暁の終焉(後編) ◆WwHdPG9VGI
■
トウカは沈痛な面持ちで口を開いた。
「しんのすけ殿……」
トウカの視線の先には、湯のみを投擲したままのポーズのまま息を荒くするしんのすけの姿があった。
(しんのすけ殿が、目覚める前にコトを終えられぬとは……。不覚)
トウカは顔を歪めた。
(しんのすけ殿には、知らせたくなかった……)
幼い少年にはあまりにも酷な事実だ。
きっと心の傷になる。
「おねーさん……。どうして、さとちゃんを……殺そうとするの?」
少年の瞳には深い悲しみの色があった。
「しんじゃったら、あそぶことも、おしゃべりすることも、できなくなっちゃうのに……。どうして殺そうとするの!?」
目の前で喋らなくなっていったヘンゼルの姿が、しんのすけの脳裏に浮かぶ。
「しんのすけ殿……」
トウカの視線の先には、湯のみを投擲したままのポーズのまま息を荒くするしんのすけの姿があった。
(しんのすけ殿が、目覚める前にコトを終えられぬとは……。不覚)
トウカは顔を歪めた。
(しんのすけ殿には、知らせたくなかった……)
幼い少年にはあまりにも酷な事実だ。
きっと心の傷になる。
「おねーさん……。どうして、さとちゃんを……殺そうとするの?」
少年の瞳には深い悲しみの色があった。
「しんじゃったら、あそぶことも、おしゃべりすることも、できなくなっちゃうのに……。どうして殺そうとするの!?」
目の前で喋らなくなっていったヘンゼルの姿が、しんのすけの脳裏に浮かぶ。
――止めなくてはならない
あんなことはもうあってはならない。
体は重く頭もぼーっとする。
それでも、止めなくてはならないという強い思いがしんのすけを突き動かす。
「ロックお兄さん……ハルヒお姉さん……止めてよ……さとちゃんを、助けてあげてよ……」
荒い息を吐きながら、しんのすけはハルヒとロックに懇願する。
だが、ハルヒとロックは激しい痛みに耐えるように顔をゆがめるだけで、動こうとしない。
「どうして? ……なんで……」
しんのすけの顔が驚きに染まる。
誰も答えてくれない。
みんな苦しそうに顔を歪め、視線をそらすだけで答えてくれない。
「いいんですのよ。しんのすけさん……」
沙都子の言葉に、しんのすけの困惑の皺が深さを増した。
「さ、さとちゃん……何でそんなこと……いうの?」
しんのすけの問いかけに答えず、沙都子は悲しげな笑顔を浮かべた。
いきなり身体を掴まれ、しんのすけは振り返る。
振り返るとそこには暗い表情をしたロックがいた。
「しんのすけ君、こっちへ」
ロックが手を伸ばしてくる。
「ちょっ……やっやめてよ……」
しんのすけは身体を捩るが、薬のせいもあってその抵抗は弱弱しく、あっさりとロックに抱えあげられてしまう。
「ふ、ふんぬ~。ふん……ぬ……。はな……せぇ……」
「君は見ちゃ駄目だ……。傷になる」
ロックの圧し殺した声が聞こえた。
しんのすけの心の壁を絶望が這い上がった。
(このままじゃ、さとちゃんが……殺されちゃう……)
目の前にテーブルの足がある。
しんのすけは手と足を伸ばしテーブルの足にしがみついた。
「しんのすけ君……」
しんのすけの抵抗の激しさにロックの手が緩む。
「さ、さとちゃん……にげて……」
出ない力を振り絞り、テーブルの足にしがみついたまま必死で訴えるが、沙都子は逃げようとしない。
ただ悲しそうに笑っているだけ。
しんのすけの心に怒りにも似た感情が湧き上がった。
「さとちゃん……逃げなきゃだめだよ!
死んじゃったら、さとちゃんは、お父さんとも、お母さんとも、一緒にいられなくなっちゃうんだよ?
それに……それに……」
薬の効果と大声を出しすぎたせいで、しんのすけの視界が揺れる。
意識が遠のきそうになるのを頭を振ってこらえ、
「死んじゃったら大人になれないよ? 大人になって……綺麗な……じゃなくて、カッコいいお兄さんとお付き合いできないよ?
諦めちゃだめだよ!」
もてる力を振り絞ってしんのすけは叫んだ。
「ありがとう。しんのすけさん……。でも、私にはそんな資格、ありませんの……」
「四角でも丸でもいいから……。早く、逃げてよ……」
沙都子の表情から笑みが消えた。
ふうっという細い吐息を漏らし、
「しんのすけさんは今、体が重いでしょう? 頭がぼーっとするでしょう? それは……。私があなたのお茶に薬を入れたせいですわ」
部屋の空気が凍りついたように動きを止めた。
「……嘘だよね?」
喘ぐように尋ねるしんのすけに、
「いいえ、本当ですわ」
淡々とした答えが返ってきた。
「オラ、何かさとちゃんに悪いこと……した?」
「しんのすけさんがどうこうという問題では、ありませんわ」
沙都子の唇が吊り上った。
「あなたを殺せば、みなさんが、疑心暗鬼に陥って殺し合いを始めると思ったから、やったんですもの。
みなさんに殺しあってもらって、生き残った人を利用して、他の人を殺してもらって……。最後に残った人を私が殺して……」
体は重く頭もぼーっとする。
それでも、止めなくてはならないという強い思いがしんのすけを突き動かす。
「ロックお兄さん……ハルヒお姉さん……止めてよ……さとちゃんを、助けてあげてよ……」
荒い息を吐きながら、しんのすけはハルヒとロックに懇願する。
だが、ハルヒとロックは激しい痛みに耐えるように顔をゆがめるだけで、動こうとしない。
「どうして? ……なんで……」
しんのすけの顔が驚きに染まる。
誰も答えてくれない。
みんな苦しそうに顔を歪め、視線をそらすだけで答えてくれない。
「いいんですのよ。しんのすけさん……」
沙都子の言葉に、しんのすけの困惑の皺が深さを増した。
「さ、さとちゃん……何でそんなこと……いうの?」
しんのすけの問いかけに答えず、沙都子は悲しげな笑顔を浮かべた。
いきなり身体を掴まれ、しんのすけは振り返る。
振り返るとそこには暗い表情をしたロックがいた。
「しんのすけ君、こっちへ」
ロックが手を伸ばしてくる。
「ちょっ……やっやめてよ……」
しんのすけは身体を捩るが、薬のせいもあってその抵抗は弱弱しく、あっさりとロックに抱えあげられてしまう。
「ふ、ふんぬ~。ふん……ぬ……。はな……せぇ……」
「君は見ちゃ駄目だ……。傷になる」
ロックの圧し殺した声が聞こえた。
しんのすけの心の壁を絶望が這い上がった。
(このままじゃ、さとちゃんが……殺されちゃう……)
目の前にテーブルの足がある。
しんのすけは手と足を伸ばしテーブルの足にしがみついた。
「しんのすけ君……」
しんのすけの抵抗の激しさにロックの手が緩む。
「さ、さとちゃん……にげて……」
出ない力を振り絞り、テーブルの足にしがみついたまま必死で訴えるが、沙都子は逃げようとしない。
ただ悲しそうに笑っているだけ。
しんのすけの心に怒りにも似た感情が湧き上がった。
「さとちゃん……逃げなきゃだめだよ!
死んじゃったら、さとちゃんは、お父さんとも、お母さんとも、一緒にいられなくなっちゃうんだよ?
それに……それに……」
薬の効果と大声を出しすぎたせいで、しんのすけの視界が揺れる。
意識が遠のきそうになるのを頭を振ってこらえ、
「死んじゃったら大人になれないよ? 大人になって……綺麗な……じゃなくて、カッコいいお兄さんとお付き合いできないよ?
