神乃木×千尋②

「風呂では裸と裸のつき合いをする
それがオレのルールだぜ!」
後ろから突如として声がしたと思った瞬間、
千尋が体に巻いていたタオルは一気に抜き取られた。
「か、神乃木さん!?」
驚く千尋に、にやりと笑った神乃木が
タオルを持って続ける。
「くっ、二人のときは名前で呼び合う、それがオレたちの……」
その瞬間、千尋の重いビンタが神乃木の頬に炸裂した。

5月上旬、星影法律事務所では毎年恒例研修旅行がある。
研修とはもちろん名ばかりの普通の旅行だ。
今回は星影の痔の悪化が理由で温泉に行くことになった。
「毎年その理由で温泉じゃん」というのはスタッフの誰もが思っていることである。
幹事は珍しく神乃木が自らの立候補ですることになった。
普段はあまり進んですることがなかったのに珍しいことなのだと
他の先輩は言っていた。
今その理由が分かった気がする。
いや、正確には今から10 分ほど前にわかったことだ。
これだ。
貸し切り露天風呂があるからだ。
食事が終わった後、各自部屋でゆっくりする時間になってから
神乃木に星を見に行こうとかなんとか、そういう理由で呼び出されて
言われるままここまで連れてこられた。
宿から徒歩10分ぐらいのところにある離れにある。
何もしないという神乃木の言葉を半分疑いつつも
貸し切りで露天風呂に入れるという誘惑に千尋は勝てなかった。
それに、神乃木と二人でいるのはいやではない。

そして結果、何もないわけがなかった。
「バカなことはやめて下さい!」
「だってこれから一緒に風呂入るんだぜ。別に今更」
「そっ、そういう問題じゃなくて!小学生みたいなことしないで下さい」
千尋が神乃木からタオルをひったくると
更衣室へ続く戸口を開こうとした。
(こ、こんなとこにいたら……)
そのとき、背中に暖かく堅いものに抱かれた。
(うう、やっぱり)
コーヒーの香りが鼻を、熱い息が耳を、そしてヒゲが首をくすぐる。
「オレが悪かったぜ」
神乃木がゆっくりと千尋の体を抱きしめる。
その感覚は頭の中をぼんやりさせる。これがまずい。
千尋だって神乃木に求められるのは嫌ではない。
ここしばらくお互いに忙しくてキスすらしていない。
だからもしこれが風呂場でなければ、研修旅行でなければよかったのかもしれない。
でも
(この状態で、ここでするのはマズいわよね)

でも一緒に二人きりではいたい気もする。
部屋に戻ったら二人きりではいられない。
ちょっと考えたあと、
千尋は神乃木の抱擁から抜け出すと風呂の方へ向いた。
「お、お風呂には入っていきます」
そう言うと神乃木は嬉しそうに後からついてきた。
「でも何もしないでくださいね」
と風呂に体を沈めながら千尋は神乃木を見た。
「ん?」
何でというように神乃木は千尋の顔を見る。
「さっき約束したじゃないですか」
「何もって、何をすると思ってるんだ?」
にやける神乃木に、千尋は真っ赤になった。
「な、なんでもありません」
「ふぅーん」
相変わらず神乃木はニヤニヤしている。

檜の湯船に温泉の露天風呂、気持ちよくないわけがなかった。
さっき入った室内の大浴場も気持ちよかったが、
また違った開放感があっていい。
きれいな星空も見える。
千尋は息を吐きながらゆっくりと四肢を伸ばした。
首を回そうとしたときに神乃木の横顔に目がとまった。
神乃木も温泉は嫌いではないのか、ゆったりとした顔をして目を閉じていた。
その愛しい人の顔は、自分で思うのも恥ずかしいけれどかっこいいと素直に思う。
体つきも好きだ。
ほどよくしまった体と精悍な顔つきは
神乃木のまっすぐで情熱的な性格とよく合っていると思う。
ここまで思ってしまうのは好きになってしまった人だからかもしれない。
そんな思いと熱いお湯のせいで千尋の頭はすこしぼんやりしてきた。

