付近にある民家(居間ではない部屋)/2日目・黎明】
【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:睡眠中、全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、歩き疲れ(睡眠により回復中)
[装備]:ニューナンブ(残弾4)、ひらりマント@ドラえもん
[道具]:支給品一式 、プラボトル(水満タン)×2
[思考・状況]
1:朝まで寝る。
2:お兄さん(ロック)とお姉さんについて行く。
3:みさえとひろし、ヘンゼルのお姉さんと合流する
4:ゲームから脱出して春日部に帰る。
[備考]放送の意味を理解しておらず、その為に君島、ひろしの死に気付いていません。
  第四回放送を聞き逃しました。

【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:若干疲労(睡眠により回復中)、右足粉砕(一応処置済み) 、魅音への対応が決まらず激しく動揺中
[装備]:スペツナズナイフ×1
[道具]:基本支給品一式、トラップ材料(ロープ、紐、竹竿、木材、蔓、石など) 簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬@ドラえもん
  エルルゥの薬箱@うたわれるもの(筋力低下剤、嘔吐感をもたらす香、揮発性幻覚剤、揮発性麻酔薬、興奮剤、覚醒剤など)
[思考・状況]
1:魅音について考え、行動方針を決める
2:ロックとしんのすけ、エルルゥを『足』として利用し、罠を作るための資材を集める。
3:十分な資材が入手できた後、新たな拠点を作り罠を張り巡らせる。
4:準備が整うまでは人の集まる場所には行きたくない。
5:生き残ってにーにーに会う、梨花達の分まで生きる。 。
[備考]第四回放送を聞き逃しました。




  ロック達のいる民家少し離れた家の軒下に、二つの影があった。

「トウカさん。お話って……」
「ああ……。いや……そのあの……」
  さっきからずっとこの調子だ。
  トウカの人生の中で、エルルゥとアルルゥほど仲の良い姉妹は見たことが無い。
  伝えた時、どれほどエルルゥが嘆き悲しむことか。
(言えぬ……。某には言えぬ……)
  そもそも、絶好の機会を目の前にしながら、みすみす逃してしまった自分に何が言えよう?
『エルルゥと同じ時間をすごし、死んだ子の記憶を共有しているあなたが適任なんです』
  ロックはそう言っていたが、とてもそうとは思えない。
(恨みますぞ、ロック殿……)
  思わずトウカは、心の中で恨み言を口にした。
「トウカさん……」
「は、はい!?」
  トウカのリアクションに驚いたように目を丸くしたが、エルルゥはトウカの額に手を伸ばした。
「こんな所にコブが……。帰ったらすぐに、手当てしますから」
「こ、こんな傷。傷のうちには入らぬ。わざわざ、エルルゥ殿の手を煩わせるほどのものではない」
「ダメですよぉ。トウカさんも女の子なんですから……」
「そ、某は!」
  トウカは顔を伏せ、手をわななかせた。
「エルルゥ殿にそのようにしてもらう資格が……無い……」
  鉛のような沈黙が二人を捕らえた。

「あの子に……。アル……ルゥに……何か、あったんでしょうか?」

  びくんっとトウカの体が反応し、そのまま震えは全身に広がっていく。
「すまぬ! エルルゥ殿、すまぬ! 某が、某がいたらぬばかりに……」
  がばっと地に膝と手をつけ、トウカは叫んだ。
  そして一気に全てを語った。
  語り終え、トウカはおそるおそる顔を上げ、エルルゥの様子をうかがった。
  月に照らし出されたエルルゥの顔は穏やかで、それが逆にトウカの不安を煽った。
「エル……ルゥ殿……?」
「……分かってました。ロックさんと一緒にみなさんが入ってきた時に、みなさんが私の顔をみて目をそらしたから……。
  ロックさんが本当に辛そうな顔をしてたから。トウカさんがとっても言いにくそうにしてたから……」
  エルルゥはしゃがみこむと、トウカの肩に手を置いた。
  その声はとても静かで、透き通っていた。
「ありがとうございます、トウカさん。話してくれて……」
「エルルゥ殿……」
  トウカの心に不協和音が響いていた。
  おかしい。あまりにも冷静すぎる。
「よかった……。これで、あの子がたくさん泣く前に、側にいってあげられる……」
「……エルルゥ殿?」
  トウカの顔に困惑の皺が刻まれた。
「ロックさんに、お礼を言っておいて頂けると助かります。ロックさんにはとってもお世話になりましたから……。
  本当はちゃんと面と向かってお礼をいいたいんですけど……。私、すぐにでも行ってあげないといけないから……」
「まさっ……。エルルゥ殿!!」
  ようやくエルルゥの言葉を理解したトウカは、蒼白になって叫んだ。
「トウカさん……。今までありがとうございました」
  微笑ながらエルルゥは懐から何かを取り出し、喉に押し当てた。

