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**第20話 止まらない受難 しょうもない物を支給された怒りが冷めやらぬまま、アルベルは一路氷川村を目指して歩いていた。 村に行けば何か武器が調達できるかもしれないと考えたからである。 「ん?あれは…」 道を歩いていると、誰かが倒れているのが見える。近づいてみるとそれは女性だった。 「死んでやがるな…」 その女性―ミントは既に死んでいた。背中に大きな傷があるのを見ると、これが致命傷のようだ。 「背中に傷か…大方、背後から不意打ちでやられたってとこだろう」 ふざけやがって…とアルベルは下唇を噛む。 ――決して、この女性が誰かに殺されたことに対して怒っているのではない。アルベルの怒りの理由は別の所にある。 「背後から一撃とは意気地のない野郎だ。殺すなら堂々と戦って殺せってんだ、阿呆が」 一応使える物が残ってないか死体の周りを調べてみるが、どうやらこの女性の支給品も持ち去られてしまったようだ。 ミントを見てみる。見るからに非力そうな女性だ。こんな奴を不意打ちなんて、殺した奴はどれだけチキンなんだ。 用が済んだアルベルはそそくさとその場を去ろうとしたのだが。 「…」 やはり全く知らない女とはいえ、このまま野晒しにしておくのは不憫に思えた。 「…チッ。仕方ねえな…」 俺は戦場で死んだ奴に情けをかけるような奴だったか?ったく、俺も落ちたもんだぜ。 ぶつぶつ文句を言いながらもアルベルはその辺から草やら葉を集め始める。 ミント一人覆い隠せなくらいの草葉を集めると、続いてミントを道の脇の方に運ぶ。 さて、あとは集めた草葉を上から被せてやれば終わりだったのだが。 ドサッ!! バッグを落としたような音がして、アルベルは音のした方を振り向く。 見ると、そこには涙目になって震える少女が。 「…」 「…」 しばし無言で見つめ合う二人。 最初アルベルは何でそんな怯えた顔でこちらを見ているのか分からなかった。 が。 いかにも凶悪そうで目つきの悪いその顔。 そしてその足下には血を流した女性の死体。 誤解されるには充分すぎる状況である。 「~~~~!!!」 声にならない悲鳴をあげ、その少女は脱兎の如くそこから逃げ出した。 「お、おい待て…ぶぶッ!!」 慌てて追おうとしたところでバッグを顔面に投げつけられる。 「くそ、何しやが…」 見ると、少女はもう既にかなり遠くに走り去ってしまっていた。 「クソ餓鬼が…」 何故いきなり怯えられてバッグまで投げつけられなきゃならんのだ。 まあいい。あんな餓鬼でも、俺に支給品をよこしてくれた。腹は立つがこれでチャラにしてやろう。 意気揚々と少女の投げつけてきたバッグを漁ってみる。 そしてその中身は。 「メイド服(4Pカラー仕様)」 「着ろって言うのか…」 泣きたくなった。 気を取り直したアルベルは氷川村までやって来た。 しかし。 「…んだこの村は?」 その村は、自分の見慣れたような街並みでは無かった。 規模こそ小さいが、どちらかといえばフェイト達の住むような文明惑星のような街並みである。 「ちっ、この様子じゃ武器を探すのは骨が折れそうだな…」 とりあえずその辺の建物の内部を調べようかと、アルベルがドアに手をかけた瞬間。 「!?」 背後に気配を感じ、すかさずその場から飛び退く。 そしてアルベルのいた場所に誰かが上から落ちてきた…いや、着地した。 「…あんたか」 その声、その姿にアルベルは見覚えがあった。 「…てめえか」 現れたのはかつて敵として戦い、仲間として戦った女ネル・ゼルファーだった。 「やれやれ、ここに来て最初に会ったのがあんただなんてついてないね」 「こっちの台詞だ、阿呆が」 「あんた、まさかとは思うけど殺し合いに乗ってるなんて事はないだろうね?」 ネルは見た事のない大きな武器をアルベルに突きつけてきた。 「フン、あんなクソ虫の言う事なんぞ聞いてたまるか。俺はあの野郎をぶちのめす為に行動する」 「そうかい」 そう言うとネルは武器を下ろす。 「素直じゃねえか」 「こんな所であんたと争ってる場合じゃないからね。ところであんた、ルシファーをぶちのめすのはいいけど 具体的な方法は考えてるのかい?」 「そんなもんはこれから考えりゃいい」 「…やれやれ、短絡思考だね」 ネルはやれやれといった感じで「オーノー」のポーズを取る。その態度にアルベルはムッとした。 「そう言うてめえに策はあるのか?」 「さあね。…ただ私には思い浮かばないけど、フェイト達のような文明人なら何か思いつくかもしれない。それに…」 名簿を取りだし、ページをめくりながらネルは続ける。 「ここにはブレアもいる。妹を参加させるなんてあいつの気が知れないけど、彼女なら何か突破口を開いてくれるかもしれない」 そこまでネルが話した時だった。 