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第46話 二つの後悔 一つの決意


この僕レオン・D・S・ゲーステは普通の人より大分頭がいい。周囲からは天才として通っていた。
円周率は238万桁まで暗記しているし、一度見たこと聴いたことは絶対に忘れない。
その知力おかげで留学先の地球でも高い成績を修めていた。
でも、今この能力が仇になるなんて思ってもみなかった。

※※
僕は森を抜け、道なりを歩く。
僕はとても怒っていた。支給品のアイテムがあまりにも期待はずれであったからだ。
ローブとクロード兄ちゃんの剣はどうみても当たりだ。だが、残り一つのアイテム。どーじん。
多感な時期の僕には、これは刺激が強すぎた。
僕は初めて自分の頭の良さを恨めしく思った。早急に本の内容を忘れたいのに、
あまりに衝撃的であったのか、脳裏に焼きついてしまったのだ。
忘れようと忘れようとするのだが獣のように追いかけてくるのだ。
「まさか男同士が…」
内容はロニキス、ドーン、ラティと言うキャラ(全員男)たちがラティを廻って奪い合うストーリー。
そして、最終的には全員が和解して……。
「あんな事やこんな事をしているだなんて…」
本の内容を思い出す度に、僕は主催者ルシファーに言い知れぬ怒りがぐつぐつと沸いてきた。
「僕は決して許さないぞ! ルシファー!」
と、叫んでみても頭の仲の映像は払拭されるわけでもなく、虚しく周囲に響いただけである。

とにかく僕にはやらねばならないことがある。それは首輪の解除。
首輪を外さないことにはルシファーを打倒することも不可能である。
薄暗い場所でルシファーが言った首輪が爆発する"条件"を思い出す。
あの男を思い出すのは苛々するが、やむを得ずあいつの言ったことを一言一句思い出す。

確か……
『その首輪が爆発する条件は三つ。
第一に、先程も言った通り無理に外そうとした場合
第二に、私に逆らおうとしたり、会場内から勝手に逃げ出そうとした場合
そして第三に、六時間に一回の放送で死者の名と共に読み上げられる禁止エリアに入った場合だ』
…だったはず。
この言葉から何か首輪を外す手段を探さないと。

爆発条件第一の無理に外そうとした場合。"無理に外す"というところがポイントだ。
無理に外すということは首輪に衝撃を与えるということであり、そうすればバーンと頭が吹き飛ぶということになる。
つまり、当たり前だが衝撃を与えて壊すということはタブーである。
そこで、衝撃を与えず、ある方法で無理に外すことが出来る。それは工具でこの首輪を解体する方法である。
この方法で首輪が爆発するかどうかは解らないけど、試さないことには事は進まない。
そのためにも、工具が必要だし、機械の知識に長けた人にすぐにでも会いたい。
―――あと、紋章術に長けた人も。

この首輪は手の感触から主に機械で構成されていると思う。
あと、自分の予想だが、何らかの魔力でも構成されているはずだ。
機械で僕たちの能力を制限できるとは思えない。だから、機械と紋章術を複合させているはずだ。
ルシファーは僕たちに制限をかけてあると言っていた。
僕たちを制限するには、能力を封じる舞台を用意するか、
もしくは僕を含め参加者全員についている首輪かの二つである。
前者はこの沖木島がその舞台である。けれども、僕は最初から前者は無いと考えていた。

その理由はルシファーがある致命的な発言をしていたからだ。
あの薄暗い場所で、なぜか死んだはずであるルシフェルの滅びの風を霧のように散らした時、
奴はこう言った。
『言い忘れていたが・・・お前たちの力は、ある程度の制限がなされている』
この発言からあの時からすでに制限がなされていたと考えられる。
わざわざ薄暗い場所と沖木島の二つを制限の場にするとは考えにくい。
それに、能力を封じる場を設けるとなるとかなりの魔力が必要となる。
あの二つが同一の場とも考えることができるが、こことあそこはどう見ても違う。
この島はエクスペルとよく似た感じだけれど、何かあそこは宇宙空間のような感じがした。
だから二つが同一の場というのは却下。

