ユガココ前提のひとりあそびネタ。



心音を食事に連れて行った帰り道。夜も遅いので夕神は当然のようにマンションの玄関前まで送っていった。
「夕神さん、今日はありがとうございました!」
 にこにこと笑う心音はかわいらしく、夕神も満足して笑った。次の瞬間、心音の大きな瞳に力が篭もる。
「あの……あの! せっかくですから、部屋に上がってお茶などどうでしょう?!」
 おそらく隣近所に聞こえているだろう大声。夕神は苦笑した。キャラメル色の頭を撫でる。
「若ェムスメの部屋に上がり込むつもりはねェよ」
「で……でも……」
 頬を赤らめた心音は、口の中でもごもごと言葉を探す。大体、言われることは予測できた。
「……わたし、夕神さんのカノジョなので……上がってもらっても大丈夫だと思うんですが……」
 ──そうなのだ。
 心音が言うように、いつ彼女の部屋に入っても、後ろ指さされるような関係ではない。彼女は社会人で、自分はもと囚人とはいえ、現役検事。恋愛関係になってもなんの問題もない。
 だが、夕神はまた苦く笑った。かかとを引いて、かわいい彼女に背を向ける。
「……師匠のムスメを、嫁入り前にキズモノにするつもりはねェよ」
「…………部屋に入ったくらいでキズモノにはならないと思うんですが……」
 背中から聞こえる声に、ぎくりと身体が強張る。背後で笑った気配がした。
「……部屋に入ると『キズモノにするかもしれない』ってコトで、いいんでしょうかね」
「……勝手に妄想してろ」
「ハーイ! ……ねぇ夕神さん」
 呼ばれて、わずかに夕神は振り返った。
「なんでェ」
「おやすみなさい。夢のなかでも会えるといいですね」
 笑顔で手を振られて、そのまま少女は自室に引っ込んだ。
 一瞬垣間見た心音の愛らしさに、夕神は胸の痛みを感じてうずくまった。

 キスはする。小さく柔らかな唇に吸い付くと、抱きしめた肢体がぴくりと跳ねるのが愛らしい。口腔に舌を差し込むと艶めかしい軟体を絡めとり、それも啜る。
ぴちゃぴちゃと唾液の絡む音をたてながら舌先で敏感な箇所を探るのが楽しかった。
 その時の心音の表情を盗み見るのが好きだった。白い頬を真っ赤にして、伏せた長いまつげが震える。目尻から生理的な苦しさで涙が流れるのを見て、一層夕神の嗜虐心が掻き立てられるのだ。
 そこで口付けを終えるのは、いつも苦痛だ。本当なら、もっと長く彼女を味わって、すぐ傍にある肉感的な身体に手を伸ばしたい。
 それができないのは、先ほども本人に言った通りだ。大恩ある師の娘を、嫁入り前に傷物にするわけにはいかない。
 たとえ、いずれは自分が貰うのだとしても。
 それで夕神は、いつも頭の中だけで彼女を求めることにする。
 キスを終えたらシャツを強引に引き裂き、たわわに実った乳房を露わにしたうえで下着の上から両手で揉み込む。張りのある乳房は自分の手のひらを押し返してくるだろうから、力を入れてもみ込むのだ。
するとぐにぐにとその形が変わって、とうとう乳頭がブラジャーから飛び出してくる。レース地の下着からこぼれた乳首は刺激に勃ち上がっていて、濃いピンク色をしているだろう。
それを口に含むと、ひゃい、と小さな悲鳴が聞こえてくるのだ。顔を見ると、いつもは元気いっぱいの表情が羞恥に歪んで涙をこぼしている。
そのいやらしい表情にさらに興奮して、口でキツく乳首を吸い上げ、反対側の頂も指先でぐりぐりと刺激を与える。

 もうやだぁ……はやくしてください……。
 おそらく絶対に現実では望めないであろうしおらしい声で、脳内の心音がねだってきた。
夕神は頷いて、心音の足を一度撫で、股間の部分のストッキングを引き裂いて下着を強引に避ける。
どろりとした愛液がこぼれているのを確認して、夕神は自身の勃起したペニスを溶けた陰部に挿入した。
 あああん! ゆうがみさん、きもちいいよぉ!
 脳内の心音が素直に、かわいらしい嬌声を上げる。それに一層高ぶって、夕神は強く腰を振る。
そのたびに肉と肉がぶつかる音と、ぎゅうぎゅうと熱い肉に絡みつかれる感覚に意識が飛びそうになる。
 アッ、ゆうがみさん、イっちゃう! わたし、キモチヨくてイっちゃいますよお!
 ──あァ、俺も。
 目の前が真っ白になるような快楽が下腹部から脳髄に届く。全身でそれを享受し、荒い息を吐き出して、目を開けた。

