センチメンタルグラフティ

【せんちめんたるぐらふてぃ】

ジャンル 恋愛シミュレーション
対応機種 セガサターン
発売元 NECインターチャネル
開発元 マーカス
サイベル
発売日 1998年1月22日
定価 7,875円
分類 クソゲー判定
ポイント 発売前がブームの最高潮
強制十二股
不可解なオープニング
せつなさ炸裂
暗黒太極拳
備考 Windows、プレイステーションに移植


概要

キャラクターデザインに『同窓会』で人気の水谷とおる(甲斐智久名義)を迎え、発売前からゲーム雑誌の宣伝や小説・ラジオ・関連グッズ販売・コンサート他強力なプロモーション活動を行ったことにより、当時から続くギャルゲーブームを最高潮にまで引き上げたほどの前評判を生み、大きな期待を寄せられていた。
ところがいざ発売されると水谷氏の絵を一切使用していない上、ゲームとしての出来が酷く、販促活動に心酔したファンらを悉く絶句させ、ギャルゲーブームを終焉へ導く存在となってしまった。
このブーム終息の影響は大きく、『ときめきメモリアル』『サクラ大戦』などのミリオン作品の続編の売り上げも半分以下に減るようになり、市場全体が下火となった。
今となっては当時ギャルゲーで10万本以上の売り上げをはじき出した作品がざらにあったこと自体が信じられない状況である。 結果、他メーカーにとってみれば疫病神としかならず、その内容も相まって今もなお伝説のゲームとして語り継がれている。

通称は『センチ』『セングラ』『チングラ』など。本項では『センチ』を使用する。

販促

  • 本作のプロデューサー多部田俊雄は、自身が手がける作品の広報宣伝活動を非常に熱心にやることでも有名である。それはそれでいいことではあると思うが、そのやり過ぎた宣伝の結果、過度な前評判と内容のひどさによる落差を生んだ。
    • その上、かつて自身がプロデュースするゲームを大幅な発売延期の挙句中止したという実績があった。
      • これによりモンスターメーカーブームに実質的なとどめをさしたという、小さいながらも同じ轍を想像させる結果を生み出している。
  • 誇大広告とその後の凋落はローグギャラクシーに通じるものがあるが、今作は販促活動もその後に与えた影響もグギャーよりかなり大きい。
  • 本作発売前の1997年4月には「センチメンタルグラフティ ファーストウィンドウ」というプレディスクが発売された。
    これは原画や設定資料等が納められたファンソフトの類いであるが、前述のような前評判からの期待感や、発売本数がさほど多くなかったこと等の影響により、かなりのプレミアムが付くほどの人気であった。

内容

ちょっと常人には理解不能なオープニングムービー

  • 別名『暗黒太極拳』(又は『暗黒舞踏(会)』『死霊の盆踊り』とも)。
  • どうにも形容しがたい不思議な踊りを舞う12人の少女たち。一部波紋を練ってるようなジョジョ立ちをするわ、あげくの果てには空中を泳ぎ出す
  • 死んだ魚の目みたいな表情で雨に打たれている(ように見える)少女。
  • 後半は強風の中で、再び奇怪なダンス。制服だけが並び置かれたシーンで終了する。
  • これらの不可解なムービーの一部が背景抜き(というか黒塗り)で展開されるため、泳いでいるシーンなどは意図も理由も分からないOPとなってしまっている。
    • 一部の背景が黒いのは「当てはめるはずの背景が時間的制約により用意できなかった」らしい。
      真偽はどうあれ、該当のシーンがどんな背景であろうが「狂った構図」しか浮かばない。
  • このように謎だらけで人によっては不気味と感じるようなOPなのだが、流れる主題歌はポップで明るめな曲であるため凄まじい違和感を醸し出している。
    • 参考動画
      その問題となっているOPムービー。興味があるならばぜひ一度自分の目で確かめてみることをお勧めする。
  • 余談だが、後の時代に『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『けいおん!』で名声を得る京都アニメーションがこのOPムービーに下請けで関わっていたという噂がある。
    • ある意味こちらがご先祖様である。
    • ちなみにこのOP、続編のそのまた続編『センチメンタルグラフィティ2 サードウィンドウ』でも使われている

