#新記述
L:航空機・MEIDEA2の開発 = {
 t:名称 = 航空機・MEIDEA2の開発(イベント)
 t:要点 = 一般性能要求{
 MEIDEA2は単独で地表から宇宙に行き戦闘する事ができる宇宙機であり、かつて終末の世界において大量生産された二人乗りの戦闘機である。巨大で優雅な機体であり、空の貴婦人という名を持っている。ヴィクトリー・タキガワはこの機体を鮮やかに操ってなりそこないどもを大量撃破している。

 t:周辺環境 = 青空
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *航空機・MEIDEA2の開発のイベントカテゴリ = ,,,藩国イベント。
  *航空機・MEIDEA2の開発の位置づけ = ,,,生産イベント。
  *航空機・MEIDEA2の開発の内容 = ,,,このイベントを取得した国は、その国用のMEIDEA2(航空機)の作成を行うことができる。作成したものにあわせてアイドレスが作成、公布される。
 }
 t:→次のアイドレス = なし

 

#旧記述

L:MEIDEA2の開発 = {
 t:名称 = MEIDEA2の開発(イベント)
 t:要点 = 一般性能要求{
 MEIDEA2は単独で地表から宇宙に行き戦闘する事が出来る宇宙機であり、かつて終末の世界において大量生産された二人乗りの戦闘機である。巨大で優雅な機体であり、空の貴婦人という名を持っている。ヴィクトリー・タキガワはこの機体を鮮やかに操ってなりそこないどもを大量撃破している。

 t:周辺環境 = 青空
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *MEIDEA2の開発のイベントカテゴリ = 藩国イベント,生産イベントとして扱う。
  *その国用のMEIDEA2(乗り物)を作成できる。
 }
 t:→次のアイドレス = なし


●キャッチフレーズ
『それは、
  光と鋼の舞踏』

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●開発コード

 天空を翔けるその姿に、『彼女』の名を継ぐ者にして、かつて国土防衛に際し華麗なる戦いぶりを見せたという旧日本軍の戦闘機からもあやかり名づけられたのが、燕姫、転じてラスターチカ(ロシア語で雌の燕を意味する)の名前である。

 高速にして自在な機動が貴婦人の麗しさなれば、想いを害するいかなるものに対しても屈せぬための高火力、そして何よりも、飛ぶ空を選ばぬその芯の強さこそが、MEIDEA2の肩書きに恥じぬ、全天候型空間邀撃機としての彼女の真価だろう。

 


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●技術系

 The I=Dress is...
 その言葉につながるための、四つの系統に分割され、それらを一つに統合することで、MEIDEA2:『Лactoчka(ラスターチカ)』は開発された。

 R.E.A.L.

 すなわち、レーダー(情報系)、エンジン(速度系)、アーマー(装甲)、レーザー(武装)である。

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Faze01:Radar
-いとかしこき姫君の名を 継ぐのが私なのですから-

・採用技術:トポロジーレーダー2.1
→アプローの涙時代に使われていたRB流星号。そこに搭載されていたシステムを、使用者たる絢爛世界の住人たちの意見によって改良、ターン1~10までの戦闘経験を反映しつつ、航空機として必要な操縦系を組み込んだものである。大気圏突入を繰り返す機体に搭載されるため、何よりもシンプルで強靭であることが評価されての採用となった。

・採用技術:個人専用サポートAI『Dama』
→経験から来る感覚的操作をフルに導き出すトポロジーレーダーの、補佐として内蔵する形で設計された。脱出ポッドも兼ねるコクピットを、パイロット達専用のものとすることで、個々の癖を学習、より高速に挙動を実現する。ミサイルをサブエンジンとしても使えるほど高度な『彼女たち』の担当は機体制御、コパイロットにとってはパートナーでもあり、パイロットにとっては二人目の頼れる協力者である。

Faze02:Engine
-空も、そして翼を乗せた風さえ超えて 行くよ 君の元に-


・採用技術:スクラムジェットエンジン
→大気圏内においては風を吸い、宇宙においてはもはや風を求めずに飛翔する、極超音速のエンジンである。同系統の技術が同じ共和国の航空兵器・蒼天に採用されていることからも、安定性は高く、充分なテストが成されている構造と言えよう。大気吸入口はコクピットを挟むようにして左右に展開されている。