神乃木は自分を見る視線に気が付いたのか、目を開けた。
千尋は悪いことをしたわけでもないのにぎくっとする。
神乃木は口を開くと
「ここ、来いよ」
と自分の目の前を指した。
「えっ」
一瞬ためらった千尋の手をお湯の中から神乃木は掴んでひっぱった。
女の体は浮力のせいで簡単に男の方へ引き寄せられる。
男の腹と胸とが女の背中に押しつけられた。

神乃木は千尋のあごを自分の顔に手で引き寄せる。
「か、かみ……」
言葉にはまだ抵抗をしたような調子があったが、
千尋の体はもう抵抗をしていなかった。
顔はあと数ミリしか離れていない位置で、
二人にしか聞こえないような小さな声で囁く。
周りには人がいるはずもなく、普通の声でもいいはずなのだが。
「さっきも言ったぜ。二人きりの時は名前で呼ぶんだ」
「……そう、りゅう……」
「そうだ、千尋」
そして神乃木と千尋は唇を重ねた。
「んっ……」
二人はずいぶん長い間深くお互いの唇を求め合っていた。
千尋は自分の舌が神乃木に絡みとられたときにコーヒーの味がした気がした。
二人の口から漏れる熱い吐息と粘着質な液体の音、
そして二人がかすかに動くたびにする水の音が、
それ以外の音が全くしない暗い闇で大きく響いて聞こえる。
その音を聞きながら千尋の頭はぼんやりと霞がかかったようになっていった。
キスをしたまま、神乃木は右手で千尋の乳房に触れた。
千尋はそれに過剰に敏感に反応して体をくねらす。
神乃木はそれを空いている手で押さえて、そのまま右手で胸をまさぐった。
「っはぁ…」
男が乳房の先端を軽くつまむと千尋唇は男の口から離れた。
透明な糸が二人の口から引き、そして中央からわかれていく。
「荘龍……」
千尋は愛おしそうに男の名前をつぶやいた。
神乃木はそれに答えるように千尋の熱く潤んだ瞳を見つめたあと、
首筋に唇を這わせる。
「あぁ……」
少し荒くなった呼吸と共に千尋の口から声が漏れる。
神乃木の右手と体を押さえつけていた左手は
千尋の二つの乳房をつつみこみ、形を変えていく。
ときに堅くなったその先端部を時に軽くつまむ。
不定期に訪れる快楽の波に千尋は身をまかせていたが
急に神乃木の指が左右の足の間に滑り込んできて、
思わず大きな声を出した。
「あぁんっ」
思わずその無遠慮に進入してくる腕を掴む。
それにかまわず、指の主は体に沿って指を置くまで進める。
すると風呂の湯とは違う、暖かい液体のある場所にたどり着いた。
すでにそこからはぬるぬるとした液体が少しずつわき出てきている。
指を前後に動かすと千尋は身をよじる。
「そ、こは」
「ん?」
千尋の耳の裏を舐めていた神乃木の口はそこから離れ、耳のすぐ横に移動した。
「ここが、どうしたんだ?」
そう言いながら、指を止めようとはしない。
少し前まで指を戻すと、千尋の敏感なところに触れた。
「いやぁっ!」
千尋が体をびくっとさせたのと同時に
風呂のお湯は派手にばっしゃっと音をたて跳ね上がる。
「はあっ、はあっ……」
千尋は、自分がいつもよりも早く息が上がっていような気がした。
しかしそれよりも自分を襲う快楽が勝って考えることがそれ以上
考えることができない。
そんな千尋の様子をよそに神乃木は、
女の堅くなっていく鋭敏な豆を指で転がす。
気持ちよくなっていくその感覚に耐えるように、
そしてこれ以上大きな声がでないように千尋は歯をくいしばる。
「千尋、我慢しなくてもいいんだぜ」
と神乃木は優しく、しかし意地悪く言う。
千尋が大声を滅多に出さないのを知っているのに。
「だ、め。聞こえ、ちゃう」
「大丈夫、誰にも聞こえやしないさ。こんな大自然のなかだぜ?」
そう言うと指をまた奥まで入れ、先ほどからすでに潤んでいる割れ目に指を這わせる。
風呂のお湯がなければおそらくそこから湿った音が聞こえただろうほどに
そこは潤い、その液体は神乃木の指にからみついてくる。