諦めちゃだめだよ!」
もてる力を振り絞ってしんのすけは叫んだ。
「ありがとう。しんのすけさん……。でも、私にはそんな資格、ありませんの……」
「四角でも丸でもいいから……。早く、逃げてよ……」
沙都子の表情から笑みが消えた。
ふうっという細い吐息を漏らし、
「しんのすけさんは今、体が重いでしょう? 頭がぼーっとするでしょう? それは……。私があなたのお茶に薬を入れたせいですわ」
部屋の空気が凍りついたように動きを止めた。
「……嘘だよね?」
喘ぐように尋ねるしんのすけに、
「いいえ、本当ですわ」
淡々とした答えが返ってきた。
「オラ、何かさとちゃんに悪いこと……した?」
「しんのすけさんがどうこうという問題では、ありませんわ」
沙都子の唇が吊り上った。
「あなたを殺せば、みなさんが、疑心暗鬼に陥って殺し合いを始めると思ったから、やったんですもの。
みなさんに殺しあってもらって、生き残った人を利用して、他の人を殺してもらって……。最後に残った人を私が殺して……」
――心が痛い
沙都子の心は悲鳴を上げていた。
自分のやったような行いを考えもつかなさそうなしんのすけの目が痛い。
純粋な黒い瞳で見つめられると、自分がいかに穢れきった存在か思い知らされるようで……。
ぎりっと沙都子の奥歯が音を立てた。
「最後の一人になるつもりだったからに、決まってるじゃないですか! そんなことも、お分かりになりませんの?
マセてるようでも、所詮はお子ちゃま――」
頭と身体を床に押し付けられ、沙都子の言葉は強制的に中断させられた。
「黙れっ! 鬼の子。ロック殿! ハルヒ殿! しんのすけ殿を早く別室へ! このような者と同じ部屋に置いておいてはいかん!」
沙都子を押さえつけたままトウカが鋭い声をあげた。
床に押し付けられながら、沙都子は歪んだ笑みを浮かべた。
(鬼の子……。本当に、その通りですわ……)
まともな人間なら進めない道を、自分は進んでしまった。
自分の事を心底大事に思っていてくれた魅音を疑い、裏切ってしまった。
もう戻れない。戻る資格などありはしない。
「お、オラは……。さとちゃんと仲直りしたいゾ。オラの母ちゃんが言ってた……。『頭を下げてごめんなさい』をしたら、皆仲直りって。
だから……だから……さとちゃんが、ごめんなさいって言えば……みんな……許してくれるよ!」
沙都子は眩しいものを見るように、目を細めてしんのすけを見た。
自分のやったような行いを考えもつかなさそうなしんのすけの目が痛い。
純粋な黒い瞳で見つめられると、自分がいかに穢れきった存在か思い知らされるようで……。
ぎりっと沙都子の奥歯が音を立てた。
「最後の一人になるつもりだったからに、決まってるじゃないですか! そんなことも、お分かりになりませんの?
マセてるようでも、所詮はお子ちゃま――」
頭と身体を床に押し付けられ、沙都子の言葉は強制的に中断させられた。
「黙れっ! 鬼の子。ロック殿! ハルヒ殿! しんのすけ殿を早く別室へ! このような者と同じ部屋に置いておいてはいかん!」
沙都子を押さえつけたままトウカが鋭い声をあげた。
床に押し付けられながら、沙都子は歪んだ笑みを浮かべた。
(鬼の子……。本当に、その通りですわ……)
まともな人間なら進めない道を、自分は進んでしまった。
自分の事を心底大事に思っていてくれた魅音を疑い、裏切ってしまった。
もう戻れない。戻る資格などありはしない。
「お、オラは……。さとちゃんと仲直りしたいゾ。オラの母ちゃんが言ってた……。『頭を下げてごめんなさい』をしたら、皆仲直りって。
だから……だから……さとちゃんが、ごめんなさいって言えば……みんな……許してくれるよ!」
沙都子は眩しいものを見るように、目を細めてしんのすけを見た。
――だからって、謝ってる子供を殺そうとするなんて駄目よ!
彼女は、野原みさえは、そう言ってあの大男を止めてくれた。
自分は彼女を殺そうとしたというのに、みさえは許してくれた。優しくしてくれた。
しんのすけは、野原みさえという善良で優しい母親とおそらくは立派な父親に囲まれて、幸福に育ってきたのだろう。
母親の精神がしっかりとしんのすけに受け継がれていることからも、それは明らかだ。
(私とは全然、違いますのね……)
沙都子の瞼の裏に忌まわしい光景が次々と浮かびあがり、チカチカと明滅する。
自分は彼女を殺そうとしたというのに、みさえは許してくれた。優しくしてくれた。
しんのすけは、野原みさえという善良で優しい母親とおそらくは立派な父親に囲まれて、幸福に育ってきたのだろう。
母親の精神がしっかりとしんのすけに受け継がれていることからも、それは明らかだ。
(私とは全然、違いますのね……)
沙都子の瞼の裏に忌まわしい光景が次々と浮かびあがり、チカチカと明滅する。
――起こせといわれた時間に起こしたのに、殴られた。
――作ったご飯をひっくり返され、味噌汁を頭からかけられた。
――熱湯のような風呂に1万秒入っていろと言われた。
しんのすけはきっと、そんなことをする大人がいるなんて思ってもいないだろう。
だからあんなに澄んだ目をしていられる。
綺麗な目だなあ、と思う。
だからあんなに澄んだ目をしていられる。
綺麗な目だなあ、と思う。
――どうして自分は濁っているのだろう?
人殺しをしてしまうくらい、魅音を盾にしてしまうくらい、いつの間に自分は濁ってしまったのだろう?
そんな疑問が心の中に浮かんだ時、沙都子の心に憎悪の炎が灯った。
「私の引き起こした混乱のせいで、しんのすけさんの大好きなエルルゥさんは、死にましたわ……」
「……エルルゥ……おねーさんが……死んだ?」
しんのすけの顔が引きつるのを見て、沙都子の中の闇はその大きさを増した。
「それだけじゃありませんわ……。私はさっき魅音さんを、この乱暴なお姉さんの刀から身を守るために、盾としてつかいました。
まあ、しんのすけさんのことは、会った時から盾にするつもりでしたけど……。なんの役にも立ちそうにありませんから」
ほほっと甲高い狂ったような笑声を上げ、
「さあっ!! 本当にこんな私と仲直りしたいですの!? 謝ったらみんなが、許してくれるって思いますの!?
答えてくださいなっ!!」
沙都子は狂気を宿した視線をしんのすけに叩きつけた。
「黙れと言った!!」
怒声と共に沙都子の顔面は床に叩きつけられた。
「しんのすけ君!」
「しんちゃん!!」
ロックとハルヒが同時に動き、しんのすけを無理矢理テーブルの足から引き剥がし、抱えあげて隣の部屋へつれていこうとする。
(そうですわ……。これが当然の反応、人間というものですわ)
人は人を許さない。自分を欺いた者を許さない。
悪いことをした者を、裏切った者を、二度と信じない。
昔一度、嘘をついて父親に虐待されたと訴えたことがあった。
後で嘘だと発覚した時、謝ったらみんな許してくれた。
そんな疑問が心の中に浮かんだ時、沙都子の心に憎悪の炎が灯った。
「私の引き起こした混乱のせいで、しんのすけさんの大好きなエルルゥさんは、死にましたわ……」
「……エルルゥ……おねーさんが……死んだ?」
しんのすけの顔が引きつるのを見て、沙都子の中の闇はその大きさを増した。
「それだけじゃありませんわ……。私はさっき魅音さんを、この乱暴なお姉さんの刀から身を守るために、盾としてつかいました。
まあ、しんのすけさんのことは、会った時から盾にするつもりでしたけど……。なんの役にも立ちそうにありませんから」
ほほっと甲高い狂ったような笑声を上げ、
「さあっ!! 本当にこんな私と仲直りしたいですの!? 謝ったらみんなが、許してくれるって思いますの!?
