第104話 希望を胸に、精一杯生希望(生きよう)(後編)


「いや~、それにしてもビックリしちゃいましたよ」
へらへらと笑いながらクレス君が口を開く。
ビックリしたのはこっちなのだが、そのことをわざわざ口には出さないでおいた。
うっかり彼にツッコミを入れようものなら、真面目な情報交換の場がグダグダなコントになりかねない。
「でもまあ、よかったじゃないですか。ようやく仲間も出来ましたし!」
その仲間が――正確には仲間かどうか怪しい少女が――目下の問題なのだが。
どうやらクレス君は彼女に対し警戒心を持っていないらしい。
無理矢理立ち直った反動か、色々と焦りすぎてるように思える。
『信頼出来る仲間を作る事』と『疑いもせずポンポン仲間を増やす事』は別物なのだが……
とはいえ、クレス君の緊張感に欠けた珍プレーのおかげで情報交換に移る事が出来たのも事実だ。
一概に悪だとは言い切れないのかもしれない。

「はい。私もお二人に会えて嬉しいです」
目の前の少女・ミランダ。
あの時サイキックガンを向けられてもなお、デイパックを手放そうとはしなかった。
後ろにいたミランダの存在に気が付いたクレス君が、殺し合うつもりはないとの発言を聞き勝手に仲間に引き込んだため有耶無耶になってしまったが、
デイパックの中身を見せてもらわないわけにはいくまい。
ましてや私達はまともな武器がサイキックガン一丁だ。
武器を所持しているのなら是非とも譲ってもらいたいところである。

「それで……貴女はミカエルを名乗る男に襲われたのね?」
適当な民家に入って始めた情報交換で最初に得たのは、ミランダを襲ったというミカエルの情報だった。
炎を使うということ、武器は持っていなかったということ、そして楯を所持していたということ。
これらの情報を得る事が出来た。
楯は何故か腹に括りつけて鎧代りにしていたらしい。
とにかく、今後ミカエルに会った際この情報が役立つことは確かだろう。
「はい……間違いなく、彼は殺し合いに乗っていました」
「それにしても……よくそんな化け物から逃げられたわね」
もうすでにミランダの事を信じてしまっていそうなクレスに代わって牽制する。
仮に嘘の情報があった場合、彼女は取り押さえた方がいい。
逆に納得の出来る理由を言ってもらえたら、下手な疑心を抱き続けなくて済む。
――先程の惨劇の時のように。
ボーマンからまともに情報を引き出さなかった結果が、さっきの惨状を作り上げてしまったのだ。
ボーマンが黒と分かっていたらアーチェは死ななかったし、白だと分かっていたら悩むことなくチェスター君を説得できてたかもしれない。
きちんと納得がいくまで情報交換していたら、事態は好転していたはずなのだ。
いずれにせよ、疑心は残すとロクな事にならないだろう。
クレス君は相手を信じ切る事で疑心を絶つつもりのようだが、それでは騙し討ちに対応できない。
大事なのは、疑うこと。
まずは最初は疑って、疑問をどんどん問い詰める。そして、納得が出来たら相手の事を信用する。
そうでなくてはならない。
そうでなくては、仲間を守る事はできない。

「あ、はい、それなんですが、私――仲間がいるんです」
「「…………え?」」
不覚にもクレス君とハモってしまった。
適当な民家での情報交換をあっさり飲んだため、てっきり待ち合わせの約束はないものだと思っていた。
それに銃を突き付けた時も第三者が介入する様子はなかったため、仲間はいないものだと判断していたが……
待ち合わせの約束もなく、傍にもいない仲間という事だろうか?
だとすると――
「ミカエルとの戦いではぐれた、って所かしら?」
「ちょ……マリアさん!」
私の言いたい事が分かったのだろう。慌ててクレス君が止めに入る。
『ミカエルとの戦いで仲間とはぐれ、その後彼女はミカエルから逃げ切った』
それが正解だとすると、その仲間は十中八九ミランダを逃がすためにその命を落としている。
酷だが、そのことを教えねばならないだろう。
あの時のクレス君のように、予期せぬ名前が放送で呼ばれ自分を見失われても困る。
先に死を教えておけば、少しはショックが和らいでくれるかもしれない。
それに、事前に動揺しないよう言っておいたクレス君は、放送後ショックで一時呆然としてしまったものの、何とか立ち直ってくれた。
仲間の死に動揺しないよう言っていなかったチェスター君は、予想外の事態に感情をコントロールできず走り去ってしまった。
『事前に言っておくことは効果がある』とまで言ってしまうのは自惚れだと思うが、言わないよりは言った方がいいんじゃないかとも思う。
もう残りの人数も少ない、打てる手は惜しみなく打っていこう。
仲間の死に動揺しないよう言い聞かせてから、仲間の死をきちんと認識させる――これが現段階で私の思い付くベストな行動だ。

