次世代型宇宙輸送船 「平常丸」

 

発経緯


FVBでは宇宙開発による資材消費量の増加が問題化していた。
だが、この藩国の選択は「あくまでも前進」であり、宇宙進出の遅滞はありえなかった。
そこで首脳陣はその対策として、宇宙での資材採掘地の確保及び輸送量のアップに活路を見いだそうとした。

しかしFVBが誇る冒険艦<蒼天号弐>は大量の資材輸送能力を持っているが、その運用コストは高く、安価大量が要求される輸送任務に見合うものではなかった。それに、なによりも主力艦が常に輸送に回ることは軍事上の大きなロスだった。
そこで、ランニングコストが安価でかつ資材輸送能力の高い大型宇宙輸送船の開発が始められた。

その頃、ビギナーズ藩国開発の名艦、多目的プラットフォーム<ミアキス>をベースに新造艦の開発を進めていたFVB開発陣は選択を迫られていた。
ミアキスは、大量生産を容易にするシンプルで丈夫な構造、プラットフォームに各種目的に合わせたコンテナを接続して多彩な運用を可能とする多機能性を両立させた船であり、その構造はブロック構造で量産・部分ごとの改良が容易に行えるように設計されていた。
FVBではミアキス搭載用の新型ブロック・コンテナの研究・開発を行っていたのだが、彼らは、次々と各藩国で発掘・開発されていく新型宇宙艦艇の公開されているスペックと自分達が開発してるミアキス用新型ブロック・コンテナの予想スペックと開発進捗状況に焦りを感じ始めていた。
その焦りは新型宇宙空母(後の初心級)のスペックが噂される事で爆発した。
既存の空母型ミアキスと同じ消費燃料・資源と人員でありながら、新型空母のスペックはミアキス空母のそれを大幅に上回ると予想されたからである。
<ミアキス>はいくら優秀とはいえ、もともと急造の汎用船だった。

そして、彼らは決断した。
今開発を行っている次世代型ブロックをまとめ、これまでに蓄積した技術のすべてを投入した輸送専用船とし完成させることをもって、多目的宇宙プラットホームの改良開発の終了とすることを。

こうして完成した次世代型宇宙輸送艦は、戦艦のような華やかさもなく、どちらかといえば不恰好ではあったが、本来の“宇宙帰還プロジェクト”の象徴として国民の人気は高い。
その就航式には藩王摂政をはじめ多くの国民が出席し、平和を願い日常を支える意味をこめ<平常丸>と名づけられた。
そして技術者たちは夢を見る。
この次世代型が活躍し、そのノウハウの蓄積をもとに開発されていく後継艦たちが活躍する、華々しき宇宙時代の到来を。

 

特徴

積載量を可能な限りとった巨大船であるが、その巨体に比べて最小限のクルーでの運用が可能となっている。
だが、徹底的にカスタマイズを施された結果、規格を大きくはなれ量産ラインに乗せることは出来なくなった。次世代の主力宇宙輸送艦の実験艦的な存在である。

 

各部構造体

 各構造体は、今まで蓄積された運用・改造実績とFVBの誇る機関士たちのアドバイスにより、従来品(ミアキス)よりも省力化と効率化が行われている

 

1.新型ブリッジ一体式居住ブロック 1基

 もともとは新機軸のコンテナに対応するため艦載コンピュータの高性能化が行われたが、多目的仕様から専門仕様に変えることによって巨大化した船体において高性能化した支援を受けることにより、より少ない人数で運用が可能となっている。

2.試作量産型エンジンブロック 9基

 量産試作として10基製造された増殖炉型対消滅炉を使用した新型エンジンブロックである。増殖炉型対消滅炉とは特殊機構(反物質の寿命の方が長い特殊粒子群が発生しやすい特殊領域を構築する機構)により炉内中心領域においておこる対生成・対消滅のプロセスに介入し、管理に手間のかかる反物質燃料を炉内生成することによって使用量を減らすことで、全体の消費燃料・資源の圧縮を目指した新型機関である。今回使用されなかった残り1基の増殖炉型対消滅炉は、新型の反物質燃料工場を作るための研究資材とされている。

 

3.複合貨物輸送用メインフレーム 1基

 ミアキス用貨物輸送コンテナ(約30×30×50)を複数個と遠隔操作型作業艇を積載することを目的として研究・開発がされていたメインフレームであり、今回使用された試作フレームにはコンテナを積載する船倉が8個、積載型が左右計2箇所と、研究開発が凍結された作業艇用積載部にミアキスのメインフレームを埋め込むことで貨物船倉とした2個積載型が上下2箇所に配置されており、合計20個のコンテナを輸送できるようになっている。
その他の部分は対消滅炉用の物質燃料(H2O)積載用のタンクとなっている。 

 

外見

 前方上方に新型ブリッジ一体式居住ブロックがあり、その下方に第一エンジンブロックがある。

 それらを繋ぐのはメインフレームである。メインフレームは前方からドッキングステーションが上下にあり、その後方にコンテナを2個を積載する船倉が設置されている。その2つをはさむ形でコンテナを4個積載する船倉が用意されている。後方では第2~第9エンジンブロックが八角形の頂点に1基ずつ結合されている。

