放研の設計
長縄の設計:HKS2009
基本方針
CR型とNF型以外を作る.
基本回路設計
ネット上でRIAAイコライザの伝達関数が載っていたので,転載すると,
となっていました(Aはゲイン項で,勝手に追記).
書いてあったHPでは,「だからCR型の設計はこうなって・・・」という展開でしたが,良く見るとこの式は部分分数展開が出来ます:
この伝達関数は,2つのCR一次フィルタと加算器(OPアンプで作れる)ので,フィルタをアクティブフィルタにしてやった回路が下図になります.
※パッシブフィルタで実現すると,CR型と等価になりそうなので目的に反する.
ここで,初段のOPアンプのみ超低ひずみの石(LM49720とか)を使い,他は汎用オーディオ向け(4558,5532辺り)を使います.
続いて,定数の計算ですが,面倒なので計算機にやらせた結果が以下のようになります.
平均誤差率:1.803186%
C1:330pF,C2:4700pF,R1:220kΩ,R2:680kΩ,
R3:150kΩ,R4:39kΩ,R5:33kΩ,R8:120kΩ
平均誤差率:0.067714%
C1:680pF,C2:4700pF,R1:110kΩ,R2:680kΩ,
R3:130kΩ,R4:68kΩ,R5:68kΩ,R8:430kΩ
多分E12を用いた方を作る事になりそうです.
使用するパーツ
- IC:LM49720,NJM5532DD,LTC1144(正電源から負電源を作る)
- C:WIMA製(330pF,4700pF),普通orオーディオグレードの電解
- R:普通の
- ケース・電源:既存品を流用
作成した回路
正面:文字は研究室のテプラで透明シールを作って貼ってあります.
裏面
中身
音(コーチ談)
音は何か硬くてナローレンジな感じがします。
とにかく、ギリギリまで通電してエージングしてBSNで調整しましょう。
実際の試聴結果
まず,左右にレベル差があったようです.まあ,選別もしていない誤差20%の抵抗では致し方ない気がするが・・・
再生した感じでは,Lchに結構大きなノイズが載っていました.Rchは不明.
ただ,アイデアを評価されたのか,初出品を評価されたのかわかりませんが,「最優秀イノベーター賞」を頂きました.ありがとうございます.
今後の展開(?)
万が一上記回路を参考にされる場合は,以下の点に気をつけていただければと思います.
- 初段の増幅率を可変にする,または出力にもう一段可変ゲインの非反転増幅回路を入れて,レベル差調整をする.
- RIAAカーブからのずれだけでなく,抵抗の値の誤差を考慮して数値計算する.
- 時間に余裕を持って製作する.
- 発振・雑音対策を十分に行う.特に初段.
- むしろチャージポンプICは使わない,またはその出力を3端子レギュレータなどで安定化する.
最終更新:2018年05月31日 20:20