ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣

【ふぁいあーえむぶれむ あんこくりゅうとひかりのけん】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 1990年4月20日
ポイント FEシリーズの最初の作品でもありSLGRPGの先駆
ユニットから命あるキャラクターへ
戦略とキャラクター性の融合、それによる弊害
難易度は非常に高い=クソゲーと言われても仕方ない
計算式でゲームの欠点を見破れば合格
叩かれて不評なのに、口コミで人が増えていく。結果は『紋章の謎』へと続く
分類 クソゲー扱いされやすい名作


概要

  • 最初に断っておくが、決してクソゲーではない。むしろSRPGの金字塔の初代作。
  • しかし一部のサイトでは「クソゲー」として扱われてしまっている可哀想なゲーム。(参考)
  • 更に追い討ちに、同時期にFC版『ドラゴンクエストIV』、FC版『ファイナルファンタジーIII』とのメジャータイトルと発売が重なる(最初の発売日は1990年1月だったが、この2本優先で延期された)。
  • おそらく「味方ユニットのHPが0になると失われる(二度と出撃させることが出来ない)」ことが原因でクソゲー扱いされている。
    • このシリーズは元々「ファミコンウォーズ」からの派生でありその名残とされている。
  • 強いて言えば、味方ユニットのHPが0になると失う・敵キャラを仲間にするのが難しい(特に詐欺師)・毎ターンセーブできないことは批判されている。
    • 余談だが、ファンは毎ターンセーブできないのを当然と思っている(参考)。
      • ファイアーエムブレムシリーズ全体でも面の途中でセーブが可能なのは聖戦の系譜(毎ターン頭。ただし一つの章がかなり長いため当然か)と新暗黒竜(1回か2回に限定、マップ内特定の場所でのみ)のみである。
    • HPが0になったキャラが二度と使えなくなるのも当然だと思っている。
      • むしろ、他のクソゲーレビューで「味方が復活できない」「毎ターンセーブできない」と批判されてると驚く。
      • 一応、1人か2人だけ復活させることができる救済措置はこの初代を含めた一部の作品に存在しているが、ファンは使わないのが当然とされる。
    • ついでに書くと、このファミコン版での人物グラフィックだけはファンも笑いのタネにしている。
    • 「敵キャラを仲間にすることが難しい」という点については、のちの作品では会話可能なキャラが示されるなど改善されている場合もある。もちろん仲間にしにくい敵も存在するが(特に「トラキア776」のゼーベイアは語り草になるほど)。
      • だが上記の通り残り二つの批判点は変更されるどころかシリーズ通しての伝統となっている。
  • ある意味、上記のスペランカーと同じだが…
  • ファミ通(無論、当時はファミコン通信)でのクロスレビューは7,7,7,5。
  • DS版『ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣』から約1年後にVC化となった。

