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**第145話 戦地に再度集う者達 「そんな……!」 念には念を入れるように、アシュトンの方に近付く光点がないか、もう一度確かめよう―― そう思って、クロードは再度探知機を操作した。 いくつかの集団が存在するだけになったこともあり、アシュトンは当面無事そうである。 それこそ何かのアイテムなり魔術なりを使わない限り、いきなりこの近辺に現れる者はいないだろう。 「何で……」 故にクロードは、探知機の索敵範囲を可能な限り狭めた。 中島家を中心にし、細かな動きも見えるよう、この戦場に照準を絞ったのだ。 ルシオも探知機に視線を落とし、敵の位置を確認してからクロードと別れる予定だった。 なのに。 「くそっ……」 クロードの眉間に、一層皺が刻まれる。 ルシオも、今ばかりは舌打ちを禁じ得なかった。 それを咎められることもない。 「また……間に合わなかったのか……」 限界まで拡大した探知機は、5つの光点を表示していた。 縮小時は、光点が重なっていて、数までは分からなかった。 しかし、少なくとも洵と通信をしていた時には、あの家には4つの光点があったのだ。 「あいつら……」 4+2は5ではないことは、まあ凡そランドセルを卒業した者なら分かるだろう(全員が、とは言わないでおく。念のため) 光点は、間違いなく減っていた。 アシュトンの無事を確認する際、地図の縮小作業を行っているが、アシュトンを中心に拡大まではしなかった。 なので、家から大きく離れる光点があれば気がついたはずだ。 ましてやルシオはアシュトンの無事になど興味がない。 クロードがアシュトンの無事を確認している間にも、しっかりと自分達の周囲に光点が現れないかどうかを注視していた。 時空を転移出来る者の存在を知ったため、ルシオにその手の緩みはない。 つまり、ブレアが逃げ出したという希望は最初から潰えている。 誰も移動はしていないのだ。 それはつまり、誰かが命を落としたことを意味している。 「殺したのかッ……」 当然クロードもルシオも生きているので、命を落とした者がいるなら、あの家にいる誰かということになる。 先程戦闘した二人は、当然ながら生きているだろう。 致命傷を与えることはできていないし、こちらを追い込むくらい機敏に動いていた。 あの二人が戦闘の後遺症で命を落としたとは考えづらい。 戦闘に出てこなかった非戦闘員が死んだという可能性が頭をよぎるが、それもルシオは即座に否定。 確かに、家の中に怪我人がいた可能性はある。 戦闘できない体だから、物を投げての援護すらせず家に篭っていた―― 確かにそう考えるのは自然だが、仮にそうでも、命に別状はない状態だが安静にしていた程度に思った方がいい。 何せ治癒の力を持ったミランダを仲間に引き入れていたのだ、治癒のパフォーマンスは当然しているだろう。 だとすれば、家の中に怪我人がいたとしても、命を落とすレベルだったとは考えにくい。 更に言うなら、洵は瀕死の人質を使い交渉を行なっていた。 もしも相手に半死人を治癒する術がないのだとしたら、果たして武器を捨ててまで交渉に応じるだろうか? 先程クロードが持っていたような治癒アイテムを、所有しているのではないか? その半死人が洵と共に消えたのなら、そのアイテムなり能力は、家の中にいる半死人に使われるべきではないのか? 様々な要素が、ルシオに死者を教えている。 死んだのは、おそらく――いや、間違いなく。 「ブレア……ッ!」 もしもこれが内輪揉めによる結果ならば、もっと派手に物音がしてもいい。 殺し合いが始まったのなら、例の光が発せられてもおかしくはないのだ。 ……まあ、そもそもに、それぞれ命がけでフォローし合ってた連中が、簡単に殺し合うとは思えないが。 とにかく全ての情報は、ブレアが殺されたということを示していた。 このタイミングで殺されたということは、ある程度情報を引き出され用済みとなったか、口を割らずに殺されたかのどちらかだろう。 