検事局の地下駐車場に降り、御剣怜侍は自分の車の脇に立った。
5分もしないうちに、レモンイエローのスプリングコートの狩魔冥が現れた。
「待たせたかしら」
「いいや、私も来たところだ」
助手席のドアを開けると、冥はするりと座席に滑り込む。
「で、なに?」
御剣がエンジンをかけると、冥が窓の外を見たまま言った。
「うむ。成歩堂から連絡があったのだ。真宵くんと春美くんが倉院の里から遊びに来ているので事務所に来ないかと」
「・・・私も?」
「イトノコギリ刑事も呼んだようだ。ソーメンフルコースをごちそうすると息巻いていたが、ケータリングを頼んでおいた」
そう、と冥がつぶやく。
「ひさしぶりだわ、真宵と春美に会うのは」
13歳で検事になった冥にとって、真宵は初めての同年代の友人だった。
ぶっきらぼうに聞こえる言い方をしながらも、少し嬉しそうにほころんだ冥の横顔を見て、御剣も頬を緩めた。

成歩堂法律事務所に車を横付けにし、助手席のドアを開けると、すらりとした脚が車から出た。
手を取って降ろしてやると、窓を開けて見ていたらしい真宵が、
「あ、なるほどくん!きたよー!」
と叫ぶのが聞こえた。
事務所のドアを開けると、真宵が飛び出してくる。
「ひさしぶり、冥さん!」
「元気そうね、真宵」
御剣は、久々の再開で手を取り合わんばかりの二人から、テーブルにケータリングで届いた料理を並べている成歩堂に目を移した。
「今日は、すまなかったな」
「いやいや、こっちこそこんな豪華な料理を届けてもらってさ。イトノコ刑事がいたら、泣いて喜んだのになぁ」
「ム・・・、イトノコギリ刑事はまだ来ていないのか?それに、春美くんは」
「んー、イトノコ刑事は、急に事件が起きたらしくって。電話で『捜査ッスーーー!』って叫んでたから。春美ちゃんは」
成歩堂はちょっと困ったように笑った。
「なんでも、修行がいそがしいって」
一緒に行こうと真宵が言ったのに、
「せっかく久しぶりになるほどくんとお会いになるのに、わたくしなどお邪魔できません!」
と言い張ったらしいが。
「さあさあ、冥さん、座って座って。なるほどくんも、・・・御剣検事も」
真宵が元気よく言って、コートを脱ごうとした冥が手を止めた。
「車に携帯電話を忘れたわ」
勤務時間外とはいえ、いつどんな連絡が入るかわからない。
「怜侍、車のキーを貸してくれるかしら。取ってくるわ」
御剣がキーを渡すと、冥は「すぐ戻るわ」と事務所を駆け出していった。
「いやー、さすが御剣検事だよね、なるほどくん。この事務所に不似合いなくらいの料理だよ」
「不似合いで悪かったな」
「はみちゃんとイトノコ刑事に、申し訳ないなあ」
「そんなこといって、食べる気まんまんだろ」
成歩堂と冥の掛け合いに、ブランクはないようだった。
取り皿や箸をそろえて、冥が戻ってくるのを待つ。
「・・・遅くない?冥さん」
真宵が言い、御剣は立って窓から外を見た。


「今、なにか声が聞こえなかったか?」
ふと成歩堂が、御剣を見た。
御剣が、通りを見下ろす。
あまり人通りがない上に街灯も少ない。

「・・・ゃあ!」

今度は、はっきり聞こえた。
「冥だ!」
御剣が事務所を飛び出す。
成歩堂と真宵も後を追った。
事務所のビルから外に出たところで、御剣はなにかを踏んだ。
拾うと、それは冥の鞭だった。
コートのポケットから落ちたのだろう。
行かせるのではなかった、と御剣は唇を噛んだ。
「御剣検事、それ、冥さんの!」
「車の音はしなかった、遠くまで行っていないはずだ!」


