クロックタワー3

【くろっくたわーすりー】

ジャンル ホラーアドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
発売元 カプコン
開発元 カプコン、サンソフト、フラグシップ
発売日 2002年12月12日
定価 6,800円
分類 クソゲー判定
ポイント 完全に別ゲーム
ホラーゲーから変身ヒロイン特撮ゲーへ
深作欣二の遺作にして最大の黒歴史
魔法少女
ホラー? いいえ、ミュージカルです
モーションアクターェ…
一番の被害者はシザーマン
クロックタワーシリーズリンク


概要

  • 15歳の誕生日の前、不可解な手紙を残して音信不通となった母を心配し実家へと帰ってきた主人公の少女アリッサ・ハミルトンは、そこで謎の老人と出会ったのをきっかけに恐ろしい怪奇へと巻き込まれる。やがてアリッサは自分が「魔のモノ」と戦う力を持つ「ルーダーの家系」の末裔である事を知り、魔のモノの王となる為自身の命を狙う老人とその配下の魔のモノ達との戦いへと身を投じる事となる。
    • …と過去作経験者なら分かるだろうが、とてもこれまでのクロックタワーとは似ても似つかないシナリオ。過去作に比べファンタジー的な要素が強い。
  • これまでのクロックタワーシリーズを手掛けていたヒューマンの倒産後に版権を引き継いだサンソフトが、カプコン及びカプコンの子会社フラグシップとの共同開発によって制作した作品で、カプコン側が中心となって開発された。
  • イベントCGムービーを『仁義なき戦い』や『バトル・ロワイアル』で有名な深作欣二が監督している。氏が発売の1ヶ月後に亡くなったので、この作品が事実上の遺作となったのだが、その出来はと言うと…

批判点

システム

  • 前作に当たる『CLOCK TOWER GHOST HEAD』も敵を銃で撃退可能だったりとそれまでと比べ異色で賛否両論だったが、本作は開発が変わったとはいえあまりにも従来のクロックタワーとはかけ離れていてほぼ別ゲーと言ってよい。あまりの変わりように旧来のファンからは批判が続出した。
    • 過去作プレイヤーにとっての最大の違和感はステージ最後に待ち受けている「怪人との直接対決」であろう。この状態ではお互いに体力が存在し、アリッサが魔法の弓を用いて相手の攻撃を避けながら魔力で相手を拘束し派手な演出の一撃で相手に大ダメージを与えて倒す…というまるでファンタジーアクションのような内容。最終決戦後半ではギリシャ戦士のような衣装に変身して戦うため「変身魔法少女」と揶揄されたりも。
    • 従来の追跡者は決して倒せない不死身の存在だった為、ゴーストヘッドでも指摘された「不死身の殺人鬼から逃げる事しかできない恐怖」から更にかけ離れたと非難された。多くのレビューサイトでは、どんなに頑張っても硫酸男までが恐怖の及第点
    • 通常の探索時は前作までと同じ「隠れるか一時的に撃退する」のみだが、RSIシステムの廃止とその代わりに聖水を使っての撃退、攻撃を受けてもパニックゲージがMAXにならない限りハンマーで殴られても硫酸を浴びても死なない…となったのも賛否が分かれた。システムもそれまでのクリック探索型からスティックでの移動・ボタンで調べる一般的なアドベンチャーシステムとなり、字体ややたら光るアイテムなど、アリッサの操作以外はバイオハザードに近い。
  • ゲームバランスとしては「敵の出現率がやたら高い割に回避ポイントが少ない」のが問題に。過去作のシザーマンは特定ポイントを調べたり一定時間経つとランダムで出現したりはするものの出現頻度はそう高くなかった *1 。しかし今回の敵は出現条件が多く、特定ポイントを通る事で強制出現したりもするためかなりの頻度で遭遇する事となる。特に斧男以降はそれがかなり顕著で「撃退して1分経ったか経たないかの内にまた襲ってくる」なんてことも多々。それに比べて回避ポイントはせいぜい数個とかなり少なく、撃退ポイントは1度使うともう使用不可なので結局ステージに何個もない隠れポイントに一々戻らなければならない。この極端な出現頻度がゲーム(特に後半の)を面倒にしてしまっている。

