ゼニトラ×うらみ


旅行代理店。
こんなトコには二度と来ないと思っていた。旅行とは言いにくいが、一度、旅行に出たフリをして逃亡した客を追って国内を一周しかけた事があって以来、遠出は苦手だ。
でも、今回はどうしても行かねばならなかった。
社員旅行…ですか…?
うらみちゃんはスゴく驚いている。無理もない。両手いっぱいにパンフレットを持って帰ってきたんだから。
う、うらみちゃん、ずっと事務所籠もりっぱなしやから、たまには外に出て気分転換や。うらみちゃんはドコ行ってみたい?
「遠慮せんと、好きなトコ言っていいんやで」
「…トラさまは、ドコがよろしいんですか?」
「そうやなぁ…」
ちらりとパンフを見る。
二つの地名が目に飛び込んできた。『グアム』と『熱海』。
「…!」
頭の中に、何かがよぎった。
グアムのビーチで、白いビキニを着たうらみちゃんと、熱海の温泉宿で、浴衣のうらみちゃん。
急に、心搏数が上がってきた。

うらみちゃんが、そんな格好になってくれたら…!
「トラさま…」
「!」
「私、…海が見たいです…」
「う、海!」
「熱海…でもいいんです、トラさまと一緒なら…」
電車を乗り継いで、やっと旅館に着いた。結構しゃれた旅館。宿代がちょっと高めなのは、海外に行かなかった分の少しの贅沢だ。
フロントでチェックインすると、うらみちゃんが、少し嬉しそうな顔をしてシャツの裾を掴んだ。

部屋は至ってシンプルな和室だったが、普通の温泉宿と違うところがあった。
「トラさま…!海が見えます…」
海の見える露天風呂付きの部屋。
この部屋を探すために、本屋でカップル向けの宿の本を買い漁っていた。
うらみちゃんは、ずっと窓にはりついて海を眺めている。華奢な後ろ姿。後ろから、ギュッ、と抱き締めてあげたくなる。


最初ははっきり言って、ウザくて仕方なかった。好きじゃなかった。だが、あの一言だけでついてきてくれた事を考えると、申し訳ない気持ちがあり、いつしかそれがいとおしくなっていた。
「うらみちゃん…!」
いつしか、後ろから抱いていた。
「と、トラさま…?」
「ちょっとだけ、こうしててもええか?」
うらみちゃんの黒くてきれいな髪の毛に顔をすりよせる。出掛ける前に洗ってきたのか、シャンプーの甘い匂いがする。
こういうところを見つけると、うらみちゃんも年頃の女の子なんだな、と嬉しくなる。
うらみちゃんも、体を少し寄せてきた。うっ、うっ、と嗚咽を洩らしている。
「ご、ごめんな!い、嫌やな、こんな42のオッサンに後ろからこんなん…」
「…違います…!トラさまが、トラさまが…!」


泣いてばかりで言葉にならない。わかるのは、自分の名前を何度も呼んでいる事だけだ。とても弱い。
「うらみちゃん…ワイ、うらみちゃんが好きなんや、」
「うそ…」
うらみちゃんの涙は、さらに増していく。
「好きなんや、」
最初はうらみちゃんさえこっちのものにしてしまえば、鹿羽組を手に入れられるとさえ思った。しかし、今は違う。鹿羽組を敵にまわしてでも、うらみちゃんを自分のものにしたい。
「うらみちゃんの気持ちが聞きたいんや」
うらみちゃんはなかなか顔をあげてくれない。
「…です…」
「ちゃんと、聞かせて欲しいんや、な、顔を上げて、な、」
ゆっくりと顔を上げ、自分の目を見る。
今まで見たことのない表情。泣き顔もかわいいなんて、なんか悔しい。
「好き…です…。トラさまが、好き…!」
よかった。うらみちゃんは、自分の事が好きだった。
「うらみちゃん、ホンマか?」
うらみちゃんは、何度も頷く。


「…うらみちゃんに、あげたいモンがあるんや」
うらみちゃんの唇に、初めてキスをする。とてもやわらかい。キスをしながら、うらみちゃんの右手をとって、薬指をいじる。
「うらみちゃん、」
「…!!」
うらみちゃんの涙がまた増える。
「…これ、」
「びっくりさしてごめんな。婚約指輪なんて、」
「嬉しいです…」


