「はみちゃんの覗き」

今日の裁判もギリギリでしたけれど、なんとか無事に
無罪を勝ち取ることができました。さすがなるほどくん!
嬉しそうな真宵さま、なるほどくんとのラブラブをお邪魔してはいけないと
私、二人っきりにしなくてはと思い、
「お買物があるから、お先に帰っていてくださいね。」
時間差攻撃で事務所に向かうことにしたんです。

でも、でも…私が事務所に着いたとき、
お二人があんなことをなさっていたなんて…
あーっ愛って素敵ですね!


「なるほどくん…ダメだよ。はみちゃんが帰って来ちゃうよ。」
「ちょっとだけだから」
なるほどくんは、真宵さまに軽く口付けた後、首筋に顔をうずめ
真宵さまの装束の隙間から手を差し込むところでした。
きゃーーっなるほどくんっ真宵さまに何をっ



「なるほどくんっ、やだぁ……誰かに……っ、見つかっちゃうよ……!」
「そう言うんなら、あんまり声出さない方がいいと思うけどね」
そう言ってなるほどくんは、真宵さまの装束の帯を解きにかかったのです。
どうしましょう。これはまさしく、男女の愛の営み。やはりなるほどくんと真宵さまはそのようなご関係で、お互いに愛しあっておいでで、すなわち……ああっ、なんということでしょう!
頭の中で、ぐるぐると色々なことが駆け巡ります。なんだか暑いです。本当はじっとなんかしていられないのですが、もしここでお二人の邪魔をしてしまったら……と考えると、息を殺して見守ることしかできません。
こちらから見ると、なるほどくんが真宵さまに覆いかぶさっているので、何がなんだかよくわからないのです。私も、“男女の愛の営み”というのが何をするものなのか、実はよくわかっていないのです。
けれどワケのわからない気恥ずかしさで、私は顔を背け目をつぶりました。その分、よく聞こえるようになったお二人の声と、物音。

825 :名無しさん@ピンキー[sage] :2008/10/28(火) 07:19:44 ID:Hlgh5Ios
「んっ、あぅ……っ! そ、こ、舐めちゃイヤ……」
「なんで?」
「だって、恥ずかしいよ……誰か、来るかも……」
「大丈夫じゃない? いつもは人なんか来ないだろ?」
「でもっ、はみちゃんが……」
「ついさっき、買い物行ったじゃないか」
「んっ、でもぉ……や、だめっ」
「ちょっとだけ。ね?」
囁くようななるほどくんの声のあと、続くと思っていた真宵さまの声はなく、代わりに布と肌が擦れる音が……
何故でしょうか。胸がどきどきしていて、恥ずかしくてどうしようもないのに、見たくなってしまう……
私、はしたない子ですね。真宵さま、申し訳ありません!
心の中で謝りつつ、再びお二人を見ると……
既に床には、装束の帯が落とされていました。そして、装束をはだけさせた真宵さまの、白くてすらりと長い足が、なるほどくんの身体をはさみこむようにして投げ出されていました。
お風呂にご一緒させて頂いたときに見たように、真宵さまの肌は、本当に白くて美しくて、素敵で……
そんな真宵さまの肌に、口づけを落としていくなるほどくん。その姿は、いつもとは違い、“大人の男性”の色香を漂わせているように見えます。
なるほどくんが肌に口づける度、真宵さまはびくっ、と身を竦めて……
「ね、ねぇ、なるほどくん……もう、やめよ?」
「……どうして?」
「もう、そろそろ……はみちゃん、帰って、くると……思う……」
「だから?」
「だ、だからっ……見られちゃ、やなの!」
「見られて恥ずかしいの、真宵ちゃんだもんね」
「他人事みたいに言わないでよっ、なるほどくんのばかぁ……」
「ごめんごめん。じゃあ、もうそろそろ終わりにしよっか」
「うん」
「でも、その前に」
「……んっ、ひゃあっ!? やだ、どこに手を……っ」
「さっさとしちゃおっか」
「……なるほどくんの、ばかっ」
ぱさっ、と布が落ちる音。倉院の里の装束が床に落とされ、真宵さまは、いま……うう。私には言えません。
「……ピンクのヒメサマン、かぁ」
「だめなの?」
「いや、そういうワケじゃ……でも、真宵ちゃんももう19才なんだから」
「いーじゃない! ヒメサマン好きなんだから」
「はいはい……」
「もうっ、なるほどくんはヒメサマンをバカにして……ひぁっ、や、あん……」
ここからだと、お二人が何をしているのか、なるほどくんの身体に隠れてわかりません。
でも、真宵さまの声を聞く度に……本当に本当にはしたないことですが、恥ずかしくて、どきどきして、でも見たくなってしまう、そんな不思議な感覚になるのです。
もし、ここで覗き見していることがバレたら……私、真宵さまにもなるほどくんにも、嫌われてしまうかもしれませんね。
「んっ、ああっ! い、うん……っ、な、なるほどくんっ、なるほどくん!」
「大丈夫?」
「な、なんか、怖い……お願いっ、一緒に……!」
「うん、一緒にいるから、大丈夫だよ」
「……なる、ほどく……ん……」
「うん」
「好き。大好き……ずっと、好き……だから……っ!」
「うん」
ぎゅっ、と真宵さまがなるほどくんに抱きつき、それに応えるように、なるほどくんも真宵さまに、熱い抱擁を……
「ぼくも、好きだよ。真宵ちゃん」
「あっ、あぁ、うっ、ん……く、あぁぁぁんっ!」
……まだ、胸がドキドキしています。
どうしましょう。どうすればいいのでしょうか。私、私は……うう。
真宵さまも、息を荒げてぐったりなさっています。ここは、少し時間を空けて戻ってきた方がいいかもしれません。