演出

  • ストーリーは前述の通り魔のモノだとか魔法が使えたり霊的な物も存在したりとファンタジー要素が多い。今まで殆ど「現実世界で突如正体不明の不死身の怪物が襲ってくる」というような恐怖を演出したストーリーだった為、その辺も「クロックタワーとは呼べない」という意見に繋がっている。一応話の中でダン・バロウズやクロックタワーなどは登場するのだが過去作とは何の関係もなくただ名前が同じなだけの物を取って付けただけ。
  • ムービーでのキャラクターの動きや喋りがやたら不自然。異様なまでのオーバーアクションとともに淀みなく早口で台詞をまくし立てたりと喋り方が劇やミュージカルのような感じに。イベントも舞台での劇のような演出が多く、特に物語後半の歴代ルーダーの魂の語りは劇そのもの。ホラーなのにその不自然さに思わず笑ってしまう。
    • ゲームの画面を見るのはプレイヤーであり、画面との距離はせいぜい1~2メートル。そこにオーバーな身振りは必要ない。一方、舞台では劇場内は広大で、後方の観客にもわかりやすいよう大きな動作が必要である。分野に応じて異なる演出方法があるのに、それを無視した結果誕生したのが思わず笑ってしまう苦笑ムービーの数々である。
  • 追跡者となる魔のモノの配下は総じて饒舌で煩わしい位よく喋る。特に終盤ではシザーマンが現れるのだが、これはクロックタワー2までのシザーマンとは似ても似つかない完全な別人。いでたちはさながら京劇の役者のようであり、性格はやたらハイで「アクション!」だとか「カモンアリッサ!」と言いながら追いかけてくるイカレっぷり。武器も鋏というよりか片刃の双剣を時折交差させて鋏のようなモーションをとってみたりするだけという徹底してシザーマンのイメージとは程遠いキャラクター像に、旧来ファンは怒るやら呆れるやら。過去作のシザーマンを考慮せずとも狂気的というよりただうるさいだけでホラー性をますます希薄にさせている。
    • 妹のシザーウーマンとの2人の笑い声は林家ペー&パー子を彷彿とさせる。もはやギャグの域。
      • シザーウーマン単体でも全盛期のシノラーにしか見えない。
  • この様にゲーム作品のムービーとしては問題だらけであるにも関わらず、桜井政博氏はファミ通コラム *2 で絶賛していた。亡くなった深作監督に配慮した結果 *3 、提灯記事になってしまったと思われる。
  • 味方キャラであるデニスも著しく不評。
    • 一言でいうとヘタレキャラ。加えて狂っているようにしか見えないオーバーなリアクションに嫌悪を抱くユーザーも。
  • とあるイベントシーンで、アリッサがものすごいダミ声でしゃべる。狙ってやったのだろうか?
  • ホラー(を狙ったと思われる)シーンは、概ね演出過剰すぎて特になんとも感じない。
  • 唐突な場面転換、唐突な展開、唐突な演出と構成も粗い。

