・若ミツ×ロリ冥
・短い
夜、
自室で法律書を読んでいた冥は、ほんの数秒だが、確かに揺れを感じた。
おそらく震度3、マグニチュードは4程度。
物が倒れたり落ちてきたりすることはなく、この程度なら例え余震があっても危険ではないだろう。
一瞬でそう判断すると、冥は隣室の弟弟子の元に走った。
「レイジ!」
同じく机で読書でもしていたのだろう。
床には本が放り出され、椅子はひっくり返っていた。
もちろん揺れのせいではなく、この部屋の主人がパニックでおこしたものだった。
しかし、当の本人の姿は見えない。
「レイジ?」
優しい声で呼ぶと、机の下からガタリと音がした。
どうやら意識はあるらしい。
身体を屈めて覗き込むと、大きな身体を丸めて、小さくなって震える御剣を見つけた。
端正な顔は、涙でぐしゃぐしゃに濡れていた。
「あ、あ、」
御剣は、冥を認めると無我夢中でしがみついた。
腰にまとわりつく御剣を、冥は抱きしめ返し、優しく頭を撫でる。
地震の際、必ず冥が御剣にしてあげることだった。
―――レイジの秘密を知るのは私だけ。
冥は、そう自負していた。
地震が起こると、御剣は冷静な己を失い、平常からは想像がつかない程、幼稚になり、酷い時は意識まで手放す。
何でも完璧な父は、もしかしたら知っているのかもしれないが。
20歳と13歳。
7歳年上の御剣より優位になれる唯一の瞬間。
そして、それは普段生意気な冥が素直に本来の優しさを示せる瞬間でもあった。
声を殺して泣く御剣の呼吸が落ち着いてきた頃。
冥は抱きしめていた腕を緩め、御剣の顔を両手で包んで持ち上げると、涙をパジャマの袖でそっと拭ってやる。
御剣のまぶたに軽く口づけを落とすと、冥は一段と優しい甘い声で囁く。
「さあ、もう休みましょう?私も一緒に行くから。」
放心の御剣は、ふらつきながらゆっくり立ち上がると、幼子のように冥に付き添われてベッドに向かう。
布団に入ると、御剣は冥を見つめ、何かを求めるように唇を小さくパクパク動かしたり、すぼめたりした。
幼稚になったときの御剣の癖。
幼くして両親を失った御剣の、愛情を求める行動の表れと知っている冥は、フフッと女神のような微笑みをたたえると、「ちょっと待ちなさいね」と言いながら、自らのパジャマをほどき、シルクの素肌を露にする。
すっかり胸元をはだけてしまうと、冥は年齢の割に豊かな白い胸を御剣の口元に寄せる。
唇に桃色の突起が触れると、御剣は躊躇いなくそれを口に含んだ。
チュパチュパとまるで赤ん坊のように吸い付く御剣の頭を胸に抱えながら、冥は頬を紅く染め、何ともいえない刺激に耐える。
―――ずっと私が一緒にいてあげるから。
そうして、いつもはおくびにもださない御剣への愛を注ぎ込んでゆくのだった。
end