熱血高校ドッジボール部

【ねっけつこうこうどっじぼーるぶ】

ジャンル スポーツ(ドッジボール)
対応機種 アーケード
発売・開発元 テクノスジャパン
稼働開始日 1987年11月
プレイ人数 1~2人
くにおくんシリーズリンク


概要

テクノスジャパンより1987年11月に稼働開始したアーケードゲーム。
熱血硬派くにおくん』に続く、「くにおくんシリーズ」の第2作目となる。
くにお率いる熱血高校ドッジボール部の面々が世界の強豪と対戦し、世界一を目指すというものとなっている。

なお、ルールの元となっているのはドッジボールだが、内野のメンバーは敵のシュートが当たっても外野に出ることは無い。
メンバーそれぞれの持つ体力が0になるまでは内野にいることになり、体力が0になったメンバーは天使となってそのまま脱落するという、ケンカドッジボールとなっている。
なお、前の試合で脱落したメンバーも次の試合ではしっかり復活している。


内容紹介

一般に広く知られているであろうファミコン版の元となっている作品だが、ファミコン版は本作から大きくアレンジを施されたものとなっているため、それとの違いを基本に簡単に紹介する。
なお、ファミコン版の後に出たPCエンジン版(PC番外編)は本作とファミコン版のそれぞれの要素を足して2で割ったような内容となっている。

+  クリックで展開

評価点

  • 良好な操作性
    • アクションゲームにおいてはこれが壊滅的では話にならないが、本作においては操作性に関しては全くと言って問題は無いと言える。
      そのため、敵のコート内にジャンプで入ってそこでバウンドしているボールを強奪し、そのまま外野にパスして反撃に転じるといったようなぱっと見は難しそうなアクションも容易。
  • BGMとボイス
    • BGMはファミコン版で聞いたことがあるという方も多いだろうが、それらはアーケード版とは異なるアレンジをされている。
      • 特にアメリカステージは曲の頭が異なっており、アフリカステージはファミコン版以上にアップテンポとなっている。
      • とは言え、その曲の質が悪いのかと言えば決してそんなことは無く、対戦国に持つようなイメージに合った曲が用意されており、対戦中のBGMとしても、単独で聞いても十分に質の高い楽曲となっている。
    • また、くにおのナッツシュート以外の(ダッシュ)ジャンプシュート時には「なめんなよ!」というボイスが挟まれたり、敵チームの怪物がシュートを打つ時もボイスが挟まれたりする。
      • キャラクターの体力がなくなった時の断末魔「ぐえっ!」は声質も手伝ってかなりインパクトが強いものとなっている。
  • キャッチ可能なタイミングがかなり緩い
    • そもそもキャッチ出来ないシュートなんていうのもあるが、それを除いたキャッチ可能なシュートに関してはかなりキャッチ可能なタイミングが緩くなっており、やや早めにキャッチボタンを押しても十分にボールをキャッチ出来る。
      • これがシビアだと満足にキャッチもさせて貰えず、「ドッジ(Dodge)」の文字通りひたすら避けまくらなければならないという事にもなりかねない事を考えると、この点は優しい仕様であると言える。

問題点

  • 全体的にプレイヤーが不利
    • 上で体力が0になるまでは内野にいると書いたが、熱血高校のチビ3人は花園高校はともかく、それ以外の敵メンバーのシュートを食らえばほぼ確実に脱落してしまう上にシュートの威力も弱く、特殊なシュートも使えないためにくにおが脱落してしまうともはや詰みとなってしまう。
      • そのため、チビ3人は否応なしにくにおを守るための肉の壁以外の使い道がないという有様となっている。
    • また、時間切れになると問答無用でプレイヤーの負け(ゲームオーバー)になってしまうため、特にメンバー全員が怪物で固められているアメリカチームはくにおでほぼ確実にナッツシュートが使えないと非常に苦しい戦いを強いられる。
    • 加えて、補充要員も確実に体力が多い怪物が入ってくるため、くにお以外満足な攻撃手段が無い熱血高校に比べると非常に相手が優位と言える。
      • ただし、この補充要員は出て来るタイミングも場所も決まっており、あらかじめボールを用意してその場所で待ち構えていれば出てきた側からボールを連続でぶつけてそのまま退場させることも出来る…と言うよりも、そうしないとやはりアメリカや補充要員が多い中国相手では苦しいことになる。
  • 難易度が高い
    • 特にファミコン版やPCエンジン版をやっていると、上記の仕様はかなり理不尽に見える *1 所もあり、本作の立ち回りや敵の使う特殊なシュート *2 等を理解しないと花園高校を突破した所で手詰まりにもなりかねない。
      • ただ、上のような勝手が解ってくるとそれまでは異様に高く感じられる難易度もそこまで実は高くないことも解り *3 、移植作品にはない面白さというのがあるのもまた事実である。
    • そのため、ゲームそのものの難易度は決して高くはないが本作の特徴であるプレイヤーに不利な要素などを含めた勝手が解るまでのハードルは高めであると言わざるを得ないだろう。