・採用燃料:液体水素と液体酸素の混合燃料が用いられている。本来膨大となる液体水素の容積を少しでも圧縮するために、触媒として近海から発見された『海の水晶』と呼ばれる鉱物を使用。これは宇宙船であり、様々な重力の影響を受ける藩国船の底部にいつしか生じていた、非常に高い圧力によって生成された特異な構造をしており、密度の薄い水素に高圧状態を連鎖して引き起こさせる効果が確認されている。

・採用機構:ブースター
→長距離航行専用ブースター。大気圏単独離脱能力を有し、着脱式である。

・採用機構:全動翼型の水平尾翼によって機首の反応性を高めている。

Faze03:Armor
-胸に灯したこの想い 熱などに決して焼かれやしない-


・採用装甲:耐熱タイルに強化炭素繊維を使用することで、1800度以上の高温にも耐えうるものとなっている。さらにはShefexシステムと呼ばれる現実のモデルを一部転用、セラミックス製ボルトでの固定が可能であり、接着は極めて強固に行われている。なお、塗装に含まれるステルス性能を高める金属粒子を別として、その色彩には一切の迷彩は施されていない。これは運用の想定として、迎撃こそが本領であり、身を隠すよりは、誇り高く迎え撃つべしとの意図ゆえ。

・採用機構:Gによる操縦者のブラックアウトを防ぐために、下半身を挟み込んで加圧する、RBスタイルのコクピットである。命を守るための工夫こそが、情報世界における装甲とカテゴライズ出来る。キャノピー式ではない、完全閉鎖型で、より安全性を確保している。

・採用機構:大気圏突入能力のため機体上部に設定せざるを得なかった空気取り入れ口に吸い込まれないよう、脱出時には、機首付近を爆破、機体から脱落させた後、脱出カプセルを兼ねたコクピットを射出する。

Faze04:Laser
-姫よ どうか御身を守らせるために、光の舞踏のお許しを-

・採用武装:レーザー機銃。パルスレーザーの高熱によって目標を鎔かし撃つ。高速連射が可能であり、弾幕のようにしてドッグファイト時に展開する。

・採用武装:レーザー水爆。レーザー技術の進化の果てにたどりついた、MEIDEA2公式武装である。現代技術においても反応の規模はダイヤル式制御が可能なレベルに達しているが、ここではあえて大威力を求めて遠距離用に特化してある。

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●データ
・全長-全高:40m超-7m超
・最大-最小全幅:26m-7m
・重量:秘密(開発者談:『姫』の機密事項ですから)

 



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●開発担当
むつき・萩野・ドラケン(イラスト)

城華一郎(文章)


●開発協力(スペシャル・サンクス)
カール・瀧野・ドラケン氏

 

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●開発エピソード

「…婦人…美しい……乱れ……」

 軍服の立てた襟まで激しく揺れるほどの震動に見舞われながら、隣にいるこのパイロットはいったい何を言い出しているのだ、と、レンジャー連邦の若き開発主任は眉間にしわを寄せた。

 きっちりと帽子に収めこまれた灰髪は、老齢ゆえのものではなく、この国特有のものだ。
 手にしたノートパソコン上、踊る折れ線グラフは、多少の上下動は示しているものの、高いところに引かれた棒線を越えることなくトータルで見れば安定していると言えるだろう。

 油で汚れた手袋が、傍らのスイッチをONからOFFへと引き倒す。
 爆音が止んだ。

 主任は帽子を脱ぐと目の前の頭に向かって相手と同じ灰髪の、生え際あたりを秒速1mで叩きこむ。

「くぼぉ!?」

 奇声を上げながらくの字に折れて後ろに吹っ飛ぶパイロット。広い砂漠を背景に、打ちっぱなしのコンクリートの上を、工具箱などぶちまけながら転がっていく。

 生まれたての小鹿のように膝を揺らして立ち上がる仕事上のパートナーへと向けて、彼は言う。

「怪しげなことを口走るな貴様、国の一大事業を締めくくる最後のテストだというのに、発言を公的記録に残せんではないか。
 あと久保さんとは誰かね一体」
「理不尽三昧された俺の魂の悲鳴だよ!!
 ていうか、誰が怪しげなことを口走ったか、誰が!!」

