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第34話 見えない不幸


「誰にも会わないね」
「ギャフ」
話し声はするけど姿無し、そんなアシュトン・アンカースは割とのんびり歩いていた。
いきなり殺し合えなんて言われたときは焦ったが、開始から数時間たった現時点で誰にも会っていない。
プリシスへのプレゼントを見つけた嬉しさも相まって、最初の焦りなんてどこかへ行ってしまっていた。
「それにしても良い天気だなぁ、空気も良いし、ここで食べるご飯はいつもよりおいしく感じるだろな」
「ギャフフ~ン♪」
「駄目駄目、お昼にはまだ早いよ」
もう完全にピクニック気分である。
そんな間の抜けた会話をしながら歩いていると、男の怒鳴り声が聞こえてきた。
「なんだ? 取り敢えず行ってみよう」
「ギャ!」
怒鳴り声が聞こえてきた方へ駆け出す。
そこで見たのは、探していた少女と、
その少女に睨み付けながら近づく鉄パイプを持った半裸の男。

時間は少し遡る。

「……なあ、本当にこの方向で合ってるのか?」
「えー、あたしが信用できないの?」
「いや、そう言う訳じゃないんだが、やけに付くのが遅くないか?」
「う~ん、こんなもんでしょ」
プリシスとアリューゼ、少女と猛者コンビは道無き道を歩く、歩く、歩く。

「まずは近くの村で情報収集をしないか?」
と言うアリューゼの提案により、彼らは氷川村を目指していた。
そこまでは良いのだが、地図を取り出そうとしたアリューゼに対し、プリシスは
「近くの村ならさっきあたしが確認して置いたよ」
と言い、走り出してしまったからさあ大変!
アリューゼは地図も見ずにプリシスを追っかける羽目になったのだ。

そして、
「あ! やっと道が見えたよ! ここが氷川村……ってアレ?」
「……なあ、お前の話じゃ“直ぐそこの道の向こうに村がある”んじゃ無かったか」
「さあ、何でだろうね?」
道の向こう側には村どころか家の一軒すら見あたらない。
アリューゼは、溜息をつきつつデイパックから地図とコンパスを取り出して暫しの間それを眺める。
そして、出した結論は。
「ここはH-5だな。全然方角が違うぞ」
「ええー! なんでもっと早く言ってくれないの! とんだ無駄足じゃない。アリューゼの所為だからね」
「俺の所為かよ!!」
思わず叫ぶ。
そしてジト目で非難するが、すでにプリシスは氷川村の方へ歩き出そうとしていた。
「やれやれ、とんでもない嬢ちゃんだな」
アリューゼは、片を竦ませながらプリシスの後を付いて行こうとする。
その時、僅かな――百戦錬磨の雇兵である彼ですら見落としそうになるほど僅かな人の気配を感じ振り返る。
振り返ったアリューゼの目に飛び込んできたのは迫り来る紅蓮の炎。
彼はそれを手にしている鉄パイプで薙払った。

“今まさにプリシスを襲おうとしている危険な男”
アリューゼのことをそう認識したアシュトンの行動は早かった。
飛び出すと同時にギョロの息を浴びせかける。
防がれたが、そんなことは初めから予想済み。
この炎によってほんの僅かでも隙が作れる。
後はアリューゼに飛びかかり、プリシスを逃がす時間を作る。
アシュトンは自身がどうなっても構わないという決死の覚悟で飛びかかったのだが……。
「ぐぅっ」
アリューゼの腹部に鈍い痛みが生じる。
アシュトンの放ったボディーブローは避けられるどころかガードすらされずにアリューゼの腹部に突き刺さった。
流石にアシュトンもこの展開は予想外だったのか“まるで相手が自分を認識出来ていない”かの様に感じた。
だが、これはチャンスだ。
「プ――」
プリシスに逃げる様叫ぼうとしたアシュトンが見たのは、目の前まで迫ってきているプリシス。
直後アシュトンは頬に強烈な一撃を貰った。

「あ、当たっちゃった……それより、アリューゼ大丈夫?」
「くっ……問題無い。お前は離れてろ!」
「一方的にやられてた人が何言ってんの。あんなのあたしがボコボコにしてやるよ」
プリシスに殴り飛ばされたアシュトンは、倒れたままこの会話を聞いていた。
プリシスとアリューゼの二人が知り合いだったことも驚いたが、それよりも驚いたのが……。
(あんなの……ボコボコにしてやる……?)
自分がプリシスの仲間を間違って襲いかかったのだから、殴られるのは仕方がないことだと思う。
だが、この言葉は。
現に彼らは油断無く構え、アシュトンの攻撃に備えている様に見える。
(プリシスに取って僕はその程度の存在だったの……)
アシュトンは立ち上がる。
立ち上がる時にジャリッという音を立てた為かプリシスとアリューゼは警戒を強めていた。
その様子を見てアシュトンは、
「どうして」
と、一言残し走り去った。