総評

アーケードという関係上インカムの問題もあるのだろうが、やはりプレイヤーに不利な要素が多い事とくにお以外使い物にならない自チームの構成など、慣れるまでとにかく理不尽に感じてもおかしくはないものとなっている。
とは言え、何度か繰り返しプレイしているうちにだんだんと勝手が解ってくるようにはなっており、一旦勝手が解ればむしろ操作性の良さと相まってやり応えのあるゲームとなっている。

本作の後に出た移植版(特にファミコン版)がくにおくんシリーズのドッジボールゲームの大元として何かと注目を集めがちであることは否めないが、本当の意味でのシリーズにおけるドッジボールゲームの大元である本作も完成度で言えば決してファミコン版に劣ってはいない。
と言うよりも、移植版は本作をベースにしつつも別物とも言える位のアレンジをされているため、ゲーム性で言えば同列に語ることは難しい。

現状では残念ながらバーチャルコンソールなどで配信されているファミコン版・PCエンジン版と違い、本作はそう言った配信も無いためにプレイする手段がかなり限られてしまっている所はある。
しかし、ゲームセンターなどで運良くプレイする機会があれば、是非とも挑戦してみて欲しいタイトルである。
もっとも、1回2回で勝手が解るようなタイトルではないので、それなりの費用がかかってしまうのは否めないが…。


移植等

1988年7月26日にはファミコン向けに本作のアレンジ移植である『熱血高校ドッジボール部』が発売されており、難易度設定や必殺シュートの導入、加えて各種時間制限・敵チームの人員補充が廃止された事で本作に比べてハードルが大きく下がった。
また、インド・ソ連・謎の軍団が追加され、選手一人一人に強い個性と名前が与えられ、更にはその登場するチーム間のバランスも詰んでいるような組み合わせも無い、優れたゲームバランスを誇る対戦ツールともなっている。
ただし、ハードスペックの問題で内野は3人に減らされており、キャラクターの点滅やスプライト欠けが激しい上、バグや設定ミス *4 と言った要素も少なくない。
因みに、本作で追加されたクラブ活動において、設定した難易度によって背景が異なるといった仕掛けが用意されていたりする。

1988年9月にはX68000向けに本作の移植がなされている。
こちらは裏技を使用することで様々な追加、変更要素を楽しむことが出来る。
BGMはオリジナルの曲をステレオ化されている。

1990年3月30日にはPCエンジン向けに『熱血高校ドッジボール部 PC番外編』が発売、こちらはアーケード版とファミコン版の要素のごった煮とも言えるものとなっている。
アーケード版準拠の要素としては内野メンバーが4人となり、グラフィック *5 や参加チーム *6 に加えて試合時間の概念が導入 *7 され、各国と戦う世界大会モードはループ仕様となっている。
ファミコン版の要素としてはキャラクターそれぞれに名前と能力、必殺シュートの設定、表示されている体力といったものがあるが、個々の個性付けで言うとファミコン版よりは弱くなってしまっている *8
また、本作オリジナルのクエストモードは宇宙人にボールをぶつけられたくにおがその仕返しをするために各国のキャプテンを仲間にしつつ東奔西走するというもので、最終ステージは宇宙に乗り込んで宇宙人と対戦することになる。

2006年1月26日にはプレイステーション2向けに『オレたちゲーセン族』シリーズの一つとして本作の移植がなされているが、移植度が劣悪な上にMAMEのソースコードを盗用している疑惑が持ち上がっていたりとゲーム以前の根本的な問題を抱えている。
しかしながら、本作BGMの唯一の音源化であるサウンドトラックが付属されている点だけは元々質の高いBGMであることを踏まえて評価出来る点であるとも言えるが、付属のトラックリストの曲目順を間違えているというオチをしっかり付けていたりする。
また、このサウンドトラックにはボーナストラックとして各BGMをアレンジした上でミックスした「熱血高校ドッジボール部 (Super Sweep Remix)」が収録されていたり、ボイスや効果音も合わせて収録されている。


