ファイアーエムブレム 暁の女神

【ふぁいあーえむぶれむ あかつきのめがみ】

ジャンル ロールプレイングシミュレーション
対応機種 Wii
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 2007年2月22日
価格 6,800円
分類 バランスが不安定なゲーム判定
ポイント シナリオ重視で、シリーズ中最も自由度が低い
SRPGのバランスを揺るがす要素満載
不出来&フォロー不足のシナリオ(一部評価点もあり)
前作からのキャラの設定改変
追加・変更点の多すぎる海外完全版
実際のゲーム内容とスタッフインタビューにズレがある
ファイアーエムブレムシリーズ関連作品リンク


概要

2005年4月20日、GC専用ソフトとして発売された『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』のその後を描いた続編。
基本システムは前作を踏襲し、新たに四部構成、高低差の概念、最上級職と言った新要素を加えた。その他、武器に鉄系の下位種の青銅系、魔法の三すくみが「理→光→闇→理」とGBA版のものに回帰(炎→風→雷→炎もある)、獣ユニット「ラグズ」の化身システムの改善(専用ゲージが満タンであればいつでも任意で化身できるようになった、パラメータにボーナスが付いた)など、既存の要素にも手が加えられている。
今作ではFEシリーズ初の4種類のCM(ムービーCMの3種類と芸能人を起用したバージョン)で宣伝している。


問題点

難易度設定

  • ノーマルだとテキストが大幅に削られる。SRPGが苦手なプレイヤーはシナリオを存分に楽しめない。
  • マニアックはマップ属性廃止、三すくみ廃止、敵行動範囲表示廃止、取得経験値減少(ボーナスEXも含む、ボーナスEXの消費量増加)という新鮮味がない作り。
  • 唐突な部隊変更などの詰まり防止の為かハードをクリアしないとプレイできない。一か所だけ運ゲーの場所もある。

ゲームデザイン

これまでの作品と違い一度加入したキャラでも外れる事が多いので(場違いの強さのキャラは注意)、ユニットの出撃選択の自由度が低く *1 、プレイヤー独自の軍団編成が難しい。

  • 各部ごとに主人公、そしてユニットのメンツが切り替わる。シリーズ第四作『聖戦の系譜』を髣髴とさせる構成なのだが、タイミングが唐突でお手軽にユニットの育成をすることが難しい。
    • 特に第一部で登場するユニット達は効率良く育てないと脱落する(初心者用ノーマルなら結構余裕がある)。シリーズでは割と共通項だが、育成の方針を把握しているプレイヤーとそうでないプレイヤーでは差がつきやすい(成長率格差が少ないのが救いではある)。
    • 一部の後は三部中盤まで出番無し、更に三部参入の味方より結構レベルが低い状態で復帰するので、ハード以上の難易度の場合戦力として育てるのは結構難しい。
    • 拠点画面でボーナスEX *2 を振り分けて育てられるという救済はある(後述)。
    • 一部でターンをかけて経験値稼ぎすることも可能だが、面倒な上、実力が無ければ三部で育てられないのでお勧めできない。
    • しかも彼らはそんな三部のユニット達と敵対する。つまり弱い彼らを使って戦い抜かねばならない。しかし直接の戦闘は必須ではない(むしろこちらが意図しなければ起こらない))し、成長次第で逆に三部のユニットを倒すというプレイも出来るので、やりごたえの面からはむしろ評価すべきでもある。専用会話も豊富。
    • これらの不遇ユニットは成長率が他に比べ高い(例外はあるが)。数少ない救いである。
  • 強制出撃・出撃禁止ユニットが多い
    • 展開上三部アイク隊に多く、章ごとに出撃制限が課される(攻略自体はユニットが粒ぞろいなので問題は無い)。三部ミカヤ隊は基本的に全員出撃できるが、最終メンバーをアイク隊から多く出そうとすると育成面で問題になってくる。
  • また四部になると、より強力な能力を持った「ラグズ王族」のユニットが正式加入。通常ラグズのほぼ上位互換に位置するチート性能で、その結果通常ラグズは相対的に見れば趣味の領域となる *3
    • 王族は化身も解けない為、第四部は彼(彼女)らが邪魔な敵ユニット達を潰していくだけの作業に陥る可能性がある。その強さはファンからも「王族縛りはデフォ」と言われるほど。
  • 今までの全ユニットが集合する第四部は終章を除くと計6章あるが、そこでは部隊を固定枠+選択枠で3つに分けて攻略することになる。そのためマップ数としては6章分だが、内訳は各部隊2章ずつである。
    • この構成は部隊毎に育成のしやすさに差が出ており初見だとややキツイ *4
    • 今まで一部隊運用(デインとラグズ連合を分けて考えても二部隊)だったのが三部隊に分かれるのは、初期からレベルが高いユニットばかり育成する(取得経験値がレベル変動なのでレベルの高いキャラばかり使うと経験値があまり入らない為)初心者の場合は総合的に戦力不足になるので、王族に頼らざるを得ない状況になり単調で面白くない展開に陥る。