「ただいま戻りました!」
買い物を終えて事務所に戻った私を、真宵さまとなるほどくんが笑顔で出迎えてくださいました。
「おかえりー、はみちゃん!」
「春美ちゃん、おかえり。随分遅かったね」
「え! あ、はい。ちょっと、お散歩してきたものですから……あ、そうです! 今、冷たいお飲み物をお作りしますね」
「いいよー、はみちゃん。まだ帰ってきたばっかりなのに」
台所に向かいかけた私を止めてくださった真宵さまが、ふと気付いたように首を傾げました。
「あれ。なんで“冷たい飲み物”なの? 今、涼しいのに」
「真宵さま、汗をたくさんおかきになったでしょうから!」
「!!!!」

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「どうやら、春美ちゃんに……その。見られた……みたいだね」
なるほどくんが、はああっ、と深いため息をつく。それと一緒にあたしの顔が、かああっと熱くなるのがわかる。なるほどくんが、あたしの身体に……その。“色々”したことを、よりによってはみちゃんに見られてしまった。
はみちゃんは、

「い、いいえ! おおおおお二人のお邪魔など、私はしておりませんとも! はい、していませんっ」

なんて、否定してたけど。真っ赤になって目線を逸らしながら言っても、信じられるわけがない。
で。夕方。『見て』しまったからか、気遣いのつもりらしく、はみちゃんはひとりで里に帰ってしまった。一緒に帰ろう、って言っても、