そろそろ千尋の声を押し殺す我慢も限界に近づいてきていた。
「う、はぁっ……はぁっ、ん、んんっ……あぁっ」
湿気を帯びた熱い吐息が口から漏れる。
神乃木は千尋の横に来ると
今度は右手の指を千尋の中へ入れていく。
そしてゆっくりとまた引き、そしてまた入れる。
それが徐々に速いペースになり、千尋をより早く快楽の渦に巻き込む。
千尋はその太い指から得られるその快楽に耐えきれず、
所在のなかった手を、神乃木の体にしがみつくために移動させたのだが、
その手にはすでに堅くなり水面越しに空を仰ぐ男のそれが触れる。
千尋は何も考えずに思わずそれを掴んでしまった。
滅多にそれを自分から積極的には触れることのない千尋を見て
神乃木は少し驚いたようだが、
「くっ……、そうだよな」
小さくつぶやき一人笑うと、神乃木は乳房へと口を運び
堅くなったその先端を舌先で転がし、それから軽く噛んだ。
さらに千尋の中へ出し入れさせている指の速度を速める。
そこからはとめどなくぬるりとした液体があふれ出てくる。
「はぁ、ああッ、あ……荘龍、そうりゅ……」
二点から責められ、女は快楽への坂道を急に駆け上がっていく。
あえぐ声が少しずつだが確実に大きくなっていった。
朦朧とする頭で、ほとんど何も考えずに夢中で
千尋は手に握っている男根をいじっていた。
堅いそれを軽くぎゅっと握ぎって、ゆっくりと離す。
それで解放するのではなく、すぐに指で先端に触れ、親指の腹でそこをさする。
その熱く堅い、しかしどこか柔らかい感触に
これがあの人の股間についているものかと思うと
(変なの)
と千尋は快楽にほどんと支配された頭の片隅でぼんやり考えていた。
神乃木に与えられている快感という感覚だけが妙にはっきり認識できる。

あと少しというところまで千尋は上り詰めようとしていた。
しかし神乃木はそこで一つ息を吐いてから千尋から離れ、立ち上がった。
「荘龍……」
濡れて光る唇からこぼれる言葉で、何かを訴えるようとする千尋を立たせると
風呂の縁の方へ向かせ、手をつかせた。
「入れる、ぜ」
ふとももを掴んで足を開かせると、
そこの間から千尋の膣への入り口が見えた。
その入り口は風呂の湯か、それとも女の中から出てきた液体か判別はつかないが、
じっとりと濡れているのがわかる。
神乃木はゆっくりと自分の堅くなったものを突き立てた。
「うッふぅっ」
と小さく千尋は声をあげたが、男を受け入れる。
ゆっくりと進入してくる肉棒を膣の壁はゆっくりと奥へと導く。
そしてついに一番奥へと到達すると入れたまま神乃木は腰をかがめて
自分の口で千尋の唇をすくい取る。
「千尋……」
すでに恍惚とした状態にあった千尋は神乃木のキスをゆったりと受け入れ、
もう一度ゆっくりとお互いを味わった。