「畜生っ……ブレア……」 ルシオにとって、ブレアの持つ情報は貴重だったし、ブレアを死なせたくなどなかった。 上手くいけば、自分か洵が優勝せずとも、レナスを生き返らせることができるかもしれない。 出来ることなら、手元に置いておきたい存在だったのに。 自分が置いてきてしまう形になったせいで、そんなブレアを死なせてしまった。 後悔は、尽きない。 不甲斐なさに腹が立つし、あっさりと命を奪った連中にも怒りを抑えきれない。 「……もうこうなったら突入しようっ」 しかし、だ。 クロードのように、冷静さを欠くほどのショックは受けていない。 いや、むしろショックだったからこそ、冷静でいられたと言うのか。 とにかく、ブレアを失った以上、より一層ルシオは命を落とすわけにはいかなくなった。 これで本格的に自分か洵が生き残らねばならないことになったのだ。 無謀な突撃を許容するわけにはいかない。 「いや、ダメだ」 立ち上がり今にも敵の立て篭もる家へと突っ込みかねないクロードの腕を取る。 共に突撃してくれるとでも思っていたのか、クロードが目を丸くした。 「でも、消えた光が誰だか決まったわけじゃない!」 ルシオだって、そう思いたい。 消えた光点はブレア以外のものであればどれだけいいか。 しかし楽天思考はもう許されない。 ここからは慎重に行く必要がある。 残りの人数は16――いや、もう15か――人だ。 自分と洵を除いて残り13人、それも全員が誰かしらと組んだ状況で自分と洵ははぐれている。 せめて合流するまでは、慎重過ぎるくらいでないと不味いだろう。 もう、ブレアは諦める。 仮に生きていたとしても、確保できればラッキーくらいに思った方がいいだろう。 期待をしてはいけない。 過剰な期待は、思考と動きを鈍らせる。 「もしかしたら、抵抗して敵を一人撃破したのかもしれないじゃないかっ」 「だとしたら、もっと派手な音がしていてもおかしくないし、少なくとも光点が移動なり追加で消えるなりしなくちゃおかしいだろ」 無理矢理割り切るためにも、言葉に出してクロードを説得する。 幾分距離があるとはいえ、やや興奮したような口調で言葉を発するのは避けたい。 だがしかし、今後慎重に動くためにも、気持ちの整理は必要だ。 今は言葉を発してでもクロードと、そして自分の心を説得する方が優先事項と言える。 「上手く凌いでいて、助けを待っているのかもしれない!」 「だったら尚更無思慮に突っ込んだら不味いだろ」 ルシオの言葉に、クロードの言葉が詰まる。 狙って選んだ言葉ではないが、その発言はクロードの心に的確に刺さった。 無思慮に突っ込むのは不味い。 それは、クロードがこの島に来て何度も体験したことだ。 その都度反省はしているのに、上手く活かされず、結局いつも望む結末を得られてない。 「最初の作戦通り行く。それが万が一ブレアが生きている場合、ブレアを助ける最善手だ」 言いながら、心の何処かでまだブレアの生存を信じたい自分を痛感した。 割り切ると決めたのに。 この甘さが、洵に言わせれば『死に繋がる不安要素』なのかもしれない。 「ただ……決行予定は切り上げる」 言うと、ルシオは立ち上がった。 そして深呼吸して、先程まで光点の先へ目を向ける。 「今からだ。俺が奴を誘き出す間に、出来る限り回りこんでくれ」 別にこれは、ブレアの件で焦っているわけではない。 ブレアが生きている可能性に縋っているわけではない。 ただ、クロードをコントロールし易いという利点のための行動だ。 今ならば。 ブレアを失い、残る3つの光点に怒りを向ける今ならば、もしかしたら勝手に剣を交えてくれるかもしれない。 可能性は大いにある。 何せ本人の口から、無思慮な攻撃で誤解をばらまいた経緯を聞いているのだから。 上手く使えば、更に引っ掻き回すことが出来るかもしれない。 「後は、君の裁量に任せる」 とにかく自分は、恐らく迎撃にくる“メルティーナ”との一騎打ちに集中しよう。 今のクロードならば、“詩帆”の妨害をしっかりすると信用しても良さそうだ。 何せ相手はブレアを殺した非道な連中。 仮に顔見知りであっても、一旦攻撃を止めさせるなり無力化してから話し合おうという流れになるはずだ。 