このことから首輪が僕たちの能力を制限していると思う。
首輪さえ外せば、島からの脱出の活路を見出すことが出来る。
だからこそ、僕の仲間である機械知識に長けたプリシスと紋章術に長けたセリーヌに出会いたい。
爆発第二の条件は言葉どおりだろう。
あまり関係ないが最初にルシファーの演説を止めた女の子はエクスペルには無い科学機器である銃で殺された。
関係あるとすればルシフェルの方だ。あいつはルシファーに”逆らった”がゆえに首輪を任意に爆発させられた。
会場内を”逃げ出そう”とすることは第三条件に絡ますことが出来る。
第三条件は”禁止エリア”に入れば、爆発するという。
つまり、この会場は初めから”禁止エリア”で囲まれていると考えられる。
だから、この島を船や泳いで逃げ出せば……ゲームオーバーだ。


おおかた、首輪の爆発条件や今後の目的が定まってきた。
僕は当初の予定通り仲間を探すために氷川村に向かって歩いていた。
でも、僕はなぜかずっと違和感を感じていた。
何かこう釈然としない感じ。ミステリー小説で簡単に犯人が見つかるような漠然さ。
何かがおかしい…? 
もう一度爆発条件を確認する。第一、第二、第三を繰り返し繰り返し。すると僕はあることに気付く。
「……!?」

そうかそういうことか……クソッ!
僕はとても後悔した。早く気付くべきだった。
第二条件が"逆らう"ことと会場から"逃げ出す"ことが一緒になっていることに疑問を持つべきだった。
僕とあろう者が第二条件の"逃げ出す"ことと第三条件の"危険エリア"を絡ますことは明らかに失敗だ。


第二条件の"逆らう"と"逃げ出す"は同じ方法で爆発されると考えるべきだったんだ。
他の条件にも言えるが、第一、第二、第三条件は爆発という結果は同じだがある点では違っていた。
それは―――過程である。
第一条件は首輪に触ることによる過程の爆発。
第三条件は危険エリアによる過程の爆発。
そして第二条件は……
ルシフェルがルシファーに反抗し、首輪を爆発させられた。
つまり、第二条件はルシファーの任意による過程の爆発。
だとすると、なぜ奴は僕たちが逆らおうと逃げ出そうとすることが知ることが出来るのか?
ルシフェルはルシファーの目の前で明らかに反抗の意志を示した。だから殺された。
僕たちは奴から離れ、今殺し合いを強要されている。この奴の目が届かない場所で。
けれども、奴は解っているのだ。僕たちの動向を……盗聴器か…カメラで…。

ここはカメラとは考えにくい。
もし、戦闘でも起きて、それらが破壊されれば、行動を把握できなくなる。
その上、参加者に発見されてしまう可能性がある。
このことから、盗聴器が最も適している。では、その盗聴器はどこにあるかというと。
僕たちはこの殺し合いを強要させられて、自分の愛用の武器を取り上げられている中で、
あるモノだけは参加者全員持っている。それは首輪だけだ。
僕は確信する。
首輪が盗聴器なっていると。

だが、気付くのがあまりにも遅かった。僕は取り返しの付かないことをしていた。
僕は明らかにルシファーに反抗の意志を示している。

『さて、首輪の解除が必要だね』
ただひょんなことから発した言葉。
『僕は決して許さないぞ! ルシファー!』
支給品のどーじんがあまりにもむかついたから発した言葉。

その二つの台詞が虚空になった頭の中で何度も反芻する。
なんてことを発してしまったんだ。ルシファーは絶対に僕を警戒するだろう。
そして、まだ解らないがこの殺し合いの核心に触れる発言、怪しい発言を少しでも漏らせば。
そのまま……ドカーンだ。

失敗は許されないか……。
僕や仲間たちは今まで不可能を可能にしてきた。
エクスペルでのラクールホープの完成。ネーデでの神の十賢者の討伐。
どれも絶望的であったが、諦めず可能にしていった。
脱出のハードルが高い。でも、僕はもうこのようなヘマは絶対にしない。
絶対に首輪を解除して、ここから脱出する。
そして、ルシファーの横暴を止める。
「ん、村見えるな。ここが氷川村かな?」
僕はこの決意を胸に仲間たちを探すため村に駆け出した。

【I-6/午前】

【レオン・D・S・ゲーステ】[MP残量:100%]
[状態:正常]
[装備:幻衣ミラージュ・ローブ@VP]
[道具:セイクリッドティア@SO2・どーじん@SO2 荷物一式]
[行動方針:首輪を解除しルシファーを倒す]
[思考1:首輪、解析に必要な道具の入手]
[思考2:仲間と合流(プリシス、セリーヌ優先)]
[思考3:村を散策する]
[思考4:ルシファーのことを知っていそうな二人の男女(フェイト、マリア)を探す]
[現在位置:二つに分かれた道のスタート地点]

【残り52人】




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