初音ミク -Project DIVA-

【はつねみく ぷろじぇくと でぃーう゛ぁ】

ジャンル 音楽ゲーム
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 セガ
開発元 セガ、ディンゴ
発売日 2009年7月2日
定価 6,090円
廉価版 お買い得版:2010年6月24日/3,300円
初音ミク関連作品リンク

概要

  • 音声合成ソフト『初音ミク』を題材・モチーフとしたゲーム。ジャンルはリズムアクション(いわゆる音ゲー)である。 *1
    • よって、本作に音声合成ソフトとしての機能はない。

発売までの経緯

2007年8月31日にクリプトン・フューチャー・メディア(以下クリプトン)より発売されたWindows用音声合成シンセサイザーソフト『VOCALOID2 キャラクター・ボーカル・シリーズ01 初音ミク』は、従来のシンセサイザーソフトの常識を覆す驚異的な売り上げを記録した。
折しも動画投稿サイト「ニコニコ動画」のようなユーザー参加型インターネットメディアが一般に普及し始めた時期と発売が重なったことが幸いし、多くのユーザーによって製作された多数の楽曲が次々と一般に公開され、更なる人気を集めることに成功したのである。
以後、クリプトンのシンセサイザーソフトブランド『キャラクター・ボーカル・シリーズ』は「鏡音リン・レン」「巡音ルカ」とシリーズ化し、確固たる地位を築くこととなった。

本作『初音ミク -Project DIVA-』は、これまでに発表されたユーザー製作曲の中でも人気の曲と、畑亜貴・神前暁などのプロの作曲家が新たに制作した曲を、リズムゲーム(音ゲー)として遊べるようにしたゲームである。


基本システム

  • 本作において、おそらくまず最初に目に付くのは、プレイ画面(つまりは背景)が「初音ミクのプロモーションビデオ(PV)」を意識した3DCGムービーとなっていることだろう。
  • このPVを背景にして、画面上にはPSPの各ボタン(○△×□)に対応した「ターゲット」というマークが順次出現する。これをめがけて画面端から「メロディアイコン」というマークが飛んでくる。両者が重なった瞬間に対応するボタンを押す。というのが基本的なルールである。
    • ターゲットには、時計の秒針のような小さな矢印「タイミングバー」もついている。これが真上を向く瞬間が、すなわちメロディアイコンと重なるタイミングであり、ボタンを押すべきタイミングである。
    • 「ターゲットの位置に規則性がなく、どこに配置するかは製作者の意図に任されている」という点は、数ある音ゲーと本作を区別化する最大の要因となった。
      • 『beatmania』などのようにレーンだけを見てプレイするのではなく、画面いっぱいに視線を動かさなければならないのだ。これは必然的に、PVのミクが頻繁に視界に入ることを意味しており、ミクのキャラクター性をプレイヤーに強く印象づける効果を発揮した。
    • また、このシステムは難易度調整の面でも貢献している。ターゲットの配置をずらしたり、あえて少し重ねることで、タイミングを視覚的に明示しているパターンが多い。
      • これは意図的に破られることもあり、1つのターゲットに対して複数のメロディアイコンが殺到したり、特定の記号をかたどったりする。このような場合はタイミングバーも複数存在し間隔も均等なので、その数だけ繰り返し押せばいい。
      • 高難易度の譜面になると、前述の「視覚的に分かりやすいターゲット配置」が崩されることも珍しくない。画面に不規則に散らばったターゲットは、腕に覚えのあるプレイヤーを苦しめた。
    • PV、ひいては3DCGの品質も十分。ミュージカル風味、絵本調、ライブ調とシチュエーションも多彩。どのPVでもミクがかわいらしく動き回る。
    • 一部の曲(リストの最終盤に表示される高難度の5曲)は3DCGのPVではなく、一般募集のイラストが連続して表示される。手抜きのようにも見えるが、これはこれでテンポがよく、まとまっている。
      • 手抜きではなく、時間あたりのメロディアイコンの数が多すぎるために、PVと同時表示するとPSPの処理限界を超えてしまうため、意図的にこのような仕様にしているのではないかという説もある。しかし真相は不明である。
      • なお、これらの楽曲は後にPVが追加され『arcade』や『extend』などではPV付きのものが遊べる。
    • プレイ中にはPVをじっくり見る余裕などはない。しかし、条件を満たせば、プレイせずにPVを眺められるモードが登場する。PV目当ての人も安心。
  • 難易度は各曲につき「イージー」「ノーマル」「ハード」の3段階が用意されている。ただしどの曲も均一な難度にはなっておらず、例えばある曲のイージー難度が別の曲のノーマル難度に匹敵するといったこともある。
    • 難易度は5段階の☆の数で明記されているのですぐわかる。
  • お手付きなしにボタンを繋いでいくことで得点が増加し、同時にライフゲージが増加していく。ミスをするとライフゲージが減少し、ゼロになると曲の途中でもゲームオーバーとなる。
    • ボタンを押すタイミングの正確さによって、得点の高い順に「COOL」「FINE」「SAFE」(失敗すると「SAD」「WORST」)の評価が出る。
      • このうち前2つはコンボを繋げてどんどん得点を増やせるのだが、一度でもSAFEを出してしまうとコンボはリセットされてしまう *2
      • 「正しくボタンを押したのにコンボ数がリセットされる」ということで、ユーザーからは「緑の悪魔SAFEさん」などとネタにされている。
  • 曲が最も盛り上がるサビの部分に入ると、「チャンスタイム」として通常のコンボとは別に更に大きな得点補正のかかる特別コンボが繋がるパートが開始される。
    • ハードモードの高評価クリアには、このチャンスタイムボーナスが欠かせない。チャンスタイムでは画面構成が変化し、正念場の雰囲気を演出する。
  • 特定条件を満たしてクリアすると、後述のモジュールコンバート用アイテムや、ミクルームのオブジェを獲得することが出来る。