シナリオ・キャラクター

  • 上記のように今作はシナリオに重点を置いているが、その肝心のシナリオの出来が非常にお粗末。
  • サインしただけで国民の命を根こそぎ奪う呪いをかける紙っぺら(血の誓約)、第四部で神が降臨しそれまでの流れをリセットする超展開(裁き)が起きる、前作主人公のアイクによるストーリージャックなど、小学生が作ったのかと思ってしまうような凄まじい内容。
    • ただ、裁きについては一応前作からメダリオンの存在によって伏線は引かれていた。それでも唐突な印象を与えてしまうのは否定できないが……
  • 今作の主人公は一部ミカヤ、二部エリンシア、三部と四部がアイクとミカヤという具合。ただ、これまでの伝統だとパッケージ絵の中心に位置しているのが主人公であり、今作に於いてはそれがミカヤなので誤解を受け不快感を感じるプレイヤーが目立つ。
    • 二部のエリンシアは形式上は主人公だが出撃機会が少なくファンから見れば残念な仕様。
    • ミカヤは第一部では主人公らしく存在感を発揮するのだが、三部以降は前作の主人公のアイクに取られていく。なお、アイクは第二部にも最後に登場するほか、宿敵との戦いなど、見せ場(続編ものにありがちな伏線回収の弊害もある)がやたら多い。
    • ミカヤの設定が最も生かされるのは第四部だが、それ故女神の器となってしまい、ミカヤ自身は相槌を打つ程度の会話しかしなくなってしまう。
  • またラスボスはアイクでしか倒せないという前代未聞の優遇まである。
    • あまりにも活躍するため勘違いされやすいが公式ではアイクは副主人公扱いとなっておりあくまで正式な主人公はミカヤである。
    • 今までの作品でもトラキア776や烈火の剣のように前作の主人公が登場するということはあったが、ファンサービスの様なものでストーリージャックをするというようなことはしない。
  • しかしそのアイクの性格も改悪されている。
    • 熱血漢だった前作とは違い、表面上ではかなり落ち着いた性格になっている。しかしそうなるまでの過程が全く描写されておらず、見た目もかなり変化しているために前作プレイ済みの人からは別人扱いされても仕方がないものに。
    • 身の周りがアイクに賛同する人間が多く持ち上げられていると指摘するプレイヤーもいる。全体的にアイクに対する態度が甘いキャラクターが多い。前作では厳しい態度を見せたキャラクターも例外ではない。
      • ただし、アイクには前作での功績があり、更に今作ではベオクとラグズの両方をまとめきる存在として最初から最後まで頼れる存在という理由はある *5
    • 一応第四部終章ではアイクも前作っぽい性格を取り戻すのだが、後日談で唐突に傭兵団を捨て旅に出るという結末が描かれる(これも経緯が描かれておらず、何故捨てたかは完全に不明)。これは蒼炎時代とは状況が異なるとはいえ、唐突すぎる印象を感じる。
  • そして最重要キャラである肝心のミカヤ自身にも問題あり。
    • 「私は戦いたくない→でも戦うしかない→本当は戦いたくない→やっぱり戦う」といった言動が回りくどいという意見もある。
    • ミカヤは将軍であるため、王の命令には従わなければならないので戦闘自体に非はないが、戦う意味を王に問いただしたりはしない。つまり「何故戦うのかは聞いてないけど、王はいい人だから何か考えがあるんだわ」ということで、その結果が血の誓約である
  • 最も問題視されているのが、ティバーンがサザを人質にとってミカヤを脅し、ミカヤは攻撃をやめてしまうというシーン。
    • デインのために尽くすはずがあっさりとサザを優先してしまったミカヤや、真っ直ぐな熱血漢のはずが卑劣なことをやってしまったティバーンのキャラの軸が批判の対象となっている。
      • ミカヤについては、これ以前もこのような行動をとった後も、デイン兵からまるで女神その人のような扱いを受け(作中表現そのまま)、作中では一切批判されない。ただし、デイン兵もこの状況を疑問視しないなど問題があるため、アイク同様、不自然な持ちあげ方をされていると指摘されている。
  • EDも前作に無かった後日談が追加されたが、分岐の幅も数も少ない。
    • なんと一部で登場する面々は主人公除いて何一つペアエンドが無い(友情エンドすら無い)。あからさまなフラグも立っていたのに。
      • 従来シリーズでも組み合わせ一つあたり2~300文字程度のテキストで表現されており、本作でキャラ数が大幅に増えた事を差し引いても十分な数を作成できた筈である。
    • 過去のFEシリーズでは主人公は特定人物と結婚することが定番である。本作では、ミカヤには結婚エンドがあるが、アイクには友情エンドしかないことを批判する人もいる。尤も、アイクの性格や身分ではしょうがないという意見も多数。
      • 但し、その友情エンドの一人「セネリオ」はやたら優遇されていて、公式ペアエンドと揶揄する人もいる。が、セネリオと支援Aを蒼炎と暁でそれぞれすると見られる発生条件が面倒な会話では唐突にアイクがセネリオに抱きつくという明らかに腐女子を狙ったとしか思えないような展開 *6 になる。傭兵団をやめてセネリオと旅に出るというペアエンドの描写も不評。
  • シナリオ自体は『蒼炎の軌跡』の続編で、第二部以降からは前作のキャラが多く参戦し、身内会話が繰り広げられるため蒼炎を中途半端にプレイしていると置いてきぼりを食う可能性がある *7
    • 前作に比べアイクの他にも劣化した(顔グラ)と言われるキャラクターがおり、前作のプレイヤーにファンサービスができていない一面も。

