真宵×千尋③

「……はぁっはぁっ」
男と女の荒い息づかいが聞こえる。
その息づかいを押し殺そうとしているのはわかるが、
それは全く無駄な努力に思えるほど激しいあえぎ声だ。
暗く、はっきりとは見えないが二つの肢体は絡み合い、
お互いを激しく求めあっている。
もし今求め合うことをやめたら
二人の体がもう二度と逢瀬を楽しむことができないかのように。

「お姉ちゃん……ナルホド君……嘘でしょ……?」
その様子を物陰から見ている少女がいた。
眼前で繰り広げられているよく知っている人たちの行為は
彼女にはとうてい受け入れられるものではなかった。
でも、自分の中が熱くなるのをはっきりと少女は自覚していた。
全身を血が早くめぐっていくのを感じていた。
少女はゆっくりと自分の指で
一番熱くなっているところをショーツの上から触れる。
「あっ……」
自分で作り出した快楽が彼女を襲う。
指をゆっくりと動かし、布の上からも分かる小さな突起に指をこすりつける。
「ダメぇ……」
布越しの刺激ではものたりなくなった少女は
ショーツの中に手を滑り込ませる。
そこはもうすっかり濡れそぼっている。
「凄い……こんなに……」
指に粘液を絡め取り、直に敏感な突起にこすりつけ、
ぐちゃぐちゃとかき混ぜるように指を動かす。
「あッはあっ」
徐々にその速度は速まっていく。
「おねえ……ちゃん、一緒だね……」
達する寸前、少女の目には同じく快楽の頂点に達した姉の、
自分が始めて見る恍惚とした表情を確かに見た。



成歩堂は少々困っていた。
数日前から真宵が自分に対して少し冷たくなったように思える。
別に今までと変わらないが、言葉に刺があるし多少つっけんどんになった。
だから何かを頼むのも、今はちょっと気が引ける。
しかし現在扱っている刑事事件に関して彼女の特殊な力を借りなければ
いけないというところまで追いつめられていた。
「あ、あのさ、真宵ちゃん」
若干遠慮気味に真宵へ声をかける。
「何?」
その声はどこか冷たい。
「千尋さんを霊媒して欲しいんだけど」
「は?」
目つきが怖い。
やっぱり普段の真宵とは違うと成歩堂は思った。
「いや、いやいやいや、ダメだったらいいんだけど」
「あの、依頼人が死人と一緒の密室にいた事件?」
「そうなんだ。千尋さんの助言を仰ぎたいなって」
成歩堂は頭をかいた。
「行き詰まっててさ」
「別に、いいけど……」
真宵は数日前の、自分の姉とこの目の前の男との情事を目の当たりにしていた。
ためらうのは当然と言えるかも知れない。
今二人を会わせたらどうなるか。
二人の間を沈黙という冷たい空気が流れたとき、元気な声が聞こえた。
「こんばんは!」
そこに春美が元気にドアを開けて事務所に入ってきた。
3人でラーメンを食べに行こうと約束していたのだ。
「今日も遊びに来ちゃいました。
お二人の夜のおデート、お邪魔かもしれませんが……」
くねくねと恥ずかしそうに笑いながら春美は一人で盛り上がっている。
「いや、いやいやいや、大丈夫だよ、はみちゃん」
真宵が慌てて言う。
成歩堂は自分の財布を念のため覗いた。
最悪なことにそこには1000円札が一枚入っているだけであった。
一人一杯500円のみそラーメン、それを3人で食べるのは明らかに無理だ。
しかも真宵は卵だのチャーシューだののトッピングを毎回頼む。
そしていつもそれは成歩堂払いである。
「コンビニ行っておろしてくるよ。
買ってきたいものもあるから
二人ともちょっと待っててくれるかな」
そう言うと成歩堂はバタバタと事務所から出て行った。
「あーあ、行っちゃったよ、ナルホド君。
肝心なときに役に立たないんだから」
「そうですか?」
「そうだよー」
そう言いながら真宵は春美の顔を顔を見た。
その時、彼女はあることを思いついた。
「ねぇ、はみちゃん。悪いんだけど今お姉ちゃん呼び出してくれないかな」
「はい、千尋様ですか?」
「そうそう、ダメ?お姉ちゃんに久しぶりに会いたいなって」
「いえ、真宵様のお願いでしたらそれはもう、喜んで!」
春美は嬉しそうに飛び跳ねる。
「ありがとうね、はみちゃん」
そう言った真宵の顔は、言葉とは裏腹に
表情は冷たかったのを春美は全く気づいていなかった。