浴衣に着替えて、メシが並ぶのをじっと見る。うらみちゃんも、もちろん浴衣だ。着替えるところが見たかったが、断られてしまった。

料理が一通り並び、女将さんは出ていった。
「うらみちゃん、こっちや」
膝をたたいて招く。照れながらも、ちょこんと座ってくれた。
「ワイが食わしたる」
豆腐の切れ端を箸でうらみちゃんの口に運ぶ。
「うまいか?」
「ええ…」
刺身を一切れ取る。
今度は自分の口に運び、口移しで食べさせた。
「…んッ、」
刺身をねじ込もうとして、舌を入れてしまった。


うらみちゃんは、一度刺身を飲み込むと、キスをしてきた。初めてなのに、無理をして恐る恐る舌を侵入させてくる。緊張で歯が小刻みに震える。
今まで男に対して積極的じゃなかったから、よほど勇気がいるだろう。それが余計かわいい。
頭を後ろから撫でながら、しっかりと舌が入ってこれるように角度を変える。
「…ん、ぅ…」
舌を動かす度に、体がびくん、と波うつ。いつしかうらみちゃんは、自分の襟元を掴んでいた。姿勢も、だんだん寄り掛かる感じで、足元ももぞもぞさせたりするので、浴衣が腿の半分くらいまで前が開いてきていた。
白い足。今直ぐにでも触りたい。
出来る事なら今すぐ押し倒して、早く関係を持ちたい。
それは、男の性的欲求とかではなくて、うらみちゃんに自分の感覚を知ってもらいたい、でも、それさえも意味合い的に一緒なのか、わからなくなっている。


「トラさま…私…謝らなくてはいけません…」
するり、と頭の包帯を外した。
何もない。包帯のないうらみちゃんなんて初めて見た。
「私…実はもう完治しておりますの…」
「そ、そうなんや、」
「トラさまも、きちんと『オトシマエ』をつけたのですから……今なら、まだ引き返せますわ…」
「な、何言っとるんや?」
「これで、…トラさまも……に…」
「そんな事言ったらあかん!」
「でも…トラさまを苦しめているのは…」
自分といるとよくないから、と、自分から無理に身を引こうとしている。とてもつらい。初めての恋愛なのに、自分で幕引きしようするなんて。
「ワイは、うらみちゃんが好きなんや。ずっとそばにいて欲しいんや…せやから、退職届なんて絶対…」
いつしか熱くなって、涙目になっていた。こんなに女に夢中になったのは初めてだった。うらみちゃんも驚いている。
「…!」
「ごめんな、ええオッサンが泣いたらあかんな、」
「そんな事…ありません…」


「うらみちゃんだけなんや!こんな、好きになったん…」
昔は、キャバクラでハーレム三昧だった。女をはべらせては、相手に事欠かない生活。中には「具合」のいい女や、セックスの相性のいい女もいた。
しかし、今はそれ以上に、「愛する」女がいる。その女が、腕の中にいる。
「…トラさま、ごめんなさい…トラさまも、同じくらい……のですね…」
「…う、うらみちゃん、」
「トラさま……お願い…です」
「な、何や?うらみちゃんのためやったら…」
「抱いていただけますか…?」
ぎゅっと抱き締める。

「こ、こうでええか?」
「違います………せ、セックスを…したいのです…トラさまと…」
うらみちゃんの口から、そんな言葉が聞けるとは思わなかった。
「女の子がそんな事言ったらあかん、(咳払い)……うらみちゃん、ワイが、初めての男になって、ええんやな?」
こくり…。黙って頷いた。
「ワイが、うらみちゃんの最初で最後の男になったる!…うらみちゃんは、ワイの女や」

ぐぅ。

…腹が減っていたんだった。
「くすっ…」
「(うらみちゃんに聞こえた!)」
「…その前にご飯を食べましょう…」
「で、でも」
「トラさま、安心してください。それくらいで私の気は変わりませんから…」