車の中から携帯電話を取って事務所に戻ろうとしたとき、建物の影から男の声が冥を呼び止めた。
「狩魔検事さん、だよね」
足を止めてふりむきながら、コートのポケットに手を入れて鞭を握った。
「おっと、そんなもの振り回すのは法廷だけにしてくれよ」
ゆっくり姿を現した男に、冥は後ずさりした。
「誰っ」
「忘れたのかい、あんたが有罪にしたチンケな強盗犯をさ」
男が、冥の腕をつかんだ。
「きゃあっ!」
みぞおちに激痛が走って、冥は意識を失った。
・・・どのくらいの時間がたったのか、意識が戻ると、腹部の痛みと吐き気が襲ってくる。
「・・・う」
両手を後ろで縛られて、片方の足首もどこかに縛り付けられた状態で、冥は板敷きの部屋に転がされていた。
目を上げると、ブラインドのない窓から建物の灯りが見える。
「気がついたのかい、検事さん」
冥を覗き込むように屈んでいた男が、ニヤニヤと笑いながら言った。
「裁判のときはずいぶんと威勢がよかったけど、なんだい、まだ女の子じゃないか」
男の手には、サバイバルナイフ。
この声には、聞き覚えがあった。
ほんの少し前に有罪になった被告人だ。
もうすぐ、高等裁判所で刑期が決められる頃なのに。
・・・脱走した犯人に誘拐されたのだ。
冥の背筋に冷たいものが流れた。
ナイフが襟元に差し込まれ、服を胸元まで切り裂いた。
「・・・っ!」
「つまり、さかうらみってわけなんだけどさぁ」
ナイフの冷たさを胸に感じて、冥はこくりと喉を鳴らした。
「こんなことをして・・・逃げ切れると思っているの?罪が重くなるだけよ」
「えらそうなことをいうんじゃないよ!」
犯人がナイフを振り上げ、冥は固く目をつぶった。


ビシッ!

犯人の手から、ナイフが落ちた。
「いてぇっ!」
冥が恐る恐る目を開けると、ドアのところに人影が立っていた。
「キサマ・・・冥になにをした!」
冥の鞭を構えた御剣が、叫んだ。
「お、おまえ、鞭が使えるのかよ御剣・・・」
御剣の後ろに、呆然とした顔で成歩堂と真宵も立っている。
直後に、御剣が手配した警官隊が飛び込んできた。
人ひとりを抱えて遠くへ逃げるのは無理がある。
成歩堂法律事務所の隣にあるホテルの、使われなくなった従業員休憩所にたどりつくのに、時間はかからなかった。
あわてたらしい犯人が、取り落としたナイフを拾い上げようと飛びつく。
一瞬早く、冥の自由なほうの足がそのナイフを蹴り飛ばした。
「ちっくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
警官が犯人を取り押さえ、御剣は冥を抱き起こすと手と足を縛っていたロープを解いた。
「大丈夫か、冥」
自分の上着を着せかけて、御剣は冥の肩を抱いた。
「・・・ええ、これくらい平気よ」
殴られたみぞおちを押さえて言った言葉は強気だが、ほっとしたのか震えが止まらないようだった。
「よかった・・・」
冥の無事を確認して、安心したのは御剣も同じで、埃っぽい床に膝をついて冥を抱きしめた。

ぐったりと抵抗をあきらめた犯人が連行されるのを見送って、成歩堂は真宵を見た。
「狩魔検事が無事でよかった。ね、真宵ちゃん」
「・・・」
「真宵ちゃん?」
「・・・なぁんだ」
真宵が、成歩堂の隣でうつむいた。
「あの間になんて、入り込めないよ・・・」
成歩堂は、冥を抱きあげて歩いてくる御剣と、隣でうつむく真宵を交互に見る。
やっぱり、そうか。
遊びに来る、と言った時もしつこいくらい御剣と冥に裁判の予定がないか確かめてきたのも。
そろそろ来るという頃になると、窓に張り付いてずっと外の様子を伺っていたのも。
それなのに、いざ会うと冥にばかり話しかけて、御剣に見向きもしなかったのも。
「少し、冥を事務所で休ませてもいいだろうか、成歩堂」
「あ、ああ。そうだな。行こうか、真宵ちゃん?」


