アーマード・コア ネクサス

【あーまーど・こあ ねくさす】

ジャンル 3D戦闘メカアクション
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 フロム・ソフトウェア
発売日 2004年3月18日
定価 8,190円
分類 特定ファンにとって黒歴史のゲーム
ポイント 熱管理シミュレータ
調整不足な新要素と仕様変更でファン離れが発生
続投の多いデザイン、不便になった各システムetc
OPムービーは相変わらず高品質
備考 Best版:2004年8月5日発売/3,990円
アーマード・コア シリーズ 作品リンク


概要

アーマード・コアとは、様々なパーツを組み替えて作り上げた自分だけのオリジナルロボット=アーマード・コアを乗りこなすレイヴン(傭兵)となり、企業からの依頼を引き受けて資金を稼ぎ、時には他のACと衝突しながら、荒廃した世界を生き抜く3Dアクション・シューティングである。

各作品において様々な問題が発生しつつも、どの作品もゲームとしての完成度は比較的高く、クソゲーとは明らかに一線を画す良作であることは確かであった。しかし、前作『3サイレントライン』では大量のパーツ増加に伴って対戦でのバランスが悪化し、一部のファンから批判の声が上がっていた。

そして2004年。タイトルにナンバーが付いておらず、プロデューサも名作『2アナザーエイジ』を担当した鍋島氏に変更される事となった『アーマード・コア ネクサス(NX)』の発表である。多くのレイヴンが発売を心待ちにしていた。


特徴

  • 『マスターオブアリーナ』以来の2枚組ディスク。1枚目は本編のストーリーが、2枚目はリメイクされたPS1時代のミッションと、過去作のオープニング、ラフスケッチ、BGM、再販ポスターなどの資料が収録されている。
  • 2つのコントローラスティックを移動と視点移動、LRのボタンを攻撃に使うというFPS的な操作方法を選べるように。
  • 武器パーツの色の変更ができるようになり、前作で登場した大量の色換えパーツは消滅。

新登場

  • チューン
    • 外装とジェネレータ、ラジエータのパーツを計10段階まで強化ができ、痒いところに手が届くようになっている。
  • マガジン
    • 一部の実弾武器にリロードが設定され、特に高い攻撃力を誇っていたマシンガン等に制限調整が加えられた。
  • 格納
    • 一部のコアパーツは小型の右手・左手武器をコアに格納でき、予備武装として携行することができる。
  • ECM
    • 濃度として追加され、対応能力の低いACのレーダーとロックオンを妨害する。
  • 暗視機能
    • 頭部の機能として追加。深夜など、光量不足で視界の利かない状況下で自動的に発動する。
  • ブレード光波
    • ブレード使用時にブーストボタンを押す事で、誰でも光波を発射する事が可能に。

問題点

大幅な仕様変更と新要素の投入に伴い、調整不足、或いは変更や追加そのものに疑問を呈したプレイヤーが続出した。

熱暴走

熱暴走とは『2』から導入された、外気温や敵攻撃によって機体温度が一定値を超えると機体の耐久力が減少し続けるシステムを指す。このダメージは装甲に関係なく被るため、冷却装置や与える熱量の多い武器の選択など戦略性の拡大に一役買っている。だが、本作はこのシステムに大幅な仕様変更が入り、後述する様々な問題を併発したために「熱管理シミュレータ」と揶揄される事となった。

  • ブースタの発熱量の追加
    • 熱暴走はもともと敵攻撃の被弾によって発生する事態である。ところが、本作はブースタを使用しただけで機体温度が上昇するように変更され、冷却を疎かにするとブースタを数秒使っただけで自ら熱暴走を引き起こす。つまり移動するだけで熱暴走が発生してしまうのである。
  • ラジエータの緊急冷却消費の追加
    • もう一つの問題が、熱暴走時にラジエータがエネルギーを消費する仕様が追加された事である。エネルギーは機体の動力源であるため、必然的に「ブースト移動をすれば熱暴走でエネルギー切れ」「ブースト移動をしなければ敵弾を回避できず熱暴走でエネルギー切れ」という負のサイクル『熱ハメ』が成立してしまう。

発熱も従来通りの被弾、加えてオーバード・ブーストの予備熱なども並行して発生するため、良く言えば慎重な構築・行動が求められる、悪く言えばガチガチで爽快感を欠く仕様変更となっている。