ゲームバランス

ゲーム終盤を中心に、ゲームバランスが破綻している。

  • 過剰な救済措置。
    • 今作はFE最高のマップ数(紋章は一部と二部が分離しているので別)なので詰まないようになっている、その対策として主に次々と強力なキャラが加入。
    • 一部では、この時点では場違いな性能のキャラが合計4人も入る。しかもそのうち一人は真エンディング(後述)の為に出す必要があり、それを見たい人にとっては実質強制出撃となっている。
    • 三部アイク隊からは後述の通り強いキャラが加入する。主人公のアイク含め、シノン、ガトリー、ハールが4強。彼らは最初からレベルと初期値がかなり高い為にほとんどの状況を切り抜けられる。
      • 特にアイクの場合、引き継いでいると初期値でカンストしている部分が現れる事があるほど初期値が高く上限値も全キャラトップの高さを誇り、かつ成長率も高めと過去作の主人公と比べてもあまりにも優遇されすぎている。
    • 四部だとそれに加え前述したラグズ王族が4人加入する。
    • 四部に入ると部隊を3つに分ける必要が出てくるが、万が一のための救済措置なのかその際の3人のリーダーユニットがアイクとティバーンというメンツである。物語的には違和感はないがゲームバランス的には最悪である。なぜならこの2人なら単騎特攻でも余裕で生還できてしまうからである。王族であるティバーンはもちろんだが、アイクは直前にクラスチェンジがある。元々の初期値が非常に高いことに加えボーナスがとても高いため専用武器と組み合わせれば初期値のままクラスチェンジしても余裕で無双が可能。
      • そのため、4部で難関とされるマップは全てミカヤサイドとというなんともいえないことになっている。もちろんミカヤでは元々の耐久に加えクラスチェンジをしていないため単騎の無双はまず不可能である。
      • ちなみにマップの構成自体もほかの部隊に比べてかなりきつめである。中でも大量の騎兵が再行動を生かして数で押してきたり、遠距離魔法を持った増援が登場したりする序章は今作屈指の難関とされる。序章が難関というのはまたいかがなものか。
  • ボーナスEXに関する問題
    • 前作で闘技場に代わって下級レベルユニットの育成用に導入されたボーナスEXは無限育成によるパワープレイが容易に出来なくなったなど一定の評価はされたものの、セーブとリセットにより多人数のパラメータの吟味が可能になるなど別の意味でパワープレイが出来るという問題があった。
    • 今作ではその対策にボーナスEXによるレベルアップではパラメータがちょうど3つだけ上がるようになっている。この「ちょうど」というのが曲者で成長率が高かろうが低かろうが、一部分のパラメータがカンストしてようがしてまいが、一律で3つ上がるように設定されているのである。
      • よって、本領を発揮するのは一部のパラメータが上限に達する終盤であり、序盤に3つしか能力が上がらないというのは救済にならない場合もある。
    • ただし、通常のレベルアップと上手く使い分ければ各キャラの得意な面をほぼ確実に伸ばせ、弱点の補強も可能なので、割り切って使えば成長のコントロールはしやすい。
  • 新要素の「最上級職」と、その特典である「奥義」のバランスが悪い。
    • 奥義は発動率が高い上に、効果の大半は「結果的に敵を一撃で粉砕する」ものばかりで味気ない。ラグズ奥義はユニットの力がヘタレていても一撃追加要素の恩恵はほぼ無し、ベオクの方は麻痺や回復など多少は使いどころはあるが
      • インフレ要素は多数存在するが、「奥義の性能を(天空の発動率以外)前作の仕様に戻すだけでも結構マシになる」と言われる始末。
    • 後半は敵将も奥義を取得しているため、奥義を封印するスキル『見切り』『能力勝負』がないと少々きびしい。
    • さらに進むと、敵将はこちらの奥義を封印するスキル『見切り』または『女神の加護(見切り+α)』持ちがほとんどとなり、互いに奥義やスキルは発動不可となる。しかし逆にインフレ要素が廃されやりがいがあるボス戦になったのは皮肉としか言いようがない。
      • そのせいで四部は終章だけ面白いと言われることもしばしば。
  • あからさまにプレイヤーに無双を強いるようなマップ構成。
    • 終盤では恒例と化していた高威力である銀系統の武器や強力な魔法を装備した敵が今作では異常に少ない。しかも従来と比べて敵の数が多い。