冥を抱きかかえてそっと階段を上る御剣の後ろ姿を見ながら、真宵はまたため息をつく。
その真宵の隣を歩きながら、成歩堂は頭をかきむしる。
ああ、まさか真宵ちゃんが、御剣を?
事務所に戻ると、冷めた料理がぽつんとテーブルに取り残されている。
御剣は、奥の応接室を借りる、と言って冥を運んだ。
「えと、食べる?真宵ちゃん」
真宵が黙って首を横に振る。
・・・まいったなぁ。
「あのさ。真宵ちゃん」
「・・・」
成歩堂は、思い切ったように真宵の隣に座った。
「やっぱり、あいつのこと?」
今度は、ゆっくり首を縦に振り、それから激しく横に振った。
頬が、真っ赤だった。
「どっち?」
「わかんない。自分でもわかんない。でも、さっき御剣検事が冥さんをすっごく大事にしてるのを見たら、なんか、ちょっとさびしくって、それで」
「そうか」
成歩堂は膝に肘をついて手に顎を乗せた。
「うん、でもさ。あいつは狩魔検事の保護者気分でいるのかもしれないよ。なんせ、兄弟子だし」
「・・・弟弟子だって言ってたよ、冥さん」
「う、うん。どっちにしても、そういうんじゃないかも」
「なるほどくん。あたしだって、アレは見ればわかるよ。いいんだ、あたし。ほら、ちょっとカッコいいなあって思ってただけで、別に好きとか、そんな」
真宵は顔を上げて、にっこり笑って見せた。
ああ、かわいいなぁ。
ふいに、成歩堂はそう言いそうになってどきっとする。
「・・・あの、じゃ、じゃあ、さ」
ちらっと応接室の方を伺う。
「ぼく、は?」
「なるほどくん?」
「ぼくのことは、その」


喉がはりつくように渇いて、うまく言葉が出ない。
成歩堂は、テーブルの上にあった缶飲料のプルタブを開けた。
すっかりぬるくなったそれを、喉に流し込む。
「・・・げほ」
ビールだった。
冷えていないビールがこんなにまずいものだとは。
「なるほどくん、だいじょうぶ?」
軽くむせた成歩堂の背中を、真宵がさすった。
「まったく、あわてんぼだなぁ。しっかりしてよね」
「真宵ちゃん、ぼくは」
成歩堂にいきなり手首をつかまれて、真宵がびっくりした顔をする。
「ぼくは、よくわかんないわけじゃなくて、すっごくよくわかってる」
「なるほどくん、それだけのビールで酔っ払っちゃったの?」
「真宵ちゃん」
真宵の唇に、冷たくて柔らかいものが触れた。
少し、苦い味がした。
「ぼくは、アイツみたいにかっこよくないし、事務所の家賃も払えないくらいだし、それに、それに、でも」
「・・・・」
「真宵ちゃんが、好きだよ」
もう一度触れた唇は、少し強く押し付けられた。
息をするのを忘れるくらい長く、そして舌が進入してくる。
成歩堂は、ゆっくりと真宵をソファに押し倒した。
「なるほどくん、み、御剣検事と冥さんが」
唇を離すと、真宵が抗議する。
それを無視して、成歩堂は和服の胸に手を入れた。
「あ・・・」
小さな胸は、手のひらにすっぽりと収まった。
ゆっくりと、つかみ上げる。
「やわらかい」
「だめだよ、なるほどく・・・」
いつ応接室のドアが開くかと、真宵はひやひやした。
「しっ・・・、静かにしてればだいじょうぶだよ・・・」
そんなわけないよ。
真宵の言葉は、成歩堂の唇でふさがれる。
成歩堂は、真宵の乳房を揉みしだく。
柔らかなふくらみと、先端の突起を、やさしく。
鎖骨を唇でなぞり、もうひとつのふくらみにも舌を這わせた。
「な・・・る」
「真宵ちゃん・・・」
手で、太ももをそっとなで上げた。
外側から、内側へ。
指がそこを捉えたとき、真宵は悩ましい吐息をついて、成歩堂の首に手を回した。
「・・・やさしくしてね」