ゲーム内容もなんか変

  • 高校3年の春、親の仕事の都合で12回以上の転校を繰り返していた主人公のもとに、差出人不明の手紙が届く。内容は「あなたに……会いたい」というもの。
    • 主人公が思い当るのはそれぞれの転校先で仲良くなった12人の女の子。「きっとその12人の女の子の内の誰かに違いない!!」と判断、手紙の送り主を探しに(日本中を)駆け巡ることに。
  • 平日は学校に行き放課後はバイト、そのお金で休日は日本全国12都市を巡り歩き、12人ヒロイン達との仲を深めてゆくというゲーム。
    • 超過酷労働。そもそも誰が手紙を出したか全員に聞けばいいだけの話(主人公は再会時にヒロインの電話番号を聞き出している)。
    • 夏休み等長期休暇ともなれば、旅先でもバイトをしながら旅を続け、家に帰ることは無い。親はどう思っているのだろう。まぁ、高3の身分で親に金をたからず、自分のやりたいことに邁進しているという点では男らしいとも言えるが…。
    • そのせいか、2の葬式シーンの人の多さと相まって親がヤクザという憶測も産まれた。
  • ヒロイン達には「せつなさ度」というパラメータがあり、長期間連絡を取らなかったり、会わなかったりするとせつなさ度が上昇する。
    • せつなさ度が溜まった状態で出会うと好感度も大きく上がるのだが、溜めすぎると「せつなさ炸裂」という状態になり、無言電話などの行為を行った上、最終的に失踪してしまったりする。
    • どう見てもセンチメンタルではない。後述のベストエンドの為には目当てのキャラ以外も無碍にする訳にはいかず、結果メニューでせつなさ度をチェックして好感度を上げに回る事になる。恋愛ADVというより爆弾処理に近い感覚
      • ちなみにこのせつなさ度、ヒロインによって溜まる速度が元々違う(寂しがりやの性格だと溜まりやすい)上に、好感度が高ければ高いほど補正がかかり、溜まりやすくなっている。上手い具合に好感度を上げていくと、ゲーム後半はせつなさ処理にてんやわんやになる。センチの世界のヒロインは、常に切ないのだ
  • ありがちとは言え、上述差出人不明手紙の送り主は好感度の一番高いヒロインに決定されるという御都合主義。
    • ……は良いとして、エンディングになるまで手紙の件を一度も話題に出さないのは何故? ちなみにゲーム内時間は4月~翌年の2月か3月まで(ベストエンド時は2月14日、グッドエンド時は3月で終了)と、ほぼ一年ある
    • また、ベストエンドを迎えるためには全員の好感度を高めた上で目的のヒロイン以外を振るのが条件で、必然的に12股をかけねばならないシステム。
      • 振られた11人のヒロインが泣いたり責めてきたりする姿は、ある意味鬱ゲー。ときメモの主人公が爆弾処理のために全員とデートすると言ったって、こんなシーンは強要されない。ちなみに、ときメモと違ってヒロイン達に横の繋がりは無い、と言うかお互いの存在さえ知らない。
      • 前述のムービーには複数人がすれ違うかのようなシーンや、二人ずつ明確に絡んでいるカットまで存在するが、あくまでイメージ映像である模様。本編の内容とは異なります。
      • 後に出た移植版では12人同時攻略せずとも、また誰を振ることもなくベストエンドが見られるようにシステムが改良された。
  • 脅威のお楽しみキャラ「えみりゅん」こと永倉えみる
    • 語尾に「りゅん」をつける。仙台市に棲息。
      • 因みに仙台に「~りゅん」というような方言は当然無い
      • なお、えみりゅん以外は全員標準語を話す。「ヒロインを全国に散らばらせた意味は?」と問うファンもいた。ガチで方言を話されても困るが。
    • 初対面の人間(主人公)を「占いで今日運命の人に出会う」という理由から「ダーリン」呼ばわりする。
      • 主人公が昔の幼馴染とわかった時点で、「占いがはじめて当たったりゅん」と喜ぶ。
    • 喫茶店でかぼちゃプリン2個とチーズケーキ3個を頼んでおいて、7時からオカルトの特集があると言い「ばいばいりゅ~ん」などと抜かし手つかずで帰る。
    • CVは前田愛。2作目が2004年のKOTY大賞となったゼノサーガシリーズで主人公・シオン、さらには2007年のKOTY携ゲ版次点ドラグナーズアリア ~竜が眠るまで~でヒロイン・ユーフェを演じていたり、とKOTY的な接点がある。
      • ちなみに一部のファンの間では、アニメ・ゲームを問わず彼女がメインキャラクターで出演した作品はろくな結果を迎えない確率が高いという噂で有名である。
  • その他県を移動する際、実写の乗り物の一枚絵とその乗り物の音がなり、脱力を誘う。特急列車、プォーン。