答えてくださいなっ!!」
沙都子は狂気を宿した視線をしんのすけに叩きつけた。
「黙れと言った!!」
怒声と共に沙都子の顔面は床に叩きつけられた。
「しんのすけ君!」
「しんちゃん!!」
ロックとハルヒが同時に動き、しんのすけを無理矢理テーブルの足から引き剥がし、抱えあげて隣の部屋へつれていこうとする。
(そうですわ……。これが当然の反応、人間というものですわ)
人は人を許さない。自分を欺いた者を許さない。
悪いことをした者を、裏切った者を、二度と信じない。
昔一度、嘘をついて父親に虐待されたと訴えたことがあった。
後で嘘だと発覚した時、謝ったらみんな許してくれた。
その時はそう思った。
だけど、みんな本当は許してなんかいなかった。
叔父の仕打ちに耐えかねて訴えた時、大人はみんな信じてくれなかった。
叔父の仕打ちに耐えかねて訴えた時、大人はみんな信じてくれなかった。
――あの子は嘘つきだから。
そう言って沙都子の言うことは嘘だと決め付けた。
(しんのすけさんの顔が見えないのが、残念ですわ)
きっと恐怖と憎悪で顔を歪め、嫌なものをみるような目で自分を見ているだろう。
(しんのすけさんの顔が見えないのが、残念ですわ)
きっと恐怖と憎悪で顔を歪め、嫌なものをみるような目で自分を見ているだろう。
――それでいい
沙都子は暗い喜びに浸った。
――汚してやった
あの子に、人の恐ろしさを、汚さを、見せてやることができた。
ほんの少し闇に染めてやった。
しんのすけの瞳の澄んだ光を濁らせてやっ――
ほんの少し闇に染めてやった。
しんのすけの瞳の澄んだ光を濁らせてやっ――
「なんで……無理して……そんなこと言うの?」
頭の中が真っ白になったように沙都子は感じた。
(どうして……まだ、そんなことが……言えるんですの?)
激しい感情が沙都子の中で吹き荒れた。
渾身の力を込めて身を捩って、トウカの拘束から自由になった顔だけを起こし、
「何を言ってるんですの!? 無理なんかしていませんわ!! これが……。これが、私の本性ですものっ!!」
沙都子は絶叫した。
(どうして……まだ、そんなことが……言えるんですの?)
激しい感情が沙都子の中で吹き荒れた。
渾身の力を込めて身を捩って、トウカの拘束から自由になった顔だけを起こし、
「何を言ってるんですの!? 無理なんかしていませんわ!! これが……。これが、私の本性ですものっ!!」
沙都子は絶叫した。
(さとちゃんの目……どっかで……見たことあるゾ……)
沙都子の目はしんのすけが見たことがある目だった。
(そっか、あの時の、風間君の目とおんなじ目だ……)
いつだったか、映画の中に入ってしまった時の友達と同じ目をしている。
似合ってないのに、似合っていると思い込もうとしている。
無理に演じようとして、疲れてしまっている。それなのにやせ我慢して、口では辛くないと言う。
(ここはちゃんと言ってやるのが、お友達ってもんだよね……)
しんのすけは口を開いた。
沙都子の目はしんのすけが見たことがある目だった。
(そっか、あの時の、風間君の目とおんなじ目だ……)
いつだったか、映画の中に入ってしまった時の友達と同じ目をしている。
似合ってないのに、似合っていると思い込もうとしている。
無理に演じようとして、疲れてしまっている。それなのにやせ我慢して、口では辛くないと言う。
(ここはちゃんと言ってやるのが、お友達ってもんだよね……)
しんのすけは口を開いた。
「さとちゃんに、悪役は似合わないよ」
沙都子の表情が凍りつき――
砕けた。
「あっ……」
一筋の涙が沙都子の頬をつたった。
そうするしかないと思っていた。
生きてここから脱出するためには、にーにーに会うためには、最後の一人になるしかないと思っていた。
圭一だろうと、レナだろうと、梨花だろうと、魅音だろうと、殺すつもりだった。
生きてここから脱出するためには、にーにーに会うためには、最後の一人になるしかないと思っていた。
圭一だろうと、レナだろうと、梨花だろうと、魅音だろうと、殺すつもりだった。
――でも本当は、人殺しなんて、したくなかった。
「うっ……あぁ……」
涙の筋は幾重にもつらなり、床に辿り着いて小さな水溜りを作っていく。
しんのすけに毒を盛ったとき、エルルゥが死んだとき、魅音を傷つけたとき、もう戻れないと思った。
自分はもう許されないと思った。
自分はもう許されないと思った。
――でも、本当は。
「ごめんなさい……」
口からその言葉が漏れ出た瞬間止まらなくなった。
涙が、感情が、心の堰を打ち壊してあふれ出した。
「ごめんなさい、エルルゥさん、魅音さん、しんのすけさん、ロックさん、トウカさん、ハルヒさん、キョンさん……ごめんなさい……。
ごめん……なさい……ごめんなさ……い……」
号泣しながら口にする謝罪の言葉には、溢れんばかりの悔恨の思いが込められていた。
思わずトウカが押さえつける腕を緩め、ロックとハルヒが絶句して動きを止める中、
「……さと……子?」
魅音が身体を起こした。
「沙都子っ!!」
状況を把握するやいなや、魅音は脱兎の如く沙都子に駆け寄ると、トウカを突き飛ばし、沙都子を胸にかき抱いた。
「魅音さん……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめ……なさ」
「いい! 謝らなくていい! 分かってる、分かってるから……」
魅音と沙都子を呆然と見つめるトウカの肩を、誰かが叩いた。
「しんのすけ殿……」
「さとちゃんもそうだけど……。おねぇさんも……ああいう顔は似合わないよ」
トウカは力なく笑った。
さぞかし凄まじい形相を浮かべていたのだろう。
先ほどまでの自分は、身も心も鬼になっていたのだから。
涙が、感情が、心の堰を打ち壊してあふれ出した。
「ごめんなさい、エルルゥさん、魅音さん、しんのすけさん、ロックさん、トウカさん、ハルヒさん、キョンさん……ごめんなさい……。
ごめん……なさい……ごめんなさ……い……」
号泣しながら口にする謝罪の言葉には、溢れんばかりの悔恨の思いが込められていた。
思わずトウカが押さえつける腕を緩め、ロックとハルヒが絶句して動きを止める中、
「……さと……子?」
魅音が身体を起こした。
「沙都子っ!!」
状況を把握するやいなや、魅音は脱兎の如く沙都子に駆け寄ると、トウカを突き飛ばし、沙都子を胸にかき抱いた。
「魅音さん……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめ……なさ」
「いい! 謝らなくていい! 分かってる、分かってるから……」
魅音と沙都子を呆然と見つめるトウカの肩を、誰かが叩いた。
「しんのすけ殿……」
「さとちゃんもそうだけど……。おねぇさんも……ああいう顔は似合わないよ」
トウカは力なく笑った。
さぞかし凄まじい形相を浮かべていたのだろう。
先ほどまでの自分は、身も心も鬼になっていたのだから。
「お姉さんみたいに綺麗な人には、笑顔しか似合わないんだぜ?」
思いもかけぬしんのすけの言葉に、トウカは唖然として目をしばたたかせた。
数瞬の沈黙の後、トウカはクスリと笑い、
「……かたじけない、しんのすけ殿」
「な、何か、そんな風に言われると……オラ、照れちゃうゾ」
顔を赤くするしんのすけに、トウカは柔らかな眼差しを注いだ。
この少年がいなければ少女の心は救われず、自分は鬼となり、キョンの言っていた大事な物を失っていただろう。