うらみちゃんは自分の箸を取ると持ちかえて、ご飯茶碗からご飯をすくった。
「トラさま、……してください…」
「?」
「…あーん、って…」
ぱくん。……ああ、何か新婚みたいで楽しい!
照れながらやってるうらみちゃんがまたかわいい…!
(ええ大人がこんなデレデレしてたらあかん!)顔をきりっ、とさせる。我ながら男前やな、と鏡で練習してた表情だ。
「はっ!」
うらみちゃんの顔が赤くなる。
「トラさま…」
うらみちゃんも、その表情でドキドキしてるみたいだ。
「そういや、まだ乾杯もせぇへんかったな」
「…はい」
「ビールでええか?」
「…ええ」

「きゃっ!」

何を血迷ったか、ビールをうらみちゃんの体にかけてしまった。


わざとかもしれない。
「ご、ごめん!手元が……」
浴衣がビールで濡れてしまった。どうにかしないと。
拭かなきゃ、と思い、身近にあったおしぼりを手にした。
「…痛いです…」
無理に拭こうとして力を入れてしまったらしい。拭いているうちに、うらみちゃんの体が浴衣ごしに透けて見え、くっきりと形を成してくる。
何も考えず拭いてしまったのがいけなかったらしい。愛撫するように体を扱くような手つきだったのだから。
「…!」
うらみちゃんは何か期待してたのだろうか。…下着を付けてない!
「う、うらみちゃん、下着付けてへんのか!」
「トラさま…私、いつもそうでしたのよ…?」

実は気付いていた。
普段着ているあの服から出るなだらかなライン。いつも気になっていた。ブラジャーを付けているのか。下も、何か履いてるのか。
意外に、挑発させるような下着を付けているのかも、と思うと、下半身が熱くなって、その度に落ち着きを失っていた。

「…お茶…ここに置いておきますね……」
いつ自分の上に乗ってくれるだろう。自分の顔を見ながらお茶を差し出すうらみちゃんのいやらしさに惑わされる。


こんな事務所で社長と秘書の二人しかいないしうらみちゃんがその気で、そのまま下半身をしゃぶって来ようものなら、いつでも迎え入れただろう。でも、今まで何も起こらなかった。
自分に対してそんな気はなく、冗談かもしれない。
不安だった。
だから、うらみちゃんの気持ちを確かめる為に二人きりで旅行に来たのだ。
「…くしゅんっ…」
「風邪ひいたらあかん、風呂でも…」
「…トラさまも、ご一緒に……」
「………」

まだ明るい、部屋の露天風呂。
ここからは、海が見える。

「海が見たい」

と言っていたうらみちゃん。
何か理由があるのだろうか。

「トラさま、先に入ってて下さい…」
うらみちゃんは、少し照れながら言った。
「じゃあ、先に…」
浴衣を脱いだ。
若い頃、ボクシングで鍛えていたおかげで、体には結構自信がある。今もサンドバッグを叩いて、体が鈍らないようにしていた。


カラカラッ、と引き戸が開いた。
「トラさま…」
甘えた口調になっている。「?」
振り向くと、白いビキニを着たうらみちゃんが立っている。白くて柔らかそうな肌。
「!!(なんてかわええんや!)」
「ど、どう…ですか?」
「うらみちゃん、もっとこっちに来て、…よう見してや」
うらみちゃんは、自分の近くのへりに座った。
「今日の為に買ったんか?」
「…いえ…」
「……今年の夏に着ようと思って、……買ったんですが着れずに……が終わっちゃって…。だから、今日はこっそり水着をもってきて……、トラさまに……を見せてあげたかったんです……」
「ワイに?」
「どうですか…?」
ずいっ、と上半身を乗り出した。グラビアみたいないやらしさがある。胸がそこそこ大きい。
「トラさま…」
顔が、近づく。誘われるように、キスをした。した、というより、された。
「私…、トラさまの女に…なれますか?」
愚問だ、と思った。
「まだだと思っとるんか?」
「体の中まで…トラさまに、女にして頂きたいのに…」