「久しぶりね、真宵。どうしたの?」
春美の霊媒した千尋が姿を現した。
生前と同じまなざし、優しい微笑み。
真宵は千尋が昔から大好きだった。
優しくて、かっこよくて、聡明な自分の姉。
何かがあったら助けてくれて、いつも自分を守ってくれていた大きな存在。
でも、数日前の姉はいつも知っている姉ではなかった。
一人の女であって、自分の姉ではないと思った。
でも……
「お姉ちゃん」
「ん?」
千尋は妹のいつもとは違う様子に気が付いた。
いつもなら喜んで飛びついてくるのに今日は表情が暗く、おとなしい。
「お姉ちゃんは、私のお姉ちゃんだよね?」
ゆっくりと真宵は千尋の胸にもたれかかる。
「当然じゃない。どうしたの?」
千尋は、いつもと違う妹にとまどいながら真宵のかたに触れた。
「私だけの、お姉ちゃん」
「ま、よい!?」
千尋は驚いた。
真宵がいきなり装束の袷から手を入れてきたのだ。
「でも私知ってるんだ」
真宵は頬を千尋の胸の谷間にすりつけながら、手のひらで千尋の胸を揉んだ。
「ちょっ、真宵」
その手を払いのけることもできずに、千尋は驚くばかりだ。
「お姉ちゃん、いいにおい……」
「どうしたの?ねえ」
「ナルホド君ずるいよね。お姉ちゃんとっちゃうんだもん」
「え?」
「知ってるんだ。ナルホド君とエッチしたでしょ」
真宵は顔を上げ、千尋の顔を見た。
彼女の目には生気がなかった。
その表情に千尋は背筋に寒いものがはしった。
「お姉ちゃんもお姉ちゃんだよね。
ヒドイよ。私だけのお姉ちゃんなのに、ナルホド君と……」
どんっという大きな音がした。
真宵が千尋を床に突き飛ばしたのだ。
そして真宵は床の上であおむけになっている自分の姉にまたがり
相手の顔に自分の顔を近づける。
「私、こんなにお姉ちゃんのこと好きなのに」
苦しそうな顔でそうつぶやくと
真宵は千尋の唇に自分のものを重ねた。
「んんっ」
真宵の舌は積極的に千尋の中へ入り込み、
千尋の舌を絡め取る。
なぜか千尋は抵抗できなかった。
自分が成歩堂とセックスをしていたことを知っている驚きもあったし
妹の思い詰めたような表情のせいで抵抗する気が起きなかった。
時々口から二人の唾液は混ざり合う音が漏れる。
「お姉ちゃん、おいしいよ」
唇を離し、唾液が糸を引いた舌を出したまま真宵は笑う。
「次はやっぱりおっぱいだよね」
千尋の装束の前を開くと手のひらで胸を包み込む。
しかし千尋の豊満な胸は真宵の小さな手にはもちろん収まりきらない。
「お姉ちゃんはぎゅってされるのが好き?
それともゆっくりナデナデされるほうが好き?」
「真宵……やめましょう」
「ナルホド君なら知ってるのかな」
真宵は千尋の胸を揉み始めた。
「やわらかい……」
千尋の胸は真宵の手の中で様々に形を変えていく。
「んっっ」
「あ、お姉ちゃん感じた?」
嬉しそうに真宵が千尋の顔をのぞき込む。
「お姉ちゃん、私が揉んでも感じるんだ。嬉しいな。じゃあ、次は」
真宵は千尋の大きな胸の頂上へ顔を寄せる。
「これね、一回吸ってみたかったんだ」
そう言うと、舌をぺろりと出して千尋の乳首を舐めた。
「真宵!」
千尋は真宵の肩をぐいっと掴み、上半身を起こした。
「やめましょう、真宵。こんなっ、こと」
いきなりの千尋の抵抗に一度は驚いてまん丸になっていた真宵の目は
悲しそうに潤んでいく。
「何で?何で私とじゃだめなの?
お姉ちゃんナルホド君とはこういうことしてたんでしょ」
「そうだけど!でも、これは違うわ」
「何が違うの?何で?何で私だけ仲間はずれなの?
私、こんなにお姉ちゃんのこと好きなのに!」
真宵の目から大粒の涙がこぼれた。
「お姉ちゃんの分からず屋!もういい!もうっ……」
真宵は側の机の引き出しを開け、なかをまさぐって
成歩堂の予備のネクタイを取り出すと
千尋の腕に巻き付けてあっという間に両手を縛り上げた。
「真宵」
「もういいよ。私、自分の好きにするから」
先ほどまで涙が出ていたはずの真宵の目はすわり、
冷酷な表情になっていた。
「お姉ちゃんなんか大っ嫌い」
そう言うと、千尋の装束を無理に脱がせる。