そうなっても後悔はしなかっただろうが、やはり自分もこの少年に救われたのだと思う。
「本当に……かたじけない」
「い、いやぁ~。困っちゃうなぁ~もう……」
深々と頭を下げられ、しんのすけは顔を真っ赤にして頭をかいた。
数瞬の沈黙の後、トウカはクスリと笑い、
「……かたじけない、しんのすけ殿」
「な、何か、そんな風に言われると……オラ、照れちゃうゾ」
顔を赤くするしんのすけに、トウカは柔らかな眼差しを注いだ。
この少年がいなければ少女の心は救われず、自分は鬼となり、キョンの言っていた大事な物を失っていただろう。
そうなっても後悔はしなかっただろうが、やはり自分もこの少年に救われたのだと思う。
「本当に……かたじけない」
「い、いやぁ~。困っちゃうなぁ~もう……」
深々と頭を下げられ、しんのすけは顔を真っ赤にして頭をかいた。
■
「大したもんだ……。本当に、大したもんだよ」
「本当にね……」
ロックとハルヒは揃ってため息をついた。
自分達では、というより他の誰にも同じ真似はできないだろう。
合理的に考えれば、リスクを考えれば、という大人の論理を、アッサリと少年は蹴散らしてみせた。
「本当にね……」
ロックとハルヒは揃ってため息をついた。
自分達では、というより他の誰にも同じ真似はできないだろう。
合理的に考えれば、リスクを考えれば、という大人の論理を、アッサリと少年は蹴散らしてみせた。
人を許し、人の心を救う。
途方もなく難しいことをあの少年はやってのけたのだ。
感嘆のため息をもう一度つきつつ、
「――沙都子ちゃんにはもう、危険はないって思うかい?」
ロックの問いに、ハルヒは沙都子に視線を走らせた。
「アレが演技だとしたら、沙都子ちゃんは、アカデミー主演女優になれるわね」
「同感だね」
悪人の目で見てもあの涙と謝罪は、真実のものに見えた。
「ていうか……」
ハルヒはロックを見上げた。
「あんたは、いいの? 犯人にされそうになったのに」
「人の過去に拘ってたらキリがない稼業についてるせいかな……。もう、忘れたよ」
ロックは軽く肩をすくめた。
「君は?」
「しんちゃんと一番裏切られた魅音が、いいって言ってるのに、私が駄目って言えるわけないでしょ! それに――」
「それに?」
「エルルゥさんの遺志を、踏みにじるわけにはいかないわ。彼女のおかげで、私達、こうしてられるんだもの」
エルルゥがロックを庇わなければ今頃自分達は疑心暗鬼の只中にあったろうし、
沙都子は第二、第三の犯行を犯し、引き返すことはなかっただろう。
エルルゥの死というある意味イレギュラーな死に伴う混乱が、皆に思考の時間を与えたのだ。
そして何よりも。
感嘆のため息をもう一度つきつつ、
「――沙都子ちゃんにはもう、危険はないって思うかい?」
ロックの問いに、ハルヒは沙都子に視線を走らせた。
「アレが演技だとしたら、沙都子ちゃんは、アカデミー主演女優になれるわね」
「同感だね」
悪人の目で見てもあの涙と謝罪は、真実のものに見えた。
「ていうか……」
ハルヒはロックを見上げた。
「あんたは、いいの? 犯人にされそうになったのに」
「人の過去に拘ってたらキリがない稼業についてるせいかな……。もう、忘れたよ」
ロックは軽く肩をすくめた。
「君は?」
「しんちゃんと一番裏切られた魅音が、いいって言ってるのに、私が駄目って言えるわけないでしょ! それに――」
「それに?」
「エルルゥさんの遺志を、踏みにじるわけにはいかないわ。彼女のおかげで、私達、こうしてられるんだもの」
エルルゥがロックを庇わなければ今頃自分達は疑心暗鬼の只中にあったろうし、
沙都子は第二、第三の犯行を犯し、引き返すことはなかっただろう。
エルルゥの死というある意味イレギュラーな死に伴う混乱が、皆に思考の時間を与えたのだ。
そして何よりも。
彼女は復讐を、これ以上の悲劇を、望まなかった。
故にこそ、トウカは沙都子を斬らぬことを、今の自分達は沙都子を許すことを、許された。
「薬師は人を救うもの……。エルルゥはそう言っていたよ」
呟くようにロックが言った。
「そう……」
ハルヒは拳をぐっと握った。
(流石、アルちゃんの大好きだったお姉さんだわ)
大切な想い人を奪われ、最愛の妹を奪われても、彼女は他の命を奪わなかった。
エルルゥという少女は、最後の最後まで薬師であることを選択し、薬師であることを貫いて死んでいった。
(あたしも……)
「薬師は人を救うもの……。エルルゥはそう言っていたよ」
呟くようにロックが言った。
「そう……」
ハルヒは拳をぐっと握った。
(流石、アルちゃんの大好きだったお姉さんだわ)
大切な想い人を奪われ、最愛の妹を奪われても、彼女は他の命を奪わなかった。
エルルゥという少女は、最後の最後まで薬師であることを選択し、薬師であることを貫いて死んでいった。
(あたしも……)
――団長であることを、最後まで貫いてみせる。
「キョン! いつまで寝てんの!? いい加減おきなさい!!」
気絶したままの少年に向かって歩を進めながら、ハルヒは心の中でそう誓った。
気絶したままの少年に向かって歩を進めながら、ハルヒは心の中でそう誓った。
■
市街地から少し離れた、日当たりの良い山の中腹に彼らはいた。
爽やかな春風がそよぎ、居並ぶ者達の頬を撫でていく。
彼らの目の前には、小さな盛り土があった。
誰もが沈痛な面持ちだった。
しんのすけですら、無言でじっと盛り土を見つめ、魅音と沙都子は、互いの手を握り合い、激しい苦痛に耐えるような表情をしている。
「黙祷!」
ハルヒの号令と共に全員が目を閉じ、思い思いのやり方で祈りを捧げた。
しばらくして、
「やめ!」
ハルヒは号令を発した。
素早く視線を走らせ、全員が目を開けたのを確認し、ハルヒは口を開いた。
「これより、SOS団特別ミーティングを行います!」
こんな時に何をと思う者は誰も言わなかった。
それほど涼宮ハルヒの声は、気迫に満ちていた。
「この場において、SOS団本来の活動を一時凍結し、臨時の活動目的を宣言します! それは――」
大きく息を吸い込み、
「全員、誰一人欠けることなくこの腐れゲームから脱出することっ!!
異議がある人間は、全部終わった後に、北高のSOS団HPまでメールしなさい! 一応、目だけは通してあげるわ!」
この場に異議がある人間などいようはずもない。
全員が大きく頷いた。
なおもハルヒの言葉は続く。
「活動内容の変更に伴い、団則も全て一時廃棄します。今、この場におけるSOS団の団則は一つ! たった一つの、シンプルな内容よ」
黒曜石の瞳に決意の光を宿し、ハルヒがその言葉を発しようとしたその時。
爽やかな春風がそよぎ、居並ぶ者達の頬を撫でていく。
彼らの目の前には、小さな盛り土があった。
誰もが沈痛な面持ちだった。
しんのすけですら、無言でじっと盛り土を見つめ、魅音と沙都子は、互いの手を握り合い、激しい苦痛に耐えるような表情をしている。
「黙祷!」
ハルヒの号令と共に全員が目を閉じ、思い思いのやり方で祈りを捧げた。
しばらくして、
「やめ!」
ハルヒは号令を発した。
素早く視線を走らせ、全員が目を開けたのを確認し、ハルヒは口を開いた。
「これより、SOS団特別ミーティングを行います!」
こんな時に何をと思う者は誰も言わなかった。
それほど涼宮ハルヒの声は、気迫に満ちていた。
「この場において、SOS団本来の活動を一時凍結し、臨時の活動目的を宣言します! それは――」
大きく息を吸い込み、
「全員、誰一人欠けることなくこの腐れゲームから脱出することっ!!