      • 従来では終盤になると起こるHPや守備力及び杖の回復量のインフレに対抗するための処置であり、それ以上に激しいインフレを見せている今作では終盤でも中くらいの性能を持つ鋼武器やエル系魔法程度しか登場せずこちらのユニットはかすり傷しか食らわない。
    • もはやお約束と化していた遠距離魔法や状態異常杖も登場回数が異常に少なく、従来作と比べてマップが平凡かつ単調になりがち。せっかく「エルスリープ」とか「エルサイレス」 *8 のようなファンにとってみれば魅力的な状態異常杖が初登場しているのに出番が異常に少ない上にこちらからは使えない。
    • スキル着脱が自由になった事により、お気に入りのキャラに強力なスキルをフル装備させて突撃させて無双させるという戦法も容易にできるようになっている。
  • 本作で「設定上強いとされているキャラクター」は、ユニットとしての性能も相応に強い。中でも王族ラグズにあたるユニットは強すぎる。
    • 過去のFEでは、主にゲームバランスを取る目的で適度に弱めのパラメータが設定されていた。
    • 一応そのような設定にしたことによる数少ない良点はある(後述)。
  • 従来は2種だった傷薬系の種類が今作では4種に増加したが、回復量と回数と種類が多い。
    • 今作は全体的に敵も味方もHPが低め(上級で40くらい)なのだが、最も一般的な傷薬ですら20回復で8回使用可能と、被ダメージ自体は前作からそれほど変わっていないのに回復量だけ明らかに多すぎる。
    • ただし、回数に関しては「これくらいないとマニアックで第一部と三部のミカヤ隊ステージが鬼畜化する」との声もある。マニアックでは武器の三竦みが消滅(能力面での不利を覆す要素が減る)し、ダメージが多くなる為である。どちらかと言うと難易度の調整不足の問題かもしれない。
    • 杖に関しても、需要の代わりに装備しているだけで体力・状態異常回復などの特殊効果が追加されたので、使いやすさは上昇している。
  • 兵種や武器のバランスにも問題がある。
    • 短所が埋められて死角がなくなり、単純に強力になった兵種がある。
      • 射程1~2である弩(価格は少し高いが)の登場により近接攻撃不可という最大の弱点を克服した弓兵や、従来の弱点であった速さ・魔防の成長率が大幅に補強された重歩兵、弓による特効がなくなった竜騎士などがあげられる。
    • その煽りを受け、長所が長所でなくなった兵種がある。
      • 魔導士系は「魔法による直接・間接両方の攻撃を行える代わりに守備面に不安がある」というユニットだったが、従来作ではその利便性ゆえに最強レベルのクラスとして君臨しており、その結果前作の蒼炎で大幅な調整を施される事となっている(詳しくは蒼炎の記事を参照)が、その調整自体は正しい方向性であるとして高く評価されていた。しかし…
      • 今作ではその調整が改悪されてしまい、「敵の魔法防御を蒼炎よりも更に全体的に底上げ」「物理攻撃系統の兵種の直間両用武器を数・質ともにかなり補強」「魔法に弱い敵があまり登場しない」「遠距離魔法の弱体化」などの理由により、従来作より長所を活かし辛くなった。
    • 兵種間格差の問題は従来シリーズにも存在したが、以上のような理由から今作でも根強く健在。単に力関係が入れ替わっただけである。
  • トラキア以来久しぶりに復活した「指揮システム」であったが、「一部が異様に難しい」「三部からのバランスが崩壊している」などと言われる最大の要因とされているほど、バランスがきびしい。
    • 今作の仕様は、指揮官ユニットの指揮レベルの星の数(最大数5)だけ味方全員の命中回避が+5%されるというもの。指揮官ユニットはシナリオ展開に合わせてマップごとに固定であり、指揮官でないキャラの星の数は意味が無い(製作期間の問題で削除していないと思われる)。
    • 難易度が高いマップほど味方の指揮官の指揮レベルは低く、逆に敵の指揮レベルは高いという傾向がある。バランスの調整としては機能せず、むしろバランス崩壊を助長している。
      • ただし、ストーリーにおける「敵側の指揮系統の実状」と敵側の指揮レベルの設定値はほぼ一致しており、演出としては良くできている。悪く言うと、演出だけが先走っている。
    • 四部終章のみ、ある程度進めると敵将の指揮レベルが高くなり、最終局面らしい歯応えのある難易度となる。
      • 前述の見切りスキルもそうだが、余計なインフレが相殺されるシチュエーションの戦闘ほどユーザー側の評価が高い傾向にある。結局いつものFEが良かったということか。