余談

息切れ(疲れ)の演出について

ファミコン版では残り体力が15以下の選手にボールが当たり、かつそこで脱落していない場合に該当の選手が肩で息をするような動作をするが、本作でも勿論その動作はある。
体力が表示されているファミコン版ではあくまで駆け引きの要素の一つという側面が強いが、本作では体力が表示されていないため、この動作の回数で残りの体力を大まかに把握するしかない。
ほとんど体力が減っていなければ1回ですぐに戻るが、ダメージが増えるごとに最大5回まで動作をするようになる。
つまり、起き上がったくにおが肩で息をする動作を4~5回した時点で次は無いと言えるため、殊更慎重な立ち回りが必要になると言うこと。
また、上に書いた通りお供のチビは一撃で脱落することが多いので、ある意味でお供のチビのその動作を見られるのは貴重であるとも言える。

海外版について

本作は海外でも『SUPER DODGE BALL(スーパードッジボール)』のタイトル *9 で稼働している。
最初は日本版同様、国内の決勝戦という体を取りプレイヤーチームがダラス、対戦相手をシカゴとして対戦をする *10
その後、ダラスチームはアメリカチームとして各国のチームと対戦し、決勝戦は日本となっている。
勿論、編成は日本版アメリカのものが流用されているため、全員怪物である。
また、くにおが怪物にボールをぶつけられるシーンと熱血高校が新聞に載るシーンはカットされ、グラフィックは日本版熱血高校のお供のチビの髪を金髪、同じく日本版アメリカチームの怪物の髪を黒髪にした以外は全く手を加えられていない。
そのため、アメリカチームなのにユニフォームは日の丸カラー、日本チームのユニフォームも日本版のアメリカチームのものという、違和感が強いものとなっている。
ボイスに関しても差し替えがされており、日本チームがジャンプシュートを打つと「なめんなよ!」と言うようになっている。
勿論、海外版でもループ仕様となっているのだが、表彰式でトロフィーを渡すのが日本版のスーパーマンというのも大概だが、海外版では忍者が出てきて手裏剣型のトロフィーを渡すという、どこからツッコミを入れればいいのか解らないものになっている。

アフリカステージについて

ファミコン版やPCエンジン版でのアフリカステージは「沼地でぬかるんでいるため、ダッシュ初動が遅くなる」という特徴があるのだが、本作では他のステージと同じようにダッシュすることが可能となっている。
本作ではダッシュの歩数で特殊なシュートが出せるといったものは無いので影響はあまりないが、後の移植作品の感覚でプレイ出来ない *11 ので注意。
もっとも、ステージそのものはどう見ても沼地でぬかるんでいるのだが…。



*1 一応、試合の制限時間自体はPCエンジン版にも存在している。

*2 助走等の予備動作無しで使用可能で、更に以降の移植作と異なり、外野にいる選手でも元々使わないチビとアフリカを除いた痩身以外は特殊シュートを使ってくる。

*3 ただし、敵が強化される上に制限時間が短縮される周回プレイに関しては話が別。

*4 中国チームの「たあうぇい」の打たれ強さ(防御力)が低めの設定に対してやたらと打たれ強い。それ以外にもポジション変更前にセレクトボタンで見ることの出来る選手のステータスが、全てのチームにおいて体力とボールパワー(攻撃力)以外全部実際の数値と異なっていたりする。

*5 厳密には、痩身の顔より下がチビの流用となっていると言う違いがある。

*6 つまり、インド・ソ連・謎の軍団が登場しない。

*7 ただし、内野人員の補充やボールキープの時間制限は導入されていない。

*8 グラフィックがアーケード版準拠な為、同じグラフィックのキャラクターが複数いるのは当たり前で、それ以外にも細かい能力概念(「シュートテク」など)が削除されている。

*9 なお、このタイトルは後のファミコン(厳密にはNES)移植におけるタイトルの他、日本では未発売となっているアーケード(MVS)ゲーム『くにおの熱血闘球(ドッジボール)伝説』の海外版タイトルでもある。

*10 ダラスチームのメンバー編成は日本版の熱血高校の、シカゴチームのメンバー編成は花園高校のものである。

*11 言い換えれば、本作の他のステージ同様の感覚で戦えるということだが。