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**第67話 騎士の宅急便 二人の女性を殺害した場所から早々に離れたリドリーは、道に差し掛かった辺りで一息吐いた。 殺した者を埋葬してやろうかとも考えたが、止めた。 自分にはそんな資格は無いと思ったから。 彼女達から回収した荷物を確認する。 最初に戦っていた女性が持っていた短剣以外に武器は無かったが、これを含めても武器は今三つある。 炎弾を発射する剣、小回りの利く短剣、遠距離を狙撃できる銃。攻撃に関してはかなり恵まれているといえるだろう。 だが少女の荷物であるバッグの中に、一つ気になる支給品があった。 「これは…ホウキ?」 少女の方の支給品にあった、このホウキ。一見何の変哲もない普通のホウキだ。 …こんな物どうしろと言うんだ? 武器としてはとても使えそうにないし、これでどこか掃除しろというわけでもあるまい。 主催者の嫌がらせか?と怒ってもこれを支給されたのは厳密に言えば自分では無い。 役に立ちそうにもないし、破棄してしまおうと考えた時だった。 ホウキに説明書が着いている事に気付く。 (ホウキに説明書とは…一体何を説明するというんだ) そんな事を思いながらも一応説明書を読んでみる。 -魔法のホウキ- 『乗って飛べと念じるだけで空を飛ぶ事ができる不思議なホウキ』 (…本当か?) まるでお伽話だ。 ラジアータの文献の中にもホウキに乗って空を飛ぶというものがあったような気もするが、実際に見たことはない。 説明書によるとこのホウキを使えばかなりの速度での移動が可能だという。 燃費はエネルギー満タンの状態で連続二時間使用可能、そして定時放送がある事に自動的に満タンまで回復するらしい。 まだ半信半疑だが、真実ならばかなり便利なアイテムである。 (一応試してみるか…) 両手でホウキを地面と水平に持ち、その柄に跨った。 (飛べ!) リドリーが念じると、ホウキは浮遊を開始して… 回転した。 「いだっ!」 ホウキと一緒に回転したリドリーは、頭を地面にぶつけて盛大にずっ転ぶ。 一瞬意識が飛びそうになるが何とか持ち直し、周りを見渡して目撃者がいない事に安堵した。 なかなかバランスを取るのが難しい。ちょっとしたコツが必要なようだ。 だが使いこなすことができれば、移動時間の短縮に大いに役立つ。強敵から逃げる時にも重宝するだろう。 練習する価値はありそうだ。 しばらく練習した後、何とかバランスを取るコツを掴むことができた。 成る程、結構なスピードが出るしなかなか快適だ。 ただ森の中で使ったら木や枝にぶつかりそうになって危険だったので、道でのみ使う事にした。 既に定時放送の時刻まで二時間を切っているので、ぶっ通しで使っても大丈夫だろう。 そのままリドリーはホウキに乗って鎌石村へと向かった。 リドリーが放送を聞いたのは、鎌石村に入ってすぐの事だった。 その放送で、彼女が最も危険視していた男であるルシオンが名前が呼ばれた。 どんな事があっても彼だけは必ず倒さなければならないと考えていたリドリーにとっては、強敵の退場は朗報だ。 だが油断はできない。ルシオンが死んだという事は、彼より強い者がいるという事だ。 気を引き締め、禁止エリアの情報などをメモしておく。 (C-5が一時間後か…。近い上に早い…) 隣のエリアがもうじき禁止エリアとなる事を知ったリドリーは、これからの行動指針を考える。 (禁止エリアの付近ならば、参加者もあまり近寄らないだろう。拠点にするには持ってこいだ) それにしても…。 死者13人。自分で2人殺した事を差し引いても、想像以上の数字だった。 恐らく自分がそれほど動かなくても、参加者は減り続けるだろう。…できれば、それが一番良いのだが。 死亡者の中には、リドリーと親しい関係にある人物の名前もあった。 (ガンツ殿…少し頼りないながらも、優しい心を持った方だった) 悲しんではいけない。この殺し合いに勝ち残ると決めた以上、彼を殺す覚悟もしていた。 