「はい……あ、でも、ちゃんと合流できましたよ。今は少し離れた民家にいます」
「え、あ、そうなんだあ~。やったじゃないですかマリアさん! 仲間が一気に増えましたよ!」
……と思っていたのだが、どうやら前提からして間違っていたようだ。
ミカエルとの戦闘後、ミランダはきちんと仲間と出会えたらしい。
まあ、確かにクレス君の言うように、仲間に出来る人物が生きているならそれに越したことはない。
ここは素直に喜んでおく事にしよう。

「でも……仲間がいるならどうして一緒に来なかったの?」
「それは……その、勝手に隠れ家を抜け出して来たからです。
 見張りをしていたら遠くにお二人の姿を発見して、見失わない内に追いかけないとと思い、書き置きだけして慌てて家を飛び出して来たので……」
見張りが居なくなって仲間は困っているんじゃないだろうか。
そう思うも、言っても仕方がないのでわざわざ口に出したりはしない。
警戒はしているが、別に敵対したいわけじゃないのだ。
極力仲良くしていきたいとは思っている。
余計な事は言わないに越したことがないだろう。
「次の放送後くらいに戻れば大丈夫だと思います。お二人とも、お強いですから」
「ん? 二人? それって僕達じゃなくて君の仲間の事、だよね?」
「はい。ルシオさんと洵さんと言うんですが……お二人のお知り合いでしょうか?」
「いや……僕は知らないな。マリアさんは?」
ジュン。
ルシオ。
あいにく、どちらも聞いた事のない名前だ。
ほんの少しだけ、ミランダの仲間に自分の仲間が混ざっている事を期待していたのだが、やはり現実はそう甘くないらしい。
「残念だけど……」
「そうですか……でも、きっとすぐに仲良くなれると思いますよ。ルシオさんはとても親切な方ですし、ジュンさんも無口ですが良い人です。
 こんな酷い状況下で、同じ志を持つ者が出会えた――きっと私達の出会いは運命なのでしょう。神様も、そうおっしゃると思います」

「――神様、か」
クレス君の顔が、一瞬だけ陰りを見せる。
その陰りを、ミランダも私も見逃さなかった。
「どうかされましたか?」
なんとなく、彼の表情が陰った理由が分かった気がした。
先に逝った仲間を連想させる単語を聞いたら、私だってああなってしまうかもしれない。
無論、それが何かよくない事に発展するかもしれないので、顔に出さない努力はするつもりだが。
それでもきっと、気分は沈んでしまうだろう。
「ああ……僕の大切な人も、よく神様にお祈りしてたなって思ってさ……」
誰の事かは分からない。
ただなんとなく、最初の放送で呼ばれ間接的にクレス君が大怪我をする原因になった人の事じゃないかなと思った。
「クレスさん……」
「それにしても、ミランダはすごいなあ~! お祈りで傷を治しちゃうなんて!
 ミントも法術を使ってたし、僕も神様を信じていれば怪我を治せる気が(けが)してきたぞ!」
心配そうに声をかけられ、慌てたようにクレス君は笑顔を作った。
だが、これはやはりあまり褒められる傾向ではない。
『色々な感情を押し込めて、明るく振る舞う事で何とかそれを誤魔化していく』
確かに、最後までやり通せるならそれもありだ。
だが、全てが終わる前に限界が来てしまったら――負の感情を抑えきれなくなってしまったら、押さえつけてきた反動で今度こそ再起不能になってしまうかもしれない。
発狂とまではいかなくとも、無力感から自暴自棄になってしまったり、自責の念から自害してしまったりする可能性は少なからずある。
そうさせないためにも、私がしっかりしなくては……