 鼻血を撒き散らし全力で抗議する。
 粒のように飛び散るそれを嫌そうに避けながら、

「魂の悲名、ねえ。
 なるほど久保くん、君の痛みはよーくわかった。だが先祖から受け継いだ名前をそのように邪険に扱うのは僕はどうかと思うよ」
「邪険に扱われたのって俺じゃなくて!?
 つーか痛いのは名前じゃなくて、鼻だよ、鼻!!」
「華。確かに貴婦人に添えるべき最後の飾りは華だろう。
 麗しき鋼のドレスをはためかせ、天翔けながらに一条の白き花弁舞い散らす華、なのだろうね、こいつは。
 なるほど君もたまには洒落たことを言う」
「散ったの赤だし!! 俺の赤だし!!」
「冗談だよ」

 ふ、と笑う主任に、パイロットは握りこぶしをぷるぷる震わせながら、俺の鼻血は冗談か、おい、と、物騒につぶやくも、気を取り直して向き直った。

 空気抵抗のそぎ落とされたなだらかなフォルム。鋼の塊とはとても思えないその曲線の優美の、前後には、ずっと先まで行かねばコンクリート上を覆っていたはずの砂塵が一切見当たらない。遠く砂の上に描かれた軌跡も、整った線を作り出している。

「いい仕上がりだね」
「ああ」

 かつて至高のアラダ、至高の戦士と謳われた、千億のリューンを従えし姫の名を受け継ぐ一翼の鋼、MEIDEA2。
 頭上に焼けるような太陽を頂きながら広がる青空の、その向こう側にまでも行ける『彼女』は、視線の先で、静かに佇んでいた。

 パイロットは鼻下を服の袖で拭いながら満足げに冒頭の言葉を今度こそ正しく繰り返す。

「やはり貴婦人の美しさは、乱れた髪の活発ではなく、優雅さだな」

 音よりも速い、マッハの領域。その中でも極超音速と呼ばれるマッハ5以上を叩き出すMEIDEA2のエンジンは、燃焼に必要な空気さえをも超音速のままに必要とする。

 両端の尖ったスクラム(衝角)によって圧縮された空気の流れはタービン内に取りこまれるのだが、この時、流れがあまりに乱れていると、エンジンがストップしてしまうのだ。

 パイロットの言葉は、そのことを模して語られた、比喩であった。

「我が国が誇る撃墜王の助言を元に、何度も作り直したからね。その度に、テストも何度となく繰り返してきたのだ。この結果は当然だよ」

 機体上部に存在する取り入れ口は、わずかに浮いて成型されている。機体表面の凹凸を拾わないようにとの工夫だ。さらには取り入れ口そのものも、先端を尖らせてあり、これなら空気の流れが取りこむ直前で綺麗に分割されるだろう。

「さて。いよいよフライトテストだな」
「おう!」

 うきうき両肩を回すパイロットのその肩を、とてもいい笑顔で叩く主任。

「頼んだからね」

/*/

 眼下にも、頭上にも、世界は青だけが占めている。
 選ばれた者だけが見ることの出来る、美しい空の世界だ。
 その青を自らの手で切り裂いていく快感。

 圧倒的な機動力により実現される次々のマニューバを、高G下でだが確かに彼の顔は喜んでいた。パイロットの本能とも言える部分が、ようやく満たされたのだ。

「こちらツバメ1号、フェイズクリア。
 高高度限界飛行も順調だ、次は射的でもしてみせるかい?」
『こちら管制室、ツバメ1号、軽口を叩くな。
 火気管制は前バージョンの機体でテスト済みだろう、この分なら、予定外だが最後の段階まで行けそうだな』
「ラージャラージャ、残りはなんだい?」