初回プレイヤー無視要素

  • 周回プレイを推奨(というか要求)する謎仕様。
    • 上記の仕様も含めこれだけ周回プレイをする気力を失わせておきながら、最低でも二周目以降のプレイ中にある条件を満たさなければ真エンドにたどり着けないという面倒なシステム。
      • 更に2周目ではとある選択肢と新キャラが追加される。魅力的ではあるがなぜ最初から選ばせてくれなかったのかという意見も強い。
    • 烈火の剣、聖魔の光石でも周回プレイ推奨の仕様だったが、1周目とは異なる主人公・ストーリーでプレイ出来るので十分楽しむ事ができた。
      • ミカヤとアイクの過去・それに伴う世界の動きを垣間見ることができるので、好きな人は見て損はない。

その他

他に欠点として、以下のものがある。

  • 今作で新登場したミカヤやラグズ王族を除くキャラクターが従来のシリーズと比べるとバックボーンが薄い。
    • 拠点会話で最低限のことは把握できるようになっているが、膨大なテキスト量の支援会話による掘り下げが無いことや、出番の少なさ(出撃機会ではない)が薄さに拍車をかけた。
    • 支援を自由に組めるという設定が、結果として支援会話の薄さ・テンプレ化につながった。
    • 暁の団の面々は公式ホームページのバックグラウンド、その他はファイアーエムブレム大全で語られている。
  • 個性の無いユニット。
    • 最近の作品では好きなユニットを使うことに重点を置いているのか、極端に成長率が低いユニットがあまりいなくなった(一極化しているなどバランスの悪いユニットもいるが)。更に今作は最上級職が追加されレベルUP・クラスチェンジボーナスの機会が増え、必ず3つのパラメータが上昇する拠点育成もあってほぼ全てのユニットが全パラメータMAXに出来るようになったため、さらに個性が薄まっている。
    • この仕様により第一部のユニットが更に冷遇されてしまうことに(高成長率が意味の薄いものに)。
  • 第三部以降、中立軍と友軍のフェイズがやたら長い場面が多く、プレイヤーフェイズが周って来るまで時間がかかる。
    • さらに他の章ではPCとなるキャラが章の設定上友軍となる場合があるが、その際は以前に所持させていた貴重な武器を勝手に使用してしまう。
  • 主要人物であるサザの異常な冷遇。前作(スキル「大器晩成」)と第一部の伏線は破棄される上、シナリオ上では凡人扱いされるなど、全体的に扱いが酷い。新規キャラの中に混じっている数少ない前作キャラなので、前作キャラ対新規キャラの構図になる第三部では戦闘会話イベントが多いが、自軍が弱すぎてそんなこともやっていられない。
    • 一応最重要敵ユニットとの会話で「凡人だからこそ良い」的なフォローがされるが、それは終章で突然敵ユニットとの会話で出てくるもの。そもそもストーリー上で凡人故の活躍というものが描かれていないのでフォローとして成り立っていない。