うらみちゃんが、風呂の中に入って来た。
向き合って膝の上に座る。股間が、自分のモノにちょうどいい位置にあたっている。
目が、とろんとしていた。さっきのビールの匂いだけで酔ってしまったらしい。
「今日はうらみちゃんを、ワイのモンにしたるからな」
ぎゅっと抱き締める。胸が、自分の体に当たった。
「…嬉しい…いっぱい、してください」
「うらみちゃんのええ様にさしたる。どうしたいか言うてや」
「……!言えません…恥ずかしいです…」
「じゃあ、ワイは何もせんで」
「え…」
「自分で動いてもええんやで」

ちょっとひどい事を言ってしまった。


うらみちゃんは、ちょっと拗ねた顔をして見せた。
こんな表情は初めてだ。酔っているせいか、よほど開放的になっているのだろう。

うらみちゃんは、下半身を擦り付け始めた。
「…んっ…、」
「どうした?うらみちゃん。ワイのはそんなんで起つほどヤワやないで?」
「…っ…くぅ…」
「…教えてやっても、ええんやけど?」

「……教えて……下さい…」
ぐっ、と引き寄せ、後向きに座らせる。
「と、トラさま…?」
「ええか…、」
びくんっ。
耳元で囁いたせいか、自分の低い声が、うらみちゃんを感じさせた。
うらみちゃんの手をとって、体を一緒になぞる。手は下腹部の辺りに辿り着かせた。
水着が若干、真ん中だけ食い込みを見せる。
「ここ…自分で触ったことないやろ?」
うっすらと水着にクリトリスの形が浮き出ている。
「ここはな、こうしてあげるんや…」
ゆっくりと、上下に擦り始める。
「…!(体が、トラさまに従っていると思うと、余計…!)」
「どうや?うらみちゃん。まだか」
指が、段々加速していく。
「トラさま…!私、トラさまの手でして頂きたいです…!」
「…」
「自分で虐めるなんて、嫌」
まだこんなところで泣かせてはいけない。もっと、あとで「鳴いて」もらわないと。


「どれ、うらみちゃんのはどんくらい大きくなったんやろな?」
水着を下ろす。ふっくらとした下腹部で、一ヶ所だけ、紅く腫れあがっている。
「ここやな、うらみちゃんが虐めて欲しいトコは」
「…はい…」
「もう、こんなに充血しとるやないか。あかんな、お仕置きや」
摘んで、強く扱く。
「!」
自分が出した事のない声に驚いたのか、とっさに口を塞いだ。
「ええ反応や。もっと、大きな声出してもええんやで」
「わ、私……恥ずかしいです…聞こえちゃう…」
「『聞こえる』…?ちゃうで。うらみちゃん」
「『聞かせる』んや。うらみちゃんが気持ち良くなって喘いでる声を…」
「……」
「気持ち良くないんや?」
「…そんな…」
「だったら素直に声出してええんや」
優しく撫でてみる。
「んぅ…」
いやらしい声が漏れる。その度に、もっと聞きたい、と思ってしまう。
「綺麗やな…うらみちゃんの体は。ホンマ、別の男に何もされんかったのが不思議なくらいや…」
「……恥ずかしいです…そんなに……で下さい…」
「今度、ココにピアス開けような」
「えっ!…こんなトコに…?」
「ワイのモンて印や」
「…!」
「それを見る度に、うらみちゃんはワイのモンやて思い出すんやで」
「…」


耳元で囁く。
「…そないしたら、うらみちゃん、濡れてまうかも知れへんな?」
「…」
「冗談や、」
ぎゅっ、ぎゅっとさらに扱く。
「だめ…トラさま……ッ!」
うらみちゃんは声を出すまいと必死になっている。目には涙を浮かべ、時々、体がびくん、と跳ね上がる。
ここでイカせるべきなのか、一瞬迷う。……違う。うらみちゃんが望んでいるのは『中』だ。
「ごめんな…うらみちゃん、しんどかったやろ」
おわびに、キスをする。
「…んッ…う」
一生懸命応えてくれるのが好きだ。
うらみちゃんの力が段々抜けてくる。
「(気持ちええんやろか…?)」

