「心からのアリガトウ。」


チリリリリ・・・  んあー ねみぃ。ねむいったらねむい。

「ニュ~ニュ~」 こいつはマニューラのエル。俺の相棒。
「はいはい・・・起きりゃぁいいんでしょ。ふぁ~」
  クンクン・・・おや?  なんだかいいにおいが・・・
「ニュッ!」  「おぉエル!朝めし作ってくれたのか・・・ってやべぇ!もうこんな時間。アイツが腹を空かして待ってるぜ。」
「マニュニュ~」  「エル、留守番よろしくな~!」
ホクトはポケモンフーズを持って勢いよくドアを開けた。

ここはイスカシティ。とりポケモンが多く生息し、いつも気持ちいい風がふいている街。
北の広場には人が多くビルが建っているが、南の広場は花畑になっており、その美しさは「世界の絶景ベスト10!」にも入るほどだ。

俺はアイナのナギ?を助けた後、大急ぎでこの街に来た。
ここには────俺の父、イスカシティのマジカルリーダーがいる。
だから会いに来た。息子として、そしてチャレンジャーとして。

「ほら、持ってきたぞー」  「きゅうぅん♪」 パクパク・・・
こいつは・・・花畑の真ん中で倒れていた。  今にもしんでしまいそうな姿で。 
見たことないポケモンだけど・・・悪いやつじゃないみたいだから、毎朝ここでエサをあげている。

ピロリロリン、ピロリロリン♪
あ、父さんからだ。こんな朝早くになんだろう・・・

「ホクトへ
久しぶりだな。元気にやってるか?ちゃんと朝めし食えよ。
あ、今回連絡したのは「シェイミ」というポケモンを探してほしいと思ってね。
最近、イスカの花畑で見られるらしいんだが・・・アルス団が狙っているらしい。
花畑が荒らされるのは避けたいし、このポケモンがかわいそうだ。
だが、私はマジカルリーダーだからテントを離れられない。
・・・ホクトよ。そのポケモン、そしてイスカの花畑を守ってやってくれ。
                                父カヌイより」

おや、画像がついている。   こ、これが・・・シェイミ?
そう。その「シェイミ」は今、俺の前にいるコイツなんだから。
「お前、シェイミっていうのか?」  「きゅうぅん。」シェイミ?は首を縦に振った。

ガサガサッ・・・ 「おい、シェイミはいたか?」
「いや。 ・・・このままじゃ、ポムン様にボコボコにされちまう・・・」
「・・・逃げるぞシェイミ。いや、ナミ。」  「きゅうぅん><」
ナミはいやがった。この花畑から出たくないようだ。

「おいっ!お前はだれ・・・あ!! シェイミだ、シェイミがいたぞー!」
「なにっ!?」 ガサガサガサ・・・
「やばい。ナミ、早く行こう!」 「きゅうぅん><」
絶対に出たくないらしい。そんなにこの花畑が好きなのだろうか・・・
「さぁ、そいつを渡せ!」
「いやだね。・・・じゃあ俺にバトルで勝ってみろよ!」
・・・この発言はさすがにムリがあったと思う。
ざっと見て、相手は20人ほどいる。。。

「きゅうぅぅぅん!!」

ナミが光り輝いた。その柔らかな光は花畑全体を包み、アルス団の傷跡(散った花々)を癒していったのだ。
すごい速さで花が咲き、もとの花畑に戻っていった。まるで誰も踏み入れてないころのような美しさに・・・。

「アリ・・・ガ・・・ト」
「ナミ、ナミ! どこにいるんだ!?」
「ゴハン・・・アリガ・・・ト」
「おぉ。毎日持ってきてやる。だから・・・行かないでくれっ・・・。」
     ナミは・・・首を横に振った。

「イツモ・・・アリガトウ・・・ゼッタイニ・・・ワスレ・・・ナイヨ・・・」

ナミは光となって、花畑に消えていった・・・。

俺には・・・最後笑ってように見えた。ただ「アリガトウ」といえたからなのか。
ナミ・・・いやシェイミは花のもとへ行ったのだろう。跡形もなく消えていた。   いつの間にか、アルス団も消えていた。どこかにテレポートした(された)のだろうか・・・。

ホクトはナミとの楽しかった日々を思い出しながらも、美しくなった花畑を去った。
ナミの「アリガトウ」の気持ちの分だけでも、がんばろうと心に決めて・・・
最終更新:2006年12月08日 17:55