その他

  • 魔の配下全体のデザインも特撮ヒーローの怪人を思わせる様な風貌の配下が目立つ。それもそのはず、キャラデザインを担当しているのは『仮面ライダーZO』や『人造人間ハカイダー』、『牙狼-GARO-』などで有名な雨宮慶太。多くのファンが「人選ミスじゃないのか?」と首をかしげた。
    • 余談だが雨宮慶太氏は、本作より前に発売された同メーカーのゲーム『鬼武者2』でもキャラクターデザインを担当していたので「人選が面倒だから引き続き担当してもらったのでは?」という疑念もある。
    • なお魔の配下のCVだがほとんどが特撮の俳優を起用している *4 。スタッフは特撮になにかこだわりでもあったのだろうか? その中でも斧男は、あの伝説のクソゲーの主人公を髣髴とさせるほど異常に甲高い声であり、完全にミスマッチである。
  • 主役のアリッサの顔が外国人っぽくない。日本人がモデル *5 と言うが、「イギリスが舞台なのに、何故?」と疑問視するユーザーも少なくない。余談だが『1』『2』の主人公であるジェニファーは、ゲームのモデルとなったホラー映画『フェノミナ』の主演女優ジェニファー・コネリーがモデルである。
  • ルーダーにしても、前述したもの以外に「10代の女のみで15、6で力は最大に高まり、以後衰え20で消失する」という設定がある。要するにルーダーは絶対に少女でなくてはならない。スタッフは魔法少女になにかこだわりでもあったのだろうか?
    • ちなみにルーダーは、犠牲者が遺した思い出の遺留品から力を得ることでしか魔のモノ達と戦えないという設定があるのだが、犠牲者の遺留品を手に入れてない状態でアリッサが怪人と戦うシーンがある。要するに単純な構成ミス。
  • 2人目の魔のモノの配下である硫酸男がランド親子をドラム缶に入れ、硫酸を浴びせて殺害するシーンはその凄惨さで多くのプレイヤーに心の傷を与えた。
    • そのランド親子だが、息子アルバートは眼の不自由な母親のために治療費を貯め続けている母親思いの優しい青年であり、近所でも仲良し親子として有名…どう聞いても善良な親子であるため、拍車をかけている。また第1章に登場したメイ *6 も父親思いの優しい少女である事も付記する。
  • ストーリーが消化不良のまま終了している。
  • ゲームクリア後の特典が少なすぎる。コスチュームチェンジとイラスト鑑賞しかない。しかも2周目は強制的に難易度が上昇した状態でスタートする。

評価点

  • 一応、大手会社のカプコンが開発したゲームだけあってグラフィックは綺麗。特にCGムービーの美麗さは抜きん出ている。
  • 硫酸男はかつてイギリスに実在した殺人鬼、ジョン・ヘイグがモデルとなっているので恐怖が増す。とは言っても最初からこの設定がわかっている人はいないだろうし、言動がアレなので…… *7
    • もっともジョン・ヘイグの場合、殺害方法は硫酸ではなく、銃を使った射殺である。硫酸は死体を消すための手段であった。
  • 見た目の可愛らしさもあってか、ヒロインのアリッサの人気はそこそこ。
    • しかし、場面によって顔つきがまちまちな為ハッキリ言って微妙なのだが。

余談

  • キャプチャの撮影は相当苛烈だったらしく、OPの手紙読んで立ち上がるシーンだけで丸一日費やしたらしい
    • 大した拘りようだが、作品の評価を見る限り完全な空回りに終わっているのが非常にむなしい。

まとめ

  • 過去作からのあまりの変わりっぷりに加え、『粗あり・幼稚すぎ・消化不良』の雑なシナリオ、単体として見てもミュージカル調の台詞や別の意味で異常な敵、やたら高い出現頻度などゲーム的にも今一な点が多く、ホラーとしての評価はシリーズファン・新規共に高いとは言えない。特に旧来のファンには「どこがクロックタワーなんだ?」と怒りに満ちた意見で殆どが酷評。深作欣二監督の遺作という点でも完全に黒歴史扱い。だが、逆にぶっとんだギャグゲーとしてそれなりの評価があったり、戦闘も新規プレイヤーには悪くなかったりと「こういうものだと思えば」いけるクチではある。まあ「ある種面白い」の域を出ていないが。
  • 数年後、同メーカーより本作のいくつかのシステムを継承した『DEMENTO』が発売された。こちらはクロックタワーシリーズのファンから「クロックタワー3よりもクロックタワーらしい」と言われている程、好評である。