御剣×冥④

もう、何年こんな孤独な生活を続けているだろう…
御剣は、冷静な表の顔とは裏腹に、御剣は父親が亡くなってからずっと、孤独と不安を抱え続けていた。
そんな彼が温もりを感じた人間が、かつて一人だけいた。
彼の師匠・狩魔豪の娘である狩魔冥。
彼も孤独だったが、彼女もまた孤独だった。
幼い頃から検事になるための英才教育を受けてきた彼女の周りには年上の人間しかいない。
冷ややかな目で見られることもしばしばで、同年代の友人は勿論いない。
厳格な父親は、彼女を弟子として扱っていたので、親の愛情というものは感じられなかった。
そういう共通点があり、御剣と冥はいつしか仲が良くなっていった。
彼女が日本でかつての友人・成歩堂龍一に敗訴した後、旅立って1年になる。
が、連絡の1つもない。

メイと一緒にいられたら…
そんな想いが御剣の頭に浮かぶが、現実的ではない、とかき消す。
その時、インターフォンが鳴った。
誰だろう、こんな時間に…
不振に思いながらもドアを開けるた瞬間、御剣の驚きのあまり固まってしまった。
「メイ…」
彼女は大きなスーツケースを手にしていた。今日本に着いたところのようだ。
「ただいま。」
「あ、ああ、おかえり…」
一年間音沙汰なしで、いきなり現れたと思えば、ただいまはないだろう…
そう思ったが口には出さず、部屋の中へ冥を招き入れた。

御剣はメイの前にコーヒーを置くと自分はメイの隣に腰を降ろした。
「日本で働くのか?」
「ええ。来週から正式に。まあ、来週といってももう明後日だけれども。」
「そうか…ところで、その荷物…今帰ってきたのか?」
「ええ。ついさっきよ。」
御剣は冥が日本に留まるということと、一番初めに自分を訪問してくれたということに対して、嬉しさを覚えた。
「ところで、今日はどこへ泊まるのだ?」
「さあ、まだ決めてないわ。その辺のビジネスホテルかどこかへ…」
「じゃあ、ここに泊まればいいではないか。部屋が決まるまで、何日でもいればいい。」
言いかけた冥を御剣が遮った。孤独を紛らわしたい、少しでも長く冥の近くにいたいと御剣は思っていた。下心はなかった。
「な、何を言っているの?あなたは。そんなの…」
驚く冥に御剣はあわてて弁解した。
「イ、イヤイヤ、何もする気はない。誓ってもいい。」
御剣の言葉に冥が不機嫌になった。
「そんなにあからさまに否定されるほど、私はオコサマではないわ。」
「なんだ、してほしいのか?」
「そんなんじゃないわよ!もう、帰る!」
御剣は怒って立ち上がろうとする冥の腕を掴んだ。
「どこへ帰るのだ?帰るところなんてないのだろう?」
図星を突かれた冥はしかたなくもう一度ソファーに腰を降ろした。
「いい加減離してもらえないかしら?」
冥は、未だに自分の腕を掴んでいる御剣を鬱陶しそうに見る。
「断る。」
冥は驚いて御剣の顔に視線を向ける。いつもの彼なら、すぐに手を離すはずだが、今日の彼は違った。御剣はまっすぐに冥を見据えた。
「メイ、これから日本にいるのなら…ここにいないか?」
「私をお手伝いさんにでもする気?」
「どうしてキミはそうネジれた考え方をするのだ… 私はただ、キミに近くにいて欲しいのだ。」
突然の御剣の言葉に冥は戸惑っていた。
「一体、何故?」
「自分でもわからない。ただ…メイがいれば落ち着くのだ。キミを大切に思っている。」
冥はただ黙っている。沈黙に耐えられなくなった御剣は冥の頬に両手を添え、そっと口づけをした。驚いた冥は御剣から顔を離す。
「なっ、何もしないって言ったじゃない!ウソついたの!?」
「ゴメン。メイ、私のことが嫌いか?」
御剣はすまなそうに冥の顔を覗き込む。
「そ、そんな言い方、卑怯だわ。嫌いだったらわざわざこんなところに来るわけないじゃない。」
「じゃあ、キミは私のことをどう思っているのだ?」
冥は御剣から顔を背けた。
「私の態度を見ていてわからないなんてやはりあなたは鈍感だわ。」
「鈍感で結構。私はハッキリ言ってもらわないとわからない。」
こんなに強気な御剣を見るのは初めてだった。
「わ、私も…あなたと一緒にいたいわ…」
照れくさそうに呟く冥を愛しく感じながら、御剣はもう一度冥にキスをした。
御剣は唇を通して伝わってくる温もりをじっくり堪能した後、唇を冥の首筋へ落とす。
緊張のためか冥の硬直した体が小刻みに震えている。御剣は冥の首筋に強く吸い付いた。
「レイジ…痛い…」
冥の声に御剣は唇を首筋から離す。そして再び冥の唇に自分の唇を重ね、冥をゆっくりとソファーに横たえる。
そして冥の顔を見ながら髪をかき上げ、頬を撫でた。
「…キミは本当に綺麗になったな。今のキミを子供扱いなんてできるわけがないだろう。」
「レイジ…」
恥ずかしそうな表情で視線を向ける冥に満足しながら耳元で囁く。
「ジャマだな…」
そうつぶやいて冥の胸元のリボンをほどく。その下から現れた冥の鎖骨へ唇を這わせた。
御剣の右手が冥の膨らみを揉みしだく。
「んっ…」
冥が身体を捩じらせ声を漏らした。その声に刺激された御剣は冥の服の胸ボタンを外し、下着の下へ潜り込ませた。
冥の既に硬くなっている乳首を御剣の指が優しく撫で回す。
同時に空いている左手を太ももに這わせた。
「うっ…」
冥は反射的に両足を閉じた。御剣の手はそのわけ目にこじ入りゆっくりと動く。
御剣は冥の耳朶を甘噛みすると耳元で囁きかけた。
「力抜いてくれないか。」
冥が足の力を緩めるとその手はショーツ越しに中心部をなぞった。
「すごいな…」
思わず御剣は言葉を漏らした。
「!!」
冥は恥ずかしさに身体をのけぞらせる。
「き、気にすることではない。私にとっては光栄なことだ。」
御剣はあわてて訳の分からないフォローをいれた。
「私が変なの?」
「いや…私だってもう限界だ…」
そう言うが早いか御剣の手は冥のショーツの中に滑り込んだ。
御剣の中指が冥の中にうずもれてゆく。十分に湿っているのですんなり入れることができた。
ゆっくり動く御剣の指の感触に冥は身を捩じらせる。
「あっ…」
指が冥の中を掻き乱す。初めての感触に冥は心酔し始めていた。