    • 最上級職が汎用職の「密偵」である。使用武器が同じクラスのアサシンと比べると、「鍵開け能力は同等」「奥義・上限値などの戦闘能力は下位互換」と散々である。主要人物なのだから兵種、せめて奥義くらい専用にすべきだったと言われている。そもそも初登場時からして所謂お助けユニット相当の脇役ポジション、しかもお助けユニットを任せるには不安が残る落第スレスレの性能という救いようの無さ。極めつけは同じ「密偵」としてもスキル面と成長率で新登場の女キャラに負けている
    • 終章で強制出撃と厚遇されている面もある。しかし上記の性能上お荷物扱いを受ける事に。
    • しかし、今作では主人公であるミカヤやアイクを始めとして軸がブレているキャラが多い中、実力が伴っていないのは別として何よりもまずミカヤ優先というように終始キャラが一貫している点は評価されている。
  • ムービーにおける声優陣の演技力の低さ(棒読みではない)。声の演じ分けがナレーターと一部のキャラを除いて不完全で、誰が誰だか分からなくなることがある。
    • 第四部における重要キャラ達の回想シーンは最たる例。この場面では顔グラなどの人物を確認する要素が殆んど無いため本当にわからなくなる。
    • 一番頑張った声優で真っ先に候補にあがるのがナレーター役というのは正直どうなのだろうか *9
    • 声の演じ分けという点を除けば演技自体は好評を得ている。
    • ムービーの存在自体は長すぎず、ロードの快適さ(後述)もあって高い評価を得ている。もちろんスキップも可能。
  • 初期verによるフリーズ。徹底防御育成で戦闘アニメーションオン状態のまま遊んだ後、敵に攻撃すると戦闘アニメーションがオンなのにオフ状態に変わる。既にカンストしたパラメータが上がるなどの細かいバグがある。特にフリーズは中断機能がリセットでパーになる今作では回避不可能。
    • 前作の蒼炎の軌跡でもフリーズはあったのだが、こちらは回避が非常に容易であるため問題は特に無い。
    • バグは初期verだけなので後から出荷されたものはフリーズだけ修正がかかっている。
      • が、ジル寝返りデータ引き継ぎフリーズだけは何故か治っていない。

海外版の追加要素

北米版には様々な要素が追加されている。しかしその要素が軽視できないため熱心なファンの神経を逆撫でさせた。
以下その要素の一部(Wikiから抜粋、ネタばれ要素は改変)。目に見えるだけでもこれだけの要素が追加・改善されている。

+  海外版における変更点

改良したものを海外で売るというのは実際どこにでもある商法である。だが追加要素や救済措置だけではなく物語の核心・キャラクター・ゲームの仕様といった極めて大きな部分に変更が加わっているため、日本版を買ったプレイヤーが怒るのは当然だろう。
過去にGBA作品でもこのやり方で売っていて批判されていたのにまた同じような事をしたこともあって、「ユーザーはテストプレイヤーとして見られている」との批判も後を絶たない。
なお、海外版仕様の国内完全版を求めるユーザーもいるが、その販売は任天堂の方針上絶望視されており、日本版ユーザーへの救済はないと思われる。


