古来より船乗りとは信心深いものである。それは宇宙時代になっても変わることもなく、むしろ人事を尽くしてもなお、人智の及ばぬ出来事で生命の危険にさらされることの多い宇宙生活者にとっては、さらに一層の信仰を持たせる要因ともなった。板子一枚下は地獄、隔壁一枚外は地獄。人間がいかに心身を鍛え、あるいはサイボーグ化処置を受けるなどしようとも、広大な宇宙空間においては、人間など塵芥のようなものに過ぎない。人はどんなに頑張っても、イカナ・イカンのような完全生物にはなれないのだ。
近年では、初等教育も終えないうちから水泳の鍛練のように宇宙作業をおこなう子供も増えてきたが、それによって信仰は笑い飛ばされることなく、逆に深まることとなった。
宇宙に出る者は、地上から離れたことのない者の想像を絶するものを見ることになる。恒星の周回軌道上で爆散する宇宙船、リンクゲートが放つオーロラのような光の輪、そうした光景がまだ幼い子供たちの心の奥底に刻みつけるものは何だろうか? 自らの無限の可能性をもってすら届くとは思えない宇宙の広大さ。そこには親の庇護の手は届かない。頼ることのできるのは、己の技倆とあるかないかの経験のみ……。
「小さなカエルがこっちへついて来いと言っているように思え、付き従っていたら結果的に助かった」
ラーカウ要塞攻略戦にて冒険艦が真っ二つに大破し、漂流していたのを救われた乗員の中には、そんなことを言う者もいた。艦首か艦尾か、1/2の確率が生死を分けた。それが極限状況下における幻覚や模造記憶なのか、聞く者を喜ばようとする船乗り特有のホラ話なのか、はたまた真実の出来事であったのか、今となっては検証することはできないし、するべきことでもない。
信仰は、一人ひとりの心の中にあるものであり、実際がどうであろうと人が信じる限りは真実となる。逆に言えば、人が信仰心を失い、信じることを忘れれば、現実に存在する神の加護さえ失ってしまうことは肝に銘じなければならない。
FVBは神々に守られていた。だが、「神は自らを助くるものを助く」の言葉のように、FVBの民もまた神の助力を得られる資格のあ る存在となるべく努力を積み重ねていた。「何かが起きてから結果を覆す努力ではなく、事故や事件を未然に防ぐ努力と、目に見えない、触れる事も叶わない相手を信じ、大事に思う事」、それ が大事なのだと。
その志は海と宙の船乗りの国だからこそ、実行力が与えられた。それは別に神と人との契約に限ったことではない。人と人との関係にしても、彼らは海で、宙で、もしかしたら顔を合わせたこともなく、これからも合わせることのない人たちと協力して作業するのが、あたりまえの国だからだ。
荒れ狂う海を木っ端の如く漂う輸送船に届く一本の航路情報、宇宙開発センターの指示で太陽系の外れまで船出する燃料精製工場船……。
彼らは皆、目にも見えず、触れることもできない相手を仲間として信頼することで任務を達成してきていた。それぞれが自分にとっての最善以上の仕事をこなさなければ、海のどこかで、星空のどこかで仲間が命を落としてしまうのだ。たとえ、会うこともなく、もしかしたら言葉を交わすことさえなくても、それぞれが本分を果てしている限り、FVBの民はつながっている。
軍人ほど信心深い者はいないという。いや、船乗りやその家族ほど信心深い者はいないともいう。
ならば、船乗りである軍人はどれほど信心深いというのだろうか。
そんな国の中心に、異色な社があった。
『誉巳神社』である。もともとは、FVBを死者の軍勢から奪回するのに助力してくれた神々や人々への感謝の念をこめて起工されたものだったが、計画段階で根の国、死者の国への入り口が発見されたため、これを塞ぎ、封印する役目を与え、「封印の神社」として建立された。
誉巳神社は、この国が英雄と神によって救われた証であり、同時に封印の地として霊的守りの要衝にもなったのだ。
それが次第に大きくなっていった。
いつのまにか、鎮守の森が静かに広がり始めていたのだ。
原因はわからない。それは周辺の小さな社の森を包み込み、蛙の神さまの社の森ともつながり、あたかも1つの巨大な神域のようになった。
いつしか、人々はそれ全体をさして「大社」と呼ぶようになっていた。
大社とは、辞書的にはきわめて大きな神社や、由緒ある神社を意味する言葉だ。その意味では、確かに大きく、またFVBを死者の軍勢から奪回するのに助力してくれた神々や人々への感謝の念をこめて国家的大事業として建立された由緒正しい神社であった。それが人の意思の及びもつかない部分で広がっていたのだ。
それを不安に思う者もいないではなかったが、多くの者は神意が強くなっている証拠であると受け止め、神々がこの国を守っていてくださるのだと、あらためて感謝の念を深めたのである。
# いつの頃からか、この大社には単に「根の国の封印」以上の力があると囁かれるようになっていた。FVBにてクーリンガンが人々を苦しめる真似をしないのは、「封印の神社」があるからだというのである。
# そんな馬鹿なと最初は誰もが思った。そんなことで、あのあらゆる世界に出没する策士の行動に制限をかけられるのかと。
# しかし、実際問題として、他の国とFVBの間に「封印の神社」の有無以外の違いを見出すことはできなかった。単にFVBの民は信心深いとか、FVB藩王と国民の結びつきが強いからだなどと言おうものなら、怒り出す国は幾らでもあるだろう。
#
# 「封印者の正体が分かりましたー!」
# そんなある日、連日連夜の仕事疲れで倒れるように眠っている摂政・曲直瀬りまのところに光儀が飛び込んできた。そして、1通のレポートを差し出した。鷺坂祐介なる人物が最近FVBを訪問したときの出来事だという。
# 「これがデマとか創作という可能性は?」
# 「はっきり、きっぱり、ありません!」
# 封印者の名前は「まなせ」なんだそうだ。うっそだーと言いたいところだが、信心深いFVBの民は、他人の言葉は裏の裏の裏まで疑うが、神さまや神さまの使いの言葉はうかつなくらいあっさり信じてしまうのである。
# 次の朝、目を覚ました曲直瀬は、饅頭やら果物のかご盛りやら花に囲まれているのに気づいて仰天することになる。
# 「悪いけどさ……こういうの、なんか枕花みたいだから、やめてくんない? ほら、暁の神社の虎さんも「半ば自ら、半ばただの人間の手で」
って言ってたらしいじゃん? あたし、ただの人間だし、まだ生きてるから、花もお供えも要らないから……」