「痛っ」
痛がる千尋を無視し、全て服を脱がせ終わると真宵自分も服を脱ぎ、
再び千尋にまたがって乳房を強く揉みしだき、乳首を乱暴に吸う。
「う……アアっっ」
思わず千尋は声を漏らした。
実の妹からもたらされる快感は、心では受け入れられるものではなかったが
肉体は確実に受け入れていく。
「真宵、んっハァッ、お願い、やめ」
「何言ってるの?お姉ちゃんこんなに感じてるのに。
ナルホド君がカイハツしてくれたんでしょ?」
腹や腕に唇を真宵が這わす。
「ここがいいの?」
姉の感度のいいところを驚くほど確実に責め立てる。
「いや……はッ」
「そんなに感じちゃってたらさ、ここも」
真宵は指を下半身の割れ目にのばした。
ぐちょっという湿った音がした。
「やっぱり、濡れてる。しかもビショビショ。
お姉ちゃんってば、すごい淫乱だったんだ」
真宵は意地悪い表情で笑う。
千尋はそんな真宵の顔を見たのは初めてだった。
「真宵……」
自分を快楽へと責める妹の姿を見ながら、
ひたすらそれから逃れることができない自分が情けないと千尋は思った。
体は素直に反応して、どんどん体中が熱くなっていく。
実のかわいい妹と何をやってるんだろう。
こんなにその妹を豹変させてしまったのは自分……なのか。

その時、その男は帰ってきた。

事務所の入り口のドアの開く音を真宵は聞いていた。
それは成歩堂の帰りを意味していることもよくわかっていた。
でも千尋を責める手を止めなかった。
止めたくない。
真宵の後ろで成歩堂は立ちすくんでいた。
「ま、ま……」
薄暗い事務所に信じがたい光景が広がっていた。
いつもは無邪気な少女が、暗くてよく見えないが誰か女性の上に馬乗りになって
その女性をもてあそんでいる。
少女の顔にいつもの面影はなく、冷たい表情で口元だけ笑っている。
「真宵ちゃんっ」
成歩堂は真宵の肩につかみかかり、自分の方に向けた。
「何やってるんだ!」
真宵はうつむいたまま振り返る。
長めの前髪に隠れて目が見えない。
「おかえり、ナルホド君」
そう言うと、真宵は顔を上げ、成歩堂を見て薄気味悪くニヤリと笑った。
街頭の光が不気味に真宵の顔を照らし出す。
「多分まだ時間かかるよ」
成歩堂はその時、ようやく相手方の女性の顔を見た。
それは、千尋だった。
真宵は実の姉の千尋に、真宵は一体何をやってるというのだ。
「ナルホド君はさ、そこでオナニーでもしてたら?」
真宵は力一杯成歩堂をソファの方へ押しやった。
成歩堂はよろめいてソファに尻をぶつけた。
もう何が何だか分からない。
座ったまま身動きできない。
「ナルホド君なんかにお姉ちゃん触らしてなんかあげない」
そう言うと真宵は千尋の割れ目にある敏感な突起に触れていた指に力を入れた。
堪らず千尋は声を出す。
「いやァッッ」
「カワイイよ、お姉ちゃん」
真宵は千尋の太股を押し上げる。
千尋の割れ目は露わになる。
ぬらぬらと粘液で濡れたそこは艶めかしいというより卑猥だ。
「カワイイ……」
真宵はそこをうっとりとした表情で眺めていたが、
すぐにその上にまたがり、千尋のそこと自分のそこを密着させた。
ぐちょりという音が聞こえる。
「私も濡れてるんだ、ねっ」
ゆっくりと真宵は腰を動かす。
「エッチなお姉ちゃん見てこんなに濡れちゃったんだよ」
「……はあぅッ」
真宵にも、そして千尋にも新たに快楽の波が押し寄せる。
湿ったものが擦れ合う、ぬちゃぬちゃという音が絶え間なくする。
「まっよいィ」
「ハアッ、ハアァッ……お姉ちゃん……私もきもち、いいよぉ、もぉ、ああっ!」
真宵は軽くイッた。