な、なにをやっておるのだ、あいつは。
水を取りにいこうとして応接室のドアを開けた御剣は、真宵におおいかぶさっている成歩堂を見て、あわててドアを閉めた。
あいつ、ヤる気だ。
ここに、私と冥がいることを忘れているのか?!
「怜侍・・・、お水は?」
応接ソファに横になっていた冥が、少し体を起こして言った。
「う・・・うム。いや、その」
まぶたの裏に、今見た光景が焼きついている。
成歩堂の肩にかかった素足。こぼれだした胸。高潮した頬・・・。
「いいわ・・・、私がもらってくる」
ドアの前で石像になっている御剣を当てにするのをあきらめたのか、冥が立ち上がる。
「いや、まだ横になっていたほうがいいのではないか、その、水ならまたあとで」
「なに言ってるの?」
御剣を押しのけてドアノブに手をかける。
「・・・・ん、ああん」
冥が、ぴたりと動きを止めた。
御剣が、耳まで真っ赤になっている。
一瞬、意味がわからないような顔をした冥も、遅れて頬を染めた。
「あ、あん、はあん・・・」
冥は、黙って御剣の手を引いてドアから離れた。
「立ち聞きなんて、フケツよ、御剣怜侍」
「・・・うム、そういうアレでは」
「・・・・」
きまずい。ものすごく気まずい。
冥はソファに腰掛け、御剣は意味もなく部屋の中を歩き回る。
「どう、したらいいのかしら」
「・・・待つしかなかろう」
「いつまでよ」
「それは・・・終わるまでではないか」
冥は首筋まで、真っ赤になった。
「なに考えてるのかしら、まったく」
御剣は、冥の後ろで足を止めた。
ピンク色に染まったうなじに、どきりとした。
思わず手を伸ばすと、冥の体がびくっとふるえた。
「いや、その・・・さっきは怖い思いを、させてしまった。私が携帯電話を取りに行けばよかった」
とっさに言い訳しながら、その通りだと思う。
すぐ近くとはいえ、女の子にひとりで人通りの少ない夜道を行かせるなど、無用心すぎる。
「二度と、あんな思いはさせない」
冥の肩に置いた手に、力がこもった。
「・・・ん」
冥が小さく頷いた。
「怜侍が、来てくれると思ってた」
御剣の脳裏に、ついさっき見た光景がよみがえる。
視界がぐらりと揺らいで、気づくと冥の肩に置いた手をそっと胸元に滑り込ませていた。
かがむようにして、後ろから冥の頭に口付ける。
「ちょっと、なにして・・・」
冥は体をよじって、進入してきた手から逃げる。
「・・・ム」
御剣はソファを回り込んで、冥の前に立った。
「だがしかし・・・、こうなってしまった」
目の前に、服地がぴんと張って盛り上がっている。
「バ、バカがバカなことを考えて、バカッ!!」
あまりの近さに、両手で顔を覆う。
「そんなかわいいことをされると、ますます大きくなってしまうのだが」
御剣は、冥の肩にかかっている自分の上着をすべり落とし、犯人が切り裂いた服からこぼれる白い胸元にそっと手の甲を当てた。
「バカ・・・っ、ち、ちっちゃくしなさいよっ」
御剣は片手で冥が頬を押さえている手をはずした。
顔を上げた冥を見つめて、御剣はそっと唇を寄せた。
「無理だ」


真宵の吐息が甘い声に変わる。
成歩堂は舌で舐めたりつついたりしていた乳首を甘噛みする。
つんと尖ったそれが、ますます固くなる。
その間にも、片足を腕にかけて開かせた秘所を指先でまさぐる。
音を立てて、蜜がからみついた。
膣口をかきまわし、小さな突起の周囲をこねまわす。
「・・・・ん、ああ」
思わず、真宵の口から大きな声が漏れた。
成歩堂は隅々まで真宵の体を撫で、口付け、そして十分に濡れたそこに指を入れた。
「あ、あん、はあん・・・」
進入した指が、敏感な壁をなぞり、真宵は体を反らせた。
「・・・はぁっ、なんか、なんか変だよ、なるほどく・・・ん、あたし」
成歩堂にしがみついて、真宵が言う。
「変じゃないよ。すごく、感度がいいんだ」
成歩堂が、ズボンを下げた。
ソレは、ぴんと屹立している。
「いくよ・・・」
「ん、はぅっ」
先端が真宵の秘所をまさぐるようにし、それからゆっくりと入ってくる。
「や、あ、ん、はっ、あ・・・あん」
抵抗するかのように締め付けてくる真宵の中を、成歩堂は進んだ。
「奥まで、入ったよ」
「ああ・・・、すごい、いっぱいだよ、なるほどくん」
ゆっくり、引き抜く。
また、押し込む。
引き抜く。
「あんっ」
ぐい、と進入する。
腰を引くと、また真宵が震えた。
「ああんっ」
引く時がイイらしい。
成歩堂はたまらなくなって、腰を動かす速度を上げた。
「んぁっ、あ、あっ、ああああああんっ」