ここで、あの厄介な連中とのケリをつける。 「……ああ、わかったよ」 クロードが、ぎゅっと拳を握る。 本当は、衝動のままに突っ込んで、ブレアを助けたいのだろう。 「……死ぬなよ」 真面目な声でそう言われ、歩き出そうとしていたルシオが振り返る。 クロードの真剣な瞳に、思わずルシオは打算の入らぬ素直な言葉を呟いた。 「……死なないさ」 クロードも、始末しなければならない。 しかし今だけは貴重で大事な同盟相手だ。 少しでも信頼を得るために、こちらも真摯に心からの言葉を続ける。 「俺は、まだ、死ねないんだ」 生き残るために。 大切な人のために。 「敵を倒し、絶対にまた生きてまた会おう」 今度は背中を信頼できる洵にでなく、出会ったばかりのいずれ始末するクロードに託し。 ルシオは再び、戦場へと向かっていった。 【F-01/朝】 【ルシオ】[MP残量:20%] [状態:全身の怪我はほぼ回復。衣服が所々焼け焦げている。精神的疲労・中] [装備:アービトレイター@RS] [道具:コミュニケーター@SO3、その他不明] [行動方針:レナスを……蘇らせる] [思考1:マリア達を殺す。確実に殺すためにも、出来ればマリアとタイマンに持ち込みたい] [思考2:洵と協力し、殺し合いを有利に進める] [思考3:ゲームボーイを探す] [備考1:デイパックの中にはピンボケ写真か、サイキックガン:エネルギー残量〔10〕[100/100]が入っています] 【クロード・C・ケニー】[MP残量:65%] [状態:全身に軽い痛み。怪我はほぼ回復。] [装備:エターナルスフィア、スターガード@SO2、エネミー・サーチ@VP] [道具:首輪探知機@BR、その他不明] [行動方針:仲間を探し集めルシファーを倒す] [思考1:ルシオと共に平瀬村でマーダーを倒し、ブレアを救出する] [思考2:そのあとで北上し、ブレアに誤解を解いてもらう] [思考3:プリシスを探し、誤解を解いてアシュトンは味方だと分かってもらう。他にもアシュトンを誤解している人間がいたら説得する] [思考4:レザードを倒す、その為の仲間も集めたい] [備考1:昂魔の鏡の効果は、説明書の文字が読めないため知りません] [備考2:チェスターの事は『ゲームには乗ってないけど危険な人物』として認識しています] ※状態表に書かれている以外のもので、クロード達の持っていた道具がどの様に整理、分配されているのかは後続の方に一任します。  以下整理、分配されている可能性のある道具  ・ルシオの荷物=マジカルカメラ(マジカルフィルム×?)@SO2、10フォル@SOシリーズ、ファルシオン@VP2、空き瓶@RS、グーングニル3@TOP、拡声器、スタンガン、ボーリング玉@現実世界、首輪、荷物一式×4  ・クロードの荷物=セイクリッドティア@SO2、昂魔の鏡@VP、荷物一式×2(水残り僅か)、アヴクール@RS(刀身に亀裂)、アシュトン、アルベル、レオンのデイパック  ・アシュトンの荷物=無稼働銃、物質透化ユニット@SO3、首輪×4、荷物一式×2  ・アルベルの荷物=木材×2、咎人の剣“神を斬獲せし者”@VP、ゲームボーイ+ス○ースイ○ベーダー@現実世界、????(3)、????(5)、鉄パイプ@SO3、荷物一式×7(一つのバックに纏めてます)  ・レオンの荷物=どーじん、小型ドライバーセット、ボールペン、裏に考察の書かれた地図、????(2)、荷物一式 ※????(1)(レナの支給品の1つ)はジーネの爪@スターオーシャン・ブルースフィアでした。 【現在位置:F-1中島家付近の民家が見える範囲】 【残り15人+α】 ---- [[第144話>5年半ぶりの目覚め]]← [[戻る>本編SS目次]] →第146話 |前へ|キャラ追跡表|次へ| |[[第139話>平瀬村大乱戦 第ニ幕くらい ~なんという冷静で的確な判断力なんだ!!~]]|クロード|―| |[[第139話>平瀬村大乱戦 第ニ幕くらい ~なんという冷静で的確な判断力なんだ!!~]]|ルシオ|―| ----