 浮かれる気持ちを緊張で引き締めなおす。
 頼るものがなくなれば、一瞬にして死へと落ちるのが天空の世界である。
 無線から返事が吐き出されてきた。

『地上でもテストがほぼ済んでいるシステムではあるんだが、やはり実機のデータが欲しくてな』
「おいおい、今更なんだよ、もったいつけるなって」
『まあ待て、今説明を――――』

 ぶつん。
 急に不吉な音がした。

「こちらツバメ1号、もしもし?」
『――――』
「ヘイ、その冗談笑えないよ、もしもーし?」

 機械的に合成されたやわらかな女性の声が代わりに返答をする。

『エマージェンシー。機体に原因不明のトラブルです、Sir』
「ちょ、マジか!?」
『誠に残念ながら』

 搭載されている、1000時間を超えるトレーニングを共にした女性型AI『Dama』の声だ。

 彼が記憶している限り、ロシア語で『婦人(Дама)』の名を持つこのAIがシリアスな局面で無駄に嘘をついた試しがない。そして今は、この上もなくシリアスな局面だ。

 嫌な汗が首筋に一瞬で噴き上がった。

 ピッチ(機首角度)が下がる。みるみる高度も落ちている。操縦悍を慌てて引き起こすが、手応えは限りなく重く、状況にはなんら変化は生じない。

「おいおいDama、どうすりゃいい!!」
『ご安心を』
「そ、そうか?」
『テストパイロットである貴方には、軍入隊時のものとは別にサインが求められていたはずです。遺族には軍から十分な給付金が出るでしょう』
「そういうのって全然ご安心って言わないよ、ねえ、ちょっとー!!?」

 アラームがこうしている間にもどんどん間隔を狭めていく。
 高度5000フィート、4950フィート、4900フィート……。

 くるくると遠心力を体中に感じる。
 まずい、と、そこはさすがに鍛え抜いたエリートパイロットのこと、血流が絶望に落ちかかる心臓に逆らって反応した。

「Dama、脱出だ」
『ラージャ』

 赤いプラスチックのカバーを叩き割ってボタンを押す。
 途端、衝撃。浮遊感。

「だ、Dama?」
『爆発を正常に確認、問題ありません』
「ダーマー!!!」

 ああああああ、という彼の悲鳴と共に、コクピット全体が持ち上がる感覚。
 もう駄目だ、と思った瞬間、ぱふぁ、と急速に布の広がる音がした。

/*/

「ははは貴様脱出システムの内容をてんから忘れておったなこのうつけものめ」

 最後のテストを完遂し、地上に無事帰還しきったパイロットは、目の前で主任にボイスレコーダーに残されたデータを逐一解析され、格納庫の隅で小さくなっていた。

「前回とは仕様が変わって、空気取り入れ口に吸いこまれんよう、機首を脱落させてから脱出カプセル兼用のコクピットを射出するタイプにしたとあれほど座学で講義を受けただろう」
「それは、えーと、あれだ、その……」
『問題ありません、主任。
 想定外の状況を与えられてなお正常に、脱出装置は混乱したパイロットの手によっても稼動しました』

 コクピットから人工音声。
 パイロットは目の色を変えて立ち上がった。

「おま、Dama、そのために通信勝手に切ったな!?」
「問題ない、貴様がボタンを押せなければ彼女が自動的に機体の制御を回復させたはずだからな」
『Yes,Sir。
 そもそも貴方は訓練中から想定外の事態に弱く、このようなことでは到底正規パイロットにはなれないものと予見されます。
 個人用サポートAIたる私のパートナーが貴方だけである以上、私もまた正規AIとして昇格出来ないことになり、大変な不名誉です』
「やかましい、余計なお世話だ!
 何が遺族への給付金だ、この、とんだタヌキ娘め!」
『訂正を求めます、私はツバメ。飛んでいるのは認めますが』
「そういうことじゃねええーーー!!」

 外に広がる青空は、相変わらずの様であり。

 二人と一体の奥にそびえる鋼のドレス。

 MEIDEA2、通称ラスターチカ。

 空の貴婦人は、賑々しい関係者達をよそに、静かな輝きを湛えていた。

 

最終更新:2009年06月27日 22:28