補足

以上のような理由により、ギャルゲーというジャンル自体に楔を打ち込んだ鬼子である本作が「クソゲー」である点は異論を待たないところではあるが、このソフトが必ずしもその一言で片づけられてよいかというと、少々疑問の余地はある。

  • まず前述したように、本作の鬼子たる理由の半分程度は製作サイドの香ばしい販売手法に起因しており、シリーズ処女作にも関わらず希代の「ガッカリゲー」として生を受けている点にある。純粋にゲーム内容を見る場合、この点は割り引いて考えるべきである。
  • 本作で特に有名な「オープニングの暗黒太極拳」「電波少女えみる」といったネタは、どちらかと言えば「不出来で腹が立つ」というより「ネタが際立ち過ぎて笑いが出る」性質のものである。
  • 加えて、現地でのバイト・野宿・ヒッチハイクといった荒技を駆使し、12股維持のために全国を奔走する主人公の雄姿に(ネタとして)エールを送り、この十二股攻略を前提にした綱渡りプレイを愛好する者も若干だが存在する。実際、Win版以降は設定以外の不自然な点は修正されているため、ギャルゲーとしてはともかく恋愛を題材としたフラグ管理シミュレーションゲームとしては完成度も高いため、過剰宣伝を知らない層からは高評価を得ることもあるなど、「ネタゲー(或いはバカゲー)」としても非凡なポテンシャルを備えていると言ってよい。
  • また、ギャルゲーブームを終わらせたという点も、発売当時、『ときメモ』クローンの粗製乱造により、既に市場の衰退が始まっていたことを見逃す訳にはいかない。つまり、本作が発売されていなくとも、結局ブームが沈静化していた可能性は十二分にあるのだ。
  • これらの点により、ジャーニーや2といった後代の黒歴史に目をつぶり、本作(及びそのキャラクター)に愛着を持ち続ける熱心な愛好家層も存在していることを補足しておく。
    • 実際、キャラ人気自体は完全に消えたわけではなく、発売から10年に当たる2008年には小規模な物ながらファンの合同イベントが行われている。

結論

ある意味で、「時代が生み出したゲーム」であり、「時代の終わりとともに消えたゲーム」でもある。当時を象徴するクソゲーといえるだろう。
以来「何か+ギャルゲー」というゲームはほとんど駆逐され、特にその母艦となっていたセガサターンが没落した事もあり、家ゲー主体のギャルゲーそのものが縮小してしまった *1

