クロノ・クロス

【くろの・くろす】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
発売・開発元 スクウェア
発売日 1999年11月18日
定価 6,800円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
※アルティメットヒッツで付与された判定を記載
分類 賛否両論判定
ポイント 前作キャラクターの悲劇的設定
解釈任せのストーリー
仲間の多さなどシステム面の賛否
備考 PS one Books:2002年2月21日発売/2,625円
アルティメットヒッツ:2006年7月20日発売/1,575円
ゲームアーカイブス:2011年7月6日より配信/800円

概要

  • SFC末期の大作RPG『クロノ・トリガー』(以下トリガー)と同シリーズのソフト。トリガーの「ドリーム・プロジェクト」と名付けられた3人 *1 は開発に係わっていないが、それ以外の主なスタッフは係わっている。
  • 前作がタイムトラベルなのに対し、こちらはパラレルワールドがテーマ。よく似ているが少し異なる2つの世界を冒険するRPG。
  • キャラクターイラストは前作とは異なり、結城信輝が担当。

好評点

  • シナリオ
    • 複雑かつ奥深いシナリオであり、重厚な出来となっている。
    • 最初こそトリガーの要素はほとんど出てこないが、後半になるにつれてトリガーの要素が細かく提示されていく。
    • ゼノギアスにも匹敵するほど複雑なシナリオであり、作中のキャラクターの台詞や前作の用語を注意深く観察していなければ意味が分からなくなってしまう可能性は高い。
    • トリガーと世界観はつながっているが、繋がりは『続編』といえるほど明確な作風にはしておらず、どちらかというと作品の題名のように「トリガーと交差している」といった形となっている。またテーマどおり「別次元(パラレルワールド)」といった解釈のほうが納得できる場面もある。
    • 主題自体は特に明確ではなく「それぞれの解釈に任せる」シナリオとなっている。
    • それゆえプレイヤーによって全く解釈の異なる多様性がある(ただそれゆえの賛否もある、詳しくは後述)
  • システム
    • 戦闘システムは前作のATBではなく、「クロス・シーケンス・バトル」というゼノギアスにも少し似た新システムを搭載している。
    • MPはなく、攻撃をするとスタミナを消費する代わりにパワーレベルが溜まり、そのパワーを消費して魔法にあたる「エレメント」で攻撃を行えるというシステム。スタミナの配分によって行動できる時も変わってくる。基本的にスタミナがある間はどのキャラに対しても好きなタイミングでコマンド入力が可能。
    • エレメントは自分でそれぞれのキャラのグリッド(穴)に配置する。
    • グリットはレベル別に分かれており、そのレベルが上記のパワーレベルに対応している
    • スタミナは各キャラクター7ポイントずつあり、弱攻撃で1ポイント、中攻撃で2ポイント、強攻撃で3ポイント消費する。攻撃が命中すればその減ったスタミナ分のパワーレベルが上昇し、そのレベルまでのエレメントを使用することが出来る。
    • エレメントに無属性のものは存在せず、すべて6つの属性に区分されている。属性はそれぞれ対関係になるものが存在(火属性は水属性と対関係)し、その属性同士が弱点となっている。
    • またキャラクターにはそれぞれ「先天属性」という属性が設定されており、先天属性の対属性の攻撃を受けると大ダメージをうけるが逆に同じ属性のエレメントを使用すると攻撃力が上がるという特徴があり、敵に応じてパーティーを編成すると有利に戦うことができる。
    • 戦闘画面左上には、3つの枠で示された「フィールドエフェクト」という属性を生かしたシステムがある。
      • 戦闘開始時にはそのフィールドの属性色が配置されている。敵味方がエレメントを使用する度に、使用された属性色が最新3個分までそこへ記録され、古い属性色は押し出されて消えていく。フィールドを同色に染めていくほどその属性の魔法やキャラクターのステータスが強化、逆に反属性が弱体化されていく。
      • このため「どのエレメントを装備するか」「どのタイミングで使うか」「どの属性を使用して有利な状況に持っていくか」といった戦略性もある。
  • 前作のような単純なシステムではないが、慣れれば戦況をコントロールできるようになり、他のRPGとは違った戦略性や楽しみ方が可能。
    • 誰にでも付けられる共有エレメントのほか、キャラクター固有の必殺技も存在する。組み合わせは少ないが、前作のように特定の仲間の固有エレメント同士を合体させた「連携技」もある。中には「エックス斬り」「ミックスデルタ」など前作がわかればニヤリとさせる連携もある。
  • 音楽
    • トリガーでも作曲を担当した光田康典氏の民族楽器をつかった独創的な音楽となっている。
    • OP曲「CHRONO CROSS ~時の傷跡~」や「龍神」「星を盗んだ少女」など非常に高い評価を受ける曲も多い。
    • 光田氏も「自分の納得いく出来だった」と述べている。
    • なお、本作の楽曲の一部は、前作トリガーや後述の『ラジカル・ドリーマーズ』からのアレンジとなっている。