異議がある人間は、全部終わった後に、北高のSOS団HPまでメールしなさい! 一応、目だけは通してあげるわ!」
この場に異議がある人間などいようはずもない。
全員が大きく頷いた。
なおもハルヒの言葉は続く。
「活動内容の変更に伴い、団則も全て一時廃棄します。今、この場におけるSOS団の団則は一つ! たった一つの、シンプルな内容よ」
黒曜石の瞳に決意の光を宿し、ハルヒがその言葉を発しようとしたその時。
「……ねえ、団則って何?」
ハルヒはしんのすけに視線を向けた。
その視線に怒りはなかった。
しんのすけの声があまりにも真剣だったから。
この少年は、大事な何かを感じ取り、その大事な何かを確固たる形で認識するために疑問を発したのだと、分かったから。
「団則っていうのは、みんなで守る約束のことよ」
「お約束……」
納得したように呟くしんのすけに小さく頷いてみせ、
「臨時SOS団の特別団則は……。『互いを信じること』以上っ!」
その視線に怒りはなかった。
しんのすけの声があまりにも真剣だったから。
この少年は、大事な何かを感じ取り、その大事な何かを確固たる形で認識するために疑問を発したのだと、分かったから。
「団則っていうのは、みんなで守る約束のことよ」
「お約束……」
納得したように呟くしんのすけに小さく頷いてみせ、
「臨時SOS団の特別団則は……。『互いを信じること』以上っ!」
――どうか皆お互いを信じて
それはどこまでも優しかった少女の遺言。
この修羅の庭においてはもっとも難しいこと。
だからこそ、守らなければならない。貫かねばならない。
その場にいた全員が、改めて自分の心にくさびを打ちこもうとした、その時。
この修羅の庭においてはもっとも難しいこと。
だからこそ、守らなければならない。貫かねばならない。
その場にいた全員が、改めて自分の心にくさびを打ちこもうとした、その時。
「……オラ、知ってる。大事なお約束をする時は……。こうするんだゾ」
しんのすけがトウカに歩み寄った。
「トウカおねーさん。その刀……オラに貸して」
トウカは真剣な眼差しで剣をしんのすけに手渡した。
誰もが無言でしんのすけを見つめていた。
しんのすけが何をしようとしているのか、皆には分かった。
少年の黒い瞳が、瞳に宿る輝きが、全てを語っていた。
「トウカおねーさん。その刀……オラに貸して」
トウカは真剣な眼差しで剣をしんのすけに手渡した。
誰もが無言でしんのすけを見つめていた。
しんのすけが何をしようとしているのか、皆には分かった。
少年の黒い瞳が、瞳に宿る輝きが、全てを語っていた。
少年は刀の重さによろけそうになりながらも、盛り土に近づいていく。
歩みは盛り土の前で止められ、少年は剣を掲げた。
その場にいた者達の心は、何かに引き寄せられるかのように自然と一つになった。
一つになった心はその時を待つ。
数瞬の間の後、少年の唇が動いた。
歩みは盛り土の前で止められ、少年は剣を掲げた。
その場にいた者達の心は、何かに引き寄せられるかのように自然と一つになった。
一つになった心はその時を待つ。
数瞬の間の後、少年の唇が動いた。
「きんちょう」
その言葉はあまりにも短く、込められた思いは、あまりにも重く。
だが、居並ぶ者達は、少年の言葉が空高く昇っていくのを感じていた。
どこまでも高く。
蒼天に浮かぶ白雲すら越え、どこまでも高く、高く――
だが、居並ぶ者達は、少年の言葉が空高く昇っていくのを感じていた。
どこまでも高く。
蒼天に浮かぶ白雲すら越え、どこまでも高く、高く――
■
「――みんな、異論はないわね?」
ハルヒが確認するように問いかけ、ロック、キョン、トウカ、魅音は頷いた。
墓を作りに行く前、念のため、病院に電話をかけてみたが、誰も出なかった。
異常事態が起こっている可能性がある。
故にこれから、ハルヒ、ロック、キョン、トウカの4人で病院に向かう。
病院にトグサがいればよし、ipodの中身を確認してもらい、ドラえもんがいれば接触し、ディスクを手に入れる。
慎重意見も出たが、キョンは病院に行くことを強く主張した。
水銀燈や遠坂凛は危険だが、彼らのスタンスからして、そうそう仲間の前で暴れたりはするまい。
こちらが終始、交渉だけで済ませようとすれば、まさか仲間の前で実力行使にでることはないだろう。
それでも危険は伴うが、待っていたところで幸運などやってくることはないということは、これまでの例で明らかだ。
(ハルヒや園崎を、早く楽にしてやらんとな……)
強く病院行きを主張するキョンに、ハルヒが賛成し、トウカもそれを支持したため、慎重派のロックが折れるという格好となった。
ただ、反対していたロックが同行を申し出てくれたのは、予想外だったが、ありがたい。
頭が切れて、交渉の場数を踏んでいる彼がいれば、話し合いは上手くまとまるだろう。
「ハルヒ……。やっぱりお前は、園崎達と……」
魅音は、しんのすけ、沙都子と共に民家に残ることになっていた。
沙都子は骨折しているし、しんのすけには薬の後遺症がある。この二人を連れて危険人物がいる場所へ向かうわけにはいかない。
となると、誰かが残ってしんのすけと沙都子を守る必要がある。
そしてトウカ以外で、戦力になりそうな人間となると、魅音しかいないのだ。
「団員だけ、危険な場所に突っ込ませるわけには、いかないでしょ!」
「しかしだな……」
キョンは眉間に皺を寄せた。
病院にいるのは、危険人物の疑い濃厚な遠坂凛と水銀燈という人形だ。
いくら運動神経が発達しているとはいえ、ハルヒは生物学的には女性であるわけだし、怪我もしている。
「何と言うか……。王将というものは、後ろに鎮座しているもんじゃないのか?」
無駄だとは知りつつ、キョンは説得を試みた。
「まあまあ、キョン……。ハルヒの気持ちも汲んであげなよ」
思わずキョンは、忠臣だと思っていた人間が実は奸臣だったときづいたような将軍の目で、魅音を見た。
「気持ちとやらは十分、分かった上で言ってるんだがな」
「いや、そういうことじゃなくてさぁ……」
魅音はやれやれと言うように、かぶりを振った。
ハルヒが確認するように問いかけ、ロック、キョン、トウカ、魅音は頷いた。
墓を作りに行く前、念のため、病院に電話をかけてみたが、誰も出なかった。
異常事態が起こっている可能性がある。
故にこれから、ハルヒ、ロック、キョン、トウカの4人で病院に向かう。
病院にトグサがいればよし、ipodの中身を確認してもらい、ドラえもんがいれば接触し、ディスクを手に入れる。
慎重意見も出たが、キョンは病院に行くことを強く主張した。
水銀燈や遠坂凛は危険だが、彼らのスタンスからして、そうそう仲間の前で暴れたりはするまい。
こちらが終始、交渉だけで済ませようとすれば、まさか仲間の前で実力行使にでることはないだろう。
それでも危険は伴うが、待っていたところで幸運などやってくることはないということは、これまでの例で明らかだ。
(ハルヒや園崎を、早く楽にしてやらんとな……)
強く病院行きを主張するキョンに、ハルヒが賛成し、トウカもそれを支持したため、慎重派のロックが折れるという格好となった。
ただ、反対していたロックが同行を申し出てくれたのは、予想外だったが、ありがたい。
頭が切れて、交渉の場数を踏んでいる彼がいれば、話し合いは上手くまとまるだろう。
「ハルヒ……。やっぱりお前は、園崎達と……」
魅音は、しんのすけ、沙都子と共に民家に残ることになっていた。
沙都子は骨折しているし、しんのすけには薬の後遺症がある。この二人を連れて危険人物がいる場所へ向かうわけにはいかない。
となると、誰かが残ってしんのすけと沙都子を守る必要がある。
そしてトウカ以外で、戦力になりそうな人間となると、魅音しかいないのだ。
「団員だけ、危険な場所に突っ込ませるわけには、いかないでしょ!」
「しかしだな……」
キョンは眉間に皺を寄せた。
病院にいるのは、危険人物の疑い濃厚な遠坂凛と水銀燈という人形だ。
いくら運動神経が発達しているとはいえ、ハルヒは生物学的には女性であるわけだし、怪我もしている。
「何と言うか……。王将というものは、後ろに鎮座しているもんじゃないのか?」
無駄だとは知りつつ、キョンは説得を試みた。
「まあまあ、キョン……。ハルヒの気持ちも汲んであげなよ」
思わずキョンは、忠臣だと思っていた人間が実は奸臣だったときづいたような将軍の目で、魅音を見た。
「気持ちとやらは十分、分かった上で言ってるんだがな」
「いや、そういうことじゃなくてさぁ……」
魅音はやれやれと言うように、かぶりを振った。
――分かってねーな、コイツ
とでも言いたげな感情がその動作に込められているようで、キョンは憮然とする。
(何だってんだ?)