「その人から離れて!」 どこからか声がする。二人は何事かと辺りを見回した。 やがてその声を発した人物を発見して、アルベルはげっと声を漏らす。 叫んだのは、先程自分から逃げた少女だった。 「そこの男の人、さっき女の人を殺したの!あたし見たんだから!」 …最悪の展開だ。 「ほほう…詳しく聞こうじゃないか、その話」 引きつった笑みを浮かべながら、ネルは再び武器をアルベルに向けた。 そして、その三人の様子を物陰からこっそり見つめる人物がいた。 ミントを殺した張本人、オペラである。 【I-7/午前】 【アルベル・ノックス】[MP残量:100%] [状態:焦り] [装備:無し] [道具:メイド服(4Pカラー仕様)@SO3DC、荷物一式×2] [行動方針:ルシファーを倒す、基本的に単独行動するつもり] [思考1:潔白の証明] [思考2:武器の調達] 【ネル・ゼルファー】[MP残量:100%] [状態:冷静] [装備:セブンスレイ@SO2] [道具:????、????(本人確認済)、荷物一式] [行動方針:仲間を探す(フェイトら文明人、ブレアを優先)] [思考1:アルベルに対処] [思考2:少女(夢瑠)の保護] 【夢瑠】[MP残量:100%] [状態:疲労] [装備:無し] [道具:無し] [行動方針:?] [思考1:ネルに警告] 【オペラ・ベクトラ】[MP残量:100%] [状態:正常] [装備:咎人の剣“神を斬獲せし者”@VP] [道具:???・???←本人確認済み・荷物一式×2] [行動方針:参加者を殺し、エルネストを生き残らせる] [思考1:エルネスト以外の参加者を全て殺しそのあとに自殺する] [思考2:三人(アルベル、ネル、夢瑠)に対して攻撃するか思案中] [現在位置:氷川村内] 【残り57人】 ---- [[第19話>どっちが化け物?]]← [[戻る>本編SS目次]] →[[第21話>HURRY!]] |前へ|キャラ追跡表|次へ| |[[第3話>受難]]|アルベル|[[第40話>続・止まらない受難]]| |―|ネル|[[第40話>続・止まらない受難]]| |―|夢瑠|[[第40話>続・止まらない受難]]| |[[第2話>咎人の剣]]|オペラ|[[第40話>続・止まらない受難]]| |[[第2話>咎人の剣]]|COLOR(red):ミント|[[第60話>蘇る決意 ]]|
**第20話 止まらない受難 しょうもない物を支給された怒りが冷めやらぬまま、アルベルは一路氷川村を目指して歩いていた。 村に行けば何か武器が調達できるかもしれないと考えたからである。 「ん?あれは…」 道を歩いていると、誰かが倒れているのが見える。近づいてみるとそれは女性だった。 「死んでやがるな…」 その女性―ミントは既に死んでいた。背中に大きな傷があるのを見ると、これが致命傷のようだ。 「背中に傷か…大方、背後から不意打ちでやられたってとこだろう」 ふざけやがって…とアルベルは下唇を噛む。 ――決して、この女性が誰かに殺されたことに対して怒っているのではない。アルベルの怒りの理由は別の所にある。 「背後から一撃とは意気地のない野郎だ。殺すなら堂々と戦って殺せってんだ、阿呆が」 一応使える物が残ってないか死体の周りを調べてみるが、どうやらこの女性の支給品も持ち去られてしまったようだ。 ミントを見てみる。見るからに非力そうな女性だ。こんな奴を不意打ちなんて、殺した奴はどれだけチキンなんだ。 用が済んだアルベルはそそくさとその場を去ろうとしたのだが。 「…」 やはり全く知らない女とはいえ、このまま野晒しにしておくのは不憫に思えた。 「…チッ。仕方ねえな…」 俺は戦場で死んだ奴に情けをかけるような奴だったか?ったく、俺も落ちたもんだぜ。 ぶつぶつ文句を言いながらもアルベルはその辺から草やら葉を集め始める。 ミント一人覆い隠せなくらいの草葉を集めると、続いてミントを道の脇の方に運ぶ。 さて、あとは集めた草葉を上から被せてやれば終わりだったのだが。 ドサッ!! バッグを落としたような音がして、アルベルは音のした方を振り向く。 見ると、そこには涙目になって震える少女が。 「…」 「…」 しばし無言で見つめ合う二人。 最初アルベルは何でそんな怯えた顔でこちらを見ているのか分からなかった。 が。 いかにも凶悪そうで目つきの悪いその顔。 そしてその足下には血を流した女性の死体。 誤解されるには充分すぎる状況である。 「~~~~!!!」 声にならない悲鳴をあげ、その少女は脱兎の如くそこから逃げ出した。 「お、おい待て…ぶぶッ!!」 慌てて追おうとしたところでバッグを顔面に投げつけられる。 「くそ、何しやが…」 見ると、少女はもう既にかなり遠くに走り去ってしまっていた。 