「ぁぁ・・・・」
耳を澄まさなくても、隣の部屋の声が聞こえる。
冥を抱きしめたまま、御剣はごくりと喉を鳴らす。
「・・・バカ!」
自分を抱きしめながら、他の女のあえぎ声に興奮するなんて。
両手で御剣を押し返そうとすると、より強い力で押さえつけられ、一気にスカートを引き降ろされた。
「やっ、ちょっとそんな急に!」
準備の出来ていないその場所に、御剣は己を押し当てた。
痛みとともに、ぎゅっと押し込まれる。
こんなに乱暴にされたことはなかった。
「バカっ、ゆ、許さないっ」
半分ほど入ったところで、御剣が息をついた。
「だが、早くちっちゃくしろと言ったのはキミだ・・・。他に小さくする方法がない」
耳元で息を吹きかけるように囁かれる。
いつも眉間にしわを寄せながら法廷で容赦なく被告人を糾弾する男が、冥にだけ見せる素顔。
「許して、くれるだろうか?」
うなじに、舌を這わせる。
手が、二の腕を強くさすりながら下がり、冥の手を握る。
指と指を絡ませ、その手にも口付ける。
冥の指先を口に含む。
一本ずつ丹念に舐めながら、乳房に触れる。
抵抗するように締め付けられていた御剣自身が、するりと動いた。
冥の目を見つめながら、御剣がふっと笑った。
「許して、もらえたようだ」
潤いをたたえた冥の中に、ぐいと突き進んだ。
「・・・・ん」
冥が、目を閉じる。


何度も突き上げると、真宵は成歩堂にしがみついたまま目を潤ませた。
「やっぱり、やっぱりあたし、変だよ、すごくムズムズする、の・・・、あんっ」
「いいよ。もっと、もっとムズムズして」
肩に担ぐ脚を変えて、成歩堂は突いた。
熱くて、強く締まる。真宵の中はとても気持ちが良かった。
もう、限界が近い。
腰を打ちつけながら、指でぷっくりとふくれた突起に触れる。
「ひゃあんっ」
ぐるぐると回したり押したりすると、真宵が体をひくつかせる。
ぎゅっと成歩堂が締め上げられた。
「あ、あああああん!!」
その声があまりに艶かしい。
引き抜くのも忘れて、成歩堂は真宵の中に精を放った。


命令どおり、ちっちゃくなっって抜き取られたそれを、細い指が丁寧にウェットティシュで拭く。
「まったく、信じられない。あなたも、な、成歩堂も」
隣の部屋の声は、おさまったようだった。
きれいにしてもらったソレをしまいながら、御剣が軽く咳払いする。
「ム。すまない」
冥が御剣の足元に屈んだまま、破れの大きくなった服をかき合わせた。
「ん、もう。今度買ってもらうからっ」
それが可愛くて、御剣はまた冥を抱きしめる。
「何枚でも、買おう」
さて。
しかし、服を買いに行くその前に。
御剣は、ため息とともにドアを見た。
・・・どんなタイミングで出て行けばよいものだろうか。


しなだれかかる真宵を抱きとめながら、成歩堂は応接室にいる御剣と冥を思い出して、冷や汗をかいた。。
気づいてない・・・わけ、ないだろうな。
出るに出れなくなっているのではないだろうか。
真宵の声。
ドア一枚を挟んだだけでは、まる聞こえだったにちがいない。
成歩堂は、ため息とともにドアを見た。
出てきたら、どんな顔でなにを言えばいいものか・・・。


                     終

最終更新:2020年06月09日 17:49