パーツバランス

  • 対戦バランス
    • 積載量に余裕があると速度が上昇する通称「積載余剰」が強化された事で、積載に余裕を持たせた中量脚の方が軽量脚より総合機動力に優れるという問題が発生している。これでは軽量脚の存在意義がない。
    • ラジエータ等を始めとした通常時の消費ENが多くなり(エネルギーの回復速度が低下)、機体の慣性がより深く追加された事などで機動性が低下調整されているため、全体的に回避の難易度が上昇し、タンクの火力ゴリ押しが猛威を振るう事に。
    • 「熱ハメ」の影響で禁止パーツの扱いが難しい(シリーズ中でも特にレギュレーションの統一が取りにくい)という問題があり、対戦派ユーザーからの評価は非常に悪い。次回作の『NB』が対戦用ディスクと看做されるのはこういった理由による。
  • 一択状況改善の光と影
    • ジェネレータの高出力型一択の状況は改善されたが、エクステンション(通称電池)やインサイド(デコイ)は一択の状況が加速。
    • 確かに自由なアセンブリはできるのだが、熱のシビアさの弊害で冷却性能の低いパーツの価値が絶望的に低く、どうしても幅が狭まってしまう。各種武器も一部のものが突出して強力で、『SL』同様、数に比して使えないパーツが目立つ。

ブレードの冷遇

  • 「ロボットもの」においてブレード武器は人気が高い。本シリーズにもレーザーブレードの熱狂的な使い手こと「剣豪」が存在していたが、『3』から僅かながら左腕銃が登場し、『SL』では右腕とほぼ変わらない数の射撃武器が追加されたため、対戦におけるブレードの価値は著しく低下していた。
    • 本作では、威力減少・使用消費エネルギーが激増・空中でブレードを使用すると相手をホーミングして自動的に接近、攻撃する「ブレードホーミング」機能がほぼ消滅と散々な調整を浴び *1 、地位復権を期待していた剣豪達にとっては泣きっ面に蜂であった。光波のみ全てのブレードで使用可能になったものの、威力が非常に弱い上にレスポンスも劣悪で使い物にならない。
    • 結果としてブレードはますます隅に追いやられ、格納ができ、より軽量で威力の高い補助武器に立場を奪われてしまったのである。
    • ただ、特定の超大型機体に対しては伝統的に有効。

強化人間の廃止

  • シリーズ恒例の公式チート要素。過去のシリーズでは、一定の借金を抱えると、負債の帳消しの代わりに(実験体として売られ)強化人間となる。プレイヤーの間では初心者救済処置として知られ、レーダーやブレード補正、旋回性能上昇、ブースタの消費エネルギー軽減、機体温度が上がりにくくなる、コンデンサ容量の倍増など非常に強力な恩恵を得られた。
    • 本作ではプレイヤー側のみ廃止。強化人間の能力は過去シリーズからほぼ変更は無いのだが、熱仕様によってアセンブリに高い完成度が求められる本作において、あらゆる発熱を低減という恩恵はシステムを根底から覆してしまう危険な仕様である。にも関わらず、本作ではストーリーに関わってくるキャラクターが軒並み強化人間仕様だったため、公平さを求めるプレイヤーに不評だった。

ECMの仕様変更

  • 機体の対ECM性能がこれを下回っていると、レーダーとFCSに障害が発生し、敵をロックオンできなくなる仕様。本作では敵ACにも効果があり、効果範囲も作戦領域全体に拡大された。
    • 前作『3』『SL』で禁止武器の筆頭だったステルスと同様の効果という初心者殺しの仕様で、無駄弾が増える・何もできなくなる・エラー音は熱暴走やその他のものと共通で紛らわしい・戦闘時間が延びる等から多くの対戦会でもECMは禁止にされていたが、何故かN系最後のラストレイヴンまでこの仕様は続いた。
    • ミッションで遭遇するECMは、AC以外の敵に効果がなく、その他の敵はECM中でも二次ロック射撃(予測補正射撃)を行う他、プレイヤーの設置したECMすら無視してミサイル攻撃を行う。磁気嵐や特殊電波なども同様に対AC専用ECMであったり、敵が用いるECMだけ効果時間がなぜか永遠だったり、各種妨害中でも通信は可能等、不可思議な点が多い。
    • 対ECM性能は肩レーダーを積むと増加するが、肝心のロックオンは頭部パーツとFCSパーツの機能であり、レーダーが連動する仕様は無い筈だが……。ちなみに最高のECM対策をしてもこれを上回るECMを設置する事は容易。ミッションにも対策不能な高レベルのものが存在する。肩は重要な火器の装備箇所であり、レーダーで潰すのは大幅な火力低下、ひいては弾薬不足や爽快感の低下にも繋がるのが痛いところ。

