喫茶店シリーズ#4

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『喫茶店の人々』 #4

貸切で深夜営業中の喫茶店が、にぎわっていた。
「じゃ、みぬき嬢の新しい魔術の成功を祝って、乾杯!」
牙琉響也が、腰に手を当ててキザにコーラを掲げた。
なんでオマエが仕切るんだよ、というその場の全員の心の中のツッコミが聞こえたような気がしたが、それが発せられることはなかった。

その夜、みぬきが新作『ハイパーぼうしくん』を初披露する、というので茜に招待された響也は、同じ「ステージに立つ者」として見に行く気になった。
ステージ終了後、他の面々と一緒に誰が言うともなくいつもの喫茶店へ場所を移し、閉店しようとしていた店を無理やり借り切る。
コーヒー以外メニューがない店に宅配ピザを取り寄せ、サラダやチキンと一緒に並べたテーブルを囲んだ。
今日の主役のみぬきが、響也の隣であれこれと食べ物を取り分けていた。

テーブルの食事に群がっているのは、みぬきとマネージャーの霧緒、王泥喜と茜。
カウンターの向こうには、コーヒーを飲むマスター、向き合って座っているのが成歩堂、一つ椅子を空けて御剣。
「皆さん忙しいのに、みぬきの魔術を見に来てくれて、ありがとうございましたっ」
みぬきが何度目かの礼を言って、『ハイパーぼうしクン』を披露した。
響也がグラスを置いて手を叩き、テーブル席は大喝采となった。
「コーラで泥酔してるな、あいつら」
呆れ顔でマスターが言うのが聞こえたが、気にしない。
日常の緊張から解かれたかのように、まだ十分若者の域を出ない彼らは陽気にはしゃいでいた。

各自がピザを一切れずつ平らげた頃、店の前にタクシーの止まる音がしてドアが開き、遅れてきた冥が両手一杯の差し入れとともにまた大きな歓声で迎えられた。
そして、小さなピンクと黄色のブーケをみぬきに手渡す。
「見に行けなくてごめんなさい。『ハイパーぼうしクン』成功、おめでとう。みぬき」
「ありがとう、冥さん!」
嬉しそうに、みぬきがブーケに顔を寄せて香りを楽しんだ。
「まあ、素敵なお花ですね」
保護者のごとくみぬきに寄り添っていた霧緒が、ブーケを覗き込む。
「冥さんはセンスがいいわ」
「・・・ありがとう」
そう答えた冥がやや屈託していたように見えたが、響也は先輩に余計なことは聞かないことにした。
ただ、霧緒の隣に腰を下ろして勧められるままにサラダのカップを手に取り、なにか言われて笑っている冥を見た成歩堂がつぶやいたのは、聞こえた。
「オンナって、コワイかも」
それを聞き逃さなかったマスターが、身を乗り出すようにして言ったのも。
「今頃気づいたのかい、アンタ」

差し入れのお礼にと、そこでまたみぬきが『ハイパーぼうしクン』をやってみせる。
成功にますます機嫌を良くしたみぬきは興奮気味に、茜の切り分けている差し入れのフルーツケーキを覗き込んだ。
「あ、茜さん、みぬき、イチゴのとこがいいです!」
「はいはい、みぬきちゃんはイチゴね。王泥喜くんもイチゴでしょ?」
三角形のフルーツケーキの乗った皿を受け取ったみぬきの肩に、響也が手を置いた。
「おっと刑事クン、ぼくもイチゴ」
茜が冷たく言う。
「もうイチゴはありません。牙琉検事はバナナで」
不満そうに口をとがらせた響也に、みぬきが自分のケーキからイチゴをつまんだ。
「あげましょうか、牙琉さん」
響也の口にイチゴを押し込む。
くるくると丸い目が、響也を見上げていた。
「むぐ・・・。あ、ありがとう」
見上げたまま、指についたクリームを舐めるみぬきに、響也は違和感を覚えた。
この子が王泥喜と一緒にいるところを何度も見ているし、この店で宿題をしているところに出くわして、教えてやったこともある。
さっきステージに立っているのを見たときも、けっこうちゃんとやるんだなと思っただけで、こんな違和感はなかった。
その違和感を自分の中に探しながら、響也はなにげなくケーキの上のイチゴに手を伸ばした。
「あああっ!」
みぬきが叫ぶ。
「ひどい、牙琉さんがみぬきのイチゴ、食べちゃいました!!」
イチゴのなくなったケーキの皿を持って抗議され、響也が両手を上げて降参した。
「あ、ごめん、つい。そんなに怒るとは」
みぬきの今の言い方には、先ほど感じた違和感がない。
「大人げないです!人のイチゴ盗るなんて」
本気でくってかかるみぬきに、響也がカウンター席の成歩堂に助けを求めた。
「ちょっと、なんとか言ってくれないか弁護士さん!」
成歩堂は振り返りさえしなかった。横で御剣が眉間にシワを寄せてコーヒーを飲んでいる。
「窃盗で訴えられたら、弁護してあげましょうか」
響也の背中をポンポンと叩いて、王泥喜『弁護士』が笑顔で助けを差し伸べる。
「じゃあ、検察側は私が」
真顔で冥が言い、王泥喜が響也をまねて降参した。
「まちがいなく有罪です、牙琉さん」
みぬきが笑って響也の腕にからみついた。
また、違和感。
腕から伝わる暖かさと柔らかさ、みぬきの笑顔。
「な、成歩堂さん、顔、顔!」
イチゴを守るように皿を持ってカウンター席に戻った王泥喜が、ものすごい渋顔で響也を睨みつけている成歩堂の腕をつついていた。
「むぅ、ぼくはみぬきの相手に牙琉くんはどうかと思うよ、王泥喜くん」
「・・・し、心配しすぎですよ。たぶん」
聞こえてるよ、オデコくん。
響也がため息をついて、みぬきの頭にそっと手を乗せた。

