アーマード・コア ナインブレイカー
【あーまーど・こあ ないんぶれいかー】
アーマード・コアとは?
様々なパーツを組み替えて作り上げた自分だけのオリジナルロボット(アーマード・コア=AC)を乗りこなす傭兵「レイヴン」となり、企業からの依頼(ミッション)を引き受けたり他のレイヴンと戦ったりして報酬を稼ぎ、機体を強化していく3Dアクションシューティング、それが『アーマード・コア』シリーズ。
コントローラーの全ボタンを使用するために操作が非常に難しいこと・パーツに関する情報量が多すぎることなどから、人を選ぶ高難度のアクションゲームであると言える。
そして前作『ネクサス』から半年後、新作品として本作が発表された。
「ナインブレイカー」とは、初代『アーマード・コア』で登場したラスボス的機体「ナインボール」を制すものという意味をこめた名称である(ちなみにシリーズ四作目の『アーマード・コア2』では、「アリーナトップを打倒した新チャンプに与えられる称号」と定義されている)。
だが、発表されたゲーム内容は「技術向上を図るトレーニングと、ランカー自動生成システムを搭載したアリーナ。ミッションなし」というもの、そしてその上での「価格約7,000円のフルプライス」。いかにもやっつけ感が漂うその内容に、レイヴン達は一様に不安を募らせていった。
ゲーム概要
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トレーニング・・・全30項目×5段階の計150種類の訓練項目を収録。攻撃・防御・移動・特種状況下・総合訓練のカテゴリごとに、様々なトレーニングメニューをこなしていく。
クリア評価は「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の三段階。パーツコンプリートには全ミッションでのゴールド評価が求められる。
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今作のセールスポイントの一つとして、最終トレーニングにはNB仕様にリメイクされた「ナインボール」が登場する。
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アリーナ・・・用意されたランカーACを倒し、ランク1位を目指す。今作ではシステムが過去作品とやや異なっている。
30位に入るまではランダムに生成される「自動生成ランカー」と戦い、その後は、自分の持ちポイントによってあらかじめ作成されているランカーとの対戦カードが組まれる。トレーニングである程度ポイントを稼がないと対戦できない。
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自動作成機能はこちらから選定ACの条件を指定できる。
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「電撃プレイステーション」紙上で募集されたユーザー考案アセンブル(機体構成)のランカーACが7機参戦している。
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対戦・・・お馴染みの通信対戦機能も搭載。
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パーツ・・・既存パーツの性能を調整、更に26種類の新規パーツを追加。
なお、所持金の概念が無い今作には「ショップ」は存在せず、プレイヤーはゲーム開始からかなりのパーツを所持しており、不足分はトレーニングやアリーナの褒章パーツとして入手していくこととなる。
問題点
ユーザーから最も多く言われる不満点は「ミッションが存在しないこと」である。とはいっても「NBにはミッションはない」と発売前から宣伝されており、やっている事はミッションとほぼ変わらないため「そういうゲームだから」と言う事ができるだろう。
では、そのトレーニングと、アリーナの問題点を挙げていこう。
トレーニング
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トレーニングというよりは「特殊なミッション」といった内容。シチュエーションが局所的すぎて実戦で役に立つのか疑問なものも多い。
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当然の事だが、トレーニングの効果はプレイする側の意識や、何を練習するかによって変わってくる。確固とした狙いを持ってプレイした場合と、「なんでもいいからクリアできればいいや」という適当プレイをした場合では、大きな差が出てくる。よって一概に「このトレーニングは無意味」という風に断定はできない。
だがプレイヤー側が自主的にそういった事をしなければならないというのであれば、従来のミッションをプレイしているのと何ら変わりない。そもそも本シリーズにこういったトレーニングが必要なのか、という疑問も出てくる。技術を向上させたければ従来のミッション・アリーナでも十分だからである。
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本当にプレイヤーに腕を磨いてもらいたいのなら、テストモードにおいて敵の耐久力・移動速度・攻撃種類や、ステージを自由選択できるようにした方が遥かに有用であろう。
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ゴールド評価(他シリーズでのSランクに当たるもの)の取得条件がシビア。
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クリアするだけならさほどの障害にはならないが、隠しパーツを揃えるためには全てのトレーニングでゴールドを取得しなければならない。「上級距離維持」Lv.5は多くのレイヴンを発狂させた。
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ちなみにこの「Sランク取得で隠しパーツ入手」という要素は『3』で登場して以降、たびたび批判されているにも関わらず、全く修正されていない。