評価点

  • 前作より大幅にクオリティの向上した音楽。GBA時代を髣髴とさせる印象深い旋律を奏でる楽曲が中心となった。
    • 戦争の壮大なスケールを感じさせる曲が多く、どれもが非常に高い完成度を誇っている。演出面でもトップクラス。
    • 特に人気の高い「絆永久に」は『大乱闘スマッシュブラザーズX』に「アイクのテーマ」という曲名で採用された。
  • 前作で未回収だった伏線はほぼ全部回収している。
  • 前作より格段とクオリティの向上したグラフィック。戦闘シーンのアニメパターンが多彩になり、躍動感溢れるアクションを見せてくれる。また、キャラの固有グラフィックが非常に多くなった。
    • ロンチタイトルでありながらいまだにWiiトップレベルのグラフィックと音楽は非常に高い評価を得ている。
    • ただし、奥義ヒット時のエフェクトと効果音が前作と比べて地味になっており、そこは惜しかった点として指摘されている(一応、前作の甲高い音が不評だったかららしいが…)。
  • 前作と同じ、デジタルフロンティア制作によるアニメーションムービーも更にクオリティが高くなっている。
    • なんとムービーの量は蒼炎の軌跡のおよそ倍。しかもそのどれもどれもが非常に高い完成度。
    • 特に二部終章のムービーは多くの前作ファンを感激させたことでも有名。
    • 今作は美術スタッフが全スタッフの半分を占めていることやロンチタイトルということでWiiの性能を見せるということもあり、グラフィックに重点を置いた作りになっている。
+  ←その製作スタッフ達のこだわり具合。一見の価値大いにあり。
  • 破綻しきっているゲームバランスではあるものの、なぜか第2部だけはやたらとバランスがいい。それどころか全体的にやり応えもずば抜けている。
    • 特に作中一の完成度を誇る第二部終章のMAPはシチュエーションやBGM、難易度や戦略の幅の広さもあって他のMAPと比べ評価は高くここだけが浮いているほどの出来。
      • 新要素である高低差も上手く活用しており、FEの新たな可能性を感じるマップである。
    • また同じく第四部終章エリア3のMAP。ボスを設定どおりの強さにしていることによる数少ない良点であり、その非常に高いステータスから威厳を出すことに成功している。
      • 周りの雑魚敵も大陸最強種族の設定どおり強い敵ばかりで歯ごたえがあるためなかなか好評。
    • バランスブレイカーをまだ得ていない第一部や第三部の前半も、従来の作品と同様に楽しめる。
  • MAPクリア条件がバラエティ豊かになった。従来作では「制圧」「敵将撃破」がほとんどだったが、今作では「2人を指定位置に進軍させる」「所定人数の撃破」など新しいものが多い。
  • ディスクメディアだと感じさせない、快適なゲームテンポ。
    • ロード時間はほとんど無く、レベルアップ時のステータスアップ、経験値取得と言ったシーンまでボタンでスキップ可能となり、個々の展開がよりスピーディに。
    • 全40章強の大ボリュームを思わせない、テンポの良いストーリー展開も評価に値する部分である。
    • 更に2周目以降になると戦闘アニメ完全オフ(マップでの動きすらない)などが追加され更にテンポが良くなる。
  • Wiiらしさを撤廃した、ゲーム性重視の操作性
    • リモコンを振るなどWii独特の操作を必要とされることもなく、旧シリーズと同じ感覚でゲームを楽しむことができる。
    • 蒼炎の軌跡で手に馴染んだGCコンが引き続き使えるほか、リモコンなど多くの操作法に対応しており大変良心的である。
    • ちなみにHORIのデジタルコントローラにも対応している。
  • ムービーでの声優の演技力の低さが嘆かれる一方で、主人公の一人であるアイクを担当する声優の演技は前作と違いキャラクターにあった渋めのもの(前作の三年後というのもあるが)となっており好評だった。後に大乱闘スマッシュブラザーズXで前作の姿で登場したアイクを担当した際も今作寄りの声質を用いている。
  • 前作で死んだはずなのに何故か続投のオリヴァー。
    • これに対しては専用戦闘BGMや戦闘会話などでかなり優遇されているが、今回は本筋に一切かかわらないキャラである上、加入が最終盤だということもあるのか、「綺麗な贔屓」と言われるなどファンからは喜んで受け入れられた。
    • ちなみに、前作のトライアルマップでは条件を満たせば使用可能になるユニットだった。
  • 問題点だらけのシナリオだが、(脳内補正込みで)評価できる点も存在する。
    • 第一部では、FEの王道とも言える国家再興が描かれる。義賊に過ぎない主人公たちが、旧臣たちとの出会いなどを経て徐々に勢力を拡大していく様子が、収容所襲撃・ミカヤ奇襲などの劇的な場面を交えて表現されている。
    • 第二部では、前作を単純な大団円では済まさない、クリミア王国の内紛が描かれる。少ない話数ながら、前作では陰に隠れがちだったエリンシア女王の芯の強さや、身を持って彼女を支える臣下の忠義をはっきりと感じられる。また、敵大将は野心こそ秘めているが、単なる奸臣ではなく国を思っている面もある。そして従来は保護の対象であることが多かった自国民に刃を向けられることもあるなど、敵の描写も単純ではない。
    • 第三部では、前作からの重要なテーマであるベオクとラグズの対立が国家間戦争という規模で描かれており、その中で章ごとにプレイヤーの視点が変わるという群像劇のような演出を採用している。従来は一方の視点が重視されることがほとんどだったFEに、正義VS正義という新しい構図が持ち込まれた。
    • 第四部では、鷺の民や竜鱗族といった物語のキーマンたちがいよいよ動き出す。そして、絡まり合った人間関係が一つずつ解けていき、遂に物語は終幕を迎える。
    • シナリオは賛否両論を巻き起こしており、全く評価できない、二部まではよかった、最後まで楽しめたなど人によって評価は様々。