手が、ずるり、と力なく落ちた。
「!」
湯当たりしたのだった。
「(初めてやったし、酔ってたもんなぁ…)」
うらみちゃんを抱き抱え、奥のベッドルームに運んだ。
「あ、」
ベッドは大きなダブルベッドだった。(あかん、わざとダブルで予約してたの忘れてた…)その上に、そっと載せる。
「(苦しいかな)」と思う反面、「(あぁ、早く上も見てみたい)」とも思う。

背中に手をまわし、ホックをはずした。起きないように、ゆっくりと脱がしていく。ごくり、と唾を飲んだ。
さっき、濡れた浴衣ごしに見た、うらみちゃんの胸。
こんなに形が良くて、きれいな色だなんて。


ベッドにゆっくり上がると、うらみちゃんの上にまたがった。
こんな日がくるなんて。自分の下で、うらみちゃんはすぅすぅと寝息をたてている。
自分の下で!
「(あー、早くうらみちゃんとセックスがしたいなぁ…うらみちゃんが、「トラさま、トラさま」って欲しがる声が聞きたい……つうか、目の前にこんな格好でいられたら、たまらんなぁ…!)」
そっと、首筋に顔を寄せる。
みみたぶを、はんでみる。
「ん…」
頭を、うらみちゃんの体に沿って下げていく。柔らかい、胸の先端を口に含む。(こんな事できんのは、ワイと……うらみちゃんの子供だけやとええな、)
変な事を考えつつ、舌でゆっくりと転がしてみる。(ちょっと甘い匂いがする…処女は甘い匂いがするって言うらしいけど、ホンマなんや…)
はぁ、と息をついて、胸に耳をあてた。
とくん、とくん、と心臓の音が聞こえる。これから、この音を速めてしまうのか。あのうらみちゃんが、息を荒げて鳴くと思うと、興奮して落ち着かない。
両足を持ち上げて、膝を立てる。うらみちゃんの下の口は、控えめに開いている。
入り口に、ちょっとだけ透明な粘液が溜まっていた。ゆっくりと指で口を広げ、ねろっと透明な粘液を舐めとる。まだ何も入れたことのない口を、舌で大事そうに愛撫する。きれいな色をしている。

舌を、ぐッと挿入させた。
びくん!と体が仰け反る。
「!」
がばっ!

…うらみちゃんが起きてしまった。
「……トラさま…?」
「…ご、ごめんな。こんなレイプまがいの事して……」
「また、トラさまに助けていただいたのですね…湯当たりしてしまうなんて…」
「た、助けるなんて、そんな大それた事ちゃうで、…」
「…どうしたんですか…?」
「い、いや、何も、あらへんで、やましい事なんて、何も!」
「……したんですね…。私の寝てる間に……を…。ずるいです…先に一人で…ヌいてしまわれるなんて…」
「ちゃ、ちゃう!ワイはまだ…!ごめん、ワイがあかんかった!うらみちゃんが寝てる時に、いたずらしてしまったんや!……うらみちゃんの体…舐め回しとったんや…(あー!うらみちゃんに完全に嫌われた!)」
「…トラさま…」
うらみちゃんが、小さな体で自分の頭を包むように抱く。
「…?」
「…そこまではっきり言われると…恥ずかしいです…」
「ごめんな!ワイ、起きるまで待っとるつもりやったけど…ワイも男なんや…。好きな女の寝顔見たら、かわいくて、」
「トラさま……私にも………させて下さい……」
「…へっ?ごめん、よう聞こえんかった」
「私も…トラさまの……、舐めたいです…」

「…びっくりせんでな、」
ゆっくりバスタオルを剥ごうとする。
「さすがに普通のタオルでは無理なのですね…」
顔を赤らめて言う。
まだいい。見たら、びっくりして泣きだしてしまうかもしれない。うらみちゃんの腕の太さぐらいあるかもしれないから…。初めて、自分のモノを恨んだ。もし、こんなモノを入れたら、……!