**第145話 戦地に再度集う者達 「そんな……!」 念には念を入れるように、アシュトンの方に近付く光点がないか、もう一度確かめよう―― そう思って、クロードは再度探知機を操作した。 いくつかの集団が存在するだけになったこともあり、アシュトンは当面無事そうである。 それこそ何かのアイテムなり魔術なりを使わない限り、いきなりこの近辺に現れる者はいないだろう。 「何で……」 故にクロードは、探知機の索敵範囲を可能な限り狭めた。 中島家を中心にし、細かな動きも見えるよう、この戦場に照準を絞ったのだ。 ルシオも探知機に視線を落とし、敵の位置を確認してからクロードと別れる予定だった。 なのに。 「くそっ……」 クロードの眉間に、一層皺が刻まれる。 ルシオも、今ばかりは舌打ちを禁じ得なかった。 それを咎められることもない。 「また……間に合わなかったのか……」 限界まで拡大した探知機は、5つの光点を表示していた。 縮小時は、光点が重なっていて、数までは分からなかった。 しかし、少なくとも洵と通信をしていた時には、あの家には4つの光点があったのだ。 「あいつら……」 4+2は5ではないことは、まあ凡そランドセルを卒業した者なら分かるだろう(全員が、とは言わないでおく。念のため) 光点は、間違いなく減っていた。 アシュトンの無事を確認する際、地図の縮小作業を行っているが、アシュトンを中心に拡大まではしなかった。 なので、家から大きく離れる光点があれば気がついたはずだ。 ましてやルシオはアシュトンの無事になど興味がない。 クロードがアシュトンの無事を確認している間にも、しっかりと自分達の周囲に光点が現れないかどうかを注視していた。 時空を転移出来る者の存在を知ったため、ルシオにその手の緩みはない。 つまり、ブレアが逃げ出したという希望は最初から潰えている。 誰も移動はしていないのだ。 それはつまり、誰かが命を落としたことを意味している。 「殺したのかッ……」 当然クロードもルシオも生きているので、命を落とした者がいるなら、あの家にいる誰かということになる。 先程戦闘した二人は、当然ながら生きているだろう。 致命傷を与えることはできていないし、こちらを追い込むくらい機敏に動いていた。 あの二人が戦闘の後遺症で命を落としたとは考えづらい。 戦闘に出てこなかった非戦闘員が死んだという可能性が頭をよぎるが、それもルシオは即座に否定。 確かに、家の中に怪我人がいた可能性はある。 戦闘できない体だから、物を投げての援護すらせず家に篭っていた―― 確かにそう考えるのは自然だが、仮にそうでも、命に別状はない状態だが安静にしていた程度に思った方がいい。 何せ治癒の力を持ったミランダを仲間に引き入れていたのだ、治癒のパフォーマンスは当然しているだろう。 だとすれば、家の中に怪我人がいたとしても、命を落とすレベルだったとは考えにくい。 更に言うなら、洵は瀕死の人質を使い交渉を行なっていた。 もしも相手に半死人を治癒する術がないのだとしたら、果たして武器を捨ててまで交渉に応じるだろうか? 先程クロードが持っていたような治癒アイテムを、所有しているのではないか? その半死人が洵と共に消えたのなら、そのアイテムなり能力は、家の中にいる半死人に使われるべきではないのか? 様々な要素が、ルシオに死者を教えている。 死んだのは、おそらく――いや、間違いなく。 「ブレア……ッ!」 もしもこれが内輪揉めによる結果ならば、もっと派手に物音がしてもいい。 殺し合いが始まったのなら、例の光が発せられてもおかしくはないのだ。 ……まあ、そもそもに、それぞれ命がけでフォローし合ってた連中が、簡単に殺し合うとは思えないが。 とにかく全ての情報は、ブレアが殺されたということを示していた。 このタイミングで殺されたということは、ある程度情報を引き出され用済みとなったか、口を割らずに殺されたかのどちらかだろう。 「畜生っ……ブレア……」 ルシオにとって、ブレアの持つ情報は貴重だったし、ブレアを死なせたくなどなかった。 上手くいけば、自分か洵が優勝せずとも、レナスを生き返らせることができるかもしれない。 