オープニング


広く薄暗い空間に無数の気配があった。
全身を鎧で覆った人物や武骨な印象を抱かせる壮年の男。
着物装束の小柄な娘から奇妙なモノを背中から生やした青年。
はてには明らかに人ではない姿をした者まで・・・
総勢60名ほどのその集団は、およそ統一感と言う言葉からはかけ離れている。
・・・いや、彼等彼女等には共通したことが一つだけあった。
それは、皆、自らが何故このようなところに居るのか、誰一人として理解しえていないと言う事だけだった。

やがて・・・彼等の疑問・不安の声が頂点へと達した時。
突如として上方から放たれた光が、ある一点を照らし出した。
白い光に照らされ、闇に浮き上がった場所・・・
他からは一段高くなり、まるで舞台のようになったそこに一人の男がいた。
「諸君、まずは“遠路”はるばるご苦労と言っておこうかな」
黒装束の兵士達を引き連れ、悠然と、見下したように微笑む金髪の男。
その様子を見た青い髪の男女が、驚愕の声をあげる。
「ルシファー!」
「貴方は死んだはずじゃ・・・!」
その声を無視しながら・・・薄い、酷薄な笑みを浮かべながら、ルシファーと呼ばれた男はこう続けた。
「これからお前たちには、あるゲームを行ってもらう。
 ルールは簡単だ。最後の一人になるまで・・・殺し合え」

「ど、どう言う事ですか!」
一瞬の沈黙。それを引き裂くように、一人の少女が声をあげた。
和風の着衣――巫女装束だろうか――を身に付けた少女に視線が集まる。
「そのような恐ろしい事、決して許され・・・」
少女の言葉は無数の炸裂音・・・銃声によって遮断される。白かった上着を朱に染め、少女は倒れ伏した。
ホールのあちこちで、恐怖に満ちた女性達の悲鳴が上がる。
「那々美!」
美しい鎧を身に付けた女性が、名を叫びながら倒れた少女に駆け寄る。
そして少女の、もはや動かない体を抱きかかえながら、銀髪の女性は男を睨みつけた。
金髪の男は、その視線をつまらないといった感じに受け止める。
「もう一度言おう。お前たちには殺し合いをしてもらう
 これから一人に一つずつ鞄を配った後、お前達には会場のほうへと向かってもらう。
 鞄の中には幾つかの人殺しに役立つ道具が入っている・・・当たり外れは存在するがな」
そこまで喋り、ルシファーは堪えきれないように笑みを浮かべる。
「それから・・・ルールは簡単と言ったが、幾つか記憶してもらいたい事もある。それは・・・」
「黙れ、小物風情が」
ルシファーの言葉を遮るように、黒い衣服を纏った銀髪の男が声をあげる。
「貴様のようなクズに従う道理などない。死ね」
その言葉共に男の体が宙に浮く。そして、男は自らが持つ技で最大の威力の物を放った。
「滅びの風をその身に受けるがいい!」
男が放った技が脅威となって、ルシファーを飲み込もうと襲い掛かる。
しかし・・・放たれた風はルシファーに届く事無く、霞みのように消え去った。
「ふむ、まだ反抗の意思があるとは・・・所詮はバグか」
「ば、ばかな、この私の滅びの風が」
「言い忘れていたが・・・お前たちの力は、ある程度の制限がなされている。
 尤も、制限など無くとも、あんなそよ風程度では私のファイアーウォールは突破などできないがね
 ・・・だが、ちょうどいい・・・」
男を見下した目で見つめながら、ルシファーは呟く。
そして、黒衣の男を・・・正確には男の首にある銀色の物体を右手でまっすぐに指し示した。
「こいつを使ってルールの説明をさせてもらおう」
その言葉とほぼ同時。篭った様な炸裂音が男の周囲に響く。
そして、液体を撒き散らしながらナニカが床を転がり・・・ホール内に再び悲鳴が巻き起こる。
こうして、皮肉にも主催者と同じ堕天使の名を持った男は、声を発することも無く絶命した。

「お前たちの首に、爆弾入りの首輪を装着させてもらった。
 くくっ・・・そう慌てるな。無理に外そうとすると爆発するぞ」
ルシファーの言葉に自らの首輪を触っていた数人の者達が驚き、慌てて手を離す。
その様子を笑いながら眺めつつ・・・ルシファーは言葉を続けた。
「その首輪が爆発する条件は三つ。
 第一に、先程も言った通り無理に外そうとした場合
 第二に、私に逆らおうとしたり、会場内から勝手に逃げ出そうとした場合
 そして第三に、六時間に一回の放送で死者の名と共に読み上げられる禁止エリアに入った場合だ」
そこまで言って言葉を切り、ルシファーは眼下の60名あまりの者達をみわたす。
そして、彼等彼女等の表情を存分に観察した後、至極、満足げに言い放った。
「それではこれより、お前たちには会場に跳んでもらう・・・ゲームスタートだ。存分に楽しませてくれ」


【那々美@ヴァルキリープロファイル 死亡】
【ルシフェル@スターオーシャンセカンドストーリー 死亡】

【残り62名】




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最終更新:2008年09月14日 02:50