「どうして」
その言葉を聞いてから数秒後、相手の気配も襲ってくる様子も無いことを確認すると、
アリューゼはやっと警戒を解いた。
今まで多くの敵兵や魔物と戦ってきたアリューゼも、姿が見えない相手と戦ったのは初めての経験だった。
そのため、いつも以上に神経を研ぎ澄ました結果か、碌に動いていないのに疲労がたまっていた。
ふと、プリシスの方を見る。
なにやら考え事をしているようだった。
「アシュトン?」
プリシスが人名らしきものを口にした。
「なんだ、あの透明人間お前の知り合いだったとか?」
「えっ! ううん、ただ声が似てただけ」
「声が似てた? おい、ここには60人しか居ないんだぞ、本人だったんじゃないか」
「まさか、あたしの知り合いにに透明人間なんて居ないよ。
 それに60人も居れば、似た声の人なんて4人は居るって!」
「それはまた、やけに多いな……」


【H-5/午前】
【プリシス・F・ノイマン】[MP残量:100%]
[状態:正常]
[装備:マグナムパンチ@SO2]
[道具:ドレメラ工具セット@SO3・????←本人&アリューゼ確認済 荷物一式]
[行動方針:情報収集]
[思考1:アリューゼと行動を共にする]
[思考2:氷川村を目指す]
[現在位置:H-5 路上]

【アリューゼ】[MP残量:100%]
[状態:腹部鈍痛、疲労]
[装備:鉄パイプ@SO3]
[道具:????←本人&プリシス確認済 荷物一式]
[行動方針:情報収集]
[思考1:プリシスを守る]
[思考2:必要とあらば殺人は厭わない]
[思考3:可能ならばジェラードの安否の確認]
[思考4:氷川村を目指す]
[現在位置:H-5 路上]


場面は変わってG-5。
「くそっ!! あの青色ロン毛が!」
ノートンは叫ぶ。
ディアスが追ってこないことを確認した後、彼は傷の手当てを行った。
手当が終わり一息ついた段階で、今更ながらディアスに対して怒りが湧いてきたのだ。
「次に会ったときはギッタギタにし……ってアラ!?」
怒りの言葉を言いつつ立ち上がろうとして、ノートンは尻餅を付いた。
頭がくらくらする……どうやら貧血のようだ。
「ちっ! しばらくここで休憩か」
そう言うと彼は横になった。

ノートンが横になって数分。
彼が喋らなくなったことで、辺りを静寂が支配する。
まるでそこにはノートン以外の生物が居ないように。
だが、そんな静寂も長くは続かない。
「ギャー!」
「ギャフー!」
動物の鳴き声らしきものが二度聞こえてきた。
これを聞いたノートンは起き上がり、辺りを見渡すが、何も発見できない。
(なんだ、脅かすんじゃねぇよ)
ホッとしたノートンは再び横になろうとするが。
「うるさい! 黙ってろよ!」
今度は男の叫び声。
それもかなり近くだ。
ノートンは慌てて声がした方を向くが、そこには誰も居ない。
ただ、だんだんと足音が聞こえてきた。
ゆっくりと足音は近づいてくる。
何故か足音が近づくたびに空気が重くなっていく。
ノートンは背筋に冷たい物を感じていた。


【G-5/午前】
【ノートン】[MP残量:100%]
[状態:右腕と胸部に深い裂傷(共に応急処置済み)、貧血気味、恐怖]
[装備:無稼動銃@SO3]
[道具:マジックミスト・????←本人確認済 荷物一式]
[行動方針:オレ様のオレ様によるオレ様だけの為の王国の樹立]
[思考1:参加者の屈服]
[思考2:上記が不可能な場合には殺害]
[現在位置:G-5 南部]

【アシュトン・アンカース】[MP残量:ほぼ100%]
[状態:右頬腫、混乱]
[装備:ディメンジョン・スリップ@VP]
[道具:荷物一式]
[行動方針:不明]
[思考:混乱中]
[現在位置:G-5 南部]

【残り55名】



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