まったくもって不可解だ。
ところが何故か、トウカまでが、魅音と同じような顔をしている。
キョンは首をかしげた。
「大体ねえっ! ヒラのあんたが、団長たるあたしに異を唱えるなんて10年早いのよ!」
頬に朱をのぼらせて、ハルヒが怒鳴る。
「分かった、分かった」
キョンは嘆息した。
(何も、真っ赤になるほど怒らんでもいいだろう)
まあ、元気が出たのはいいことだ。
落ち込んでいるハルヒを見ていると、どうも調子が狂う。
(だが、空元気も混じってるのは確かだろうしな……)
今朝方の騒動の時見せたハルヒの表情を思い出し、キョンは嘆息した。
危険な所にいけば、また心の傷が増えるかもしれない。
命の危険もだがそれも心配だ。
だから、ハルヒには魅音達とあの家で待っていて欲しかったのだが……。
「ほらっ! グズグズしない!」
腕を掴まれて引き摺られながら、キョンはもう一度嘆息した。
その様子を苦笑交じりに見ていた魅音に、
「魅音……あんたなら分かってると思うけど……」
「大丈夫だよ、ハルヒ。窓際に立たなけりゃ、見つかる心配もないからさ。こっちのことは心配しなくていいよ」
実際問題、数あるうちの民家の一軒を敵が襲う可能性は低いといえた。
人がいるかどうかなど、分かろうはずも無いからだ。
「くれぐれも、油断しちゃだめだよ、ハルヒ」
どう考えても、遠坂凛や水銀燈のいる病院へ向かう4人の方が危険だ。
魅音は表情を引き締めながら言った。
「分かってるわ。じゃ、また後で」
「――ハルヒ!」
どこか苦いものが混じった魅音の呼びかけに、ハルヒは足を止めた。
「今朝は、本当に……ごめんね」
「何のこと? 過去を振り返ってちゃ、明日は見えないっていうわ」
不敵に笑ってハルヒは右手を差し出した。
「また、後でね。魅音」
「うん……。後でね」
(何だってんだ?)
まったくもって不可解だ。
ところが何故か、トウカまでが、魅音と同じような顔をしている。
キョンは首をかしげた。
「大体ねえっ! ヒラのあんたが、団長たるあたしに異を唱えるなんて10年早いのよ!」
頬に朱をのぼらせて、ハルヒが怒鳴る。
「分かった、分かった」
キョンは嘆息した。
(何も、真っ赤になるほど怒らんでもいいだろう)
まあ、元気が出たのはいいことだ。
落ち込んでいるハルヒを見ていると、どうも調子が狂う。
(だが、空元気も混じってるのは確かだろうしな……)
今朝方の騒動の時見せたハルヒの表情を思い出し、キョンは嘆息した。
危険な所にいけば、また心の傷が増えるかもしれない。
命の危険もだがそれも心配だ。
だから、ハルヒには魅音達とあの家で待っていて欲しかったのだが……。
「ほらっ! グズグズしない!」
腕を掴まれて引き摺られながら、キョンはもう一度嘆息した。
その様子を苦笑交じりに見ていた魅音に、
「魅音……あんたなら分かってると思うけど……」
「大丈夫だよ、ハルヒ。窓際に立たなけりゃ、見つかる心配もないからさ。こっちのことは心配しなくていいよ」
実際問題、数あるうちの民家の一軒を敵が襲う可能性は低いといえた。
人がいるかどうかなど、分かろうはずも無いからだ。
「くれぐれも、油断しちゃだめだよ、ハルヒ」
どう考えても、遠坂凛や水銀燈のいる病院へ向かう4人の方が危険だ。
魅音は表情を引き締めながら言った。
「分かってるわ。じゃ、また後で」
「――ハルヒ!」
どこか苦いものが混じった魅音の呼びかけに、ハルヒは足を止めた。
「今朝は、本当に……ごめんね」
「何のこと? 過去を振り返ってちゃ、明日は見えないっていうわ」
不敵に笑ってハルヒは右手を差し出した。
「また、後でね。魅音」
「うん……。後でね」
魅音はその手を、しっかりと握った。
「よしっ……。出発するわよ!」
ハルヒが歩き出し、引き摺られながらキョンがその後に続く。
「魅音殿、すまぬ。魅音殿のこともお守りしたいのだが、某の身体は一つしかないゆえ……」
「そんな……。そんなこと……」
トウカに頭を下げられ、魅音は声を詰まらせた。
エルルゥを殺してしまった自分には、トウカに守ってもらう資格などありはしないのに。
トウカの声はどこまでも優しく、本当に心配そうで……。
「そんな顔をしては、いかんというのに」
トウカは微笑んだ。
「魅音殿は、笑顔でいてくだされ。それを、エルルゥ殿もきっと望んでおられる!」
両手で力づけるように魅音の両肩を叩き、トウカは言った。
涙をこらえ、魅音は何とか笑顔らしきものを浮かべてみせた。
「トウカさん。気をつけてね……。無茶、しないでね」
「ああ! 某は、トゥスクルに帰らねばならぬ。だから必ず……戻る」
トウカは大きく首肯しながら言った。
自分がトゥスクルに帰ることは、エルルゥの最後の望みの1つだ。
誓ったからには必ず守る。
トウカはもう一度魅音に笑いかけると、キョンとハルヒの方へと歩き出した。
ハルヒが歩き出し、引き摺られながらキョンがその後に続く。
「魅音殿、すまぬ。魅音殿のこともお守りしたいのだが、某の身体は一つしかないゆえ……」
「そんな……。そんなこと……」
トウカに頭を下げられ、魅音は声を詰まらせた。
エルルゥを殺してしまった自分には、トウカに守ってもらう資格などありはしないのに。
トウカの声はどこまでも優しく、本当に心配そうで……。
「そんな顔をしては、いかんというのに」
トウカは微笑んだ。
「魅音殿は、笑顔でいてくだされ。それを、エルルゥ殿もきっと望んでおられる!」
両手で力づけるように魅音の両肩を叩き、トウカは言った。
涙をこらえ、魅音は何とか笑顔らしきものを浮かべてみせた。
「トウカさん。気をつけてね……。無茶、しないでね」
「ああ! 某は、トゥスクルに帰らねばならぬ。だから必ず……戻る」
トウカは大きく首肯しながら言った。
自分がトゥスクルに帰ることは、エルルゥの最後の望みの1つだ。
誓ったからには必ず守る。
トウカはもう一度魅音に笑いかけると、キョンとハルヒの方へと歩き出した。
集団の輪の中から少しはなれた場所に、沙都子はいた。
まだあの中には入っていけない気がして……。
「沙都子ちゃん」
「ロックさん……」
沙都子は目を伏せた。
「沙都子ちゃん、目を逸らしちゃ駄目だ」
沙都子の体がびくりと震えた。
「魅音ちゃんが持ってる銃が、見えるかい?」
沙都子が顔を上げるのを待ってロックは続けた。
「あの銃の引き金を引いたのは、君だ……。分かるね?」
沙都子が口元に手を当てた。顔から血の気が引き、目に涙が浮かぶ。
だが、苦しそうに、本当に苦しそうに顔をゆがめながらも、沙都子はコクリと頷いた。
「それが分かってるなら、いい」
それだけを言って立ち去ろうとして――
ロックは足を止めた。
「行かないのかい?」
「……行って……いいんでしょうか?」
沙都子の声は震えていた。
「君が望み、それを許す人がいるのなら、俺はいいと――」
まだあの中には入っていけない気がして……。
「沙都子ちゃん」
「ロックさん……」
沙都子は目を伏せた。
「沙都子ちゃん、目を逸らしちゃ駄目だ」
沙都子の体がびくりと震えた。
「魅音ちゃんが持ってる銃が、見えるかい?」
沙都子が顔を上げるのを待ってロックは続けた。
「あの銃の引き金を引いたのは、君だ……。分かるね?」
沙都子が口元に手を当てた。顔から血の気が引き、目に涙が浮かぶ。
だが、苦しそうに、本当に苦しそうに顔をゆがめながらも、沙都子はコクリと頷いた。
「それが分かってるなら、いい」
それだけを言って立ち去ろうとして――
ロックは足を止めた。
「行かないのかい?」
「……行って……いいんでしょうか?」
沙都子の声は震えていた。
「君が望み、それを許す人がいるのなら、俺はいいと――」
「沙都子――っ!! こっちきなよっ!! キョン達、行っちゃうよ!?」
沙都子とロックは思わず顔を見合わせた。
「どうするんだい?」
答えは返ってこなかったが、沙都子の表情から答えは明らかだった。
涙を拭って顔を上げ、
「少し、待ってくださいまし!! 今、行きますわ!!」
松葉杖をついて遠ざかっていく沙都子を見ながら、ロックは大きく息を吐いた。
(エルルゥ……これで、いいんだろ?)