閑静な住宅街でいつまでも続く大騒ぎに、無責任な責任者はクックッと笑いながら、マスクの奥から楽しげに店の中を見ていた。


仕事を終えた牙琉響也が、バイクで検事局を出る。
しばらく走ると、制服姿のみぬきがショップのウィンドウを覗き込んでいるのに通りかかった。
見ているのは、季節には少し早い冬物のバッグ。
バイクを止め、ヘルメットを取って声をかける。
「寄り道はいけないな。魔術師さん」
ぱっとふりむいたみぬきが、跳ねるように響也に駆け寄る。
「牙琉さん、こんにちは」
「なにを見ていたんだい、パパにおねだり?」
みぬきはぺろっと小さく舌を出した。
「親孝行ですよ。パパはみぬきがおねだりするのが嬉しいんです」
やれやれ、と肩をすくめた響也の前で、みぬきはちょっと唇をとがらせた。
その表情が、意外にかわいい。
齢相応のしぐさの中に、ふっと以前感じた違和感を思い出す。
「でも、パパは最近元気ないんですよね。ショーシン、なんだって」
首を傾げて、響也を見上げた。
「ショーシン?」
見上げた目が、真剣だった。
「はい。みぬきはまだ、ママがいなくてもいいよね、って」
その言葉を、響也は頭の中でめぐらしてみる。
「ああ、傷心、か。ま、キミのパパもいろいろあるんだね」
成歩堂が誰に“傷心”させられたのか。
それは追及しないことにしよう。
「だから、みぬき早く大人になってパパを助けてあげたいんですよ」
「・・・それは、立派なことだね」
顔つきはまだまだ子供っぽく見えるが、考え方はしっかりしているのかもしれない。
「あ、牙琉さん、笑ってる。みぬき、もう一人前の魔術師なんですからね。『ハイパーぼうしクン』も好評だし」
制服の胸をそらせると、意外とちゃんとした盛り上がりが見え、響也はつい目をそらした。
・・・なんだ。
かわいいじゃないか。
まったくの子供だと思っていたみぬきの意外な面に、響也は興味をそそられた。
「いや、まだまだ子供だよ。パパ、パパって言っているうちはね」
軽く、挑発してみる。
「うーん」
みぬきは人差し指をほっぺたに当てて、首をかしげる。
その細い指で、口にイチゴを押し込まれた感触を思い出した。
まずい。
本当に、かわいい。
ヤバイことをしてしまいそうだ。
響也は腰に片手を当てて体をかがめ、みぬきの頭に手を乗せて顔を覗き込んだ。
「・・・どうしたらオトナになれるか、教えて欲しい?」