「動機はともかく、神を信じる気持ちは――」
「……お話が盛り上がってるところ悪いんだけど、話を情報交換に戻してもいいかしら?」
本当ならゆっくり親睦を深めたいところだが、生憎そうもいかないのだ。
確かにミランダはクレス君と私の傷を少しだけだが癒してくれた。
その事で彼女は敵意がないことをアピールしてくれ、またクレス君もミランダの事を完全に信頼するに至った。
私も、正直言ってミランダの事を『殺し合いには乗っていない』と思い始めている。
戦闘の意思があるならわざわざ治療なんてしないし、デイパックの中身を隠そうとするなんて露骨な真似は避けるだろう。
理論的に考えれば、ミランダは白だ。

だが――ボーマンの存在のせいで、未だに私はミランダの事を疑ってしまう。
ボーマンもクレス君を治療した。
そして、爆発する薬品を薬と偽りチェスター君に持たせた疑いが彼にはある。
つまり、『傷の治療をしてくれる=殺し合いには乗っていない』という図式が成立するとは限らないのだ。
勿論ボーマンの件も所詮は『疑いがある』だけであって、黒だと断言はできていない。
黒だと仮定すると不可解な点が出てきてしまうし、白だと仮定してもやはり納得のいかない部分が出てきてしまう。
それらの疑問を解消してくれそうな要素はいくら記憶を掘り返しても見つからないし、当分ボーマンの白黒をハッキリさせることはできないだろう。
この判断に失敗は許されないのだ。確固たる証拠もなく勘だけでは判断を下せない。
ミランダの件も同様だ。
私達の治療をするというパフォーマンスが何ら意味をなさないとすると、ミランダの評価は『保留』となってしまうのだ。
今のところ、彼女を信頼出来そうだという根拠は治療してくれたことぐらいなのだから。
そのうえ、殺し合いに乗っていると思えるような要素もほとんどないときてる。
せいぜいが意固地になって隠しているデイパックの中身くらいか。
何にせよ、ミランダが乗っているのか否かを断言できる根拠はない。
正直言って非常に厄介な状況である。
何とか彼女が乗っているのか判断出来る材料を見つけないと……

そんなわけで現段階ではまだミランダを信頼できないため、牽制のために常にサイキックガンを手元に置いていた。
更に、万が一牙を剥かれても素早く対処できるよう、つま先を立てた片膝立で座っている。
襲われるとしたらどっかりと腰を下ろし油断しきったクレス君の方だろうが、この距離なら体当たりなりなんなりで初撃を妨害することが可能だ。
サイキックガンをうっかりクレス君に当てでもしたら大惨事になるので、使用するのはミランダの初撃を防いだ後、体勢を立て直してからだ。
……勿論、ミランダにサイキックガンを使わずに済むならそれに越したことはないのだが。

「私達はこの村に来る前に神社で一度襲われているわ。放送を聞いてショックを受けた所を襲ってきたりと油断のならない相手よ。
 話し合う気もないみたいだし、容赦なく襲ってくるから気を付けて。特徴は長い黒髪を束ねた髪で、独特の衣装を着ているわ。
 武器は剣と、それから刃先が飛び出すかわったナイフよ」
ミランダが言い出さなくとも、最初から放送の後までミランダの仲間とは合流しないつもりでいた。
というのも、そのアジトに行く途中で放送が始まる可能性があったからだ。
襲撃の可能性が高い場所で放送を聞く行為が如何に隙だらけなのかは、すでに経験済みである。
その放送でショックを受けようものならば、殺してくれと言わんばかりの状態になってしまうだろう。
次の放送を聞き終え、落ち込んだとしてもキチンと立ち直ってから移動するのがベストだ。
無論、ショックを受けないならそれに越したことはないが。