  包丁。

  脳がその固有名詞を認識すると同時にトウカは地を蹴った。
  エルルゥの手に力が込められようとした瞬間、打撃音が響き、エルルゥの手から包丁が打ち飛ばされた。
「なんという……ことを……」
  荒い息を吐きながらトウカは、きょとんとした顔で手を見つめているエルルゥを、凝視した。
  エルルゥの体が動いた。迷わずに包丁に駆け寄っていく。
「エルルゥ殿! それだけは! それだけはいかん!!」
  トウカはエルルゥに飛びついた。
  腰に飛びつかれ、エルルゥの体が止まる。
「離してください……」
  身を捩るエルルゥを満身の力でトウカは抑えつけた。
  幸いにも、薬師であるエルルゥよりも武人であるトウカの方が力で勝った。

「離して……。離してぇぇっっ!!」

  悲痛な絶叫がトウカの心を切り刻んだ。
「すまぬ! エルルゥ殿! すまぬ!」
  目に涙を滲ませ、謝罪の言葉を口にしながら、トウカは暴れるエルルゥを抱きとめ、押しとどめる。
「どうしてっ!? どうして邪魔をするんですか!?」
「落ち着かれよっ!!」
  やむをえない。
「御免!」
  トウカはエルルゥの足を払い、投げを打った。
「うっ……」
  小さな悲鳴を上げて、エルルゥの体が地面に横倒しになる。
「しっ……失礼を……」
  息を切らせながら、それでもトウカは油断なくエルルゥを見下ろし、隙を見て地面に落ちている包丁を鞘の先で宙に跳ね上げ、
  斬鉄剣で切り刻んだ。
「ああ……」
  バラバラになった包丁が地面に落ちるさまをみて、エルルゥの口から吐息が漏れた。
  力なくエルルゥは地面に両手をつき、うな垂れた。
「どうして……邪魔をするんですか……」
  その声には恨みすらこもっているように、トウカには聞こえた。
「もう……。私には、生き続ける理由なんか、ないんです……。
  アルルゥも……ハクオロさんも、いないのに……。これ以上、生きていたって……」
  エルルゥを見下ろしながら、どうすればエルルゥを思いとどまらせることができるかと、必死にトウカは考える。
  その時、自分を思いとどまらせてくれた少年の言葉が蘇った。

――そんな軽々しく死のうとして……そんな事を、そのハクオロって王様やカルラって友達は望んでいるんですか……?

(キョン殿……。某に力を貸してくだされ!)

「エルルゥ殿が死を選ばれることを……。聖上やアルルゥ殿が望んでいると、思うのか!?」
  言葉を吐き出した瞬間、トウカの中で何かが湧き上がった。それは激しい怒りにもにた感情だった。
「エルルゥ殿は……言ったな……。アルルゥ殿のために行かねばならぬと……。
  アルルゥ殿が、あの優しい子が……。寂しいからといって大好きなおねえちゃんの死を、喜ぶと思われるのか!!」
  トウカの怒声に、空ろだったエルルゥの瞳に感情の光が走った。
  体を震わせるエルルゥに、
「……エルルゥ殿……。死を選ぶ理由に、他者の名を使ってはならぬ……」
  トウカはひざまずき、エルルゥの体を抱きしめた。
  エルルゥを現世に縫いとめようとするかのように、強く、強く。
「某はエルルゥ殿に生きていて欲しい! 生きていて欲しいのだ!! 
  ウルトリィ殿も、ユズハ殿も、クロウ殿も、オボロ殿も、ベナウィ殿も、カミュ殿も、ドリィ殿も、グラァ殿も……。
  トゥスクルに残った者達の中に、エルルゥ殿の帰りを待っていない者達など……おらぬっ!!
  エルルゥ殿が死んで悲しまぬものなど、おらぬ!! 我等では、エルルゥ殿が生きる理由にならぬのか!?」
  エルルゥの瞳がゆれ、その大きな目から涙が溢れ出した・
「……でも私……。会いたいんです……。アルルゥに……。ハクオロさんに……」
  トウカの目からも涙が溢れ出した。
「某も……会いたい。聖上に、アルルゥ殿に、カルラ殿に……」
  会いたい。
  今すぐ会いたい。声が聞きたい。
「だが……。まだ、それは許されぬ。望まぬ死を与えられた聖上の、カルラ殿の……アル……ルゥど……」
  トウカの口から嗚咽が漏れた。
  あれほど泣いておいたというのに、涙は尽きることをしらず溢れ出てくる。
  無理矢理嗚咽を飲み込み、奥歯を食いしばるとトウカは叫んだ。
「アルルゥ殿のためにも……。某たちは生きなければならんのだ!!」
  エルルゥを止めるためとかどうとか、既にそういう思考は消し飛んでいた。
  トウカの言葉は、そのままトウカの心の叫びだった。
  その叫びは、エルルゥの心を覆っていた絶望の壁に亀裂を入れ、光を差し込ませた。
「でも……だいじょうぶ……でしょうか……。あの子……一人で……」
  泣きながら、心底心配そうにエルルゥが尋ねてくる。
  トウカは、抱きしめる腕に力を込めた。
「一人ではない……。聖上とカルラ殿がおられる。お二人なら、よきように取り計らってくれる!
  それに……。それに、こんな地獄(ディネボクシリ)のような所でなくば、 アルルゥ殿のように愛らしい子を害しようと思うものなど、
  いるものか!!」
  小さく、本当に小さく、エルルゥの泣き濡れた顔に笑みが浮かんだ。
「……ありがとう、ございます。トウカさんに……褒めてもらって、きっと……あの子、喜んで……」
「世辞などではない!! あんなに可愛らしい子は、トゥスクル中を捜してもおらぬっ!!
  異世界のものですら、アルルゥ殿を褒めておったのですから!」
「そうなん……です……か?」
  トウカの胸に顔をうずめ、嗚咽を繰り返しながら、エルルゥは切れ切れに言った。
「偽りなど申さぬ!! あんなに健気で、優しい子はいないと、そう言っていた!!」
「……姉馬鹿……ですけど……。友達に優しい所は……人に自慢してもいいかなって……思える子で……」
「知っております。ユズハ殿やカミュ殿と……いつも楽しそうに遊んでおられた……」
  アルルゥ、ユズハ、カミュの3人が仲良くしている様は、見るもの全てが心を和ませる光景だった。
「某も、その輪に加えてもらったことがある……」
  たまにだが、アルルゥはトウカを誘いに来ることがあった。
  そしてトウカは、武人という立場上大きな声では言えなかったが、その時間が大好きだった。
「ご迷惑……じゃなかったですか? あの子……トウカ……おねーちゃんと遊ぶとか言って…… すっかり友達……扱いして……」
「何を言われる!! 某は、アルルゥ殿に友と呼んでもらえたこと、心底嬉しく思っておりまする!!」