そうだ、自分はどこまでも非情にならなくてはならない。 それでも、死者の名の中にジャックの名前が含まれていなかった事にリドリーは安堵していた。 分かっている。安堵してはいけないという事に。自分は場合によっては、彼も殺さなくてはならないのだから。 彼に会ったらどうするのか?決まっている。戦うのだ。 ジャックの事だ、きっと今頃はこの殺し合いを止めようと右往左往しているだろう。恐らく自分とは対立する。 あの時と同じように敵同士になるのだ。 …いや、ダメだ。ジャックには会いたくない。 勿論、リドリーも本音ではジャックに会いたいのだろう。 だがジャックに会ってしまったら、もう自分は他人を殺すことはできなくなる。 そうなったら、金竜の器としての役目を果たせなくなってしまうのだ。 (私は一度、妖精側に付くと決めたのだ。そして今も決心が変わらないだけの事。迷うな…!) リドリーはそう自分に強く言い聞かせると、ジャックの事を忘れようと行動を開始した。 【B-3/真昼】 【リドリー・ティンバーレイク】[MP残量:100%] [状態:正常] [装備:イグニートソード@SO3] [道具:グラビティレイザー(エネルギー残量[100/100])@SO3、忍刀菖蒲@TOP、アーチェのホウキ@TOP       他クレアとスフレの支給品幾つか、荷物一式×3] [行動方針:ゲームに勝ち残る] [思考:拠点になりそうな場所を探す] [現在位置:鎌石村内海岸付近] 【残り42人】 ※アーチェのホウキについて 6時間内に最大2時間使用可能。エネルギーは定時放送毎に満タンまで回復します。 ただしエネルギーを持ち越すことはできません。 高度は最大で3m程度、速度は通常の移動の二倍の速さです。 ---- [[第66話>LIVE A LIVE]]← [[戻る>本編SS目次]] →[[第68話>ロキおにーさんのわくわくやがいじっけん]] |前へ|キャラ追跡表|次へ| |[[第13話>負けられない理由]]|リドリー|―|
**第67話 騎士の宅急便 二人の女性を殺害した場所から早々に離れたリドリーは、道に差し掛かった辺りで一息吐いた。 殺した者を埋葬してやろうかとも考えたが、止めた。 自分にはそんな資格は無いと思ったから。 彼女達から回収した荷物を確認する。 最初に戦っていた女性が持っていた短剣以外に武器は無かったが、これを含めても武器は今三つある。 炎弾を発射する剣、小回りの利く短剣、遠距離を狙撃できる銃。攻撃に関してはかなり恵まれているといえるだろう。 だが少女の荷物であるバッグの中に、一つ気になる支給品があった。 「これは…ホウキ?」 少女の方の支給品にあった、このホウキ。一見何の変哲もない普通のホウキだ。 …こんな物どうしろと言うんだ? 武器としてはとても使えそうにないし、これでどこか掃除しろというわけでもあるまい。 主催者の嫌がらせか?と怒ってもこれを支給されたのは厳密に言えば自分では無い。 役に立ちそうにもないし、破棄してしまおうと考えた時だった。 ホウキに説明書が着いている事に気付く。 (ホウキに説明書とは…一体何を説明するというんだ) そんな事を思いながらも一応説明書を読んでみる。 -魔法のホウキ- 『乗って飛べと念じるだけで空を飛ぶ事ができる不思議なホウキ』 (…本当か?) まるでお伽話だ。 ラジアータの文献の中にもホウキに乗って空を飛ぶというものがあったような気もするが、実際に見たことはない。 説明書によるとこのホウキを使えばかなりの速度での移動が可能だという。 燃費はエネルギー満タンの状態で連続二時間使用可能、そして定時放送がある事に自動的に満タンまで回復するらしい。 まだ半信半疑だが、真実ならばかなり便利なアイテムである。 (一応試してみるか…) 両手でホウキを地面と水平に持ち、その柄に跨った。 (飛べ!) リドリーが念じると、ホウキは浮遊を開始して… 回転した。 「いだっ!」 ホウキと一緒に回転したリドリーは、頭を地面にぶつけて盛大にずっ転ぶ。 