ガレージの改悪

  • ガレージ画面のユーザービリティが全体的に低下
    • 各メニュー画面やガレージのフレームレートが半減したため、特に前作『3』『SL』と比べた時に表示の荒さが目立つ。
    • パーツ売却が機体構築中に行えなった他、肩武器が左右共用から個別に変更され、それぞれ購入しなければならなくなった。
    • ショップの売買におけるパーツリストの一覧が削除されてしまい、目的のパーツを探すのが不便になってしまった。
    • ロード時間はシリーズに共通する悪癖だが、本作では3機のACの読み込みが全て完了するまで操作不能になったため、より長めに。新パーツやチューンの効果をテストする度に機体の読み込みにけっこうな時間を待たされてしまうのは辛い。
    • 対戦モードでパーツの売買ができなくなった。対戦派のユーザーに嫌われる要因となっている。チューンのし直しも不能。
  • 中古仕様の追加
    • 使用済みパーツはUSED(中古)扱いとなり、売却時に10%減額される仕様に変更された。
    • テスト出撃のみなら中古扱いとはならないのだが、パーツチューンによる強制中古仕様がこれを殺してしまう。
  • パーツチューン
    • チューンの初期化はパーツを一度売却しなければならず、いちいちショップと往復しなければならないためかなり煩わしい。

セーブシステムの改悪

  • ゲーム終了を選択した際に保存できるデータのみを正規としたシステムで、ゲーム途中でのセーブを「仮」として扱うというもの。仮データをロードするとペナルティが課せられる。また、データ管理画面からデータロードが削除され、やり直すにはいちいちタイトル画面に戻らなければならなくなった。
    • ミッション失敗に意味を持たせた上で安易なセーブ・ロードを抑制するための仕様だと思われるが、結局は遊び方を制限される上、ゲーム途中でも終了を選択し正規セーブを行うだけで回避できるので仕様の意味がない。
  • DISC2はこれまでと同じ方式のため、うっかりゲーム終了を選択しデータをパーにしてしまったプレイヤーも…。

アリーナの消滅

  • プレイヤーAC対コンピュータACのデスマッチ。初代・AC2AAを除き伝統的に存在する対COM限定の純対戦型モード。
    • 本作からミッションと同格になり事実上消滅。興行として取り仕切られている為、タイミングは不定期で、対戦相手も、対戦ステージも選択できなくなった。本作の世界観には合っているが、資金調達や気軽な操作練習などが出来なくなった点は痛い。
    • エンディング後には「フリーアリーナ」という恒例の通りのモードが追加されるが、こちらには前回の周回で生き残った・登場したレイヴンしか対戦できないという欠点がある。これは倒してしまったレイヴンだけでなく、ストーリー進行でランクから消えるレイヴンも含まれる為、前周でどんなルートを通ろうと対戦できないレイヴンも存在する。
    • 前作で非常に優秀だった敵ACのロジックが著しく劣化している点も痛いところ。
    • フリーアリーナでも対戦ステージはランダムで選択される上、ステージ数も4種類と少なく、どれも障害物の少ない似たり寄ったりな地形で、しかも狭い。プレイヤー対戦におけるステージは14種類と豊富なため尚更疑問。

ミッション関連

  • 報酬が大幅に増額された上、殆どのミッションに契約金が用意されたために失敗時にも赤字になる事はほとんど無くなったが、さっさと任務を放棄し、前金だけをふんだくるという外道な荒業が効率的手段になってしまった(本シリーズは機体修理費や弾薬費の占める出費が莫大なため、最初から放棄してしまえば出費がなくなり丸儲け)。依頼主は涙目である。
  • ミッション開始直後に敵攻撃に見舞われる理不尽な状況が激増している。
    • 開始直後、計器類が表示される前にビームが、ミサイルが、という状況が日常茶飯事。なぜもっと前から戦闘モードに入らないのか。いきなり生物兵器に囲まれた状態でスタートし、即座に自爆に巻き込まれ熱暴走するというミッションもある(こちらはネタとして笑えるだけまだマシか)。どちらにせよリアリティが重視される割に不自然極まりない。
  • 前作『SL』で難点として指摘されていた大量の隠しパーツが健在。数こそ減ったものの、それでも60個以上 *2
    • 企業の勢力(プレイヤーの成功失敗によって変動する)によって派生が異なるミッションなどはフリーミッションに収録されておらず、ゲームを何週もクリアしないとパーツをコンプリートする事ができない。中にはわざと失敗することでしか選択できない、失敗が隠しパーツの入手条件というミッションもある。
    • 入手条件を満たしても隠しパーツが手に入らないということもある。バグなのかさらに隠された条件があるのかは不明だが、よりによってフリーミッションでは手に入らないパーツのため、下手するとこのパーツのために何週もやる羽目になる。
  • 対戦ツールの側面を含む以上、全てのパーツを入手してからが本番とも言える為、無意味に入手条件の難しい「通常の」パーツが「大量に」あるのは好ましいとは言えない。また、それら隠しパーツを多くのランカーACが遠慮なく使用している事にも賛否がある。

