ミリカ×リロ?

「ねぇリロくん、ミリカと一緒にお風呂入らない?」
 夕食を終え、自室に戻ろうとするリロくんとベンに、ミリカはそう声を掛けました。
「……。………。…今、オメエ何つった?」
 思わず、リロくんは訊き返しました。ベンは固まっているみたいです。
「一緒にお風呂に入ろうって云ったの」
 …一緒に、お風呂に 入ろうって 云ったの…?
目の前の…この、団長の一人娘で、サーカスの猛獣使い、麗しのマドンナ・ミリカが?
天使のような愛らしい声で無邪気に、一緒にお風呂に…??
「「…えええええええーーー!!!??」」
 思わず月まですっ飛びかけたリロくんのドタマを、すんでのところでベンは押さえつけました。
「…みミみみミリカ、お前マジ?マジで??」
「…ほ、本気で?」
 とんでもないことを云い放ったと、二人は脂汗をだらだら流しながら尋ねます。
「オ、オレ最近耳掃除って確かしたよなぁベン…?」
「う、うん…ホコリたまってたから昨日」
「…イヤなら別にいいの、誘ってみただけだから」
 ついと、ミリカは引き返そうとしました。
「や!ややややや、イヤとはオレは云ってねえ!!」
「で、でも…」
「ベン!テメエは黙ってろ!」
 戸惑うベンに、リロくんはつぶらな目玉をひん剥いて怒鳴りつけます。
「なんかケンカするみたいなら、ミリカ別にいいんだよ?」
「してねえしてねえしてねえよ!オレとベンはこーんなになか よ し!な!ベン!!」
「う…うん…」
 リロくんは短い腕でベンに抱きつきます。なかよしです。
「なーんだ、よかった。じゃ、行こっかリロくん」
「は、ハハハハイー!!」
「……」
 リロくんと手を繋ぎお風呂場へ向かおうとするミリカに、のろのろとベンは付き添います。
「あ、ベンさんは違うよ」
「…え」
「ミリカがお風呂に誘ったのはリロくん」
「そーだよ!オメエなんかが誘われるわけねェだろ!!バカバカバーカ!」
「……」
 あっさり、ベンは切り捨てられてしまいました。ショックです。
「じゃ、リロくんはミリカが連れて行ってあげるから。ベンさんまたね」
「あっ……」
 こうしてリロくんはミリカと共に、ベンの元から風呂場へと消えていってしまったのでした…。
「………」
 その時、置いてけぼりのベンの背中は、形容し難いほどに寂しかったといいます。

「あれ?なんかリロくん無口になっちゃったね」
 脱衣所に入ったとたんに黙りこくってしまったリロくんに、ミリカは首を傾げます。
「恥ずかしいのかなぁ?もしかして、女の子と一緒のおフロは初めて?」
 リロくんはその蝶ネクタイが素敵な洋服を脱ごうともしません。
「じゃあ、ミリカが脱がせてあげるね」
 優しいミリカは、リロくんのお洋服をとってあげると、続いて自分もさっさと脱ぎ出しました。
そこに現れたるは、一糸纏わぬミリカの花も恥らい玉も転がるまばゆいばかりの玉の肌。
 思わずどこぞの霊媒師と弁護士が視覚的デュアルショックをかましながら絶賛せざるをえないほどの
輝きを直に受けて、リロくんも全く言葉が出ないようです。