出来ることなら、手元に置いておきたい存在だったのに。 自分が置いてきてしまう形になったせいで、そんなブレアを死なせてしまった。 後悔は、尽きない。 不甲斐なさに腹が立つし、あっさりと命を奪った連中にも怒りを抑えきれない。 「……もうこうなったら突入しようっ」 しかし、だ。 クロードのように、冷静さを欠くほどのショックは受けていない。 いや、むしろショックだったからこそ、冷静でいられたと言うのか。 とにかく、ブレアを失った以上、より一層ルシオは命を落とすわけにはいかなくなった。 これで本格的に自分か洵が生き残らねばならないことになったのだ。 無謀な突撃を許容するわけにはいかない。 「いや、ダメだ」 立ち上がり今にも敵の立て篭もる家へと突っ込みかねないクロードの腕を取る。 共に突撃してくれるとでも思っていたのか、クロードが目を丸くした。 「でも、消えた光が誰だか決まったわけじゃない!」 ルシオだって、そう思いたい。 消えた光点はブレア以外のものであればどれだけいいか。 しかし楽天思考はもう許されない。 ここからは慎重に行く必要がある。 残りの人数は16――いや、もう15か――人だ。 自分と洵を除いて残り13人、それも全員が誰かしらと組んだ状況で自分と洵ははぐれている。 せめて合流するまでは、慎重過ぎるくらいでないと不味いだろう。 もう、ブレアは諦める。 仮に生きていたとしても、確保できればラッキーくらいに思った方がいいだろう。 期待をしてはいけない。 過剰な期待は、思考と動きを鈍らせる。 「もしかしたら、抵抗して敵を一人撃破したのかもしれないじゃないかっ」 「だとしたら、もっと派手な音がしていてもおかしくないし、少なくとも光点が移動なり追加で消えるなりしなくちゃおかしいだろ」 無理矢理割り切るためにも、言葉に出してクロードを説得する。 幾分距離があるとはいえ、やや興奮したような口調で言葉を発するのは避けたい。 だがしかし、今後慎重に動くためにも、気持ちの整理は必要だ。 今は言葉を発してでもクロードと、そして自分の心を説得する方が優先事項と言える。 「上手く凌いでいて、助けを待っているのかもしれない!」 「だったら尚更無思慮に突っ込んだら不味いだろ」 ルシオの言葉に、クロードの言葉が詰まる。 狙って選んだ言葉ではないが、その発言はクロードの心に的確に刺さった。 無思慮に突っ込むのは不味い。 それは、クロードがこの島に来て何度も体験したことだ。 その都度反省はしているのに、上手く活かされず、結局いつも望む結末を得られてない。 「最初の作戦通り行く。それが万が一ブレアが生きている場合、ブレアを助ける最善手だ」 言いながら、心の何処かでまだブレアの生存を信じたい自分を痛感した。 割り切ると決めたのに。 この甘さが、洵に言わせれば『死に繋がる不安要素』なのかもしれない。 「ただ……決行予定は切り上げる」 言うと、ルシオは立ち上がった。 そして深呼吸して、先程まで光点の先へ目を向ける。 「今からだ。俺が奴を誘き出す間に、出来る限り回りこんでくれ」 別にこれは、ブレアの件で焦っているわけではない。 ブレアが生きている可能性に縋っているわけではない。 ただ、クロードをコントロールし易いという利点のための行動だ。 今ならば。 ブレアを失い、残る3つの光点に怒りを向ける今ならば、もしかしたら勝手に剣を交えてくれるかもしれない。 可能性は大いにある。 何せ本人の口から、無思慮な攻撃で誤解をばらまいた経緯を聞いているのだから。 上手く使えば、更に引っ掻き回すことが出来るかもしれない。 「後は、君の裁量に任せる」 とにかく自分は、恐らく迎撃にくる“メルティーナ”との一騎打ちに集中しよう。 今のクロードならば、“詩帆”の妨害をしっかりすると信用しても良さそうだ。 何せ相手はブレアを殺した非道な連中。 仮に顔見知りであっても、一旦攻撃を止めさせるなり無力化してから話し合おうという流れになるはずだ。 ここで、あの厄介な連中とのケリをつける。 「……ああ、わかったよ」 クロードが、ぎゅっと拳を握る。 本当は、衝動のままに突っ込んで、ブレアを助けたいのだろう。 