肯定されるとは、本気で思っていなかった。


「どうするんですか?」
牙琉響也のマンションで、みぬきはギターやアンプがぎっしり並べられた部屋を見回して聞いた。
「そうだね。まず、たしなみとしてはシャワーかな」
「はいっ」
元気が良すぎるのも、ムードがない。
「洗ってあげようか」
いたずらっぽく言うと、みぬきは赤面した。
「やだ、牙琉さんのえっち」
「なんだい、もっとえっちなことしようとしてるくせに」
みぬきは両手で頬をおさえ、響也が教えたバスルームに飛び込む。
なにをどこまで知っているのか、みぬきはあっという間に体にバスタオルを巻きつけて出てくる。
「たしなみは、これでいいですか?」
「ああ、オーケイだ。じゃあ、そこで待っておいで」
指さしたベッドの上に、ぴょんと飛び乗る。
スプリングを確かめるように跳ねたり、手触りのいいシルクのシーツに頬ずりしていると、響也がバスローブ姿でやってきた。
「あ、牙琉さんもたしなみオーケイですね?」
その言い方に、響也が苦笑した。
「さあ、どうすると思う?」
みぬきの座り込んでいるベッドの端に腰掛けて、その小さな顎に指をかけた。
「どうするんですか?」
「たしなみとしては・・・、まず、キスだよ」
みぬきの唇がふさがれた。
暖かいものが押し付けられ、なにかが唇を割る。
その何かが押し込んでくる。
「んふ・・・っ」
息苦しさにみぬきが大きく口を開けた。
「はあっ、息ができないかと思いました」
響也が笑う。
「息ができるようになると、オトナかな」
「うー、みぬき、まだ子供なのかも」
「じゃあ、そこに寝て」
みぬきがベッドに仰向けになると、響也はバスタオルをはずした。
小さな乳房と、ささやかな茂み。
「うん、いいね」
脚の間に、手を差し込む。
「ここを、オトナにしてあげるよ」
「・・・どうするんですか」
本当に知らないのか、知らないふりをしているのか。
すぐに、わかるさ。
響也はバスローブを脱いでみぬきの上にまたがった。
「でもまだ、ぼくは準備が出来ていない。手伝ってもらわないと」
「みぬきが?」
「そう。口を開けて」
みぬきが恐る恐る口の中に、響也を含んだ。
「ん・・・、んむ・・・」
「歯を立てないで。舐めてごらん」
「・・・ん」
やはり、なにも知らないわけではなさそうだ。
「う、ぐ、む・・・、がりゅうひゃんの、これ・・・、む、お、おっきくなってきました」
「そう、いいよ。大きくなったら、ここに入れるからね」
「そんなとこ・・・」
響也はみぬきの口から己を抜くと、華奢な体を裏返した。
「そんなとこに、だよ。でもその前に、キミも準備をしなきゃ。初めてだと、特に念入りにね」


「準備?」
うつぶせたまま、みぬきが聞く。
響也はそれに応えず、ベッドサイドの引き出しから何かを取り出した。
低いモーター音がして、みぬきはきゃっと体をそらした。
「な、なんですか?」
「だいじょうぶ、そのままで」
小さなローターが、弱い振動でみぬきの背骨をなぞった。
ゆっくり上下し、肩と耳の後ろをなぞり、脇の下へ移動する。
「く、くすぐったいです」
「ガマンして。準備だから」
ローターが下がり、みぬきのお尻の間に挟みこまれる。
「う、うう。くすぐったい・・・」
響也は腰から手を回しいれて、みぬきの小さな胸を下から両手で包み込んだ。
「ここも、くすぐったい?」
胸を触られて、みぬきは頬を染める。
「な、なんだか変な感じ」
「うん、それはいいね」
ゆっくり胸をもまれ、下半身にはゆるい振動が続いている。
みぬきは次第に息を乱した。
「あ、やっぱり変です、牙琉さん」
響也はみぬきの体をもう一度ひっくりかえし、仰向けにしてローターを抜き取ると、今度は前から押し当てる。
「きゃっ」
脚を閉じたまま、割れ目を上下するとみぬきが声を上げた。
「さあ、自分で胸を触ってごらん」
「・・・こうですか」
みぬきの両手が、自分の乳房を覆った。
「そのまま、下から上に。そう、動かして。どうだい?」
「あ・・・ううん・・・」
「くすぐったい?」
「くすぐ・・・ったく、ないです」
「じゃあ、乳首をつまんでみて。そう、すり合わせるみたいに。もっと」
「あ・・・、なんですか、これ・・・」
はあ、と息をついて、みぬきは自分の両手で乳首をこする。
小さな突起は硬く尖ってくる。
ローターの振動を、強くする。
脚を開かせて、表面をそっと上下していたもので中をくすぐる。
濡れ始めていたそこは、ぬるっとローターを受け入れた。
「あ、きゃっ・・・」
「どう?どんな気持ち?」
「あ・・・なんだか、すごい・・・ぞくぞくってします。なにか、こう・・・変」
「変じゃない。それをね、感じてるっていうんだ」
「感じ・・・」
「ここ、自分で触ってごらん」
手をつかんで下へ下げ、ローターで弄った場所へ導く。
「や・・・こんなの、どうして」
「熱くて濡れてるだろ?キミが感じてるってことなんだよ」
「・・・・感じてる?」
「そう。もっと触って。どこが感じる?いいところを探してごらん」
みぬきはぎゅっと目を閉じ、懸命に自分で指を動かした。