「……どうかした?」
ミランダの表情が、一瞬だけ強張った気がした。
「いえ……何でもありません」
もしかして、殺し合いに巻き込まれる以前の知り合いか何かと特徴が一致したのだろうか?
その辺の事とデイパックの中身については後々聞き出そうと思っているが、まずはこちらの持つ情報から話していこう。
それで何とかミランダの警戒心を和らげ、出来れば自主的にそれらの情報を提供してもらいたい。
(いい加減首輪の解析を始めないといけないわね……そのためには首輪のサンプルがほしいんだけど……)
少しだけ心が逸る。
上手くいけば――ミランダが殺し合いに乗っていなければ――放送の後に5人のチームが結成できる。
そうすれば戦闘や仲間探しを仲間に任せ、首輪の解析に専念することもできるのだ。
(まだ間に合う。まだこの殺し合いは止められる――!)






 ☆  ★  ☆  ★  ☆






「洵! 洵!」
ドタドタと音を立て、階段を上ってくる音がする。
おかげで部屋に入られる前に目が覚めてしまった。
「どうした……何があった?」
これだけ慌ただしく駆け込んできたのだ、交代の時間を告げるだけでは終わるまい。
とはいえ、襲撃の知らせなら「逃げろ!」なり「敵襲だ!」なりの言葉が続いていただろう。
それに敵が来たのなら階段を上ったりせず下で戦闘しているはずだ。
少なくとも、襲撃絡みのトラブルではない。
だから慌てずゆっくり起き上がり、ルシオに問うた。
「いないんだ……」
「いない、だと?」
「ああ……ミランダがいないんだ!」
……やれやれ、いきなり予定が狂ったか。
しかし、今になって逃げ出すとはな……さすがに予想出来なかった。
まあいい。居てくれたら有難かったが、居なきゃ居ないで当初の計画に戻るだけだ。

「そろそろ交代の時間だから玄関に行ったけど誰もいなくて……」
「……デイパックはやはり持って行ってたか?」
「あ、ああ。鍵も開いてたし、殴り書きで『少し出かけます』ってメモが置いてあったから、自分から外に出たんだと思う。
 ミカエルや洵の言ってた二人組もいるかもしれないし、危険だから早く探さないと!」
ミランダを探す、か。やれやれ、そんなことだろうと思ったよ。
「手放しに賛成は出来んな。出て行ったのにも何らかの理由があるのだろう。
 それにハッキリ言わせてもらうが、今すぐ追うのは得策ではない」
「でも……!」
「……仮に戻ってきた場合、入れ違いになる」
利用価値があることだし、ミランダの捜索は反対ではない。
無理をする気はないが、少しくらいなら付き合ってもいいだろう。
見張りの仕事すら満足できないという点を考えると、このまま斬り捨ててしまうのも手だとは思っているが。
とりあえず、無いとは思うがミランダが誰かを連れて来てここを襲撃するという可能性も0ではないからな……放送後に移動をするのは賛成だ。
俺自身はすでに休んだ後だしな。ルシオさえ問題ないのなら、そのまま村を出たっていい。
それはさておき、ミランダの探索時にどうすべきか……
手分けして探す事を提案し、さっさと村を離れ人数減らしの作業に移るか。
はたまたミランダをきちんと探し三人で改めて行動するか……
襲撃される可能性を考えると、別行動を取らず二人で探しまわった方がいいという可能性もある。
その辺をどうするか、決断しなくてはいけないな。
「だからもう少し待て。行動を起こすとしたら――放送の後だ」
時計に目をやりそう伝える。
放送まで、あと30分――






 ☆  ★  ☆  ★  ☆






誤算だった。
今までが比較的順調だったためか、こんな基本的な可能性に気が付かなかったなんて。
少しばかり――いや、かなり迂闊だった。
このままだと、神に見捨てられてしまうかもしれない……