収録楽曲

畑亜貴、神前暁をはじめとするプロ作家による新曲、ピアプロ上で一般より募集した曲、ニコニコ動画などで以前より人気の高かった定番曲など、色々な曲が収録されている。
それらすべてに共通するのは、ボーカルが「初音ミク」であるという点。

+  収録楽曲

モジュールコンバート

  • つまりは「着せ替え」。リズムゲームクリアに従って解放されていくモジュール(衣装)を選択し、ミクの外見を変えることができる。もちろん、PVにもしっかり反映される。
    • モジュールは53種類 *3 が収録されている。アイドル衣装、学生服、ナイトウェアといった王道もの、海賊やウェディングドレスをイメージした衣装とバリエーションは豊富。
      • ユーザーデザインの「VN02」、『スペースチャンネル5』『戦場のヴァルキュリア』といったセガゲームとのコラボレーションも。
    • 「電子の歌姫 初音ミク」というフレーズ通り、これらのコスチュームはミクのボディを構成するデータの一部であるような演出が成されている。
      • この演出によって、外見だけだが他のキャラクターボーカルシリーズのキャラとして使用することも可能(ミクが擬態しているとでも解釈するいうべきか。音源としてはミクの歌声しか収録されていないので、声もミクのままになってしまう)。
      • 「鏡音リン・レン」「巡音ルカ」「KAITO」「MEIKO」が用意されている。また、ファンによる創作キャラクター「弱音ハク」「亞北ネル」「咲音メイコ」までもが使用可能という点はユーザーを驚かせた。

ミクルーム

  • ミクの部屋を模様替えしたり、気ままに暮らすミクを眺めるモード。
    • 部屋のモジュールを変えることで模様替えが出来、部屋の各所にオブジェを配置することが出来る。
      • オブジェは観葉植物、時計、果物といったありきたりなものから、ユーザーデザインのポスター、更にはセガ・マスターシステムといったマニアックなものまで登場する。

エディットモード

  • ゲーム収録曲や、メモリースティックに取り込んだMP3データを使用することで、ユーザーが独自のリズムゲームを製作できるモード。
    • PVの素材、ミクのモーション、カメラアングル・移動、マーカー配置と、非常に細かい調整が行える。
    • ネット上には有志によって多数のエディットデータがアップロードされており、他のVOCALOID曲やユーザーのお気に入りの曲で遊ぶことができる。これらのダウンロードあるいは自作に手を染めた場合、本作の収録楽曲数は事実上、無限大となる。

その他

  • OPムービーのクオリティは素晴らしいの一言。作詞・畑亜貴、作曲・神前暁のコンビによるオリジナル曲「The secret garden」と合わせた構成が光る。
  • ロード画面でランダムに表示されるイラストは、セガとピアプロのコラボによって一般募集されたもの。約100枚という膨大なボリュームであり、これをコレクションするのも楽しい。
  • 全曲をクリアするとエンディングが流れるのだが、このスタッフロールでは「はちゅねみく」を操作して文字テロップを動かせるという遊び心満載の仕様。何気なしにいじっているだけで楽しい。