 ――トウカおねーちゃん

  初めてそうアルルゥに呼んでもらえた時の嬉しさが蘇り、熱いものがトウカの胸を埋め尽くした
「アルルゥ……。アルルゥ……」
「アルルゥ殿……。アルルゥ殿……」

  二人はアルルゥの名を呼ぶ。
  自分達の声に答える、愛らしい声を最早聞くことはできないと知っていても、呼び続ける。
  何度も、何度も、何度も……・。




【トウカ@うたわれるもの】
[状態]:疲労、左手に切り傷、全身各所に擦り傷、額にこぶ  精神疲労(大)
[装備]:斬鉄剣
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)、出刃包丁(折れている)、物干し竿(刀/折れている)
[思考]
基本:無用な殺生はしない。だが積極的に参加者を殺して回っている人間は別。
  特にセイバーは出会うことがあれば必ず斬る。
1:ロック達の待つ家へと戻る。
2:エルルゥを守る
3:アルルゥの仇を捜す
4:エヴェンクルガの誇りにかけ、キョン、魅音、エルルゥを守り通す。

【エルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:自殺は思いとどまったが、かなりの精神的ダメージ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(ロックから譲渡)
[思考・状況]
1:悲しい、何も考えられない(自殺はやめる)
2:沙都子を助けたい。
[備考]※ハクオロの死を受け入れました。
  ※フーとその仲間(ヒカル、ウミ)、更にトーキョーとセフィーロ、魔法といった存在について何となく理解しました


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253:ひめられたもの(3) 遠坂凛 257:プリズムライト(前編)
253:ひめられたもの(3) 水銀燈 257:プリズムライト(前編)
253:ひめられたもの(3) ドラえもん 257:プリズムライト(前編)
253:ひめられたもの(3) 野比のび太 257:プリズムライト(前編)
253:ひめられたもの(3) 劉鳳 257:プリズムライト(前編)
253:ひめられたもの(3) セラス・ヴィクトリア 257:プリズムライト(前編)
253:ひめられたもの(3) ロック 254:Macabre in muddled rabbithutch(前編)
253:ひめられたもの(3) キョン 254:Macabre in muddled rabbithutch(前編)
253:ひめられたもの(3) 園崎魅音 254:Macabre in muddled rabbithutch(前編)
253:ひめられたもの(3) 涼宮ハルヒ 254:Macabre in muddled rabbithutch(前編)
253:ひめられたもの(3) 野原しんのすけ 254:Macabre in muddled rabbithutch(前編)
253:ひめられたもの(3) 北条沙都子 254:Macabre in muddled rabbithutch(前編)
253:ひめられたもの(3) トウカ 254:Macabre in muddled rabbithutch(前編)
253:ひめられたもの(3) エルルゥ 254:Macabre in muddled rabbithutch(前編)





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