総評

シリーズでは初めて、ハードの発売から間もなくリリースされたFEで、プロモーションも多数のCMを用意するなど、新規ユーザー獲得の為の試みが成されていた。
しかし、実際は新規ユーザーを置いてきぼりにするどころか、FC~SFC時代、GBA時代のファン双方にすら、主にゲームシステムを含めて違和感を与える内容で、賛否両論を巻き起こす結果になった。
評価されているファクターのほとんどが、ゲームシステム以外、しかもゲーム性とほとんど関連しない部分に集中していることから、今作のゲームとしての作りの甘さ、底の浅さが如実に現れていると言えるだろう。
前作蒼炎のファンディスクとしても、シナリオの出来からして微妙どころかむしろファンの神経を逆なでするような代物であり、結局、誰に対して売るのか、そして誰が得するのかすら分からぬゲームになってしまった感じである。
だが操作性、テンポ、やり込み要素、キャラの多さも含め、十分に遊べる出来で、決してクソゲーではない
実際ストーリーのダメさ加減をカバーしきっている素晴らしい演出や美麗なグラフィックに惹かれた新規ユーザーやファンが多くいることは紛れも無い事実である。
だが、評価点の大半は前述の通りなので、シミュレーションRPGのゲーム性を求めるユーザーには向かない
このようなこともあってか、グラフィックで勝負するSRPGという類を見ないゲームになったのは誰もが認めることである。

しかしシリーズ中でもマイナーだった前作の蒼炎の軌跡を再評価するきっかけを作ってくれた事は否定できない。
だがその一方で、蒼炎がシリーズ屈指の出来だと再評価されたことが、この作品含め以降の作品の評価を厳しくしてしまったという面も否定はできない。


余談

  • 『HELLSING』の作者、ヒラコーこと平野耕太氏は「コントローラー放り投げた」と今作を猛批判。そのことが2ちゃんねるの関連スレッドに転載され騒動を巻き起こした。
    • 批判はシナリオが中心で、主人公のミカヤを「支離滅裂な自己中の馬鹿女」と言ったり、ティバーンを「一介の幼児よりも一億ランクほど程度の低い生き物」と称したりと、その怒りは尋常でなかった。
    • 血の盟約の描写に関しては、「ミナミの帝王に出てくる借金まみれの中小企業の社長ですら そんなもんにはサインしねえよ」と設定の強引さを叩いていた。
    • そして、開発スタッフ陣を「ド無能」と非難した。プロの作家(漫画家)として、許せないものがあったのだろう。
    • なお、この批判文は現在削除されているが、検索すると2ちゃんねるの掲示板にてそのままコピペされたものが出て来る。
  • そんな「ド無能」と平野氏に非難された開発スタッフ陣も、インタビューにて様々な嘘、そして矛盾する事を言い放っている。
    • その事から、今作は企業だけでなく開発側の態度にも問題があると言える。
    • 以下、その発言の抜粋である。前述の問題点と照らし合わせてみて欲しい。
      • >初めてプレイする人にも、幅広い層の方に受け入れていただけるように、さまざまな工夫をしています。
      • >大作ではあるんですけど、敷居はそんなに高くないんです。
      • >『蒼炎』は『蒼炎』で完結してますし、今回の『暁の女神』からプレイしても、まったく問題のない作りにしています。

※ソースはこちら:ニンドリドットコム~ファイアーエムブレム 暁の女神 スタッフインタビュー~