「クソ餓鬼が…」 何故いきなり怯えられてバッグまで投げつけられなきゃならんのだ。 まあいい。あんな餓鬼でも、俺に支給品をよこしてくれた。腹は立つがこれでチャラにしてやろう。 意気揚々と少女の投げつけてきたバッグを漁ってみる。 そしてその中身は。 「メイド服(4Pカラー仕様)」 「着ろって言うのか…」 泣きたくなった。 気を取り直したアルベルは氷川村までやって来た。 しかし。 「…んだこの村は?」 その村は、自分の見慣れたような街並みでは無かった。 規模こそ小さいが、どちらかといえばフェイト達の住むような文明惑星のような街並みである。 「ちっ、この様子じゃ武器を探すのは骨が折れそうだな…」 とりあえずその辺の建物の内部を調べようかと、アルベルがドアに手をかけた瞬間。 「!?」 背後に気配を感じ、すかさずその場から飛び退く。 そしてアルベルのいた場所に誰かが上から落ちてきた…いや、着地した。 「…あんたか」 その声、その姿にアルベルは見覚えがあった。 「…てめえか」 現れたのはかつて敵として戦い、仲間として戦った女ネル・ゼルファーだった。 「やれやれ、ここに来て最初に会ったのがあんただなんてついてないね」 「こっちの台詞だ、阿呆が」 「あんた、まさかとは思うけど殺し合いに乗ってるなんて事はないだろうね?」 ネルは見た事のない大きな武器をアルベルに突きつけてきた。 「フン、あんなクソ虫の言う事なんぞ聞いてたまるか。俺はあの野郎をぶちのめす為に行動する」 「そうかい」 そう言うとネルは武器を下ろす。 「素直じゃねえか」 「こんな所であんたと争ってる場合じゃないからね。ところであんた、ルシファーをぶちのめすのはいいけど 具体的な方法は考えてるのかい?」 「そんなもんはこれから考えりゃいい」 「…やれやれ、短絡思考だね」 ネルはやれやれといった感じで「オーノー」のポーズを取る。その態度にアルベルはムッとした。 「そう言うてめえに策はあるのか?」 「さあね。…ただ私には思い浮かばないけど、フェイト達のような文明人なら何か思いつくかもしれない。それに…」 名簿を取りだし、ページをめくりながらネルは続ける。 「ここにはブレアもいる。妹を参加させるなんてあいつの気が知れないけど、彼女なら何か突破口を開いてくれるかもしれない」 そこまでネルが話した時だった。 「その人から離れて!」 どこからか声がする。二人は何事かと辺りを見回した。 やがてその声を発した人物を発見して、アルベルはげっと声を漏らす。 叫んだのは、先程自分から逃げた少女だった。 「そこの男の人、さっき女の人を殺したの!あたし見たんだから!」 …最悪の展開だ。 「ほほう…詳しく聞こうじゃないか、その話」 引きつった笑みを浮かべながら、ネルは再び武器をアルベルに向けた。 そして、その三人の様子を物陰からこっそり見つめる人物がいた。 ミントを殺した張本人、オペラである。 【I-7/午前】 【アルベル・ノックス】[MP残量:100%] [状態:焦り] [装備:無し] [道具:メイド服(4Pカラー仕様)@SO3DC、荷物一式×2] [行動方針:ルシファーを倒す、基本的に単独行動するつもり] [思考1:潔白の証明] [思考2:武器の調達] 【ネル・ゼルファー】[MP残量:100%] [状態:冷静] [装備:セブンスレイ@SO2] [道具:????、????(本人確認済)、荷物一式] [行動方針:仲間を探す(フェイトら文明人、ブレアを優先)] [思考1:アルベルに対処] [思考2:少女(夢瑠)の保護] 【夢瑠】[MP残量:100%] [状態:疲労] [装備:無し] [道具:無し] [行動方針:?] [思考1:ネルに警告] 【オペラ・ベクトラ】[MP残量:100%] [状態:正常] [装備:咎人の剣“神を斬獲せし者”@VP] [道具:???・???←本人確認済み・荷物一式×2] [行動方針:参加者を殺し、エルネストを生き残らせる] [思考1:エルネスト以外の参加者を全て殺しそのあとに自殺する] [思考2:三人(アルベル、ネル、夢瑠)に対して攻撃するか思案中] [現在位置:氷川村内] 【残り57人】 ---- [[第19話>どっちが化け物?]]← [[戻る>本編SS目次]] →[[第21話>HURRY!]] |前へ|キャラ追跡表|次へ| |[[第3話>受難]]|アルベル|[[第40話>続・止まらない受難]]| |―|ネル|[[第40話>続・止まらない受難]]| |―|夢瑠|[[第40話>続・止まらない受難]]| |[[第2話>咎人の剣]]|オペラ|[[第40話>続・止まらない受難]]| |[[第2話>咎人の剣]]|COLOR(red):ミント|[[第60話>蘇る決意 ]]|

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