「はあっ、あっ」
みぬきの手首を握って引き離すと、響也はそこにローターを押し当てた。
「ああんっ」
小さな腰がぴょんと跳ねる。
少しずつ動かしながら、時々強く押し付ける。
顔を真っ赤にしたみぬきの、はあはあと荒い息遣いが聞こえる。
いくらか知識はあったのだろうが、想像を超えた実体験なのだろう。
響也の片手が未成熟な細い足をなで上げ、くびれの少ないウエストからみぬきが自分で触っていた胸へと上がる。
手の中に収まってまだ余るほどの小さな盛り上がりを揺らす。
つんと上を向いた乳首をはじく。
「自分で触るのと、ぼくが触るのとどっちがいい?」
みぬきの手が何か掴むものを探すように宙で泳いだ。
「あ、はっ、が、牙琉さん、に、あっ」
響也はみぬきの中にローターを半分ほど押し込んだ。
「はああっ!」
そのままみぬきの上半身を起こし、後ろから抱きかかえる。
耳の後ろに口付け、舌を這わせながら両手でみぬきの乳房をはげしく揉みしだく。
強い愛撫に、みぬきは響也の腕の中で体をよじった。
「あ、変、変です、やっぱり、みぬき変っ」
両膝をつけて、挟み込まれたローターを落とさないように、響也の胸に背中を押し付ける。
触れられる体中からしびれるような感覚に襲われて、自分でもどうしていいかわからないようだった。
響也は背中から回した手を下ろして、細かい振動に震える割れ目に差し入れた。
指で押し開き、まだ誰も触れたことのない芯を探った。
探し当てたそこはすでにぷっくりとふくれていた。
「きゃあっ」
暴れそうになるみぬきを強く抱きすくめる。
「おとなしくして。すごく良くなるよ」
周囲からぐるりと回すように指を動かすと、みぬきが強く脚を閉じようとした。
体をずらしてそのまま仰向けに寝かせ、上から組み伏せる。
脚を大きく開かせると、ローターが落ちた。
機械的な振動と指で十分に刺激された秘所は、てらてらと光っている。
未開拓のそこは濁りのない桃色で、響也は我知らずこくりと喉を鳴らした。
指先を差し入れると、それでもきつい。
響也はそこに顔をうずめると、立ち上がった熱い芯にそっと舌を当てた。
「は、ああああん」
指を、押し開くようにして奥に進める。
少しずつ動かしながら、舌で芯を押しつぶす。
みぬきの腰が痙攣するようにビクビクと打ち震えた。
響也は顔を離すと、みぬきの手に先ほど口に押し込んだ自分を握らせた。
「こ、これ・・・」
「これが、入るんだよ」
「なんか、さっきより大きくないですか?みぬき、壊れちゃう・・・」
「壊れないように、そっとしてあげる。心配しなくても、入るように出来てるんだからね」
響也が言い、みぬきが顔を高潮させたまま恥ずかしそうに笑った。
「はい。みぬきを、オトナにしてください」
かわいいことを、言う。
響也がコンドームを装着するのを珍しそうに眺めているのを、簡単に転がして脚を開せる。
響也は先端をみぬきの膣口に当てた。
くちゅくちゅとかき混ぜる。
みぬきが緊張で体を硬くした。
「だいじょうぶだから、力を抜いて」
「は、はい」
狙いを定めて、少しだけ押し込む。
「あ・・・」
そのきつさに、響也は片手を添えた。
ぐい、と進む。
「い、いた・・・・」
一息ついて、響也はみぬきの髪を撫でた。