独自の要素

現在のシリーズには受け継がれていない要素が多々あり、後のシリーズから入ると戸惑うこともある。

  • 魔法、杖の威力が固定。魔道士の力は無意味で、威力は魔道書のみで決定される。
    • 直接戦闘に参加しない僧侶は誰を使っても武器LV以外は大差ない。
    • 敵司祭の速さが移植作品より高く、軽い魔道書も多いため、恐ろしく強い。必殺も防げないのでかなりの脅威。逆に味方の司祭はかなり頼りになる。
  • 魔法防御が一部を除き一律0な上に、育成しても成長しないので魔法のダメージが大きい。
    • Map10で聖水を買い忘れたり、買っても持っていなかったりするとMap15で大ダメージを受ける。
    • その反面、魔竜に魔法封じの能力があり、魔道士系は戦闘を挑んでも戦う事が不可能。ちなみにサンダーソードも無効化される。
  • 敵も味方も追撃が発生しやすい。攻撃速度(速さ-武器重量)の差が1でもあれば追撃となる。
  • 技と速さが命中率に及ぼす影響がきわめて小さい。
    • そのせいかアイテムで簡単に上昇する。速さは最大20なのに、アイテム1個で7もアップする。
  • 壊れた武器が消滅する点も、封印の剣の発売までは本作のみの特徴だった。これは現在も好みが分かれる。
  • 敵のCOM時にカーソルが動く。
  • 最強の剣「メリクル(メリクルレイピア)」がマルス専用。他の剣使いには強い武器が無く、意外と苦労させられる。
    • マルス以外の剣使いは色々な武器を持たせて、臨機応変に対応するしかない。
    • その反面、メリクルはLVUP時の成長量を加算するため(パラメータが2上がることがある)、ファルシオンを手に入れる前に、強度の減らない星のオーブ込みだと、クラスチェンジの無いマルスを鍛える意味でも有用なアイテムとなっている。
  • 僧侶の鍛え方が、敵の攻撃に耐えることのみ。
    • 慣れない人には、育たない回復役。育成ポイントが解る人には仲間にしたマップで即LV20まで育てられる。
      • ただし僧侶系キャラの成長率はエリス以外は全員悪い。そしてエリスは育成困難。
    • 殆どの僧侶キャラクターはボスで経験値を稼げるが、エリスは砦を利用して盗賊からの攻撃に耐えさせるなどの工夫が必要。
  • マルスのファルシオンにマムクートと間接攻撃以外の攻撃を封じる能力がある(後述の『暗黒竜』マルス戦闘動画の最後を参照)。更に『紋章の謎』よりも重量が軽いので、攻撃力が並でも最後まで使える。

評価点

  • このゲームのウリである「死んだら生き返らない」が、逆にユーザーからのキャラクターに対する思いいれがしやすい。
    • 他のSLGとは違い「このキャラクターが~」というファン同士の会話が非常に多くなっている。この要素は他のシリーズにも受けつがれている。
    • 台詞が無い、顔グラフィックが他のキャラクターの使いまわしだったとしても、意外にもファンがついている。
    • 特に、『紋章の謎』で削除されたキャラクターが、「宝島社 ALL OF EIRE EMBLEM ファイアーエムブレム~紋章の謎~のすべて 」の投稿コーナーでも、ファンコールがあったほどである。
      • その反面、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズでFEシリーズが参戦によりファンの暴走 *1 が非常に激しかったりとする。
  • 戦闘画面がこの当時にしてはよく動き、新紀元社「ファイアーエムブレムタクティクス」の執筆者は「ファルシオンで戦うマルスは、最初にダッシュをして斬った後に、鮮やかなバック転を見せてくれる。実に爽快である」と褒めていた。
    • 追加として、この本以降からやり込み重視のガイドブックが発売された。
+  殆どの『暗黒竜』戦闘動画・ネタバレあり
+  『暗黒竜』マルス戦闘動画
  • 良くあるファンタジーのユニットに、ペガサスナイトという独特のユニットを追加した事。
  • 戦闘システムを把握出来れば、計算式から暗算で挑むことが可能。
+  暗黒竜と光の剣の計算式
  • これらの計算式込みで遊ぶと、作りが甘いSLGRPGがぬるく感じる事もある。
  • この計算式で後述のMAP8の大きな欠点まで見つかる。

賛否両論な点

  • 発売延期が多い。
    • 上記にも書かれているように、何かしら大作ソフトやクリスマス商戦の影響で最短『トラキア776』まで発売日 *2 が一定する事は無かった。
  • アーマーナイト、戦士、海賊などにクラスチェンジが無い。
    • それが無くても見合うキャラクターも存在するし、秘密の店で購入出来る強化アイテムで武器レベル *3 以外は補足出来る。
  • 設定が『紋章の謎』で大幅に変更されているものもある(ファイアーエムブレムが覇者の証から紋章の盾に変更など)。
  • 良くも悪くも、メインストーリーが王道。
  • ある敵将。
    • この作品では唯一「間違えた戦いだが王に仕えている為に寝返らない」という人物がいる。しかしこの人物を説得しまくった人も結構いる。
      • この時代から現在まで、アニメ、書籍などでは、近代から現代よりの名作もの、戦うヒーロー(ヒロイン)アニメや特撮などが主流で、中世の歴史やファンタジーの騎士道と言うものが解らなかった人が多かった。
      • どうも、このキャラクターに関しては「倒したくなかった」人が多かったのか『外伝』と『紋章の謎』第2部に、それらしき人物が登場する為に、ファンによる論争が起き易い。
  • 話の流れから見れば解るが「戦略重視」と「キャラクター重視」の2つが強い為に、どちらかよりのファンとの論争が起き易い。これは、以降の作品でも受け継がれている。