 

 新型ブリッジ一体式居住ブロックと第一エンジンブロックはメインフレーム内に収められたフレキシブルサブフレームによっても接続されており、非常時に第1エンジンブロックが残っていれば脱出艇として切り離せるようになっている。
コンテナ8個積載船倉の開放方向は左右方向である。

 

今後の課題

 今回使用されなかった量産試作の増殖炉型対消滅エンジンに使用されていた特殊機構は、新型の反物質燃料製造機構の試作のために使用されることが決まっていたが、従来の反物質の生成方法(物質を粒子加速器で加速し、物質にぶつける事で物質をエネルギーに変換し、高エネルギー領域をつくりそのエネルギーが物質と反物質に対生成された内の反物質のみを回収する)は、高エネルギー領域を維持し続けるようにはなっておらず、対消滅エンジンは高エネルギー領域を維持し続けることは出来るが内部の生成物を回収することは考えて設計されていないため、どちらを改造して行くのかさえまだ決定されていなかった。

 

運用

パイロット 「定時だ出港準備を開始する。各エンジンのコールド・チャックをしてくれ」
コパイロット「全エンジンのコールド・チャック完了。問題ありません。」
パイロット 「では、ステーションコントロールに始動動力補助を申請を行う。」

パイロット 「こちら”次世代宇宙輸送船”、FVB宇宙ステーションコントロール応答願う」
管制官   「こちら、FVB宇宙ステーションコントロール。”次世代宇宙輸送船”どうぞ」
パイロット 「これより事前に提出積みのフライトプランに基き出航準備を開始する。運用規約に基づき、始動動力補助を申請する」
管制官   「”次世代宇宙輸送船”了解した。こちらのバッテリーは十分ある。始動動力補助を許可する。始動動力供給ラインの設定は?」
パイロット 「規約第参七弐号による供給を申請する」
管制官   「了解した、始動動力供給ラインの設定を完了した」
パイロット 「”次世代宇宙輸送船”了解。始動動力供給ライン状態確認。通信を一時中断する」
管制官   「”次世代宇宙輸送船”了解した。非常用回線は開いてる、非常時はそちらから連絡してくれ」

パイロット 「第一エンジン状態をコールドからホットに」
コパイロット「状態ホット。ホット・チェック問題ありません」
パイロット 「状態をアイドリングへ」
コパイロット「炉内に燃料供給開始します。内部エネルギー上昇、ファーストボーダークリア」
パイロット 「特殊機構動作開始、状態をクルーズに移項せよ」
コパイロット「特殊粒子群の発生を確認、セカンドボーダークリア。反物質燃料の供給を減らします」
パイロット 「第一エンジン始動完了、次は第二・第三エンジンを同時に始動するぞ。」

コパイロット「第二・第三エンジン始動完了しました」
パイロット 「第二・第三エンジンの出力を使って、第四・第五エンジンの始動を開始せよ」
コパイロット「了解しました」

パイロット 「こちら”次世代宇宙輸送船”、FVB宇宙ステーションコントロール応答願う」
管制官   「こちら、FVB宇宙ステーションコントロール。”次世代宇宙輸送船”どうぞ」
パイロット 「第一から第三エンジン始動を完了した。規約による始動動力補助の完了と動力返還手続きの申請をする」
管制官   「了解した、供給ラインの開放と再設定を行う、しばしまて」
パイロット 「了解した」
管制官   「ラインの再設定が完了した、いつでも返送を開始してくれてかまわない」

 

 

(文:オカミチ,菩鋳螺)


 

L:次世代宇宙輸送艦 = {
t:名称 = 次世代宇宙輸送艦(艦船)
t:要点 = 巨大宇宙輸送艦,ミアキス似,集合エンジン
t:周辺環境 = 宇宙
t:評価 = 装甲8
t:特殊 = {
*次世代宇宙輸送艦の乗り物カテゴリ = 宇宙艦船として扱う。
*1ターンに2航路の往復移動が出来る。この航路は変更できない。
200万tの輸送力を持つ。
1ターンにつき燃料4万tと資源2万tを使用する。
1ターンにつき1名のパイロット、4名のコパイロットを必要とする。
*次世代宇宙輸送艦の人機数 = 20人機として扱う。
*この艦を建造することはできない。

t:→次のアイドレス = 船員(職業),宇宙パイロット(職業),資源採掘地(施設),コールドスリープ(技術)

※連結ミアキス(燃料精製工場船)の派生をマイルにて取得。

 

 Q:
次世代宇宙輸送艦は「*1ターンに2航路の往復移動が出来る。この航路は変更できない。」とあります。
・往復2航路のうち1航路のみを 宇宙ステーション-燃料採掘地に指定する
・残りの1航路は今後を見越して未定のまま残しておく
・1航路往復+星間リンクゲートの2航路分を使用して、合計2往復で燃料を運ぶ
以上は可能でしょうか?

A:
ええ


 

 

最終更新:2008年07月16日 23:01