「……死ぬなよ」 真面目な声でそう言われ、歩き出そうとしていたルシオが振り返る。 クロードの真剣な瞳に、思わずルシオは打算の入らぬ素直な言葉を呟いた。 「……死なないさ」 クロードも、始末しなければならない。 しかし今だけは貴重で大事な同盟相手だ。 少しでも信頼を得るために、こちらも真摯に心からの言葉を続ける。 「俺は、まだ、死ねないんだ」 生き残るために。 大切な人のために。 「敵を倒し、絶対にまた生きてまた会おう」 今度は背中を信頼できる洵にでなく、出会ったばかりのいずれ始末するクロードに託し。 ルシオは再び、戦場へと向かっていった。 【F-01/朝】 【ルシオ】[MP残量:20%] [状態:全身の怪我はほぼ回復。衣服が所々焼け焦げている。精神的疲労・中] [装備:アービトレイター@RS] [道具:コミュニケーター@SO3、その他不明] [行動方針:レナスを……蘇らせる] [思考1:マリア達を殺す。確実に殺すためにも、出来ればマリアとタイマンに持ち込みたい] [思考2:洵と協力し、殺し合いを有利に進める] [思考3:ゲームボーイを探す] [備考1:デイパックの中にはピンボケ写真か、サイキックガン:エネルギー残量〔10〕[100/100]が入っています] 【クロード・C・ケニー】[MP残量:65%] [状態:全身に軽い痛み。怪我はほぼ回復。] [装備:エターナルスフィア、スターガード@SO2、エネミー・サーチ@VP] [道具:首輪探知機@BR、その他不明] [行動方針:仲間を探し集めルシファーを倒す] [思考1:ルシオと共に平瀬村でマーダーを倒し、ブレアを救出する] [思考2:そのあとで北上し、ブレアに誤解を解いてもらう] [思考3:プリシスを探し、誤解を解いてアシュトンは味方だと分かってもらう。他にもアシュトンを誤解している人間がいたら説得する] [思考4:レザードを倒す、その為の仲間も集めたい] [備考1:昂魔の鏡の効果は、説明書の文字が読めないため知りません] [備考2:チェスターの事は『ゲームには乗ってないけど危険な人物』として認識しています] ※状態表に書かれている以外のもので、クロード達の持っていた道具がどの様に整理、分配されているのかは後続の方に一任します。  以下整理、分配されている可能性のある道具  ・ルシオの荷物=マジカルカメラ(マジカルフィルム×?)@SO2、10フォル@SOシリーズ、ファルシオン@VP2、空き瓶@RS、グーングニル3@TOP、拡声器、スタンガン、ボーリング玉@現実世界、首輪、荷物一式×4  ・クロードの荷物=セイクリッドティア@SO2、昂魔の鏡@VP、荷物一式×2(水残り僅か)、アヴクール@RS(刀身に亀裂)、アシュトン、アルベル、レオンのデイパック  ・アシュトンの荷物=無稼働銃、物質透化ユニット@SO3、首輪×4、荷物一式×2  ・アルベルの荷物=木材×2、咎人の剣“神を斬獲せし者”@VP、ゲームボーイ+ス○ースイ○ベーダー@現実世界、????(3)、????(5)、鉄パイプ@SO3、荷物一式×7(一つのバックに纏めてます)  ・レオンの荷物=どーじん、小型ドライバーセット、ボールペン、裏に考察の書かれた地図、????(2)、荷物一式 ※????(1)(レナの支給品の1つ)はジーネの爪@スターオーシャン・ブルースフィアでした。 【現在位置:F-1中島家付近の民家が見える範囲】 【残り15人+α】 ---- [[第144話>5年半ぶりの目覚め]]← [[戻る>本編SS目次]] →[[第146話>ついに、水いらず]] |前へ|キャラ追跡表|次へ| |[[第139話>平瀬村大乱戦 第ニ幕くらい ~なんという冷静で的確な判断力なんだ!!~]]|クロード|[[第146話>ついに、水いらず]]| |[[第139話>平瀬村大乱戦 第ニ幕くらい ~なんという冷静で的確な判断力なんだ!!~]]|ルシオ|[[第146話>ついに、水いらず]]| ----

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