「い、いいえ! おおおおお二人のお邪魔など、私にはできませんとも! はい、できませんっ」

と、真っ赤な顔で視線を逸らしながら言われて、止めるに止められなかった。
で、さっきかかってきた電話によると、はみちゃんは無事に里に着いたようだった。
「春美ちゃん、里に着いた?」
「うん……みたい。よかったぁ……」
そしてここで、なるほどくんが冒頭の台詞をぼそりと呟いたわけなんだけど……
「なんかヘンに気を使わせちゃったみたいで、悪いことしちゃったなぁ」
「それだけじゃないよ。はみちゃんのジョーソーキョーイク上も、よくないと思うんだけど」
「そうだよなぁ……」また、なるほどくんの深いため息。
「もうっ。あれほど『ダメ』って言ったのに」
「面目ない」
「……あのね。別にね、なるほどくんと……その……する、のはね。ヤじゃないの。だから今度……今度は、せめて、はみちゃんとか他に人のいない時に……」
「たとえば、今?」
言われて、はたと気付いた。
夜、というか深夜に近い。当然こんな時間に、この事務所に尋ねてくる人なんか普通、いない。はみちゃんは今、里にいる。
そこまで頭が回ったときには、腕をぐいっと引っ張られ、事務用の椅子に座るなるほどくんの上に乗っかかっていた。
「もう1回、する?」
「えっ、だってお昼間、したじゃない!」
「あれは真宵ちゃんだけだろ。ぼくは何も」
「で、でも……」
「あれ、『嫌じゃない』んじゃないの?」
にやっ、と口を歪ませるなるほどくん。そんな顔を見て、あたしは……答えに困ってしまった。
「……なるほどくんの、えっち」
「知ってるよ。」
「もうっ。毎日こんなことしてたら、きっとぎっくり腰とかになっちゃうよ」
「うるさいな」
「なるほどくん、もう27才だもんね。“てぃーん”のあたしと違って。もう若くないんだから、無理しない方がいいと思うな」
「……真宵ちゃん、さっきから声震えてるよ?」
だって、あたしが何を言っても意に介さず、なるほどくんはさっさとあたしの装束の帯を解いて、はだけさせてるんだもん……その時々に触れる、男の人特有の大きくて骨張った手が、じっとあたしを見る、いつもと違う大人の顔が……あたしに何かを意識させる。
「やっぱり真宵ちゃん、肌が真っ白だなぁ」
「そ……そう、かな」
「うん。キレイだよ」
きっと、なるほどくんはわかって言ってるんだ。きっとそう。だから、笑ってる。微かに。そうとわかっていても、こんなことを言われると、嬉しいけど恥ずかしくて……言葉が、出てこない。
そうこうしてる内に、装束が床に落とされた。ブラジャーなんて着けていないあたしは、パンツ一丁という、情けなくも恥ずかしい恰好になってしまった。他に身につけているのは、下駄くらいだ。
「なるほどくん。寒いし、恥ずかしい」
「う。ごめん」
口では謝りながらも、片方の腕はあたしの腰に回されがっしらと身体を固定し、もう一方の手はつつ、とあたしの背筋を撫でる。
「ひゃ……っ」くすぐったさに身を反らすと、きゅうっと音を立て、なるほどくんが首筋に吸い付いてきた。
「う……」
「ほら、痕ついちゃった」
ここからじゃ、見れないのに。どうしてだか恥ずかしい。
キスの雨が、ちょっとずつ下に落ちていく。そしてあたしの、自分でも小さいなってわかってるくらいの胸の膨らみの頂点が、つんと舌でつつかれた。
「もう固くなってる」
にやりと笑うなるほどくん。もう、全部なるほどくんの思い通りっていうか、されるがまま……だ。
「だ、だって……恥ずかしいよ……」
「……そっか」
聞いているのかいないのか。床にあったあたしの装束を広いあげ、それを適当に事務机の上に広げて……あたしは机の上に、俯せに寝かされた。
じゅるっ、と音を立てて、なるほどくんが首に吸い付いてきた。そのまま舌が首筋、背筋に這う。身体を、ぞくっと何かが走る。
「あっ、ん……!」
身体が少し浮いた。そこをすかさず腕が割り込んできて、両方の乳首を摘み、捏ねくり、弾き、引っ張る。
「どう? 真宵ちゃん」
耳元で、息がかかるほどの近さで、囁かないで……しかも、なんだかいつもより低い声で、心がくすぐったい。
「な、なに……が?」
「気持ちいい?」
「い、えないよ……恥ずかしい、もん……」
「じゃあ、真宵ちゃんの身体に尋問でもしてあげようか?」
からかうような響きに、恥ずかしさが更に増して、何だかワケのわからない、嬉しいような、寒気みたいな……ぞくっ、て感覚が身体を襲う。
「やだ……なに? なにするの?」
それには答えないまま、なるほどくんは片方の腕をあたしのふとももに這わせた。それは肌を撫でながら、少しずつ上にあがってくる。そして指が、ふとももの間、あたしの下着に……
「あ……う、んっ、はぁっ、ああ、あぁん!」
ぐりぐり、と下着の上から、あたしの敏感なトコロに押し付ける指。勝手に口から漏れる声。裸のまま後ろから、なるほどくんにこんなえっちなことされてる。考えるだけで、意識するだけで、ますますあの「ぞくっ」って感覚が蘇ってくる。
「そろそろ、いい?」
「う……ん……」
もう、言葉にならないよ……今なら、なんだか、なんでも言ってしまいそう。
下着が、するすると膝下まで下げられる。今まで下着越しだった指が、あたしの中に入ってくる。
「あぅ……んっ」
「すごく濡れてる」
「やだぁ……言わないで……」
なるほどくんが指を動かす度に、身体がぞくぞくする。頭の中で、何も考えられなくなっていく。
「気持ちいい?」
「えっ……あっ、ああ、やっ、うぅんっ」
「答えられたら、終わりにしてあげる」
「あっ……き、気持ち、いいっ、の……! なるほどくんっ、お願い……!」
なんだか泣いてるみたいな声で懇願して。そしたらなるほどくんが笑った、気がした。
「真宵ちゃん、大好きだよ」
「うんっ……あ、たしも……! なるほどくぅん!」
チャックが下りる音。布が擦れる音。その後に続く、何度か味わっても慣れない、身体を貫く衝撃と気持ち良さ。
「ああぁぁっ!」
近くにあった紙を握りしめる。痛い、痛いのに気持ちいい。なるほどくんと一緒だから。一緒に、ずっといられるから。
「なるほどくん、一緒……一緒、に……!」
「うん……っ、真宵、ちゃん……出すよ……!」
「あっ、あぁあ、あああ……!」
なるほどくんが、ぎゅっとあたしを後ろから。抱きしめてくれたのが最後の記憶だった。