「無理しなくていいよ。やめようか」
「や、やめないでください。ちゃんと、最後まで・・・」
「わかった」
ゆっくり、ゆっくり進む。
「うう・・・」
ぎゅっと目を閉じて、みぬきが耐える。
「入ったよ」
「・・・え」
「全部入った」
「牙琉さんの、全部・・・?」
「そうだよ。どんな気分?」
みぬきは目尻に涙をにじませたまま、両手を伸ばして響也の首にからめた。
「いっぱい、って感じがします。あったかい」
「動いても、いい?」
「え・・・、どうして」
響也がわずかに息を詰まらせる。
きつきつに締め上げてくるみぬきが、響也を高まらせるのだ。
「最後まで、いくから」
半分引き抜いて、突き上げる。
みぬきが唇を噛む。
もう一度繰り返す。
今度は、抜け落ちそうなほど引いて、一気に突き入れた。
「いいい、痛いっ」
奥まで挿入した状態で、動きを止める。
「やっぱり、やめる?」
「い、いやです。続けてください」
今度はもっとゆっくり動いた。
時間をかけて抜き差しすると、中からあふれてきた。
動きがなめらかになり、響也は速度を上げた。
「は、あっ、が、牙琉さん」
「痛いかい・・・?」
「い、痛いです。少し痛いけど、でも、やめないで」
「無理しなくていいんだよ。初めてはみんな痛いんだ」
「いいんです、やめないで。痛いけど・・・でも、ちょっとまた変なんです」
みぬきの脚が響也にからみつく。
腰が打ち付けられるたびに、みぬきは息を乱した。
「あっ、変、変です、みぬき、変になっちゃうっ」
「感じる、だよ。感じてるんだ。言ってごらん」
「か、感じます。みぬき、感じる」
みぬきの両脚を抱えるようにして、響也は場所を探るように中をかきまわした。
「ああんっ、今の、今のとこ、感じるっ」
「気持ちいい?感じると気持ちいいよね」
「はい、すごく気持ちいいっ・・・、あんっ」
「ずっと気持ちいいとね、イクんだよ」
「え・・・」
再び響也がみぬきを突き上げる。
みぬきが言葉にならない声を上げた。
響也が呼吸を荒くして動きを速めていく。
「ぼくも、気持ち、いいよ・・・。イキそうだ」
「み、みぬきも、みぬきもすごいっ・・・これって、これってイクんですか・・・」
「いいよ、先にイクんだ。ほら・・・っ」
「あ、あ、あ!あああんっ!!」
みぬきが体をのけぞらせて、シーツをつかんだ。
絞り上げられるような収縮に、響也も薄いゴムの中に熱を放出した。


コンドームの後始末まで終えて、みぬきはいわれるままに響也をふき取り、響也にふき取られてくすぐったさに笑った。
「今はくすぐったいです。さっきはくすぐったくなかったのに」
脚を閉じて、みぬきが首をかしげる。
「それでいいんだよ。おめでとう、キミはオトナになったんだ」
ぱっと頬を染めて、みぬきがブランケットをかぶった。
「はい。ありがとうございます」
困ったな。
ほんとうに、かわいい。
みぬきの顔に手を伸ばして、唇を寄せた。
みぬきが、クスクスと笑った。
「牙琉さん」
「なんだい」
「みぬき、まだ15なんですけど。・・・これって、ハンザイですか?」
「!」
響也の体が硬直した。
「なん、だって?」
「パパに言ったら、怒るだろうなぁ。牙琉さん、殺されちゃうかも」
声も出ないほど驚いている響也に、みぬきはぎゅっと抱きついた。
「もし、牙琉さんが他の女の人にこんなことしたら、みぬき、言っちゃうかも」
思わず抱きしめ返しながら、響也はみぬきの耳元で言った。
「この、小悪魔!」
違和感の正体を、見た気がした。

 

 

みぬきがカフェオレを飲みながら宿題を片付けて、ステージのために飛び出していくと、マスターは残された臨時家庭教師の前に新しいコーヒーを置いた。
「訴えられないようにするんだぜ。検事にとっては、かなり恥ずかしい罪状だからな」
カウンターに片手を置いて、牙琉響也は冷や汗をかいた。
なぜだ。
なぜこのマスターにはわかるんだ。
「クッ。この店にいるだけで、見えてくるものもあるんだぜ、ロック坊や」
背後に殴りつける壁のないのが、もどかしかった。

 

#5へ続く

最終更新:2020年06月09日 17:47