一瞬意識が飛びそうになるが何とか持ち直し、周りを見渡して目撃者がいない事に安堵した。 なかなかバランスを取るのが難しい。ちょっとしたコツが必要なようだ。 だが使いこなすことができれば、移動時間の短縮に大いに役立つ。強敵から逃げる時にも重宝するだろう。 練習する価値はありそうだ。 しばらく練習した後、何とかバランスを取るコツを掴むことができた。 成る程、結構なスピードが出るしなかなか快適だ。 ただ森の中で使ったら木や枝にぶつかりそうになって危険だったので、道でのみ使う事にした。 既に定時放送の時刻まで二時間を切っているので、ぶっ通しで使っても大丈夫だろう。 そのままリドリーはホウキに乗って鎌石村へと向かった。 リドリーが放送を聞いたのは、鎌石村に入ってすぐの事だった。 その放送で、彼女が最も危険視していた男であるルシオンが名前が呼ばれた。 どんな事があっても彼だけは必ず倒さなければならないと考えていたリドリーにとっては、強敵の退場は朗報だ。 だが油断はできない。ルシオンが死んだという事は、彼より強い者がいるという事だ。 気を引き締め、禁止エリアの情報などをメモしておく。 (C-5が一時間後か…。近い上に早い…) 隣のエリアがもうじき禁止エリアとなる事を知ったリドリーは、これからの行動指針を考える。 (禁止エリアの付近ならば、参加者もあまり近寄らないだろう。拠点にするには持ってこいだ) それにしても…。 死者13人。自分で2人殺した事を差し引いても、想像以上の数字だった。 恐らく自分がそれほど動かなくても、参加者は減り続けるだろう。…できれば、それが一番良いのだが。 死亡者の中には、リドリーと親しい関係にある人物の名前もあった。 (ガンツ殿…少し頼りないながらも、優しい心を持った方だった) 悲しんではいけない。この殺し合いに勝ち残ると決めた以上、彼を殺す覚悟もしていた。 そうだ、自分はどこまでも非情にならなくてはならない。 それでも、死者の名の中にジャックの名前が含まれていなかった事にリドリーは安堵していた。 分かっている。安堵してはいけないという事に。自分は場合によっては、彼も殺さなくてはならないのだから。 彼に会ったらどうするのか?決まっている。戦うのだ。 ジャックの事だ、きっと今頃はこの殺し合いを止めようと右往左往しているだろう。恐らく自分とは対立する。 あの時と同じように敵同士になるのだ。 …いや、ダメだ。ジャックには会いたくない。 勿論、リドリーも本音ではジャックに会いたいのだろう。 だがジャックに会ってしまったら、もう自分は他人を殺すことはできなくなる。 そうなったら、金竜の器としての役目を果たせなくなってしまうのだ。 (私は一度、妖精側に付くと決めたのだ。そして今も決心が変わらないだけの事。迷うな…!) リドリーはそう自分に強く言い聞かせると、ジャックの事を忘れようと行動を開始した。 【B-3/真昼】 【リドリー・ティンバーレイク】[MP残量:100%] [状態:正常] [装備:イグニートソード@SO3] [道具:グラビティレイザー(エネルギー残量[100/100])@SO3、忍刀菖蒲@TOP、アーチェのホウキ@TOP       他クレアとスフレの支給品幾つか、荷物一式×3] [行動方針:ゲームに勝ち残る] [思考:拠点になりそうな場所を探す] [現在位置:鎌石村内海岸付近] 【残り42人】 ※アーチェのホウキについて 6時間内に最大2時間使用可能。エネルギーは定時放送毎に満タンまで回復します。 ただしエネルギーを持ち越すことはできません。 高度は最大で3m程度、速度は通常の移動の二倍の速さです。 ---- [[第66話>LIVE A LIVE]]← [[戻る>本編SS目次]] →[[第68話>ロキおにーさんのわくわくやがいじっけん]] |前へ|キャラ追跡表|次へ| |[[第13話>負けられない理由]]|リドリー|[[第88話>Partner]]|

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