賛否両論点

  • ワールドマップ
    • 世界全体だったトリガーに対し、今回は岩に囲まれた海域である(外海には出られない)ため、やや小規模に感じてしまう。
    • パラレルワールドであるため仕方ないが、似た2つの世界を行き来するためトリガーに比べるとあまり代わり映えがしない。
      • ただ細かい部分での違いは多く、それを探すことを楽しめるようにはなっている。
  • トリガーの舞台であった王国が戦争で滅亡していたり、主要キャラが既に死亡していたり、重要アイテムであった聖剣が魔剣に変っている。
    • 今作のもっとも大きな賛否両論点である。ファンの中にもさまざまな意見が見られ「こんな風にでるなら出なくて良かった」「前作ぶち壊し」と否定的なファンもいれば「あくまでパラレルワールド」「この設定があってこそのクロスだ」と肯定的に受け止めるファンもいる。
    • また上記の「それぞれの人の解釈に任せる」という作風ゆえ、つながりが明確でなくモヤモヤした気持ちになる人も少なからずいる。作中では先述の悲劇的な事柄は「既に起こった過去の出来事」として台詞などで表れるのみで、明確な内容はほとんど描かれていない。
    • 監督、脚本を勤めた加藤正人氏としては「新しいクロノがクロノ・クロスなんであって、単にトリガーのシステムをそのまま単純にPSに移行したものなんか、僕達ははじめから作る気はなかった。だからこそ、クロスはクロスであって、トリガー2じゃない」と語っており、続編として製作したわけではないことが伺える(後述の「ラジカル・ドリーマーズ」の項も参照されたし)。
      • だが直前に発売されたPS版トリガーの説明書では、本作はその完全な続編であるかのように宣伝されてしまい、エンディングの1つでも、完全な続編としか思えないようなムービーが入る。更に特定条件を満たすと(クロスの設定を思わせるような)王国が崩壊する悲劇的なムービーがエンディング後に必ず流れるようになっており、製作者の意図とはまったく正反対となっていた。また公式攻略本でも「続編である」とする記述があったりと、会社側としては続編として売り出したいという思いがあったとも考えられる *2
      • 後に発売されたDS版トリガーの追加エンディングでは、本作の世界が別のパラレルワールドであるかのような描写がされ(クロスに登場するあるキャラの正体に繋がるような演出も出てくる)、悲劇的なエンディングムービーもこのエンディングのみで流れるようになった(王国が崩壊したのは「パラレルワールド」の方という位置づけ)。
      • (こちら)のインタビューを見ると、当時のスタッフの意図が分かりやすい。
  • もともとのシナリオの筋が難解過ぎて分かりづらいだけでなく、時間移動平行世界というさらに複雑な要素も同時に絡んでくることで、前作の設定との矛盾点が生まれている。
    • 例としては、「未来を改変したことの罰」とも受け取れる形で前作の主要キャラが悲劇的な結果となった(未来に復讐された)が、今作の主人公の最終的な目的も「時の闇の彼方に潜む、世界を滅ぼす生命体を倒す」=「未来を改変する」であり、前作のアンチテーゼ的なスタンスをとっているが根本的な解決には至っていないという点。