次の日――起きると事務所の応接室、そのソファーの上。どうやらあのまま、寝てしまっていたみたいだ。
なるほどくんはどこだろう、と探してみると、事務机に座って神妙な顔をしていた。
「どうしたの、なるほどくん。眉間にヒビ入って、まるでみつるぎ検事みたい」
「……それがね、今、ヤツから電話があって」
「“ヤツ”?」
「矢張だよ」
なるほどくんが言うには、話はこういうことだった。
昨晩、やることもないヤッパリさんはみつるぎ検事を誘い、飲みに行こうとした。で、当然幼なじみのなるほどくんも誘おう……という話になったらしい。
「そこで、ぼくらが……その」
言いづらそうに口ごもるなるほどくんを見て、あたしは血の気が引いた。
「ま。ま。ま。まさか……」
「うん……してた、らしいんだ」
扉には鍵がかかっていなかった。そして聞こえる、あたしの喘ぐ声……そこでヤッパリさんは扉を薄く開き、中を覗いた……
「御剣は、最初の内は止めたらしいんだけど。途中から一緒になって見てたらしい」
「………………」
「で、今から2人が来るんだけど……」
「……………………」
もう何も喋る気力はなかった。はみちゃんの次に、また見られちゃうなんて。しかも、あんな、恥ずかしい……トコロを。
「なるほどくんのせいで……見られちゃったよ」
「うう……面目ない」
「今度から、事務所でするの禁止!」
「はいっ」
「……なるほどくんのおウチ、行ってもいい?」
なるほどくんの顔が、ぱぁっと明るくなった。
「ちらかってるけど、ね」
そこに、ピンポーンと軽やかなチャイムが鳴った。
「矢張と御剣だ」
あたしは、あの2人に何を言ってやろうか、考えることにした。

最終更新:2020年06月09日 17:28