問題点

システム面では色々と不便であり、評価が分かれる一因となっている。

  • 出撃画面でアイテムの受け渡しが出来ない。
  • Map8は地形が狭い上に、敵に必殺率の高い武器持ちがいて、守備の低いキャラクターが必殺死しやすい。
    • ある一定の守備まで成長すればその武器の攻撃に対してノーダメージになるが、そこまで育つキャラクターは多くない(Map4からの闘技場の育成方法を解っている場合は別だが)がmap7で仲間になるキャラクターが初期値で条件を満たしている。(専用武器があれば)さらに地形が狭いのが幸いし1箇所をふさぐだけで敵はワーレンに進入できなくなる。
    • ワープによる短縮制圧も可能だが、次のマップでNPCタイプの影武者バグユニットがでる事もある。
    • だが慣れてくれば初期配置の敵と増援を撃破し大量の経験値を稼ぐ事ができる。
  • FC版は敵の必殺率を軽減できず、必殺死が起きやすい。特に必殺値加算の武器などで運の要素を排除しきれなくなってくる。
  • パラメーターの成長率が最低4つも0パーセント持ちのキャラクターが数人いる。
  • 盗賊の存在価値が鍵解除のみ。育成しても武器LVの成長率が0パーセントなので火力不足になる。補足を補うデビルソードは数が少ない上にリスクがあるので使いづらい。
    • おまけに武器LVUPのマニュアルが一つしか手に入らない上に秘密の店にも売っていない。
  • 預かり所に1人しか入れない上に、手数料を払う。
  • 地竜には間接攻撃封じがある為に、魔法系、シューター、弓兵などが戦闘に参加できない。
    • 更に防御力修正がかなりに高いためダメージを与えられる武器は実質5種類。
      • 但しファルシオンに対してはかなり弱い。
  • 持ち物がお店で売れない。いらない物があったら、捨てるしか選択が無い。
  • 闘技場の対戦相手がユニットによって落差が大きい。
    • 弓兵関連は一部を除いて必殺率UPの武器持ちの敵ばかりが出るので入れられない。
    • 逆に、ペガサスナイト3姉妹にいたっては闘技場に最低2人でもトライアングルアタックが出来る裏技がある。
    • 自ユニットが魔道士で、相手がアーチャーだった場合はノーダメージで完勝出来る。
    • 色々な武器の持ち込みが可能で、星のオーブがあれば強度を減らさずにすむ(闘技場に入れないマムクートと戦闘自体出来ない僧侶は除く)。
    • キャンセル不可10ターン経過すると引き分けになる。
      • 途中で武器の強度が尽きた場合や、弱くて攻撃が通じない場合はどうしようもなくなる。
  • 敵キャラ成長率は体力が150%運0%それ以外が50%。闘技場のlv19のキャラは非常に強くなる。
  • 武器LV以外すべての能力アップアイテムが秘密の店で売っている。
  • クラスチェンジによる能力アップはそのクラスに最低値に達していないパラメーターのみが最低値にまで上がるのみ。
  • 一度行動したら即待機になる。
  • 結構多くのキャラクターの扱いがぞんざい。登場~死亡まで全て無言のものや、同じ顔(色も同じ)のキャラクターが何人もいる。
    • さらにエンディングの後日談も何人か使いまわされている。
    • イメージイラストと顔グラフィックが一致しないキャラクターも多い。これは後のシリーズにも何作かあてはまるが。
  • バグ技として、クラスチェンジアイテムでマムクート(バヌトゥ、チキ)の防御力を上げる事が出来る。
    • 99を越えると数字がヒトケタに戻る。しかし、実際にはマイナスになっており、敵から一撃を喰らうと瀕死か即死になる。従って防御力は90台で止めておく必要がある。