    • ただこの前作へのアンチテーゼという解釈も「間違い」とする考察もあったりと、人それぞれに回答があるがゆえ余計に賛否が拡大してしまった部分は存在する。
    • こういった矛盾点を「パラレルワールド」といった形で受け入れられるか否かも関わってくる。
      • 詳しくはクロノクロスへの疑問点(外部サイト)など、様々な場所で論じられている。
      • ちなみにこの難解なシナリオ理解の手助けになるはずの攻略本「アルティマニア」に併記された設定資料集にも間違った記述 *3 があったりという点もシナリオの理解を困難にした一因となっている。
  • 本作には経験値はなく、特定のボスが持つ「レベルスター」を獲得するとパーティー全員の能力が1段階成長するというシステムを採用している。レベルが上がるごとにグリッドの数も増えていき、付けられるエレメントの最大数が増加する。
    • このため、ボス戦ではある程度の強さを常に保つことができる。その反面、キャラクターを育てる楽しみがないという批判もある。
    • ただし、雑魚と戦闘をしてもまったく成長しないわけではない。数ポイントほど成長しその後レベルスターを入手すれば、雑魚を無視した場合よりも少しパラメーターが高い状態にはなるため、雑魚との戦闘にまったく意味が無いわけではない。
    • また武器を強化するための素材やお金なども雑魚と戦うことで入手できるため、武器等を効率よく強化するためには雑魚との戦闘が必要となってくる。
  • 仲間になるキャラクターが非常に多い。その数、総勢45名。
    • しかし、仲間に加わる理由が希薄なキャラも多く、仲間が単なる「コレクション」にしかなっていないという批判意見がある。
  • ストーリーにほぼ関係なく「何故こいつが仲間に?」といったキャラも多数いる。
    • この点については元々は「町の住人を誰でも仲間にしたり戦ったり出来る」という企画が元になっており、実際は誰でも全員仲間になるというわけではないが、普通のRPGではありえないようなメンバーを組めるという魅力もあると評価する声もある。
    • また、さまざまな条件を満たして沢山の仲間を「コレクション」していく事自体を楽しむプレイヤーもいる。
  • 仲間が多いためか「セリフ自動生成プログラム」を搭載しており、イベントの多くでは汎用台詞の一人称や語尾を変えてそのキャラクターの個性に沿った台詞を生成するようになっている。
    • このため、どのキャラを連れていてもほとんどのイベントで仲間キャラが多くの台詞を喋ってくれるようになっている。反面、上記の仲間の多さのため一部で不自然な台詞が生成されることもある。
  • キャラクターの一人として「アルフ」というキャラがいるが、元々このキャラはトリガーのあるキャラと同一人物の予定だった。しかし、上記のように大量の仲間が加わるシステムとなったため明確な演出はなされず、単なる多くの仲間の一人という扱いになっている。
    • これについては「しっかりと掘り下げてほしかった」という意見も多い。
    • ちなみにDS版クロノ・トリガーでは追加EDにてあるキャラとアルフの繋がりを示唆する描写がある。

