月刊コミックボンボン

概要

講談社から発売されていた児童誌。1981年創刊。小学館の児童誌『月刊コロコロコミック』の競合誌で、価格・版型・厚さも同等であった。日本サンライズ(当時)とはロボットアニメのコミカライズを連載するなど結び付きが強く、ガンダム関連の充実ぶりにおいては他誌を圧倒していた。ガンプラを中心にしてプラモ記事も充実しており、連載漫画『プラモ狂四郎』は大ヒット作となった。その後もSDガンダムブームが起きた90年代にはコロコロの発行部数を上回る時期もあるなど、一時代を築いた。

特徴としてはコロコロと比べて比較的ディープな分野を扱うことが多く、ガンダムの他にもGIジョーなどのフィギュア関連を連載したり、90年代には『新世紀エヴァンゲリオン*1を扱ったりしており、児童誌にもかかわらずかなりマニアックな方面での記事が多かった。掲載されている漫画も対象年齢が高めのものが多く、比較的高い年齢層に受け入れられた作品も多々ある。エロティックさや鬱展開もあるその独特な雰囲気は『ボンボン臭』と呼ばれている。

ライバル誌のコロコロ同様、掲載漫画にはゲームやアニメがらみの物も多いが、『へろへろくん』『おきらく忍伝ハンゾー』『海の大陸NOA』などのオリジナルタイトルも多数掲載しており、児童誌とは思えないクオリティを誇る作品も少なくなかった。特に児童誌には場違いなほど圧倒的な画力とウィットに富んだセリフ回しで今なお高い人気を誇る『王ドロボウJING』、猫をベースとしたロボットサイボーグが主役の『サイボーグクロちゃん』といった作品が有名。両者とへろへろくんはゲーム、アニメ化もされた。NOAやハンゾーなどごく稀だが、長い年月を経て(主に休刊後に)続編が出た例も無くもない。

しかし、児童向け雑誌ゆえのジレンマから対象年齢が一定せず、またコロコロが『ポケットモンスター』シリーズやミニ四駆などで部数を倍増させて最終的には3倍にも増加したのに対して90年代中盤以降ほとんど変化がなかった。90年代終わりに差し掛かる頃にはロックマンX、JING、ハンゾーといった誌を引率してきた人気作を「本来の読者層に影響を与えかねないマニアックな要素を削る」という、自身が何に支えられてきたかを勘違いした理由で悉く放棄同然に打ち切り、以後転落の一途を辿っていく*2

2000年代に入るとコロコロに対抗する形で行ったタイアップやテコ入れがことごとく失敗、編集部の迷走から記事や掲載漫画の質が急降下し、短期間で打ち切られる作品も続出、それに連動して部数も激減した。ロックマン次回作(エグゼ)のタイアップを自ら断る*3等の判断ミスに加え、創刊期から続いていたガンダムを含むバンダイ関連のタイアップを角川書店に奪われボンボンそのものの基礎が完全に崩壊、ついに2007年休刊に追い込まれた。なお、休刊時に未完であった作品については、翌2008年に創刊された『テレまんがヒーローズ』という新雑誌にて継続されたが、こちらの雑誌も2009年刊行の第5号をもって休刊になっている。

全般的に単行本化の状況は悪い。そもそもページ数が揃っていながら単行本化していない作品もかなりある*4。半ば無理やり打ち切った上最終話付近だけ単行本化せず放置したケースもかなりあり、漫画を大事に扱っていないと言われても仕方がないことを行っている*5。また単行本化してはいるものの一・二回刷って即絶版というケースも多数*6あり、復刊ドットコムでリクエストされることが多い*7

ゲームとの関係

児童誌らしく多くのオモチャとタイアップを行っていたが、コロコロコミックがファミコンを取り上げて以降、ボンボンも後を追うように取り上げていった。裏技紹介コーナーもあったがボンボン側は「神わざ」という名称を使っており、対抗意識がうかがえる。

