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+*摂政の猫缶計画~魚と野菜と若鶏と~(アシタスナオ)
 
+ キノウツン藩国摂政、アシタスナオは困っていた。
+どうも、王猫のキノウ=デレが食事に飽きたらしいのだ。
+アシタスナオは猫の食事については、味はもちろん栄養分などを入念にチェックしてある。
+猫はタウリンなどの必須栄養素などが多いからである。
+猫の健康に気を使うのは、ダメなほうの摂政のアシタスナオの仕事であった。
+
+「まいったなぁ、どうして食べないのか…」
+アシタスナオは困っていた。しかし困ったままでいるわけにもいかないので、調査を開始した。
+その結果、食事ローテーションの中で、決まった時だけあまり食べないのであった。
+「…そうか、猫缶だ」
+どれだけダメな摂政でも、これくらいには気付けた。
+食事が猫缶の時だけ、デレは早々に食事を切り上げるのである。
+「つまり、今までの猫缶に飽きた、というわけだ」
+しかし、答えは分かった、めでたしめでたし…とはいかない。
+今このキノウツン藩国は食糧難である。
+もっといえば、どの国だって食糧難であった。
+ならばもちろん、猫にだって食糧難はくるわけで。
+実際、今の猫缶も残り少なく、新しい味を求めるならばいましかない、と考えた。
+猫が納得する味を、満足できる分だけ用意するのだ。
+
+「よし、ならばやらねばなるまい」
+猫士の危機を救うのは僕だ、再び猫缶を掲げてくるくる回る日を取り戻すのだ、と。
+変人と揶揄され続けた摂政のひっそりとした戦争が始まった。
+
+ さて、猫缶を作るという事は、当然材料が必要になる。
+普段はもう一人の摂政、DeepBlueが本を漁っている書庫に、アシタスナオは訪れた。
+猫缶に適した材料を調べるためである。たくさん取れれば、国民の食事もまかなえるかもしれない。
+
+ドカッ、と重そうな本をテーブルに置き、本を開く。
+
+「えーと、猫缶の材料猫缶の材料…あ、あった。何々、猫缶の材料は魚だけではなく、若鶏のささみ、レバー、野菜なども用いられる事がある、と…。猫=魚、という発想だけでは駄目なのか」
+なるほど、とアシタスナオは頷いた。なら善は急げとそのまま政庁を飛び出した。
+出しっぱなしの本は、後ほど怒られたのはいうまでもない。
+
+1:魚類
+「しかしまあ、まずは魚だよな」
+アシタスナオは、藩国の海岸に来ていた。今現在、メイド達が漁業の真っ最中である。
+「負けるわけには行かないな」
+などとつぶやくアシタスナオ。しかしその姿はあまりにも珍妙であった。
+「ふぅははははー、この日の為に自作した、水中用スーツ、その名もマーマン3号! いざ、とう!」
+どう見ても魚人のきぐるみである。まさかこれで飛び込もうというのか…いや既に飛び込んだ。
+「がぼごぼげべぶべら、あばばばばタスケテー、ヒャー」
+もちろんこんなスーツでは泳ぐ事などできはしない。結局岸に流れ着いた後、スーツを脱いで再度海に出た。
+しかけ網をしかけ、後ほど回収する。満足のいくだけの魚を取る事が出来た。
+これを元に、猫缶を作るのだ。
+
+2:野菜
+これについては、我が藩の名産品、食用サボテンがある。
+試しに数個用意させ、野菜中心の猫缶のレシピを製作することにした。
+
+3:若鶏
+さて、これが問題である。我が国で鶏が手に入るのか。
+これについては、完全にお手上げかに見えた。
+だがしかし、アシタスナオは小さい頃に近所のじっちゃんに聞いた話を思い出したのだった。
+
+「よいか、我が藩の砂漠には、砂漠で暮らすセンシュウ鶏という珍しい鶏がいてな…」
+そうだ、確かそんな話を聞いたはずだ。続きを思い出せ、思い出すんだ。
+「…を越えた所、そこにセンシュウ鶏の巣があるのじゃ」
+それだ!
+
+アシタスナオはそのまま飛び出していった。
+おかげで、砂漠で何度も喉がからからになって砂漠で倒れそうになる。
+砂漠を右往左往とさ迷い歩き、ついにセンシュウ鶏の群れの巣を発見した。
+奮戦した結果、ひとまず数羽の鶏を捕まえて帰った。
+捕まえる際、クチバシと爪でボコボコにされたが、猫のためならなんでもなかった。
+
+この鶏の肉はとてもおいしく、また、卵も絶品であった。
+これには国民も喜んだ。新たな食料開拓の余地が出来たからである。
+藩王にも、玉子焼きと鶏料理を振舞うように、お付きの浅田に一羽預けた。
+
+こうして、魚ベース、野菜ベース、若鶏ベースの新しい猫缶が作られた。
+製造にはアシタスナオがその情熱を一心に傾けた。
+そして、出来上がった猫缶をキノウ=デレの食事としてお出しした。
+いつもなら早々に食事を切り上げるデレ。しかし今日は違った。
+苦労の成果があったのか、デレは猫缶をペロリと平らげたのだ。
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+これで、新たな猫缶が完成した。猫の食糧難を救えるかもしれない。
+ひとまずの成功を祝い、アシタスナオはいつものように猫缶を掲げ、デレを頭に乗せてくるくると回り始めた。
+その姿はとても充実感に満ち溢れていた。
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+~他国民からの視点~
+(うわぁ…また回ってるよ摂政…)
+まったくいい迷惑である。回るなら働け、と誰もが思った。
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+そんなことは露知らず、アシタスナオはデレが飽きるまで回り続けたのであった。
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+結果として、このテストタイプの猫缶をベースに新型猫缶は増産体勢に入った。
+さらに普通に人が食べてもおいしいので、こっそり前線に持っていく兵士も少なくなかった。
+食糧増産としては成功を収めた模様である。