不評点

  • バグ
    • 「ツマル」という、バトルの行動によってさまざまな形態に進化する仲間キャラクターがいるのだが、特定の条件を満たすとエレメントを配置するグリットが増えなくなってしまう。さらに、本来は形態が変化するとステータスの上昇値がその形態独自のものに変わる仕様のはずなのだが、実際のゲームでは形態の変化に関わらず常に初期形態の成長率が適用されてしまう(つまり弱いまま)。
    • 土龍の島というダンジョンの仕掛けを、特定の手順で一部解除して途中で中断してしまうと、以降仕掛けが解除できずにゲーム続行不可能となってしまう不具合がある。
    • 周回引継ぎの際に引き継げるはずのエレメントの手持ち数が何故か減ってしまう事がある。
  • システム面
    • 仲間の多さに関する不評点
      • 戦闘参加可能人数は前作と同じ3人であり、さらにその内一人は主人公のセルジュ固定。2周目になれば主人公を戦闘から外す(主人公の代わりに特定の仲間を戦闘参加させる)事はできるのだが、それでも意図的にメンバーを変えない限り全キャラを使うことがほとんどない。
      • 好きなキャラをメンバーに入れてとことん使える……と思いきや、ゲーム中盤で仲間全員が離脱するイベントが起き(ストーリーの都合上仕方ないが)メンバーがほぼ総入れ替えとなってしまう(前半メンバーは終盤に復帰)。
      • 2周目以降は、ゲーム後半である手順を踏めばいままでの周回プレイで仲間にしたキャラを呼び出すことが可能になる。
    • レベルが上がるごとに各キャラクターのエレメントグリッドの数が非常に多くなるため、メンバーを入れ替える際にエレメントの付け替えを行う場合、手間が掛かる。
    • 装備品やアイテムのソート機能がない。そのため管理がすこし面倒。
  • グッドエンディングへの到達方法が難しすぎる。
    • ラスボス戦は単純にHPを0にするだけではバッドエンディングになってしまう。グッドエンディングを見るためには、特定のエレメントを順番に使用しなければならないのだが、それを示すヒントがかなり少なくさりげなさすぎる。
    • 上記の要因と、バッドエンディングでもスタッフロールは流れる点から、グッドエンディングと勘違いして「エンディングが意味不明だ」と思われてしまう事もあった。
    • 中にはこのグッドエンディングの存在に気づかなかった人も少なからず存在する。
    • なお2周目以降は前作同様マルチエンディングとなり、倒す時期によって様々な番外エンディングが見られる。前作のような開発室もあり、この点はおおむね好評。

総評

  • シナリオ面ではトリガーとのつながりに関する点でかなり論争がおきやすく、賛否両論であるといえる。
  • また、ゲーム自体の雰囲気もトリガーとは大幅に違っており、システム面でもFFに近かったトリガーとは全く異なる独特のシステムを採用しているため、同じ「クロノ」の名を冠しているものの両作には大きな作風のギャップがある。
  • 開発者自身も「10ではなく9と評価されるゲーム」と、賛否両論になることはある程度理解していたような発言をしている。

余談

  • 売り上げはミリオンヒットとまではいかないものの、海外ではかなり高い評価を得ており複数の賞を受賞している。
  • ちなみに世界観や一部のキャラクターはSFCのサテラビューで配信されたサウンドノベルゲーム『ラジカル・ドリーマーズ -盗めない宝石-』(以下ラジカル)が原型になっている。
    • ラジカルのメインシナリオ「Kid 盗めない宝石編」はトリガーの古代編の設定を基にしたストーリーで、トリガーの世界観が下敷きになっている。トリガーのメインストーリーは堀井雄二氏によるプロットを元に加藤正人氏(本作の企画・シナリオ・演出など、最重要人物)が書き下ろしたものだが、古代編は元々は堀井のプロットの中に無かった加藤氏の完全オリジナルのシナリオとなっていた。
    • ラジカルとクロスは、登場人物(セルジュやキッド)や用語(凍て付いた炎)など一部の設定が共通しているものの、例えるなら読みきり漫画と連載漫画の関係に近く、ストーリー自体は繋がらず設定も細部で異なるパラレルな内容となっている。クロスではこのラジカルの冒頭部がテキストとして登場する箇所があり、ラジカルも今作と別次元のパラレルワールドであると捉えられるような描写がなされている。
    • なお、ラジカルは選択肢によりストーリー設定が分岐するサウンドノベル(全7シナリオ)であり、最初から遊べるメインシナリオ以外の話はトリガーとの設定の繋がりはない。
  • 本作のように『最初は前作との繋がりが明示されていないが、話が進むにつれて繋がりが明確になっていく』という手法を用いた続編作品はアニメに多いパターンでもある。
    • 例を出すと『超時空世紀オーガス02』『∀ガンダム』『トップをねらえ!2』などが挙げられる。