 手のひらに、自分が吐き出した欲望の粘液が散らばっていた。

 心音を自慰に使うのに、抵抗がないわけではない。だが、夕神だって健康な男子で、しかも7年も獄中にいてその身は自由でなかった。
そして自由の身となった今は、傍に愛らしい少女がいる。その少女に手出しできないとなれば、もう夕神に選択肢はなかった。
 夕神はまた、はだけた己の下半身を見た。出したばかりだというのにもう勃起している。心音のことを考えたからだろう。
またそれを手のひらで包んで、こすり出した。
 心音を抱きたい。思い切り自分の精液で汚したい。
 そんな欲望を押さえ込むには、これしか方法がない。夕神はそう信じて、自室の気安さで思い切り男根をさすり上げた。

 ある日。自室へ帰ると荷物が届いていた。姉からだった。小さな段ボール箱に、また書類か自分には不要な小型ロボットか機械でも入っているのだろうか。
 開けて見ると、シリコン製のオナニーホールとコンドームが入っていた。
 殺す。
 明確な殺意を持って夕神は荷物を一度閉じた。閉じかけた段ボール箱から、一枚の紙切れがはらはらと落ちるのに気付いた。
姉の字でメッセージが書かれてある。
 お姫様のカタチのだから。
 たった一言。その威力は絶大だった。
 夕神は無言でもう一度品物を取り出した。直視するのが気恥ずかしかったので、うっすらと目を開けてみる。
 夕神は、まず姉の言うことを信じてもいいかどうかから検証をはじめた。
 なんでココネのカタチでなんぞつくれるんだ。いつ調べた。いや、あの姉ならココネ本人をたぶらかしてデータくらいとってしまいそうだ。
ということは、コレは本物なのか。
 本物の可能性が、ないでもない。
 そしてあのクソ姉貴は、自分をからかうために全力をもってして精巧につくりあげるだろう。それが姉だった。
こんなところでは絶対に手を抜かない。つまり、性能は保証されている。
 そして、もしこれを棄てるとして。これはココネを模したものだ。今の自分に確認する術はないが、そういうことになっている。
 棄てられるのか。自分に。ムリだ。自分にココネは棄てられない。

 結局夕神は、使うにしろ使わないにしろ、コレを所持し続けなければならない。
 殺す。
 姉に二度目の殺意を抱いた。そうして、もう一度、今度はしっかりとシリコン製の性具を見る。
「…………」
 自分の中の興味を、否定できない。だが、このまま姉の策略にまんまと乗るのが夕神には悔しい。
悔しいので、10分ほどオナニーホールを前に正座して考えてみた。
 興味を否定できない。
 夕神は内心泣きながらいやらしいおもちゃを手に取った。
 すまねェ、ココネ。すまねェ。
 心中で謝罪を繰り返しながら、膣のまわりを覆うひだを指で辿った。
もはや生身の女の身体など遠い記憶となっているが、随分精巧につくられているのはわかる。
おそらく、検針にひっかかって流通できないような代物だろう。
姉の高い工業力が無駄遣いされていることに思いを馳せた。
 ということは、心音の秘部はこんなカタチをしているのか。
 情けないことに、非常に興奮した。陰核から小陰唇まで再現してあり、それをそっと指先で撫でてやる。
陰核をじっくりと眺めながら的確に亀頭を刺激してやると、どういう仕組みかふっくらと膨張してきた。
さらに摩擦を強くすると、膣から液体が漏れてくる。潤滑油だろうか。どんなからくりかはさっぱりわからないが、随分高性能なようだ。
本当に無駄な工業力だと思う。