ミカエルに襲われてしまったのは不運だったが、それ以降は順調だった。
祈りの力で傷を治し、ルシオ達に取り入る事に成功。
洵はまだ疑っているようだが、問答無用で私を殺すというつもりはないようなので、それほど問題視することはないだろう。
覗き穴越しに人影を見つけたので、書き置きを残し後をつけた。
どうやら気付かれたらしく途中で銃を向けられてしまうも、一緒にいたクレスのおかげで無事チームに入り込めた。
クレスは勝手にこちらを信頼し、それにつられて疑心を持ちながらもマリアが信用してくれる。
この流れはルシオ・洵組の時と似ているように思えた。
とにかく、クレスやマリアをルシオ達と引き合わせる事に成功したのだ。

(これで、また一歩神の御心に近づけましたね)
放送後の合流が成功すればこれで4人。
今何人残っているか分からないが、そこそこの人数じゃないだろうか。
とはいえ、欲を言えばその倍の8人は欲しいということもあり、まだ爆弾は使わない。
いきなり4人を殺して護衛を失うのは愚かにもほどがある。
ミカエルのような強力な殺人者もいることだし、仲間の数は可能な限り多くしたい。

(……大丈夫。おそらくマリアさんの意識はデイパックに向いているはず)
時限爆弾とパニックパウダーだったら、時限爆弾の方が価値のある支給品だと思っている。
パニックパウダーと違って、時限爆弾はその威力でパーティー全員を一瞬にして肉塊に変える事が出来るのだから。
だがしかし、時限爆弾は隠し持つ事が出来ない。
サイズからして衣服に隠す事は出来ないし、なにより戦闘中うっかり爆発でもしようものなら大変だ。
そのため、仕方なく時限爆弾の方を囮に使う事に決めた。
時限爆弾はデイパックに入れ、パニックパウダーは洋服の中にこっそりしまう。
デイパックの中身を意地でも見せたくないということをアピールすれば、周りの注意はデイパックの中身に行く。
少なくとも「身体検査をして危険なアイテムを所持していないか確かめよう」などという発想には至らないだろう。
調べられるとしたら、デイパックの中だけのはずだ。
デイパックの中身が見られた時の言い訳も勿論用意してある。
「時限爆弾を手にした相手に裏切られ、戦闘中に敵と一緒に吹き飛ばされるんじゃないかと思って怖かった」というのを、意地でもデイパックの中身を隠し通そうとした理由にする予定だ。



そう、ここまでは完ぺきだったのだ。
すっかり忘れていた作戦の穴――『自分以外にも殺し合いに乗った者がパーティーの中に混ざっている』という事態に気が付くまでは。
「特徴は長い黒髪を束ねた髪で、独特の衣装を着ているわ。武器は剣と、それから刃先が飛び出すかわったナイフよ」
どう見ても洵です。本当にありがとうございました。
(よりにもよって、このお二人を襲っているなんて……)
徹底して猫を被っていたわけではないらしく、洵はクレス達の前で普通に殺人者の面を出したらしい。
そのせいで作戦は御破算だ。
4人を引き合わせて集団を作る事が出来なくなった。
これでクレス達さえ襲っていなければ、寝首を掻かれぬよう注意しながらもパーティーへの潜伏は黙認し、予定通り大集団を結成したのに。

よりにもよってクレス達を襲っていたせいで、放送の後どうするのか考えないとならなくなった。
当然だが、二人を洵に会わせるわけにはいかない。
纏めて参加者を殺すため、また終盤まで身を守ってもらうために折角潜り込んだパーティーが、勝手に崩壊してしまう。
それは避けねばならない。
(とは言え、一体どうすればいいのでしょうか……)
正直何も思い浮かばない。
適当な民家に案内して「あれ、いない。ここにいたはずなのに」と言ってしまってもいいが、嘘がバレた時にどうにもならなくなってしまう。
それよりも、いっそ諦めてしまおうか。
正直に案内して、戦わせる。
騙されていた可哀想な犠牲者として、勝ち残った側につく。
極力避けたい形ではあるが、最も現実的な案にも思える。
さて、一体どうするべきか――



