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第85話 会えるといいね


クロード退却後、彼らはホテル跡の中にいた。
「コンナ場所で油を売ッテイテイイノカ? アノニンゲンに追イ付ケナクナルゾ」
エントランスの床に腰を落としたガルヴァドスは、顔面に濡れタオルを押し付けながらチサトに話しかける。
「無駄よ、無駄。クロードの逃げ足があんなに速いなんて思わなかったわ」
古びたソファーに腰掛けたチサトが答える。
「それに、チェスター君と情報交換をして置きたいしね」
不意に近くの扉が開き、チェスターが姿を見せる。彼はチサトの前まで来ると、大きな溜め息を吐いた。
「どうだった……って、その様子じゃ見つからなかったようね」
「ここにいるって話だったんだが……くそっ!」
チェスターが探していたのは勿論クレスである。断じてクロードではない。
だが、クロードも金髪に赤いバンダナという事実は彼の頭から抜け落ちていた。
「そんな気を落とさないで。別に遺体があったって訳じゃないんでしょう? なら、まだ無事ってことじゃない」
「……そうだな」
チェスターはそう呟くと、ゆっくりと建物の出口に向かって歩き出しす。
「ちょっと! どこ行くのよ! まだ話は……」
それを見たチサトは、慌てて引き留めにかかる。
声をかけられたチェスターは、立ち止まり、振り返ってから口を開く。
「時間が惜しい。俺の仲間の名はクレス、アーチェ、クラース。それと、道中ルシオという男と会った。アンタらは?」
「あ、えっと、ちょっと待って」
チサトは急いでデイパックから名簿と鉛筆、メモ用紙を取り出す。
名簿には先程チェスターが言った名前に印をつけ、メモ用紙には自分の仲間の名前を書き込む。
その作業を終えると、ガルヴァドスに顔を向ける。
「ガルヴァドス、あんたも探してる人がいたりする?」
「……イヤ」
その返答に「そう」と短く答えると、メモ用紙をチェスターに手渡しに向かう。
「私の仲間の名前を書いて置いたから、目を通しといて。それと、さっき戦ったのがクロード。彼も私の仲間だった……」
「……そうか、わざわざすまない」
メモを受け取ったチェスターは、再び背を向けて歩き出す。
「じゃあな。取り敢えず俺は平瀬村に行ってみる。“あいつ”もまだこの近くにいるはずだしな」
チェスターの言う“あいつ”が彼の捜し人のことなのか、クロードのことなのかは分からなかった。だけど、彼女はこの言葉で見送る。
「会えるといいわね」
彼は背を向けたまま片腕を上げて答えると、そのままホテルを後にした。

「イイノカ、一人デ行かセテ?」
「ええ、一緒に行動するっていうのは必ずしも正しい判断とは限らないわ。例えば、人捜しなら別々に行動した方が効率がいいでしょ?」
「マアイイ。ソレデ、お前ハコレカラドウスルツモリダ? 俺とシテハアノ金髪ヲ追いタイガ……」
「そうねぇ」
デイパックから地図を取り出して睨めっこを始める。
「今からじゃ追いつけないだろうけど、確に無視は出来ないわね。逃げた方角は南だから、行き先は特定しずらいのよねぇ。
 平瀬村はチェスター君に任せるとして、それ以外の場所だと山と神社と氷川村……う~ん、どうしよう」
考え込んでいると、突然『ぐぅ~』という大きな音が聞こえてきた。
音の発信源はガルヴァドス。ただでさえ赤い顔がいつも以外に赤くなっている気がする。
そこで彼女は思い出す。色々あったせいで自分たちが昼食を食べてないことを。
「……少し早いけど夕食の準備を始める?」
「……俺ハお前の指示ニ従ウ」
二人は台所に向かって歩き出した。




【E-04/午後】
【チサト・マディソン】[MP残量:70%]
[状態:全身に軽度の筋肉痛]
[装備:パラライチェック@SO2、フェイトアーマー@RS]
[道具:七色の飴玉×3@VP、荷物一式]
[行動方針:主催者打倒、首輪をどうにかするために味方を集める]
[思考1:仲間を探す(レオン・プリシス優先)]
[思考2:クロードのマーダー化を知り合いに知らせる]
[現在位置:ホテル跡の台所]

【ガルヴァドス】[MP残量:100%]
[状態:左ひざに打撲、上半身に無数の打撲、顔面に中程度の火傷]
[装備:なし]
[道具:パラスアテネ@SO2、ガソリン入りペットボトル×2、荷物一式]
[行動方針:最後まで生き残る? 強き者に従う]
[思考1:チサトの言う事に従う]
[思考2:あの金髪(クロード)に逆襲したい]
[現在位置:ホテル跡の台所]
※ガソリンは合計で4リットルあります。