きっと彼女なら沙都子を許してくれるはずだ。
ロックはエルルゥの墓に目をやった。
(俺に何が出来るか分からないが……。出来るだけのことはする。どうか見ていてくれ)
ハルヒ達と合流すべくロックは歩を進めた。
「どうするんだい?」
答えは返ってこなかったが、沙都子の表情から答えは明らかだった。
涙を拭って顔を上げ、
「少し、待ってくださいまし!! 今、行きますわ!!」
松葉杖をついて遠ざかっていく沙都子を見ながら、ロックは大きく息を吐いた。
(エルルゥ……これで、いいんだろ?)
きっと彼女なら沙都子を許してくれるはずだ。
ロックはエルルゥの墓に目をやった。
(俺に何が出来るか分からないが……。出来るだけのことはする。どうか見ていてくれ)
ハルヒ達と合流すべくロックは歩を進めた。
「んしょ……っと」
泥だらけになった手で額の汗を拭いながら、しんのすけは立ち上がった。
「う~む」
眉根に皺をよせ、横から、斜めから、角度を変えて見てみる。
「うん! かんぺき!!」
しんのすけは満足そうに頷いた。
しんのすけの視線の先で、彼によって植えられた2本の花が風に揺れていた。
「まったくもぉ~。お墓には、お花が必要だってこと、みんなど忘れして、お話してるんだからぁ~」
仕方が無いなあと肩をすくめ、しんのすけはもう一度花を見やった。
隣同士に咲いていた2本の花は、やっぱりとても綺麗に思える。
苦労して探してきた甲斐があったというものだ。
「エルルゥおねえさん。気にいったぁ?」
返事は返ってこなかった。
でもきっと、エルルゥお姉さんならニッコリ笑ってありがとうって言ってくれる、そんな気がした。
ちょこんと盛り土の前に座り、
「オラ……もっと、お姉さんとお話したかったな……」
優しい声をもっと聞きたかった。
あの綺麗な子守唄をもう一度聞かせて欲しかった。
心からの笑顔を見てみたかった。
泥だらけになった手で額の汗を拭いながら、しんのすけは立ち上がった。
「う~む」
眉根に皺をよせ、横から、斜めから、角度を変えて見てみる。
「うん! かんぺき!!」
しんのすけは満足そうに頷いた。
しんのすけの視線の先で、彼によって植えられた2本の花が風に揺れていた。
「まったくもぉ~。お墓には、お花が必要だってこと、みんなど忘れして、お話してるんだからぁ~」
仕方が無いなあと肩をすくめ、しんのすけはもう一度花を見やった。
隣同士に咲いていた2本の花は、やっぱりとても綺麗に思える。
苦労して探してきた甲斐があったというものだ。
「エルルゥおねえさん。気にいったぁ?」
返事は返ってこなかった。
でもきっと、エルルゥお姉さんならニッコリ笑ってありがとうって言ってくれる、そんな気がした。
ちょこんと盛り土の前に座り、
「オラ……もっと、お姉さんとお話したかったな……」
優しい声をもっと聞きたかった。
あの綺麗な子守唄をもう一度聞かせて欲しかった。
心からの笑顔を見てみたかった。
――でも、もう無理だ。
死者は、しゃべらない、歌わない、笑わない。何もできない。
それをしんのすけは知っている。
視界が揺れそうになるのを、しんのすけは歯を食いしばって堪えた。
(泣いちゃ……駄目だ……)
悲しいことがたくさんあったせいで、エルルゥお姉さんはとっても悲しそうな顔をしていた。
自分が泣いたら、きっとあの優しいお姉さんはもっと悲しそうな顔をする。
そんな顔をさせてはいけない。
だって。
「女に涙は……似合わねぇ……ぜ」
一言一言噛み締めるように言って、しんのすけは乱暴に目元を拭った。
それをしんのすけは知っている。
視界が揺れそうになるのを、しんのすけは歯を食いしばって堪えた。
(泣いちゃ……駄目だ……)
悲しいことがたくさんあったせいで、エルルゥお姉さんはとっても悲しそうな顔をしていた。
自分が泣いたら、きっとあの優しいお姉さんはもっと悲しそうな顔をする。
そんな顔をさせてはいけない。
だって。
「女に涙は……似合わねぇ……ぜ」
一言一言噛み締めるように言って、しんのすけは乱暴に目元を拭った。
「しんのすけ――っ!! ハルヒ達の見送りしようよ――っ!!」
「ほっほ~い!!」
魅音の呼びかけに力いっぱい叫び返し、しんのすけは走り出す。
(バイバイ……。オラ……エルルゥお姉さんのこと……絶対忘れないから……)
魅音の呼びかけに力いっぱい叫び返し、しんのすけは走り出す。
(バイバイ……。オラ……エルルゥお姉さんのこと……絶対忘れないから……)
悲しい瞳も、優しい声も、あの歌も、絶対に忘れない。
少年は強く心に誓い、地を蹴った。
■
山の中腹に集った者達は、二つに分かれていく。
別れの言葉はすませた、言うべき言葉も言った。
だから、見送る者達はただ、こう口にする。
「行ってらっしゃい」と。
別れの言葉はすませた、言うべき言葉も言った。
だから、見送る者達はただ、こう口にする。
「行ってらっしゃい」と。
歩む者達は、足を止めない。
止めている時間がないことを、知っているから。
だから、一度だけ振り返ってこう口にする。
「行ってきます」と。
止めている時間がないことを、知っているから。
だから、一度だけ振り返ってこう口にする。
「行ってきます」と。
再会を誓い、彼らは分かれていく。
彼らを照らすのは、朝日の赤光ではなく、登った日の、白光。
暁の時は、幕開けの時は、終わったのだ。
蒼天の空の下、彼らは、別れていく。
同じ誓いを胸に、歩みを進めていく。
きっとまた会えることを、信じて。
彼らを照らすのは、朝日の赤光ではなく、登った日の、白光。
暁の時は、幕開けの時は、終わったのだ。
蒼天の空の下、彼らは、別れていく。
同じ誓いを胸に、歩みを進めていく。
きっとまた会えることを、信じて。
【C-4・山間部と市街地の境目付近/2日目・午前】
【ロック@BLACK LAGOON】
[状態]:眠気と疲労、苦悩
[装備]:ルイズの杖@ゼロの使い魔、マイクロ補聴器@ドラえもん
[道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2(-2食)、黒い篭手?@ベルセルク?