その他

  • 新操作の賛否
    • A操作、B操作と呼ばれる新タイプと従来タイプの操作方式を選択できるようになったが、これは新規プレイヤーや直感的操作等で賛がある一方、デコイやECMといった強力なインサイド装備を通常武器と同時に使用できる新操作が圧倒的に強力な事、シリーズ経験者にとって新操作が慣れづらい事などから否とする意見も根強い。
  • 削られたシステム
    • 前作で好評だった僚機システムが廃止(エクストラ・アリーナ含む)。ごく一部のミッションの強制僚機のみになってしまった。
    • 護衛対象の基地などの援護射撃だけは継承している(味方増援系は悉く削られたが)。
  • ロックサイト関係
    • 大幅に縮小調整がなされ、サイトの範囲は丁度前シリーズの「HARD難易度設定」に近いものになった。経験者ならばそれほど苦にはならないものの、初心者やNORMAL難易度に慣れたプレイヤーは厳しい。
    • 通称W鳥と呼ばれる両手銃にはリスクとして更にサイトが縮小する。これ自体はバランスに一役買っているのだが、前述の通りブレードの大幅な下方修正に加え、装弾数や射程距離の全体的な低下調整などが重なって相対的に選ばざるを得ない状況になっている。
    • 前作までは武器毎に設定されている射程距離以上にはロックオンできない仕様になっていたが、本作からはFCSの捕捉距離がこれに影響する事でより遠くまでロックオン可能になった。ところが武器の限界射程はそのままのため、特に敵の射程外から攻撃を行おうとした時にしっかりロックオンして射撃を行っているのに敵の目の前で弾が消えているという理不尽な現象が起こる *3
  • デザイン
    • 「新生」のキャッチコピーが打たれていた本作であったが、ACの基礎デザインは『3』『SL』から変更がなく、各パーツはほぼ全て続投で、新作を期待していたプレイヤーからは不満の声が上がった。また、企業名とその対立構図にも変化がなく、効果音までも続投ばかりである事も雰囲気の変化に乏しい一因となってしまっている。
  • マガジン仕様
    • お世辞にも上手く機能しているとは言い難く、マガジン制である必要性のない武装も多い。特に「10~12発ごとにリロードするマシンガン」はやりすぎ。撃つ→止まる→撃つ→止まる……、爽快感の低下に多くのレイヴンが悲鳴を上げた。
  • 格納機能
    • 「パーツは一種類一つまでしか所持できない」仕様のため、右手・右格納ハッチや左手・左格納ハッチに同じ武器を装備する事が出来ない(逆なら可能)。
  • 初期パーツが売却不可に
    • 借金状態でも初期装備のアセンブリは保障されるが、速度が重タンク並みのブースタなど一部の初期パーツの性能が非常に劣悪なため予備機としての意味が無い。
    • 初期パーツの性能の劣悪さはゲームとしては不自然ではないが、過去のシリーズは幾ばくかの初期資金を持っているか、使う予定のない武装の売却、より安価なパーツへの買い替え等によってある程度カバーする事が可能だった。それが本作では脚部を別のタイプに変更する事すら叶わない。
  • 名銃カラサワの弱体化
    • カラサワ自体は基本的にシリーズ皆勤の初心者救済用武器という位置付けで、当然対戦では禁止される事が多い。だが、本作ではほぼ全てにおいてより強力な一般武器の登場により立つ瀬がなくなってしまい、粗末な扱いに旧来のファンは落胆した。
  • 前作からの未修正不満点
    • 『SL』で産廃認定されたバースト武器の性能が未改善のまま。