E-03とE-04の境界付近の森。ボーマンは一人の青年と対峙していた。
「……どうして荷物を2つ持ってんだ?」
青年――チェスターの足下にはデイパックが2つ転がっている。接触直後「戦う気はない」と言ってから放り投げたのだ。
「この島に飛ばされてすぐに、仏さんを見つけてね。申し訳ないが拝借させてもらったのさ」
「本当か?」
「事実だ。だいたい俺がやる気になってたら、既にお前を攻撃している。何せ相手は手負いなんだからな」
「…………」
ボーマンは軽口を言いながら、相手の状態を観察する。
火傷の状態は余りよくないようだ。今は青年自身に隙はない。相手の実力が分からない以上、迂濶に手は出せない。
(どうする?)そう考えていると、青年の舌打ちが聞こえてきた。
「ちっ、それもそうだな。……アンタはこの島に来てから人に会ったか?」
今だ青年は此方に厳しい視線を向けたままだが、正直に答えてやることにする。
「たしか、マリアって名前の青髪のお嬢さんと……あー、名前は何て言ったかな? お嬢さんの連れの金髪の男。この二人だけだ」
『金髪の男』その言葉に青年が反応する。
「その男、もしかして赤いバンダナを巻いてなかったか?」
「ん……ああ、巻いてた――」
瞬間、弾かれたように青年が飛び出し、ボーマンの両肩に掴みかかる。
「どこだ! アイツを、クレスをどこで見たんだ!」
「お、おい落ち着け」
チェスターの体を引き離すと、地面のデイパックに向かって歩きながら話し出す。
「地図でいうとE-02エリア、ここからまっすぐ西へ向かった辺りだ。
 金髪の彼は怪我が酷くてね……ああ酷いと言っても命に別状はないぞ。兎に角、安静にするよう言ってある。まだ近くにいるはずさ」
喋りながらデイパックを一つ手に取ると、青年に渡す。
「あ?」
「持ってけ。お前荷物持ってないだろ? 基本的な道具しか入ってないが、ないよりマシだろ。それと……」
懐からピンポン玉より一回り小さいサイズの丸薬を取り出し、これもチェスターに渡す。
「秘仙丹といって、体力回復の効果がある。お前にやるよ」
「……いいのか?」
「遠慮すんな。ただ、一つだけだからな。よく考えて使え」
チェスターは暫く丸薬を眺めていたが、何かを決心したように一回頷くとそれを渡されたデイパックにしまった。
「何か悪いなこんなものまで貰っちまって。……そういえばお互い名乗ってなかったな。俺の名はチェスターだ。アンタは?」
「ボーマン・ジーン。マリアに会ったら俺の名前を出せ。それで信用してくれるはずだ」
「そうか、ありがとよボーマン!」
チェスターはデイパックを背負うと、勢いよく駆け出す。その姿は直ぐにボーマンから見えなくなった。



「……これでよかったんだよな」
チェスターの姿が見えなくなった後、ボーマンは気の抜けた声でそう呟く。
結局チェスターを殺せなかった。いや、殺さなかった。
金髪の男のことを口にした瞬間、彼は隙だらけになった。そのときに殺すことが出来たはずだ。
さらに、初めこそ不振に思われていたが、最終的に何の疑いも持たずに丸薬を受け取った彼のことだ、
もう一つ丸薬を渡していれば、それを口に含んでいただろう。
「まったく、酷い奴だな俺は。そんなに自分の手を汚したくないのかねぇ」
口元に自嘲の笑みを浮かべる。
チェスターの捜している人物がマリアの同行者であるなら、彼は今瀕死とまではいかないが重傷だ。きっと一つでも多くの薬が必要だろう。

「金髪の兄ちゃんに会えるといいな、チェスター」


【E-03/夕方】
【ボーマン・ジーン】[MP残量:80%]
[状態:自己嫌悪、殺人に対する疑問]
[装備:なし]
[道具:調合セット一式、荷物一式]
[行動方針:最後まで生き残り家族の下へ帰還]
[思考1:人を殺すことに躊躇しないように心がける]
[思考2:なるべく他人との接触は避ける(特にSO2の仲間たちとは会いたくない)]
[思考3:人を殺したことを気に病んでいる]
[思考4:調合に使える薬草があるかどうか探してみる]
[備考:調合用薬草の内容はマンドレイク、ローズヒップ、アルテミスリーフ、トリカブトがそれぞれ一枚づつ。
      マンドレイクとアルテミスリーフは1/3づつ位消費]
[現在位置:南東部]

【チェスター・バークライト】[MP残量:100%]
[状態:全身に火傷、左手の掌に火傷、胸部に浅い切り傷、精神的疲労(軽度)、焦り]
[装備:なし]
[道具:エンプレシア@SO2、スーパーボール@SO2、チサトのメモ、破砕弾、荷物一式]
[行動方針:力の無い者を守る(子供最優先)]
[思考1:E-02でクレスの捜索]
[思考2:クレス・アーチェ・クラース・力のない者を探す]
[思考3:分校に火を放った者(今はクロードだと思ってます)を探し、殺す]
[思考4:クレス・アーチェ・クラースと子供を除く炎系の技や支給品を持つ者は警戒する]
[備考1:チサトのメモにはまだ目を通してません]
[備考2:破砕弾を秘仙丹だと思ってます]
[現在位置:南東部]

【残り36人】




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