コロコロがハドソンのゲームを中心に特集記事を組んでいたのに対し、ボンボンは『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』『Zガンダム ホットスクランブル』サンライズインタラクティブ販売の『ハロボッツ』や、スーパーロボット大戦シリーズなどバンダイやそのグループ企業のゲームを中心に特集記事を組むことが多かった。マイナーハードに終わったワンダースワンも積極的に支援していた。ほかロックマンXシリーズなど通じてカプコンとも関わりがあったが、後期にはそのどちらともコネクションを失ったのは前述の通り。任天堂については、マリオやメトロイドの漫画を掲載していたこともあったが『ポケットモンスター』がコロコロでヒットしていたのに対し、大きなヒットを上げることはできなかった。このほか、『大貝獣物語』シリーズや『ロボットポンコッツ』シリーズのようなハドソン関連ゲームも扱っている。しかし末期には、バンダイ、カプコンと同様にほとんどのコネクションを失ってしまった。

ゲームの漫画化としては、マリオの漫画でも珍しいシリアスな展開に定評がありマリオ漫画の織田信長と例えられた程の高評価を受けた本山一城版『スーパーマリオ』、ハードかつ熱い展開で今なおロックマン漫画の傑作とも言われる岩本佳浩版『ロックマンX』、過激なエロシーンで読者を魅了しまくった帯ひろ志版『がんばれゴエモン』、恐ろしい改変と迷言の数々でファンを困惑させた『餓狼伝説』など、名作・迷作問わず様々な漫画を生み出している。

メディアミックスが過熱した後期には既存ゲームの漫画化だけでなく、ゲーム発売と同時または直前、直後に漫画連載を行うケースも多かった。『ロックマンX』シリーズなどは新作が出るたびそのストーリーを追うように逐次的に連載していたが、女神転生本来の雰囲気をそのまま盛り込み、凄まじい暴力描写によって児童誌のベルセルクと呼ばれるまでに至った藤異秀明版『真・女神転生デビルチルドレン』、ロボットジャンルに新風を吹きこんだほるまりんの『メダロット』などはゲーム、漫画ともに名作・良作だったケースである。特にメダロットはゲームの開発状況もリリースするなどまさにボンボン生え抜きのゲームであり、同誌メディアミックスの数少ない大当たりゲームであった*8

一方、タイアップ元の質が良くなかったケースも散見される。『Zガンダム ホットスクランブル』のようなガンダムゲーはともかく、タイアップが増えた後期の中では『格闘料理伝説ビストロレシピ』『ハロボッツ』など所詮ポケモンライクゲーの出来そこない的作品も多い。さらには「読者参加によりRPGを作る」という企画のもと、メダロットと同じく開発状況も掲載していながら最終的にはゲーム・漫画共にボンボン究極の恥さらしとして罵られる『クロスハンター』のように最悪の結果を招いた作品もある。なお、粗製乱造同然のタイアップ作品の中にあって『ロボットポンコッツ』は、ゲーム自体はポケモンのパチモンというレベルの代物であったが、タモリはタルによるその漫画は今日の「超乳」路線のはしりともいえる児童誌にはあるまじき衝撃的なものだった。

本Wikiでの関連ソフト(タイアップ・コミカライズ・特集記事など)

その他の関連ソフト(姉妹wikiに記事が存在)


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年11月24日 06:35

*1 驚くべきことに劇場版の解釈なども記事にしていた。

*2 但し、その一方で『サイボーグクロちゃん』や『メダロット』がヒットしていた時期でもある。

*3 その後カプコンはこの話をライバル誌のコロコロに持って行ってヒットという最悪の展開に。

*4 『闘神デビルマン』のように単行本発売告知までしておきながら結局放置された例も。

*5 『海の大陸NOA』はかなり後に最終巻が出版されたが、そもそもこの作品は最終回を迎えていた訳ではなく、7年間も音沙汰が無かった上にボンボンはそれについて一切説明を行わなかったという経緯がある。

*6 帯ひろし氏のゴエモンコミカライズの1作である「がんばれゴエモン 天下の財宝編」は編集部の売り上げ見込み判断によりきわめて短期間で絶版となったことが本人から語られていた。売り上げが見込めなければ即切り捨てるという方針だったようである。

*7 単行本化した後に廃刊になったものもリクエストされ、『ロックマンX』『がんばれゴエモン』『おきらく忍伝ハンゾー』『真・女神転生デビルチルドレン』などは後に復刊を果たしている。

*8 しかし末期の『真型メダロット』の頃には漫画も終わっており、関わりは殆ど無くなっていた。