難点

シビアな判定と初見殺し

  • 昨今の音ゲーにしては判定がかなりシビアで、相当正確なタイミングで押さないとあっさりとSAFEになってしまう。前述したマークのギミックも初見プレイヤーを惑わす要素である。
  • 音楽はあまり意識せずに、アイコンを目押しで押す方が安定するという意見まで出た。一部プレイヤーの意見とはいえ、音ゲーなのに『聴覚とリズム感』より『視覚と反射神経』が重視されてしまうのは如何なものか。
  • 本作の判定はどちらかというと「ジャストより早い場合が厳しく、遅い場合は甘い」傾向にあり、リズムに合わせると早めに押しがちになりSAFEを量産してしまう。なまじ他の音ゲーをやっているプレイヤーほどそれが体に叩き込まれている *4 ためにスコアが伸びず、「目押しのほうがスコアが伸びやすい」と言う意見が出る原因となった。
    • この点は続編『2nd』では大幅に改善された。
  • リスト一番目の曲「ワールドイズマイン」は何故かそこそこの難易度。明らかに黄色タグ一番目「荒野と森と魔法の歌」以上に難しい。「セガの罠」とのジョークも生まれた。
  • 「初音ミクの消失」におけるHARDパターンのレベル、特にこれの後半のボタン連打地獄はもはや語り草。 やりすぎでPSPの○ボタンを破壊してしまった プレイヤーもいたほど。

ミクルームの存在意義が薄い

  • 楽しい独自要素だが、ここで実際にプレイヤーが行えることは少なく、モジュール集めくらいしかすることがなくなってしまう。
    • 何より「ミクの生活を見る」モードでありながら、視点移動の自由度が異常に小さい(横に360度回すことさえできない)のは如何なものか。
  • どうやら、パンツを見ることができないようにされている模様。この時点ではクリプトンはエロ表現や残酷表現などに非常に厳しい方針だった(現在はある程度は緩和されている)。

ミク以外のVOCALOIDの存在感・存在意義が薄い

  • 先述のように、本作ではミク以外のVOCALOIDたちはあくまでミクの外見擬態という扱いであり、肝心の歌声も収録されていない。そのためファンは非常に歯がゆい思いをさせられた。
  • この欠点は続編『2nd』でほぼ解消されることに。

追加データ・DLC周りに対応してない

  • エディットデータによるユーザの保管もあるが製作が難しい楽曲などもあり、公式側からの追加データも望む声もありDLCが二度出されたが、起動には本体と別々に動かさないと行けないなど不便さがあった。
    • この欠点も続編『2nd』でほぼ解消される。

その他

  • 凝った構成のPVは見事だが、これにターゲットやメロディアイコンが埋もれ、見えづらいときがある。「ミクのキャラゲー」として見ればPVは長所ではあるのだが、「音ゲー」として見た場合は逆にPVが邪魔でターゲットに集中しにくくプレイが困難になる。
  • 少々ロードが長め。また、ときたま処理落ちによってマーカー類が主旋律からわずかにずれるとの報告がある(PSP本体のバージョンに依存するという説あり)。
  • 他の音楽ゲームと比べると本作の収録曲はそれほど多いとは言えない。VOCALOIDの人気曲は多々あるが、権利問題やPV制作の点から難しかったのだろう。
  • 衣装モジュール「スイムウェア」の出現条件がかなり面倒。詳細は省くが、全VOCALOIDの水着を集めるのはかなり骨が折れる。
  • 高いコレクション要素を持ちながらオートセーブに対応していない点が悔やまれる。これは『2nd』にて改善された。
  • ルームアイテムの出現確率がかなり低い。
  • クリア時評価において、チャンスタイムのコンボが占める割合が大きすぎる。
    このためチャンスタイムは、説明書にあるような「高評価獲得のチャンス」どころか、逆に「ここでコンボを切ると大幅に評価が下落する、決してミスのできない正念場」となっている(それはそれでゲームデザインとしてはアリなのだが、説明書が嘘をついているような状態だとも言える)。

初音ミク -Project DIVA 2nd-

【はつねみく ぷろじぇくと でぃーう゛ぁ せかんど】

ジャンル 音楽ゲーム
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 セガ
開発元 セガ、ディンゴ
発売日 2010年7月29日
定価 6,090円
備考 お買い得版:2011年12月15日発売/3,300円