Sランクの条件が公開されない事、条件がプレイヤーの腕とあまり関係ない事も問題で『条件を知っていれば初心者でも簡単に取れるが、知らないと腕利きのプレイヤーでも全く取れない』といった事態が頻出する(もちろん本作でも)。スタッフは「プレイヤーのモチベーションを保つため」といった事を口にしているが、そういう事はゲーム部分でやるべきで、ゲーム性と関係ないところでのプレイ時間引き延ばしは作品を貶める行為ではないだろうか。
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レプリカナインボール
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本作の売りのひとつに、やはり「ナインボールの復活」というキーワードを欠かすことはできない。だがこれが似ていない。頭部はオリジナルをイメージした新規パーツのおかげで似ているが、それ以外のパーツは既存のパーツの寄せ集めで旧作の機体に似せているだけであるため、どこか違和感を感じるプロポーションになってしまった。再現機体というよりは「旧作の⑨をモチーフにしたアレンジ機」と言った方が正しいだろう。
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古参のレイヴンからは、「登場時のBGMが⑨じゃない!!」という文句も多数聞かれた。旧作ではナインボール(ハスラーワン)には一種のテーマソングとも言える曲が存在し、かつてAC2アナザーエイジでナインボールが再登場した際もこの曲が流れていただけに、アレンジされた⑨と相まって一部のファンは落胆した。
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そもそも「なぜ世界観の違うN系にナインボールが出てくる?」という意見も少なくない。KOTYの選評ではこの違和感をガンダムシリーズに例えられ『機動戦士ガンダムSEED -逆襲のシャア-』と表現された
(*1)
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失敗時の「NICE JOKE」
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トレーニングに失敗すると情けない効果音と共に現れる八文字。一部で「スタッフが本気でプレイヤーを馬鹿にしているように感じる」と批判された。おまけにスキップ不能。
アリーナ
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ステージが選択できない。
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狭いステージが多く、高火力・高防御力が有利なバランスもあって、作業プレイになりがち。
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敵ランカー達の解説は『ネクサス』と同じくあっさりしたもの。
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一応、発売前のタイアップで様々なレイヴンの過去話が披露された。現在でもHPで見られる。だが、やはりNX以前の作品に比べるとレイヴン一人ひとりの個性が弱い。
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これ以前の作品と違い、ミッションで共闘・あるいは敵対関係になることがないのでゲーム内で人となりを知ったり、予想したりすることがほとんど不可能なので思い入れがわきにくい。いくら訓練されたフロム脳の持ち主であっても推察の材料がなくては脳内補完は不可能である。
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強いランカーと弱いランカーの実力差が激しく、特に電撃PS企画のランカー達が強すぎる。
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代々CPUの強弱については賛否両論あったため、このへんは難しいところである。
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強さの「質」に関しても問題で、本作において強いランカーの多くは火力によるゴリ押しや強化人間
(*2)
の恩恵に頼った強さなため戦っていてつまらない・理不尽という批判が強い。
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トップランカーの「イツァム・ナー」の戦術もACシリーズ恒例の「強化人間の恩恵を利用したトップアタックからのラッシュ攻撃」であり初見こそ猛威をふるうが、慣れてしまえば距離を取りながらの射撃で簡単に対処可能である。
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一応「敵ランカーの(装備や強化人間に頼った)ゴリ押し」は今に始まったことではない
(*3)
が、今作は前作同様それが顕著で、過去作に2AAのソウルアーミーや3SLのフォグシャドウやメビウスリングのような「装備の強さや強化人間の恩恵に頼らない、実力とロマンを兼ね備えたランカー」が存在したことから「昔できていたことがなぜできなくなったのか」と批判の対象になった。
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各ランカーの順位もちぐはぐで、熱量と火力での一方的なゴリ押しというシステムを最大限に利用した戦術を駆使し、手慣れたプレイヤーでさえステージによっては苦戦を強いる強さを持つランカーが最下位近辺である30位近くに2人もいる一方で、逆に上位陣は中途半端なバランス重視のアセンブルが多く、ランカーの順位選定基準には疑問を感じる。
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タンクに重火器をこれでもかと搭載したいわゆる『ガチタン』系アセンブルなのに中途半端に機動力を重視しておりどっちつかずになっているランク2位の「ウォーロード」や、総火力・瞬間火力共に低く搭載武装もちぐはぐな「オルトリンデ」、レイヴン設定で企業と専属契約を結んでいるため構成パーツが偏っている「ディーバ」などはそのいい例であり、順位に説得力がない。