現金数千円、びっくり箱ステッキ(使用回数:10回)@ドラえもん、 ひらりマント@ドラえもん
[思考]:
基本:力を合わせ皆でゲームから脱出する。
1:トグサと接触し、ドラえもんのディスクを手に入れる
2:交渉で、何とか遠坂凛と水銀燈を出し抜く。(彼女達は最大限に警戒)
3:君島の知り合いと出会えたら彼のことを伝える。
[備考]
※しんのすけに両親が死んだことは伏せておきます。
※顔写真付き名簿に一通り目を通しています。
※参加者は四次元デイバッグに入れないということを確認しています。
※ハルヒ、キョン、トウカ、魅音、エルルゥらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました。
[状態]:眠気と疲労、苦悩
[装備]:ルイズの杖@ゼロの使い魔、マイクロ補聴器@ドラえもん
[道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2(-2食)、黒い篭手?@ベルセルク?
現金数千円、びっくり箱ステッキ(使用回数:10回)@ドラえもん、 ひらりマント@ドラえもん
[思考]:
基本:力を合わせ皆でゲームから脱出する。
1:トグサと接触し、ドラえもんのディスクを手に入れる
2:交渉で、何とか遠坂凛と水銀燈を出し抜く。(彼女達は最大限に警戒)
3:君島の知り合いと出会えたら彼のことを伝える。
[備考]
※しんのすけに両親が死んだことは伏せておきます。
※顔写真付き名簿に一通り目を通しています。
※参加者は四次元デイバッグに入れないということを確認しています。
※ハルヒ、キョン、トウカ、魅音、エルルゥらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました。
【トウカ@うたわれるもの】
[状態]:左手に切り傷、全身各所に擦り傷、精神疲労(中)、強い決意
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世
[道具]:支給品一式(食料-3)、出刃包丁(折れている)@ひぐらしのなく頃に、物干し竿(刀/折れている)@fate/stay night
[思考]
基本:無用な殺生はしない。だが積極的に参加者を殺して回っている人間は別。
これ以上の犠牲は絶対に出さない、何が何でもキョン達は守り抜く。
1:キョン、ロック、ハルヒを守る
2:魅音、沙都子、しんのすけを守る
3:生きてトゥスクルに帰還する
4:アルルゥの仇を討つ。
5:セイバーを討つ。
[状態]:左手に切り傷、全身各所に擦り傷、精神疲労(中)、強い決意
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世
[道具]:支給品一式(食料-3)、出刃包丁(折れている)@ひぐらしのなく頃に、物干し竿(刀/折れている)@fate/stay night
[思考]
基本:無用な殺生はしない。だが積極的に参加者を殺して回っている人間は別。
これ以上の犠牲は絶対に出さない、何が何でもキョン達は守り抜く。
1:キョン、ロック、ハルヒを守る
2:魅音、沙都子、しんのすけを守る
3:生きてトゥスクルに帰還する
4:アルルゥの仇を討つ。
5:セイバーを討つ。
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:疲労、全身各所に擦り傷、憤りと強い決意
[装備]:バールのようなもの、スコップ
[道具]:デイバッグと支給品一式×4(食料-5)、わすれろ草@ドラえもん、ニューナンブ(残弾4)、
キートンの大学の名刺 ロープ、ノートパソコン+ipod(つながっている)
[思考]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:是が非でも、トグサと接触してデーターを検分してもらい、ディスクも手に入れる
2:ハルヒや魅音が心配
3:その場にいるであろう凛と水銀燈には、最大限、警戒を払う
[状態]:疲労、全身各所に擦り傷、憤りと強い決意
[装備]:バールのようなもの、スコップ
[道具]:デイバッグと支給品一式×4(食料-5)、わすれろ草@ドラえもん、ニューナンブ(残弾4)、
キートンの大学の名刺 ロープ、ノートパソコン+ipod(つながっている)
[思考]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:是が非でも、トグサと接触してデーターを検分してもらい、ディスクも手に入れる
2:ハルヒや魅音が心配
3:その場にいるであろう凛と水銀燈には、最大限、警戒を払う
[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。
※ハルヒ、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。
※ハルヒ、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し)、疲労
[装備]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回) @ドラえもん
[道具]:着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)@ドラえもん
[思考]
基本:団長として、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出するために力を尽くす。
1:病院にいるというトグサと接触し、ドラえもんからディスクを手に入れる。
2:その場にいるかもしれない凛と水銀燈は最大限に警戒
3:団員の命を危機に陥らせるかもしれない行動は、できるだけ避ける
3:遠坂凛と水銀燈は絶対に許さない(だが、団員の命を守るために、今は戦いを避ける)
[備考] :
※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
※キョン、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました。
[状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し)、疲労
[装備]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回) @ドラえもん
[道具]:着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)@ドラえもん
[思考]
基本:団長として、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出するために力を尽くす。
1:病院にいるというトグサと接触し、ドラえもんからディスクを手に入れる。
2:その場にいるかもしれない凛と水銀燈は最大限に警戒
3:団員の命を危機に陥らせるかもしれない行動は、できるだけ避ける
3:遠坂凛と水銀燈は絶対に許さない(だが、団員の命を守るために、今は戦いを避ける)
[備考] :
※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
※キョン、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました。
【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:疲労、右肩に銃創(弾は貫通、応急処置済、動作に支障有り)
[装備]:AK-47カラシニコフ(20/30)、AK-47用マガジン(30発×3)
[道具]:なし
[思考]
基本:バトルロワイアルの打倒
1:民家に戻る
2:沙都子としんのすけを守る
3:病院へ向かったみんなが心配
[備考]
※キョン、ハルヒ、トウカ、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました。
[状態]:疲労、右肩に銃創(弾は貫通、応急処置済、動作に支障有り)
[装備]:AK-47カラシニコフ(20/30)、AK-47用マガジン(30発×3)
[道具]:なし
[思考]
基本:バトルロワイアルの打倒
1:民家に戻る
2:沙都子としんのすけを守る
3:病院へ向かったみんなが心配
[備考]
※キョン、ハルヒ、トウカ、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました。
【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、SOS団名誉団員認定、筋力低下剤の服用によるだるさあり(会話くらいはできる)
[装備]:
[道具]:支給品一式(-1食) 、プラボトル(水満タン)×2
[思考]:
基本:家族揃って春日部に帰る。
1:民家へ戻る
2:沙都子と魅音と一緒に、ロック達が帰ってくるのを待つ
[状態]:全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、SOS団名誉団員認定、筋力低下剤の服用によるだるさあり(会話くらいはできる)
[装備]:
[道具]:支給品一式(-1食) 、プラボトル(水満タン)×2
[思考]:
基本:家族揃って春日部に帰る。
1:民家へ戻る
2:沙都子と魅音と一緒に、ロック達が帰ってくるのを待つ
【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:右足粉砕(一応処置済み)
[装備]:スペツナズナイフ×1
[道具]:基本支給品一式(食料 -1)、トラップ材料(ロープ、紐、竹竿、木材、蔓、石など) 簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬@ドラえもん
[思考]
基本:みんなで一緒に脱出する。
1:民家へ戻る
2:ロックたちを待つ
3:自分を許してくれた魅音としんのすけを守りたい。
[状態]:右足粉砕(一応処置済み)
[装備]:スペツナズナイフ×1
[道具]:基本支給品一式(食料 -1)、トラップ材料(ロープ、紐、竹竿、木材、蔓、石など) 簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬@ドラえもん
[思考]
基本:みんなで一緒に脱出する。
1:民家へ戻る
2:ロックたちを待つ
3:自分を許してくれた魅音としんのすけを守りたい。
風が、山の中腹にある、小さな盛り土の側に植えられた2本の花を揺らした。
1本は、6枚の花弁を持ち、その色は赤。
1本は、袋形の花をいくつもつけていて、その色は青。
2つの花は、ある世界の、ある国の花によく似ていた。
悲しい伝説を持つ2つの花に、よく似ていた。
その、花の名は――
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267:暁の終焉(中編) | 園崎魅音 | 271:ひぐらしのなくころに(前編) |
267:暁の終焉(中編) | 野原しんのすけ | 271:ひぐらしのなくころに(前編) |
267:暁の終焉(中編) | 北条沙都子 | 271:ひぐらしのなくころに(前編) |