はらり。

「!」
「わー!」
「(うっとり…)さすが、…私のトラさまですわ…」
ぱくん。
「えっ!うわっ!う、うらみちゃ…」(うっとり…って何や?!うらみちゃん、そんなにワイの期待しとったんか?)
うらみちゃんは、くわえたものの、太さがあってうまく口に入れられず、先端のあたりを舐めている。
「ぷはッ」
途中で離した。
「じゃあな、うらみちゃん。咽喉の奥まで口を開けてみぃ…ワイが入れたる」
「…あんまり奥まで入れないで下さいね…。私、えづいちゃいますから…」
咽喉はイイ、とよく聞いたが、さすがにうらみちゃんの体では試したくなかった。試すなんて勿体ない。さっきくわえられてから、自分のモノはビクン、ビクンと大きな脈を打ち始めている。
「ほら、ちゃんと開けなあかんで」
「う、…んぐ」
半分くらい飲み込んだ。もう十分だ。


「歯ァ立てたらあかんで?もうちょっと、唇に力入れて。ワイが動かしたるから、うらみちゃんは何も考えんでええぞ。いいか?ちゃんとワイの言うこときいとったら、うらみちゃんとセックスするで。ワイだって、うらみちゃんと早うしたいんや。わかるな?」
目で返事をする。頭を撫でると、嬉しそうな顔をした。
そのまま、手に力を入れて、前後させる。時々、咽喉の奥まで達するのがわかる。
「むぐっ、んっ、」
更に大きくなり、硬くなってくる。背中にビリッと何かが走る。
「うらみちゃん、出る…!」

ビュッ…!
口から抜いて、出した。
「あっ!」
うらみちゃんの顔にかけてしまった。
「……?」
顔から、どろっと白い液体が頬を滴る。
頭がぼおっとしていて、液体が何かわからないでいるのか。口の辺りを舐め回し、味見をしている。
「ちょっと、苦いです」
「ごめん。出してええで」
手元にあったものをとりあえず渡す。ちょっと恥ずかしそうに受け取る。
「…それ…私の…」
自分が手にしたのは、うらみちゃんの水着だった。
「くすっ…トラさまってば……」
枕元のティッシュをとって、顔を拭いてあげた。
「…ぺたぺたする」
「顔、洗ってくるか?」
「…いいえ、構いません…」
「うらみちゃんの方も、ええ『具合』にせなあかんな」
「…?」


中指を入れる。中はまだ粘液の、ネトネトした質感がまとわりついてくる。中指の腹を、膣壁にぐいぐいと擦り付けてみる。
……ざらざらする。
「うらみちゃんも、ええモン持っとるみたいやで」
「え…?」
「ココや。わかるか?」
「は、…ぃ…」
「ココやで。ココでワイのモン気持ち良くしてくれや」
指の動きを加速させる。
「………ぃィ……」
うらみちゃんは半泣きで返事をした。
ビュッ…。
「!?」
自分もうらみちゃんも、一瞬何が起きたかわからなかった。
「いま…今のって、私……」
あぁ、今のトコが良かったのか。
処女なのに、潮吹きまでしてしまうとは。
「うらみちゃんの気持ちええトコが見つかったみたいやな」
「え!」
「…入れるで、うらみちゃん。」
「…やっぱり無理です……トラさまの…私の中に入りません…」
ぼろぼろと、大粒の涙を流し始めた。ここまできたのに、不安にさせてはいけない。
「…うらみちゃん、ワイの事、嫌いか?」
「……だ、…ぃ好きです…」
「ワイもうらみちゃんが好きや。だから、知って欲しいんや。ワイの事を。『好き』なのを、体で感じられるんや…後悔はさせへん。何だったら、ここで子作り宣言やってするで!」
うらみちゃんは顔を赤くした。
「…トラさまっ…はっきり言いすぎです…!」
「あ。」
始めて、自分が言った事の重大さに気付く。うらみちゃんはまだ泣いている。