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先述した電撃PS企画の上位ランカーたちの機体はビジュアル・ロマンを完全に無視した、NXで猛威を振るったガチ・狂機体。ロマンの欠片もない。
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特にPS企画発のレイヴンの中でも最上位の「万字丸」はNXでの強機体のテンプレとされた構成であり
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、強化人間の恩恵とCPU特有の鬼のようなロック精度が噛み合って異常な強さになってしまっている。
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余談だが、その参戦ランカーの名前でgoogle検索すると制作者自らが書いたなかなかに恥ずかしい裏設定が見られる。
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名前だけの自動生成
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自動生成じゃない。あらかじめ用意された数十種の機体が、名前・機体色を変えて登場する。
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ポイントが貯まらないと何度も模擬戦を強いられる。負けるとポイントが減算される仕様も地味ながらうっとうしい。
その他
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コンバートバグ
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シリーズではお馴染みとなっている、直系作からのデータコンバート(引き継ぎ)。今作では『ネクサス』からのコンバートが可能なのだが、それを行ってしまうと新規追加パーツの一つが永久に手に入らなくなるバグが存在する。性能的にあってもなくてもどうでもいいパーツなのが救い。
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レイヴンポイントの溜まり方
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トレーニングのみではなくアリーナ戦でもたまるため、どちらか片方しか進めなくても最高の称号は取れてしまう。両方やらなきゃいけなかったらそれはそれで面倒だが……。
評価点―良質の対戦バランス―
結局2004年度KOTYにノミネートされてしまった本作ではあったが、他プレイヤーとの対戦をメインとする「対戦派」のシリーズファンの間では、徐々に『NB』の評価は好転していった。一部の強パーツに制限を掛ければ、『NB』はなかなかに良好な対戦バランスを持った作品であることが判明したためである(強パーツに制限をかけるのはシリーズ通じての対人戦の慣例である)。
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優れた脚部パーツバランス
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ACの脚部パーツは見た目だけでなく、機体の総合性能や戦闘スタイルと密接に関係するカテゴリである。だが『MoA』から脚部パーツの性能にばらつきが出始め、PS2移行後はばらつきは更に大きくなった。
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今作ではそれまで「趣味パーツ」と見られていた四脚・フロート型の立場が向上。『NX』で強すぎたタンク型が弱体化され、弱すぎた軽量二脚も僅かだが性能が引き上げられるなど、今作ではどの脚部でも活躍できるようになっている。
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機動力の微上昇
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ブースト出力の上昇、コアの耐熱温度上昇などによりアセンブルの幅が広がっている。熱量も緩和。
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『NX』より弱体化したOBコアが再び使用されるようになるなど、結構な影響があった。
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良質なBGM
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星野康太氏の音楽は相変わらず好評で、特にメイン画面BGMは高い評価を受けている。
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2006年に限定発売された『ARMORED CORE -MACHINE SIDE BOX-』に付属するベストサウンドトラックCDに、本作のオープニングデモ曲・ガレージ曲が収録されている。当然入手は困難。
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オープニングデモ曲が無料でダウンロードが可能になった。2010/7/22までの期間限定だが、再配布はokとのこと。
総評
フルプライスの内容として見れば駄作扱いされても仕方の無い出来である。前情報、そして一人プレイの評価の低さから本作を購入するものは少なかったため、長所である対戦バランスの良さも生きることは少なかった。ACファンの間では、本作を「ネクサスの追加(対戦用)ディスク」と見なす意見が主流である。
本作発売に前後して「月刊アーマード・コア」というフリーペーパーがゲーム販売店で無料配布され、フロム公式ページでも「NOUTEN」が開設され、本作と連動した企画「ランキングオンライン」が同年度の冬まで実施され、ある程度の盛り上がりを見せた。随所でスタッフの新しい試みが見て取れた時期であり、本作もある意味、そうした新境地を探ろうとするフロム・ソフトウェアの苦悩を表わしたものであったのだと言えよう。