その他

  • 『暗黒竜と光の剣』のCMは、ゲーム中のユニットに扮した声楽家達がオペラ風にファイアーエムブレムのテーマを歌いあげるというもの。このCMは製作スタッフが『暗黒竜』にはまりすぎた上にラストまで行って感動して泣き、気がつけば任天堂のプレゼンテーション3日前と言う土壇場を迎え合宿で缶詰となるハメに。イメージにあうものが中々見つからなかったが、たまたま見たオペラのレーザーディスクからヒントを得て製作されたという裏話がある。
+  当時のCM
  • 現在は、廃盤となった『ファイアーエムブレムキャラクター・テーマ集』では、CMソングや『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズでも有名になった「ファイアーエムブレムのテーマ」が「マルス」のテーマ曲として収録をされている。
    • 「ファイアーエムブレムのテーマ」及び「マルス」のテーマを扱った作曲者・辻横由佳 *4 は後述の「20th Anniversary ファイアーエムブレム大全」のインタビューでは、参加した開発スタッフの中で、最も大きく扱われていた。
+  ファイアーエムブレムキャラクター・テーマ集
  • 生みの親、加賀昭三のインタビューでは、「発売当初は不評で、値崩れが激しかったが、評価が変わったのは発売から半年後くらいで、一部のライターが取り上げてくれた事と、初期からのファンが熱心に布教活動をしてくれたおかげ」だと述べている。
    • 小学館の公式ガイドブックでは、プロ棋士・神吉博充、東京芸術大学講師・石原恒和、漫画家・しり上がり寿がコラムを執筆しているほど、濃い内容だった。
    • 元ファミコン通信のジョルジョ中冶にいたっては、ライターの職業を越えて「FE教団」を設立した挙句に、イエス・キリストの格好で、産みの親の加賀昭三に会いに行ったと言うほどの『暗黒竜と光の剣』の大ファンである。この状況は当時のファミコン通信でも掲載されていた。
    • 『ファミリーコンピュータMagazine』、『増刊『ASUKA』ファンタジーDX』、『月刊Gファンタジー』などの『暗黒竜』の連載漫画から来たファンも多い。
    • かなりのマニアックの学会まで存在していた(参考、現在はトップのみしか残っていない、暗黒竜~トラキア776+エムブレムサーガまで)。
  • 本作の主人公マルスは『大乱闘スマッシュブラザーズDX』と『大乱闘スマッシュブラザーズX』にプレイヤーキャラとして参戦しているが、彼の活躍する国名(DXでのマルス紹介欄の文章)や大陸名(Xでスネークというキャラがマルスを把握するシーン時の台詞)に盛大なミスがある。
  • 2010年6月21日発売の『Nintendo DREAM 2010年8月号』の付録、『ファイアーエムブレム アートワーク・セレクション』では、マルス、シーダ、ジェイガン、カイン、アベル、ドーガ、ゴードン、リフ、マリク、ニーナ、ハーディン、ミネルバ、ジュリアン、レナ、オグマが掲載された。
  • 2010年6月30日に小学館から発売の「20th Anniversary ファイアーエムブレム大全」ではマルス×2点、シーダ、エリス、モロドフ、ジェイガン、アベル、ゴードン、ドーガ、カイン、マリク、アラン、ニーナ、リンダ、ボア、ミディア、アストリア、トムス、ハーディン、ウルフ、ロシェ、ミシェイル、ミネルバ、マリア、パオラ、カチュア、エスト、レナ、マチス、ジェイク、ロジャー、オグマ、バーツ、サジ、マジ、カシム、サムソン、メディウス、ガーネフ、ウェンデル、ダロス、リカード、ジュリアン、ナバール、ラディ、シーザまで掲載している。明らかにメーカーか出版社のミスでイラストが逆転しているキャラクターが3組存在している。
  • 2009年に不慮の事故で亡くなったプロレスラーの三沢光晴が『ファミ通』2007年11月2日号「あの人のセレクトはコレ!未来に伝えたいゲーム」でベスト10の1つに、このソフトを上げている *5
    • シリーズを結構遊んでいるが、この作品では折角育てたキャラクターが猫にリセットボタンを押されて駄目になったと言う内容であった。

評価

  • 再度言うが、決してクソゲーではない。むしろSRPGの金字塔の初代作。ただ、遊ぶ人を選ぶのだ。これがS-RPGのジャンルの宿命か。
    +  当時のチラシ