その代わりに現れたのが『Kanon(DC)』などの、ストーリー性に重点を置いたエロゲーの家庭用ゲーム機移植版である。
しかしこれもドリームキャストそのものが没落してしまい、以降(倫理規定の厳しい)任天堂陣営かソニー陣営で出さざるを得ず、ギャルゲーそのものが完全に下火になった。
一面的すぎる言い方をすれば、SSの稼ぎ頭の『サクラ大戦』『ときメモ』を含むギャルゲーブームそのものを減退させたという意味で、セガハードそのものの命脈を絶った元凶の一部とも言えるかもしれない。

その後の展開

  • 後にWinとPSにて派生作品『センチメンタルジャーニー』が発売されている。
    ジャンルはボードゲームであり、内容は男プレイヤーによる女性キャラの取り合いという身も蓋も無い物だった。
    システム上仕方の無いことだが作中では一途だった女性キャラが別のプレイヤーにもホイホイついていく尻軽状態であったため不興を買っている。
    一応ボードゲームとしては結構面白いという評価はある。
    • (それほどではないが)当時は何故かギャルが売りのボードゲームが流行っており、『ネクストキング 恋の千年王国』や『プリンセスメーカー ゴー!ゴー!プリンセス』等が出ていた。
      • ギャルを奪い合うジャーニーはネクストキングの系列である(プリメは駒が娘なだけ)。
    • なお、アニメ版もこのタイトルで放送されている。『センチメンタルグラフティ』本編の直前の女性キャラたちのエピソードという形である。
      • このアニメ版以降、メディアワークス作品を中心に、「1クールを使って十数人の美少女に1話ずつスポットをあてていく」というPVスタイルのアニメが増えることとなった。
    • Wikipediaでは、何故かアニメ版を元にゲーム版のジャーニーが作られたと記述されている。
  • 更に続編のセンチメンタルグラフティ2では、前作主人公の葬式から始まるという、わずかに残ったファンや信者をバッサリ斬って捨てるようなせつなさ炸裂のストーリーとなっている。
    • これは、開発元のマーカスがセンチの続編を作る際の条件として軋轢のあるシナリオライターの大倉らいたを外すように指示したことが大きな原因とされている *2
    • そんな基本設定ゆえかネット外では発売前から不買運動も起きていて *3 、続編でありながら離れたファンの人心を取り戻すことすら叶わなかった。
    • 前述の通り、ヒロインたちはお互いの存在さえ知らなかった訳で、葬式で初顔合わせとなる。とってもシュール。
    • 前作の、野宿とアルバイトを繰り返しながら全国12股をしたと言う設定のため、ファンからは過労死とも言われている。一応、交通事故(車に轢かれた)が原因なのだが、それさえ過労で注意力散漫になっていたからと言われる始末。
  • その後も『センチメンタルグラフティ~約束』等の続編が続いたが、人気低下に歯止めがかからず2004年10月28日発売の『センチメンタルプレリュード』でシリーズの終焉を迎えた。
    • ちなみにプレリュードでは多部田俊雄や大倉らいたなど、初代のスタッフを再び集め製作されたが、4年近く製作期間をかけた挙句、売り上げ・人気・プレイヤー評価全てにおいて2をも下回る結果しかあげられず、ファンを完全に失望させた。
  • この作品に深く関与した制作会社・マーカスは『センチ2』発売後に捲土重来の夢叶わず、倒産した。
    • ちなみにマーカス勤務だった窪田正義は、その後作詞家の「六月十三」のペンネームで、夫人の尽力を借りてワンダーファームを設立したものの、目ぼしい功績は『おとぎストーリー天使のしっぽ』で平野綾 *4 をデビューさせたこと位である。
  • 2010年2月10日から何をトチ狂ったのかPS版がゲームアーカイブスで配信開始。600円と割安なので体験してみるのも一興かもしれない。
    • それ以前にどの中古屋でもSS版もPS版も叩き売りされているので、「誰得配信」感は否めないが。
  • クソゲーオブザイヤー2009動画の戦極姫パートBGMにOP主題歌が使用されている。動画制作者曰く「いつかギャルゲーがKOTYにノミネートされたら使おうと以前から考えていた」そうである。