満足そうにほほえむ彼女はいつもの彼女のようにも見えたし、
全く違うようにも見えた。
千尋は真宵の下でぐったりとしている。
真宵は千尋にキスをし、
「お姉ちゃん、やっぱり大好き」
と言った。
そこで真宵は成歩堂の方を見た。
成歩堂は目を丸くして二人の情事を見ているしかできなかった。
しかし男の本能には実に忠実だった。
彼の息子は堅くなり、ズボンを持ち上げている。
「ナルホド君ってやっぱりお姉ちゃん好きなんだ」
真宵は成歩堂のそれをズボンから素早く取り出すとぐっと掴む。
「お姉ちゃんはナルホド君好きなんでしょ?」
「それは……」
成歩堂ははっきりとは答えられないでいた。
「そうでしょ?勃起なんてさせちゃってさ。
お姉ちゃん見て興奮しちゃったんだよね?
あの日の夜だってはみちゃんが霊媒したお姉ちゃんとエッチしてたでしょ?」
真宵は成歩堂を掴む手の力を強める。
「いいよ、ナルホド君。
ナルホド君がそんなにお姉ちゃん好きだったらさ」
成歩堂のモノを掴み、持ち上げようとした。
正直なところ痛かったので成歩堂は真宵のされるがままにソファから立ち上がる。
「お姉ちゃん、ナルホド君のお○んちん舐めてあげてよ」
「ちょっと……待ってよ、真宵ちゃん」
「何?妹の私が認めてあげるって言ってるんだよ。
舐めてもらいなよ。気持ちいいよ?」
「そういうっ、そういう問題じゃないだろ」
「何が違うの?」
さらに真宵は無理やり成歩堂の肉棒を引っ張り
床で半分放心している千尋の口に押し込んだ。
「ムぐッ」
千尋の目は驚いて見開かれた。
「ほら、お姉ちゃんも舐め舐めしなきゃ。」
泣きそうな顔で千尋は成歩堂の顔を見る。
しかし成歩堂は千尋の口から自分のモノを抜くことができなかった。
熱いその感覚と、奇妙な感情が彼の中で何かを壊れさせた。
「しょうがないからナルホド君、自分で動いたら?私は……」
真宵は再び千尋の足を持ち上げ、
千尋の濡れそぼっている割れ目に口を近づけると舌で粘液をすくい取り、
そして吸い付く。
「お姉ちゃんはここまでおいしいんだ」
さらに指では堅くなった千尋の一番敏感な突起をつまむ。
千尋は口には太い肉塊を出し入れされ、果てしない快楽を下半身に与えられて
意識が朦朧とし、訳も分からず口と舌を動かし続けていた。
目の前がどんどん白くなっていく。
最後に聞こえた言葉は
「大好きだよ、お姉ちゃん」
という妹の声だった。
その後真宵が千尋の顔にまたがり自分の割れ目を千尋の舌に擦りつけて達し、
成歩堂が千尋の中に白い濁った液体を発射したときまで、
千尋はその白い光の世界にいた。

汗と粘液とでべたべたになった体を千尋は床の上に横たえていた。
泣きたかった。
でも涙が出ない。
何だろう。一体、今日は何だったんだろうか。
実の妹から辱めを受けるなんて、この世の中にあっていいのだろうか。
「お姉ちゃん、泣いてる?」
その妹の声が上の方から聞こえる。
「……」
返す言葉が見あたらない。
何て答えたらいいのだろうか。
「私、お姉ちゃん大好きだからっ、だから……」
ゆっくりと上を向くと唇を噛んだ真宵がいる。
「だからナルホド君にお姉ちゃんのこととられたのが悔しくて、
寂しくて、だからっ、だから私のこと嫌いにならないで」
自分が死んだ直後に泣いていた妹。
そのときと同じ表情だった。
でも今は状況が全く違う。
かわいい妹。いつでも自分を慕ってくれる妹。
彼女が自分のことを好きでいてくれるのはよかった。
しかし真宵に対する感情は今はとても整理しきれるものではなくない。
それに成歩堂に対する感情も。
体を彼には許した。許してもいいと思ったから、許した。
でも今日のは一体何だったんだろう。

千尋は体をゆっくりと起こした。
だるい。
「……」
真宵は千尋の腕を掴んだ。
「ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
成歩堂も不安げな顔をして千尋を見ている。
「あの、僕……」
あのとき、この2人を結局自分は受け入れたんだろうか。
強姦された気分だが、強姦と言えるのだろうか。
自分は真宵を、そして成歩堂を強くは拒否しなかったように思える。

すべてが嫌になった。
千尋は死んでからこんな思いをするなんて全く考えたこともない。
「さよなら」
自分でも分かるほど冷たい声でそう言って千尋は春美に体を帰した。

3人がそれまでの関係を取り戻すのはもう無理だろう。
そして、何とか3人の間にあるわだかまりがとけるのは相当先のことであった






最後はマヨナルチヒでしたが、マヨチヒ終了です。
説明不足で本当にスマソ
976氏のおっしゃるとおりです。

真宵ちゃんのふたなりとか色々考えたんだけど
結局、最初考えてたより盛り上がらずマズーな感じに……
しかも下手に暗いし。次回はもうちょっとガンガルぞー

続き待ってると書いて下さった方本当にありがとうございます。



976氏
恐らく春美が霊媒した千尋さんとなるほどくんがハァハァしてるんでしょう。
最終更新:2006年12月12日 20:07