# あわや生き神さま扱いされるところだった曲直瀬を救ったのは、アキラ・フィーリ・シグレ艦氏族であった。
# 「やはり封印の神社でした!」
# 「でかした!!」
# 曲直瀬が封印者として名指しされたのは、やはり封印の神社建立の指揮を執っていたからだったのだ。
#
# 確かに「半ば自ら、半ばただの人間の手で」ということは、クーリンガン自身にも己を封じるべきだと考える何かがあったのだろう。
# 生者のものは生者のもとへ、死者のものは死者のもとへ。
# それこそが、この「封印の大社」が根の国と現世の間に置かれる意味なのだ。
# 分社とは、祀られている神さまを本社となる神社から分けて祭った神社のことである。
#
FVBは気候が温和で四季の変化にも富んでおり、その豊かな自然は大社の周りに広がる「鎮守の森」に象徴されている。自然を愛し、平和を願い、人々や国土を守ってくれている神々や英雄たちへの感謝と畏敬の念が生み出す「封印」の力だが、もし、そこに住む人々が望むのであれば、そしてその地に祀られている他の神が拒まなければ、大社は神さまを分祀して祀ることにより「分社」を他藩国に建立することができる。
# 大社の建立には、開示に100マイル、敷地の取得に150マイル(1000平米)、合計250マイルが必要となります。この建立にあたっては、少額でも広汎に募る事で効果の増大が見込めるとのことです
# また、大社だけですと、その効果は隣国までしか及びませんので、確実に自国に大社の効果を及ぼしたい藩国は、分社の土地代として1国につき75マイルが必要となります。
# この分社は、大社の開示後に別途土地代を支払うことで取得することが可能ですが(FVBとしても政策として地鎮祭・分祀祭・分祀奉祝祭を執り行います)、その効果は信仰心の強さや信仰している神によって変わるということです。東国人の国ならまず問題ないと思われますが、その他の国については信仰する神の違いなどから何か問題が生じたり効果が出ない可能性がありますので、分社を設置しようと検討している藩国は個別に質疑等で確認する必要があると思われます。
分社
越前藩国 (22.04/26設置申請)
この神社の建立には、以下の方からの寄付マイルが使用されました。また、藩国外からの寄付については掲載の都合上、まとめページの記載にして換えさせていただきます。
ありがとうございました。
17-00321-01:さくらつかさ:-2
17-00326-01:曲直瀬りま:-40
17-00334-01:アキラ・フィーリ・シグレ艦氏族:-1
17-00339-01:きみこ:-4
17-00784-01:光儀:-3
NWの各国並びに個人の皆さま
( 以上、22.04/26作成 22.05/02 設置申請/開示)
L:大社 = {
t:名称 = 大社(施設)
t:要点 = 神社,鳥居,賽銭箱,神主さん,巫女さん
t:周辺環境 = FVB
t:評価 = 住みやすさ0
t:特殊 = {
*大社の施設カテゴリ = ,,国家施設。
*大社の位置づけ = ,,{建築物,宗教施設,一般施設,特殊施設}。
*大社の設置 = ,,FVB。
*大社の面積 = ,,1000m2。
*大社の構造 = ,,1階建て。
*大社の祭神 = ,,クーリンガン。
*大社の配置制限 = ,,この施設には人が住めない。
*大社のお祭り = ,,大きなお祭りを開くことができる。
*大社の神威 = ,,封印がなされ、それをやぶろうとするのをこばむ。
*大社の販売物 = ,,お守りやおみくじや絵馬を販売している。
*大社の屋台許可 = ,,屋台ができる。
*大社の死者の国の封印 = ,,この神社が破壊されない間は、ニューワールドは死者の国から攻められることはない。
*大社の守り = ,,大社と分社のある国は、暗黒の神々によって守られ、死者を祭り、安息を与える邪魔をする者に対して-20の修正を与える。
}
t:→次のアイドレス = アルスへの加護(イベント),黒い巫女(職業),安息花(イベント),黒餅(マジックアイテム)
}
越前藩国 (22.04/26設置申請)
FEG
#http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=10392
になし藩国
#http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=10253
涼州藩国
#http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=9397
(2010/06/29 追記)
鍋の国
#http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=10993
(2010/07/03 追記)