  • 好評に応えて、2010年7月29日に続編『初音ミク -Project DIVA- 2nd』が発売された。主な進化点・変更点は以下の通り。
    • 収録曲数が55曲に増加。その中には待望の、初音ミク以外のボーカロイドが歌う曲も含まれている。PVもデフォルトでは、そのボーカロイドとして設定されている。
    • デュエット曲も採用。そしてこれに対応して、PVも2人同時表示が可能な仕様となった。
    • その一方で一作目から継続収録されずに消えていった曲も多い。そのため『2nd』が発売された現在でも、一作目を購入・プレイする意義は存在する。
      • 『桜ノ雨』という曲はarcadeやドリーミーシアターにも収録されていないため、一作目でしか遊べない。
    • 設定上、初音ミク以外のVOCALOIDはミクの擬態ではなく、ちゃんと本人が出演しているという形になった。モジュールコンバート(着替え)も可能。
      • 「ミクルーム」は「DIVAルーム」となり、各VOCALOID毎に存在する。たまにちょっとしたイベントが起こったり、時には他のVOCALOIDが遊びに来ることも。
    • モジュール、ルームアイテムはポイントを使用して入手する形となった。アイテムの出現には曲をクリアすることが必要だが、前作のようにGREAT以上、MAX○コンボ以上などの条件は無い。
  • 音ゲーとしてのシステムは、以下のように変更・追加されている。
    • 方向キーが○×□△キーと同じ機能を持つようになった。たとえば「○○○○○」という譜面に対して「○右○右○」という入力が許容されるようになり、連打の厳しさが軽減された。
      ○×を右手で、□△を左手(方向キー)で押すようにすると、アーケード版に近い感覚でプレイすることも可能。
    • 新システム「同時押し」と「長押し(Arcadeの【HOLD】とはまた別物)」の採用。より変化に富んだ多彩な譜面が出現する事となった。
    • クリア時の評価がスコアから「COOL」&「FINE」の占める割合となった。
    • 難易度『Extreme』が追加され、1曲につき4段階の譜面となった。
      • 「同時押し」「長押し」が追加されたため、前作から継続収録されている曲も譜面は変更されている。
  • 一作目のボス曲「初音ミクの消失」を、あらゆる意味で上回る「初音ミクの激唱」なる曲が収録されている。最高難易度・Extremeでの理不尽さは「消失HARD」の比ではない。
    • 難度表示は『2nd』中最難の☆9で、特に初見のプレイヤーには『どうすればいいのだ』と本気で思わせるほどに凶悪である。
    • しかしそんな「激唱」も、難易度EASYでは☆2という良心的な譜面となっている。一作目・『2nd』ともに、難易度さえ下げれば誰でも好きな曲・好きなPVを楽しめる仕様なのである。
    • ちなみにエディットモードを起動すればわかることだが、「激唱」専用のPV背景は極めて簡素で、PSP本体の処理能力負担が軽いものである。凶悪な高難易度譜面を実現するための処置だがPVのカメラワークや演出アイデア等は素晴らしいものであった。
  • DLCに本格的に対応しており、プレイヤーの待ち望んだ曲や追加コスチュームなどが、いまも有料 *5 で追加され続けている。
  • 『2nd』はダウンロード版も発売されている。ちなみに一作目のダウンロード版は残念ながら発売されていない。
  • PS3で『初音ミク -Project DIVA- ドリーミーシアター2nd』の配信が開始された。簡単にいえばアーケード版並の高画質で2nd楽曲が遊べる拡張ソフトのようなもの。
    • 初代と比べて値段が上がっているが、その分初代の楽曲も収録されている(「おかわり」などの追加楽曲は無し)。
  • さらなる続編『初音ミク -Project DIVA- extend』が、2011年11月10日にPSPで発売された。

総評

  • インターネットを中心に爆発的な人気を博していた初音ミクと、直感的でシンプルに遊べる音楽ゲームの相性は抜群に良く、本作は大ヒットを記録した。
    後に予約特典付属版の再販が行われた他、アーケード版『初音ミク Project DIVA Arcade』、続編『初音ミク -Project DIVA- 2nd』なども発売された。
    アーケード版もリリース当初より大人気となり、2011年1月27日には「Version A」としてアップデートが行われた。
  • 本作が発売されたこの時期、セガは経営不振が続いており、そのピンチを本作を中心とする初音ミク関連の売り上げで救われたという噂がある。その真偽はさておき、以降現在に至るまで、セガが初音ミク関連の展開に力を入れているのは事実である。
  • また、本作で培われた技術は後に『けいおん! 放課後ライブ!!』にも生かされている。