ストーリー関連

  • ディスク1
    • ミッションの音声付依頼文(ディスク2には存在する)、CPUレイヴンの経歴の説明などが消滅。両者とも味気ない紹介になった。淡々とした事務的なやり取りはレイヴンに相応しいともいえるが、代償としてプレイヤーが依頼の背景が読み取りにくくなった。
    • マルチエンディングがあるかのように宣伝されていたが、エンディングは一種類のみ。そのエンディングもあまりに唐突な次回作『LR』への伏線で幕を閉じる。
    • 前のミッションの成否によって次に出現するミッションが異なったり、途中経過や内容が微妙に変化(バージョン)するが、ミッション分岐の条件が細かすぎて攻略情報無しではまず把握できない。しかも大まかな筋に変化は無く、敵の戦力数の変化ばかり。
    • クリア後に出現する恒例の「フリーミッション」では全ミッションの1割以上がプレイできず、かつ前週で未プレイのミッションはUNKNOWNとなっており選択できない。また、一部を除いて各ミッションの派生バージョンのうちの1つしかプレイできないため、実質的な総数はかなり少なめ *4
  • ディスク2
    • 全体的にシリーズ経験者向けになっており、説明を省いている箇所が目立つ。
    • 復刻ミッションのチョイス、アレンジ方法が微妙で、シリーズファンが満足できるとは言い難い。3作目『マスターオブアリーナ』のミッションは「潜水艦を護衛するミッション」ただ一つのみ。PS1シリーズを代表する最強AC「ナインボール」に関連するミッションは一つも無い他、名物レイヴン・スティンガーの活躍する2作目『プロジェクト・ファンタズマ』の扱いも微妙。リメイクの仕方もさることながら、「プロトタイプファンタズマ」という大ボスを登場させておきながら、その完成系の「ファンタズマ」と戦えるミッションが用意されていない。
    • ミッションをクリアするごとに「エクステンドサイド(そのミッションに関する新たなエピソードを描いたミッション)」「リバースサイド(そのミッションの裏側を描いたミッション)」が登場するのだが、派生元のミッションとの関連がいまいち分かりにくい。特に達成条件が敵勢力を全滅させるものばかりで、敵が入れ替わっただけの感が強く、ストーリー背景が読みにくいのも難点。
    • 全体的に高い難易度は従来のシリーズより不自由になった熱・機動力・弾薬不足などに起因する面が大きく、シリーズ経験者には無意味な制限プレイに近いものがある。
    • 難易度の高さの割に本作の厳しいアセンブリをクリアするのに欠かせない隠しパーツが多数存在する。
    • ファンにとってコレクションの価値のあるアーカイブだが、これの解禁には達成率が関係する。その達成率の内訳は、ミッションクリアの他に、出現ACの撃破、そして前述の面倒な隠しパーツの取得(コンプリート)と、悪名高いSランク取得が名を連ねる。ランク査定の基準も『SL』と同じく理不尽 *5

既知のバグ

致命的なものは少ないが、一部バランスに重大な打撃を与えているバグ(あるいは理不尽な仕様)が存在する。

  • 「フリーミッション」でクリアしたミッションは必ず失敗にカウントされる。
  • 「フリーミッション」で挑んだミッション中のBGMの音量が跳ね上がる。
  • 左腕に火炎放射器を装備するとロックオンサイトが拡大される。
    • 実際はFCSの本来の範囲。例/広角FCS装備時→あらゆる武器が広角サイトになり、キャノン系が猛威を振るう。
    • 一応、火炎放射器は弱武器のままなのに前作から重量が倍以上に設定されている事から、公式で用意された救済処置(裏技)ではないかという説もある。