「私…嬉しいです………して、下さい」
「大丈夫か?」
「私と…セックスしてください…」
「ああ、いっぱい愛したる」
どちらからでもなくキスをする。
うらみちゃんがキスで一生懸命な隙を狙って、自分のモノをうらみちゃんの体内へ押し込む。一瞬、入ったのを認識したのか驚いて目を見開いた。
やっぱり狭い。こんな小さな穴に挿入しようとしている自分がおかしいのか。ぐッ、ぐッとさらに押し込んでいく。
うらみちゃんは痛いのを我慢して悲鳴ひとつ洩らさない。キスを止める。
「……?」
「なぁ…お願いがあるんやけど……名前呼んでくれへんか。変に言葉で言われるより、ずっと興奮するんや」
「…『トラさま』…で、いいですか…?」
「そうやな。ワイもうらみちゃんて呼んだる」
「同じじゃないですか」
「いや、呼ばれたらきっとうらみちゃんも興奮するで」
「……トラさま、」
「恥ずかしい、とかはナシやで。ワイに全部見せるんや、いやらしい顔も、情けない顔も。ワイだけしか知らん、うらみちゃんの顔が見たい」
「嫌。だめ。」
「欲しがる顔も見たいな?」
ずるっ、と引き抜こうとした。


もちろんわざとだ。
「トラさま!嫌…!抜かないで下さい…」
「……」
「トラさま…、トラさまぁ…!」
「どうした?うらみちゃん。欲しいんか?」
「はぃ…」
涙を流しながら懇願してくる。
「エライいやらしい顔やな」
先端が、入り口まで戻ってくる。ちょっと血をまとわりつけながら。
「何が欲しいんやろな?」
「と、トラさま、トラさまが…」
「ええぞ、ええぞ。ワイも興奮してきたからなァ、うらみちゃんにあげたるわ」
グン!と突然奥まで突き上げた。
「ひあぁッ!」
まだ全部は入りきらない。
「このまま、抱っこしたるわ」
上体を起こし、持ち上げた。
「……あかん手がすべった…」
わざと手を離した。うらみちゃんの腰が自分の腿に打ち付けられ、根元までずぶりと入る。
「あ!…ぅぐ…ッ」
「全部入ったなあ?ええ眺めや。……締まりも、ええなぁ…!」
ゆさゆさと腰を動かす。そのたびにうらみちゃんの声が漏れ、キュッ、とよく締まる。
「気持ち良くなってきたか?」
「も…ぅ……だめです…!」
頷く。
「ワイも、もうイカせてくれへんか」
ぎゅっと体を押しつける。と、同時に、中に射精した。
自分がイッたあとも、さらに中を突く。
「女の子はイクのが長いからな、…ちゃうか?」
「ふぇぇん……トラさまのえっちぃ…」


急に甘えっ子になった。今まで我慢してたのかもしれない。
「もっと、甘えていいんやで。」
「…子供扱いしないで下さい…」
「さっきまで、生娘やったのに一度セックスしたらもう女ヅラか?」
「トラさまの女ですもの」
「そんなセリフをすらっと言えるようになるとは、さすが組長の孫やな。オトナの女になったから言うて、甘えてはあかんて事ないんやで?」
下のほうは入れたまま、強く抱き締める。
どきん、とうらみちゃんが疼いた。
「どうや?これでも強がるか?」
「ずるい………トラさまので、……熱いです」
素直に言ってくれると、恥ずかしいけどかわいい。
「そうやろ?ワイも、うらみちゃんの中、エライあったかくてごっつ好きや」
「……恥ずかしい、」
うらみちゃんから、ずるっと抜かれた。立ち上がり、浴衣をなんとなく羽織ってベッドを後にした。少し、寂しい。
「(トイレか?)」
ちょっとして、うらみちゃんがお盆に何かを載せて持ってきた。
「お茶…持ってきました…トラさまと、お茶が飲みたくて……」
『夜明けのコーヒー』ならぬ、『夜明けのお茶』、か。やってみたかったんだろうなぁ。お茶ってトコがうらみちゃんらしくてかわいい。まだ夜だけど。
一杯、飲み干す。
「うらみちゃんのお茶は、やっぱ旨いわ」
「……飲みましたね」
「へっ?」
股間がびくん、と持ち上がった。落ち着け、落ち着けと必死に言い聞かせるが、どんどん血の循りがよくなっていく。
「う、うらみちゃん、何か入れたんか!」
「……バイアグラを少々……」
「(少々って何錠や?!)」
「お約束、守っていただかないと……」
「ハァ、ハァ……ッ…(あかん!今ヤッたばっかりなのに、またムラムラしてきた!)」