 すぐに挿入しようかと考えて、なんとなく気が乗らなかった。これが心音であるのなら、もう少し丁寧に扱ってやりたい。
 夕神は、とろりとした潤滑油を指に絡ませて膣内へと侵入させた。膣内は熱く、きゅうっと夕神の指を締め付けてきた。
随分狭くつくってあるようだ。いや、心音がそうなのか。だとしたら、念入りに解さなければ。
 夕神は指を二本に増やして、溶けた陰部にゆっくりと抜き差しをはじめた。
そっと膣口を押し広げ、指をゆっくりと味わうように胎内へと挿入。柔らかく締め付けてくる感覚を楽しみながら、内側を丹念に撫でた。
 膣孔からは不思議なことにどんどん粘液が溢れてきて、夕神の動きを助けた。まるで本物の女の身体のようで、理性ではなく本能で興奮する。
姉のたくらみも脳から飛んでいき、夕神は夢中で女のつくりものをいじって遊んだ。
 すっかりぐちゃぐちゃになった性具に、夕神は自分の逸物をあてがう。すでに興奮で硬くたぎり、その上からコンドームを被せてある。
 そうしてシリコン製の女を、一気に貫いた。孔は驚くほど熱く、苦しいほどに夕神を締め付けてくる。
潤滑液がなければ身動きがとれなかったかもしれない。孔を自分になじませようと、ゆっくりと出し入れを繰り返した。
不思議なことに、孔の力は弱まりそうもなく、むしろ一層熱く締め上げてくる。
「……ッ一体、どんなつくり方しやがったンでェ……!」
 悪態をつきながらも、夕神の腰は動き続けた。止まれなかった。

 ──善すぎだろォ!
 心音のモノだというイメージがあるからに違いない。それでも、この道具は凄まじいほどの快楽を夕神に与えてくる。
最奥を突く度にまるで痙攣するかのように微細な刺激を陰茎に施し、ますます熱くうねるのだ。
 もしこれが本当に心音を模したものであるとするなら。きっと自分は心身ともに彼女に夢中になって、腕の中から出したりしないだろう。
一生抱きしめて、愛でて暮らしたくなるに違いない。
「は……ハッ……ココネ、ココネ……!」
 荒い息を吐き出しながら、夕神は快楽を追いかける。どこかでココネの嬌声が聞こえるような気がした。妄想にとらわれすぎだと思う。
集中しようと目を閉じた。快楽に涙を流して喘ぐ心音の淫猥な姿が浮かんで一層興奮する。
 目を閉じたことで聴覚も研ぎ澄まされ、じゅぽじゅぽと生々しい粘液の音が部屋中に響いて、夕神はそれにも昂奮を煽られた。
おもちゃのリアルな刺激で膨張したペニスに、針を刺すような射精感がこみ上げてくる。
 いよいよ限界を感じて、性器の奥の奥へ亀頭を突き込み、思い切り射精した。
「ぐううううッ!」
 陰嚢に溜まった雄汁を思う存分吐き出して、夕神はうっとりとその快楽に陶酔した。

124 :名無しさん@ピンキー:2016/01/01(金) 19:13:51.45 ID:9Qt+Cctf
 ココネ、すまねェ。
 夕神は駅前にある前衛的なオブジェの前に立ち、昨晩から何度目になるかわからない詫びの言葉を心中で繰り返した。
 これから、心音に会って食事をすることになっている。だが、あの無邪気な笑みを前に自身が腐った男であることを悟られたくなかった。
なんとか冷静にならなければ、彼女の良すぎる耳がヘンなノイズを拾ってしまうだろう。
 夕神は幾度か深呼吸しながら心音を待った。
 5分ほど経過したところで、心音の姿を見つける。心音は、どこか浮かない表情をしていた。
「……そ、その。お待たせしました……」
「オゥ、どうした。なんかあったのかィ」
 いつも無邪気で元気な彼女が、なんだか不安そうにしている。それだけで夕神にとっては一大事だった。
 心音はえーっと、と口をもごもごと動かした後、なぜか赤い顔をして夕神を見上げてきた。
「その……あの……」
「ン?」
「き、昨日の晩……その……」
「なんでェ、言いにくいコトなのか」
「………………やっぱり、やめておきますね」
 心音は赤い顔のまま夕神の腕に抱きついてきて、夕神の心臓が一瞬跳ねた。
 ──昨日の晩……?
「…………まさか、なァ」
「なにがですか」
「いいやァ、それで。今日はなにが食いたいンでェ」


<終>
最終更新:2016年01月02日 22:24