御剣はもう一度冥に自分の唇を重ねた。舌を絡めながら剛直を冥の中に埋めた。
「ん…」
痛みが走ったが口を塞がれているので声もあげられなかった。
自身が全て冥に包まれたところで御剣は顔を上げた。
ゆっくりと腰を動かすと冥の顔が痛みに引きつった。
「痛いか?」
「大丈夫…だと思うわ…」
必死に痛みを堪えながら自分に心も身体も開放する冥に愛しさを感じ抱きしめた。
「レイジ…」
御剣の抱擁に答えるように冥は背中に手を回した。

徐々に早くなる腰の動きにも慣れ、いつしか冥に苦痛以外の表情が浮かぶ。
その表情を見て御剣は少し安心して腰の動きを早める。そろそろ彼に限界が迫ってきていた。
冥の締め付けが一段ときつくなったとき、御剣は腰を一番深いところまで突き入れた。
その瞬間、冥は熱いものが体内に広がるのを感じた。
少しの間、2人はそのまま放心していたが、御剣は冥の頬を優しく撫で、囁いた。
「こんなことになってしまって後悔してないか?」
「私を誰だと思っているの?完璧をよしとする私が後悔するような人と、こんなことするわけないでしょう。」
いつもの口調に戻っている冥を御剣は可愛いと思いながら続けた。
「キミさえよければ、いつまでもここにいてくれてかまわないが…」
「あなたがどうしてもと言うなら、考えてみてもいいわ。」
悪戯っぽい言葉を返す冥に御剣はもう一度唇を重ねた。


最終更新:2006年12月13日 08:29