評価点

  • OPデモの進化が著しく、かなりカッコいい。より一層ACの活躍を印象づけてくれる。
  • ゲームメニュー画面が一新。世界地図を背景とした擬似GUI方式になった。
  • ミッション前の演出が多くなり、ストーリー性が強化された。
  • オープニング音楽は『3』同様メイン・テーマのクワイア音を否とする意見もあったが、それでも依然として高い評価を維持。デジタルサウンドを駆使したアップテンポ調の激しい曲は人気高い。担当は星野耕太氏。
  • パーツパラメータの日本語表記化と、ダミー・隠しパラメータのほぼ全廃。
    • 取っつきにくさの代表例ともいえたこれらの点が改善されたことで、パラメータ画面がだいぶ見やすくなった。
    • パラメータの解説やFCSなど一部余計に分かりづらくなったパラメータもあるが、パーツを選択する上で基本となる『重量』や『消費エネルギー』『積載量』に加え各種防御力などパーツの性能を程度直感的に判断できるようになったのは大きい。
  • 隠しパーツ有無の表示。
    • フリーミッションにて選択できるミッションに限り、隠しパーツ未取得の表示が追加されている。入手条件は非公開だが、これまでのシリーズでは全ての隠しパーツの入手が攻略本やネットの情報に頼らざるを得なかった為、一部とはいえ非常に嬉しい仕様である。……のだが、何故かこの仕様はNXのみで次回作に引き継がれなかった。
  • ミッションの難易度引き下げ。
    • 大幅な仕様変更と前作『SL』の難易度に対する救済的な意味合いか、報酬が増額し、失敗してもかなりの額が貰え、自動的にストーリーも進行することから、クリア目的なら難易度は低い。
    • 仕様の複雑化などにより初心者に厳しい面も多いが、熱の重要性さえ分かればミッション自体の難易度はそれほどでもない。
    • 失敗時のゲームオーバー(強制的にタイトル画面に戻される)仕様の撤廃も嬉しいところ。
  • 「難易度設定」の修正。
    • 対戦する際に大きな弊害となっていた難易度設定によるサイトサイズ問題が解決した。
  • 個性豊かなキャラクター
    • 後続作LRに出演する個性的なキャラクターは人気が高い。本作の時点では名前や声のみのレイヴンもいるが、突然アークから脱退し行方を晦ます同期のエヴァンジェや、二代に渡ってプレイヤーと生死を賭した激戦を繰り広げるファイアー親子とシリアスな路線から、ロケットオンリーの機体で挑むアモー、渋い設定とは裏腹にシステムに嫌われた装備でトップランカーを務めるジノーヴィー、俗に言う「アッー」ネタとして笑いを齎したジャック・Oなど後世でも愛されるキャラクターが多い。
  • 格納機能は本作の時点ではまだアセンブリに若干工夫は必要なものの、これまで右腕・左腕それぞれ一つずつしか持てなかったメイン武器のバリエーションの増加に一役買っており、パージ(装備解除)によって重量を軽くする戦術にもより深みを持たせている。
  • 両手銃でそれぞれ広角タイプと遠距離タイプの武器を組み合わせると、広角タイプ側のサイトが狭くなってしまう代わりに遠距離タイプ側のサイトが拡大でき、従来使いにくかった遠距離タイプ武器の地位向上に一役買っている。
  • 本作で導入された幾つかの新要素は後のシリーズ作品にも受け継がれることとなった。
  • プレイヤーを悩ませ続ける熱暴走だが、これは敵も同じ条件のため、同じ方法で敵を苦しめる事が可能である事は見逃せない。熱暴走がしにくい機体であれば必ず別の弱点があるため、そういった予測も立てやすい。
    • 熱暴走自体も数値的な調整不足であり仕様自体に問題はない。シビアな分、ラジエータ(冷却装置)や排熱を考慮した機体を構築する楽しみは増えているという見方もある。現にラジエータの冷却能力が底上げされた『ラストレイヴン』では熱問題に関する批判は薄い。
  • 暗視機能などの特殊なカメラタイプが生きるミッションがある。自分で暗視機能のON/OFF切替ができないのが玉に瑕だが、赤外線視界戦闘のような画面は一見の価値あり。
  • DISC2のガレージ画面のBGMは初代のアレンジ。

総評

アクションゲーム市場として視野を広げた場合、致命的なバグを持たず、依然として高い品質を保持しているゲームではある。批判点で挙げられた各項目を見て分かる通り、本作への批判は大半が過去シリーズ作品との比較に因る為、シリーズ新規参入プレイヤーからの視点、ならびに作品単体の品質から本作をクソゲーに分類するのは早計と言える。
しかし、新規プレイヤーの開拓に意欲的な姿勢が見える一方、事前体験会による旧来のファンの阿鼻叫喚にも係らず未修正のまま発売してしまった事(言い換えれば旧来のファンの意見を切り捨てたとも言える)や、公式でも『3』『SL』と順調にPSP移植された所で、本作を差し置いて続編である『LR』の移植版が発売されてしまった事からも本作の立場は非常に厳しいものと言わざるを得ない。
本シリーズはいわゆる一人プレイ派や対戦派の他にも様々なユーザー層が存在し、それはアリーナを楽しむ層であったり、高速機動戦や空中戦を求める層であったり、破壊や制圧による爽快感を楽しんだり、シナリオを求めていたりと多種多様である。それらのファンに長年支えられていたシリーズであっただけに、新規層開拓とファン離れを発生させたN系初頭の功罪は極めて大きいと言えるだろう。

半年後レイヴン達が待ち望んだNXの続編は…。