神乃木はゆっくりと腰を前後させ始めた。
そのたびに湯は揺れ、水の音が響き渡る。
千尋の声を機にお互いの唇は離れた。
「んっ」
神乃木が腰を前後に動かすたびに、
二人の繋がったところでは水よりも濃い液体が音をたてて混ざり合う。
「はあっ、はあっ……ああっ」
少しずつ神乃木の動きを早めていく。
「ああッ、あん、はぁん、ああ……」
千尋は神乃木の男根をなかで締め付ける。
「いいぜ、千尋、その調子だ」
二人の繋がっているところからする湿った音と、
二人の動きに併せてうねる湯の音は激しくなり、
今まで千尋よりは落ち着いていた
神乃木の息使いもより荒くなってきた。
「よし、今度はこっちを向いて、だ」
神乃木はいきなり自分のペニスを千尋から引き抜くと
彼女の肩を掴んでこっちに向かせ、風呂の縁に千尋は座らせた。
「寒くないか?」
千尋の足を開き、自分の息子をそこに入れる寸前、
上に乗りかかったところで急に神乃木は止まった。
さすがに5月の外気の中で、裸でいるのは
千尋にとって寒いかもしれないと思いついたのだ。
ただ寒いなんてありえないとはわかっていた。
二人の体はほとんど密着状態にあり、
お互いの体が熱く火照っているのはわかりきったことだったからだ。
千尋は艶っぽく上気した顔でふふっと笑うと
神乃木の肩にのせた腕に力を入れて体を引き寄せ合うと
自分の中へ神乃木を導いた。
「もっと、荘龍……」
その積極的な千尋のお願いに
神乃木は千尋を縁から抱き上げると、風呂の中へ入り勢いよく抱きしめて答えた。
「いいぜ、千尋。おまえの望む通りにしてやる」
そう言うと激しく、千尋の締め付け、押し返すその中を
難なく進んでいき、一番奥まで自分のものをすぐに到達さる。
そしてすぐにまた少し戻ると激しく千尋を突き上げた。
「ああああ、はぁ、ああ、んんっ!あぁん……ッ!!」
最初のこらえるような小さなあえぎ声とは対照的に、大きな声をあげていた。
頭のなかがどんどん空っぽになっていく。
何度も神乃木に強く突き上げられ、その度に千尋の何かがはずれていった。
徐々に早くなる神乃木の動きを受け入れ、もう千尋を押しつけるものはなかった。
気持ちいいとか、そんなはっきりした感情も全てなくなって
ただそこに大好きな神乃木がいて、
二人が繋がっていることだけが分かっていた。
そして今はそれだけでよかった。 「ぅぅぅんッ、いく!荘龍!中、で……中にお願いィ!」
「大丈夫か?」
「ああっ、大丈夫、今日、はうぅッ」
神乃木もそろそろ限界に来ていた。
「オレもいくぜ、千尋!」
「荘龍っ!」
今日で一番千尋は強く神乃木を抱きしめ、
神乃木が千尋の子宮に届くほどペニスを一気に押し込んだ。
「……ッああぁぁー!!」
二人の声は重なり、そして同時に頂点まで達した。
神乃木のそれの先端は、
千尋の中の一番奥で白く濃い液体を大量に放出したのだった。

「はぁ、はぁ……」
まだ荒い息のまま二人はぐったりして風呂の中で抱き合っていた。
「露天風呂もたまにはいいんじゃねぇか。
千尋もいつもよりちょっと大胆だったぜ。開放感ってやつか」
神乃木は自分の胸にもたれかかっている千尋の乱れた髪に優しく触れながら言った。
その言葉に千尋は自分のしたことが急に恥ずかしくなって胸に顔を押しつけて
恥ずかしさを隠すように慌てて言った。
「……露天風呂『で』でもじゃないの?」
「?」
「だって最初からやる気だったんでしょ?」
「だから何を?」
神乃木はわざとすっとぼけた答えを返す。
(絶対わざとだ。私の反応を見て楽しんでる)
千尋はさっきのビンタを謝ろうと思っていたが、やめることにした。
「さて」
神乃木は千尋の乳房に唇を近づけた。
「せっかくだ。もう一回ぐらいはやってくぜ」
「ええっ、帰らないと他の人が心配しちゃ……」
「くっ、別にオレと千尋が一緒にいなくなっていてもだれも心配しないさ」
その言葉の理由がわからないというふうに首をかしげる千尋だったが、
神乃木はその疑問に答える代わりに千尋の乳首に舌を這わせた。
彼女はどうやら神乃木と自分の関係が、周りにばれていないと思っているらしい。
(とんだテンネンのコネコちゃんだぜ)
苦笑混じりにそう思いながら、
神乃木は目の前のかわいい女をもう一度愛し始めた。

おしまい






続きキボンしてくれた方、ありがとない
色々納得いかないけど今はこれでせーいっぱ~い
擬態語擬声語は極力排除してみたけどどうでしょう

最近千尋ネタが多いけど他のキャラもキボン
かくゆう自分は千尋好きなのもあるけど
大人の女が一番やりやすいからついついこっちに。
ナルチヒも好きなんで、またできたらお世話になります。
最終更新:2006年12月13日 08:35