「いっぱい、愛してくださいね……」
「ハァ、…うらみちゃん、今日は一段とかわええからいじめたるわ。」
鞄の中から、今日の為にもってきたものを取り出した。
「と、トラさま!もしかして最初から…?」
「念のために持ってきてたんやけど、まさか使えるとは思えんかったなぁ」
いわゆる、大人のオモチャとやらだ。
「うらみちゃんが何もせんように、」
お気に入りの金のネックレスを外し、うらみちゃんの手首に絡めて縛る。
「あッ!」
「せっかくやから、今日は、うらみちゃんの後ろの方も……いや、下半身全部気持ち良くさしたる」
「後ろは…!だめ、トラさまのでは、こわれてしまいます……!」
「そうやな。ワイのは、うらみちゃんの『女』になったばかりの穴に入れような。」
「………はい」
「大好きやで、うらみちゃん。」
こんな事いえるようになるなんて。
「ほら、後ろ向いて四つんばいになるんや。ワイに穴をよう見せるんやで。違うトコ入れたらあかんからな…広げんでええぞ、ワイだけが見るんやからな。」


指に唾液をからめ、後ろの穴に軽く擦り付ける。ひくん!体が少し、反応した。中指をゆっくり挿入させていく。
「ヒッ…!」
続けて、自分のサオも、さっき入れたコトのある穴に、挿入する。
「ほら、わかるか…?うらみちゃん、ワイと二ヶ所も繋がっとるで?うらみちゃんの、薬のせいでワイのイチモツがこんなにデカくてガチガチになっとるんや。責任とってや!」
「………うん……!私の中にトラさまの…」
「指、もう一本くらい入るんとちゃうか?」
人差し指も、ねじ込んでいく。
「ああああッ!イヤァァッ!」
「入るやないか。よう締まるなァ。じゃあ、あとはコレで仕上げや」
手元のローターを、うらみちゃんのクリトリスに押しつける。
「あッ!あッ…!」
ビュッ、と熱いものが手にかかった。
「今度はワイので潮吹けたみたいやな。ええ子や」
「私、もう、だめ…ですぅ…!トラさま…ト、ラさまぁぁッ!」
「ええで!うらみちゃん…!」
もう、射精したくて仕方なかった。
「…………ッッッ!!!」
「トラさま……大好きです…」



うらみちゃんは、イキつかれたのか、安心したのか、そのまま寝てしまった。
涙が一筋、流れている。ヒドイ事をしてしまったとつくづく思う。初めてのセックスなのに。
うらみちゃんの中からすべて引き抜き、隣に横になる。
「ん……」
自分のほうがわかったのか、こっちに寝返りをした。
すごい近い。
「(こんなオッサンを夢中にさせるなんて、たいしたお嬢さまや…)」
半開きになっている唇に、自分の唇を軽く重ねる。
「……?」
うらみちゃんが、ゆっくり目を開けた。
「ごめん…。起こすつもり無かったんやけど」
「いいえ、…トラさま、いつも私が寝てる時にキスするの、ずるいです…。」
「しゃあないやろ。うらみちゃん、かわええんやから」
「…………………」
「なぁ、うらみちゃん」
「明日、晴れたら海に行こうな」
「……はい」
「海で、うらみちゃんのビキニ姿が見たいなぁ」
「…トラさまのえっち…」
「ん?何やて!ヤリたいんか?」
「……違います……でも、」
「外でヤるのもええで?」
「……もう、」
ちょっと照れた。図星だったのかもしれない。
「トラさま……今だけ、じゃないですよね」


「ナニを心配しとるんや?事務所戻ったら何もせんと思うんか?」
「………」
「仕事中でも、ヤリたかったらワイはいつでもうらみちゃん犯したるで。…うらみちゃんもワイの事好きやってわかったからな」
かあっ、とうらみちゃんの顔が途端に赤くなる。
「かわええなぁ。」
無言のまま、自慢の胸板に頭を寄せた。
「トラさま、ドキドキしてます……」
「ん、ん……」
うらみちゃんに、心臓の音を聞かれた。口では余裕をかましていたが、心臓は、ものすごく脈を打っている。
「(あー、ワイでもフツーの恋できるんや…)」

明日は晴れたらええなぁ。
らしくない事を切に思った。
最終更新:2006年12月13日 08:39