「ふぅ…きもちいいね…リロくん」
 リロくんを折った膝の上に座らせ、湯船に浸かったミリカは息を吐きます。
「ふふふ…ミリカ、おっきくなってから男の人に裸を見せるのは、リロくんが初めてなの。
でも他の人にはナイショなんだからね。リロくんは特別にしてあげる」
 ミリカはにっこり微笑んで、リロくんの顔を撫でます。
「…そういえばなんだか最近、ミリカ前よりおっぱいがおおきくなってきたみたいなの」
 湯船の中の自分の胸を覗き込みながらミリカはそう云います。
リロくんの目線は真っ直ぐミリカの膨らんだ胸に注がれています。
「リロくん触ってみたい?」
 そう云うミリカの導きのままに、リロくんの小さな手はその乳房を優しく撫でました。
「ん…なんか、変な感じ…。前は触っても痛いだけだったのに…」
 リロくんの両手がふたつの胸の先をくりくりと弄りだすと、ミリカの乳首はぴんと起き上がり、
なんだか胸全体にも張りが出てきました。
「…でもねえ、ミリカキスしたことあるのよ。パパ以外の男の人と…」
 ミリカは胸を触られ続けたまま、こわばってきた脚を無意識の内にきゅと締めて、
その何かを感じもらさないようにと目を瞑りました。
「あのね…ミリカが初めてキスした人はバットなの。その時のバット、頭とかから血が出たままで
寝てたんだけど、ミリカがキスしたら起きるかなと思ったのね。ちょうど、白雪姫や眠り姫の逆みたいに。
でも、だめだったの。それからバットいなくなっちゃった。知ってる?バットはお空のお星様に
なっちゃったんだって。もしかしたら、窓から見えるあの星はバットなのかも。…だとしたらエッチね。でも、バットならミリカ許してあげる…」
 いつのまにかミリカはリロくんを膝の上に預けたままにして、自分自身の指で乳首を弄んでいました。
寒くもないのに、肩はぷるぷると少しばかり震えています。
「な、なんかミリカのぼせてきちゃったかな…、少し頭がくらくらするの…」
 ミリカは湯船から上がって体を洗うことにしました。

 自分に石鹸を擦りつけながら、リロくんも一緒に洗ってあげます。
「なんかね…おかしいな、さっきからおしっこのところがむずむずするの…」
 手でいつものように大事なところを優しく洗うと、不思議な感覚がミリカを襲いました。
「な、なにこれ…、やっぱりミリカおかしいのかなぁ…」
 体の奥に広がる初めての感触を求めて、ミリカは恍惚の表情で喋り続けます。
「それでねぇ…実は最近もうひとりキスした人がいるの。誰かっていうとね…えへへ、マックス。
マックスとキスしたのよ。それで、ミリカとってもいい気分でね、もっとしてって云ったの。でも、だめなんだって。その時のマックスはね…」

  …だだだだ、そんなダメだぁ!嫁入り前の娘っこにチュチュチュチュ~以上のことなんか
出来っこねぇべ~!チチチチッスだってオラ、じゅーぶんお天道様に申し訳立たねってのによ~…。
…ゴホン!と、とにかくボクはマイハニーには、結婚式で三々九度…いや、チャペルを鳴らすまで、
キレイな体のままでいてほしいと思ってるんだよ…わかるかい?マイスウィートハニィ?
でもそれまで、ボクの心はキミのもの。だからキミの心もボクのものだとプロォミスミゥィィィッ!

「は…ぁ、ふぅん…ゃ、ぁ、うぅ、ン…」
 いつのまにか息遣いを荒くしながら、ミリカはリロくんの手を借りていまだに
大事なところをちゃかちゃかと素早く擦りつけるように洗っていました。
「…なんか、面白いこと云ってたんだけど、とにかくパパと一度お話するんだって…」
 指の動きだけでは満足できず、ミリカは前後左右に腰を振り、脚を大きく開いて
足先までピンと伸ばしハァハァと息を吐きました。       
「…だからミリカ、リロくんとキスは出来ないの…でも、なんか…」
 リロくんの少し硬い手はミリカのあそこから溢れる透明の液体でいつのまにかぬるぬるになっています。
「リロくん…ここ…すごく変な感じだけど…気持ちいいよぉ…」
 ミリカは頬を赤く染めて、切なげに呟きました。リロくんの目はどこか虚ろです。 
「ま、まだやめないでぇ…」
 湯気の漂う浴室に、ミリカの声だけが響いていました。

 そして、そんな声も届かない寒空の下、ベンは口の悪い相棒の帰りを膝を抱えて待っています。
我らがマドンナに切ない想いを馳せながら、彼の呟きは北風に乗って消えていきます。
「………ミリカ…」
 そうして、ベンの背中は煤けるどころか、白い雪が降り積もっていくのでした…。

おわり。
最終更新:2006年12月12日 20:11