現実は非情である。
ゆっくり思案する時間すら与えてくれない。
時刻は丁度24時。
一日が終わり、そして3度目の放送が始まろうとしていた――






【F-01/真夜中】
【洵】[MP残量:100%]
[状態:腹部の打撲、顔に痣、首の打ち身:戦闘にはほとんど支障がない]
[装備:ダマスクスソード@TOP、木刀]
[道具:コミュニケーター@SO3、スターオーシャンBS@現実世界、荷物一式]
[行動方針:自殺をする気は起きないので、優勝を狙うことにする]
[思考1:出会った者は殺すが、積極的に獲物を探したりはしない]
[思考2:放送を聞く]
[思考3:ルシオを使ってレナスを利用もしくは殺害]
[思考4:ゲームボーイを探す]
[思考5:ミランダをどうするか考える]
[現在地:平瀬村の民家A(表札に『磯野』と書かれている民家)内]

【ルシオ】[MP残量:100%]
[状態:軽い疲労、6時間何もしなかったことによる軽度の焦りと軽度の不安]
[装備:アービトレイター@RS]
[道具:コミュニケーター@SO3、荷物一式]
[行動方針:知り合いと合流(特にレナス)]
[思考1:放送の後、ミランダを探しに行く]
[思考2:平瀬村で仲間の詮索]
[思考3:ゲームボーイを探す]
[現在地:平瀬村の民家内]
[備考]:※コミュニケーターの機能は通信機能しか把握していません
    ※マリアとクレスを危険人物と認識(名前は知りません)

【クレス・アルベイン】[MP残量:30%]
[状態:右胸に刺し傷・腹部に刺し傷・背中に袈裟懸けの切り傷(いずれも塞がっています)、HPおよそ30%程度、
    何も出来ていない自分に対する苛立ちと失望(軽度)、負の感情を隠すために若干ハイテンション]
[装備:ポイズンチェック]
[道具:なし]
[行動方針:皆を救うためにルシファーを倒してゲームを終了させる]
[思考1:平瀬村を捜索し、武器(出来れば剣がいい)や仲間を集める]
[思考2:放送の後、ミランダの仲間と合流し今後の話し合いをしたい]
[思考3:チェスターが仲間を連れて帰ってきてくれるのを待つ]
[現在位置:平瀬村の民家B(表札に『中島』と書かれている民家)内]

【マリア・トレイター】[MP残量:60%]
[状態:右肩口裂傷・右上腕部打撲・左脇腹打撲・右腿打撲:戦闘にやや難有]
[装備:サイキックガン:エネルギー残量[100/100]@SO2]
[道具:荷物一式]
[行動方針:ルシファーを倒してゲームを終了させる]
[思考1:平瀬村を捜索し、武器(出来れば剣がいい)や仲間を集める]
[思考2:ミランダを信用すべきか否か決めかねている]
[思考3:チェスターが仲間を連れて帰ってきてくれるのを待つが、正直期待はしていない]
[思考4:移動しても問題なさそうな装備もしくは仲間が得られた場合は平瀬村から出て仲間を探しに行くつもり]
[現在位置:平瀬村の民家B内]

【ミランダ】[MP残量:0%]
[状態:正常]
[装備:無し]
[道具:時限爆弾@現実、パニックパウダー@RS、荷物一式]
[行動方針:神の御心のままに]
[思考1:どうしようか考える]
[思考2:洵とルシオ、もしくはクレスとマリアを利用して参加者を集めたい]
[思考3:直接的な行動はなるべく控える]
[思考4:参加者を一箇所に集め一網打尽にする]
[現在位置:平瀬村の民家B内]

※ミランダはクレス達を目撃してからしばらく二人をつけていました。
 途中で気付かれたものの、しばらくは移動していたので、ルシオ達の潜伏する民家Aと現在ミランダ達のいる民家Bはそれなりの距離があります。

【残り23人】




前へ キャラ追跡表 次へ
第104話(前編) ルシオ 第115話
第104話(前編) 第115話
第104話(前編) ミランダ 第108話
第104話(前編) クレス 第108話
第104話(前編) マリア 第108話

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2009年05月14日 20:32