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第118話 鎌石村大乱戦 第二幕 ~龍を屠る赤き一撃~(後編)


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

(クソッ、視界がぼやける。腕にも力が入らない。結局俺はこのまま誰一人守り抜く事すら出来ずに死んじまうのか…。
 クレス悪い…。あれだけ大口叩いて別れたってのに、アーチェの仇を討つ事も、この娘を守る事も出来なかった…)
思い返せばここ最近の記憶は後悔ばかりだ。
村を守れなかった事。再会したクレス達の足手纏いにしかなれていない事。
ここに来てから起きた分校での出来事。アーチェの死。
そしてこの女の子の事。
(せめてアシュトンだけは止めないと…。俺がこの娘に持ってきちまった災いだからな…。
 くそっ、俺に力があれば…。何でもいい。俺に力をくれ。この娘を守れるだけの力をっ!)
そう俺は願った。神様なんていないって思っている。それでも祈らずにはいられなかった。
心の底からこの女の子を守りたいとそう思った。その思いを遂げる為強く、強く願った。

そして、その願いが何かを起こした。

先程この女の子のデイパックから転がり落ちていた水晶玉が、俺の足元で赤く眩い光を放っている。
(これは…? あの娘の荷物から出てきた…。一体なんだろう?)
俺はそれに思わず手を伸ばした。触れた途端体に何かが流れ込んで来る。
その瞬間。今まで俺の頭の中にあった微かにしかない、
雲の様に掴み所の無い断片的なイメージが、一つ、また一つと、まるで実体を持つかの様に収束していった。
そう、これは特訓の中で浮かんでいた断片的なイメージ。これを習得できればきっとクレス達の助けになれる。
そう感じ、いつも掴もうとしては霞のように消えていってしまっていたその感覚が、今俺の中に確かに一つの形を成して存在していた。

触れていた水晶玉は光を失い、透明な水晶玉に戻っている。
今の現象が俺に何か影響を及ぼしたのかわからない。
わかる事は唯一つ。俺にはまだこの娘を守れる可能性が残されているという事。

矢を構える。
この技に必要なのは送った闘気が拡散しない様に矢に定着させる事。
そして、それを幾重にも重ね合わせ、ただ一点のみを貫く為に研ぎ澄ます。
そう、どんなに強固な鱗に覆われた龍でさえ、その一撃の下に屠る。
そんな意味を込めたこの技の名前は、

「『屠龍』! ぶちぬけぇええええ!!」

解き放たれた赤き必倒の一撃。
俺の想いの全てを乗せた一筋の光がアシュトンに襲い掛かった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「フギャー!(やばいぞアシュトン! 避けろ!)」
(出来ない。体が重くて思うように動かせない。『トライエース』の反動?
 違う、もう呼吸は整えられてるし、さっきまでこんなに体が重いなんて事は無かった)
ふと、前を見ると女の子と目が合った。その手に持っている杖が輝きを放っている。
(あの娘の紋章術? 重力操作の?)
「ギャース!(チッ、世話の焼ける宿主だ!)」
「フギャー!(全力で行く、踏ん張れよ!)」
ギョロとウルルンが同時に巨大なブレスを真っ直ぐ向かってくる赤い闘気を纏った矢に浴びせる。
それでもチェスターの放った矢は一向に止まる気配を見せない。二人の吐く炎と氷の渦を受けながらも真っ直ぐに迫ってきている。
体は未だにあの女の子の紋章術で動かせない。だから、せめて二人の応援をしようと彼らを見上げた時、僕は自分の目を疑った。
何故かはわからないけど二人の体が透けてきているのだ。
「二人共もう止めるんだ! このままだと君達が魔力を使い果たして消滅してしまうよ!」
こんな事今まで無かったけど、どう考えても今魔力を使い果たそうとしている事が原因なのは明白だ。
「ギャッ(何寝言を言っている)」
「ギャフッ(お前が死んだらどの道俺達も死ぬんだ。無駄口叩いてないで手伝え)」
「駄目だ、あの娘の紋章術の所為で体が動かないし剣も持ち上げられない」

尚も迫り来る赤い闘気を帯びた矢に懸命にブレスを放ち続ける二人。
それでも勢いを少し落とすのが精一杯。確実に僕らの命を奪おうとそれは迫って来ていた。
「ギャギャ(ウルルン)」
「ギャーフ(そうだな…)」
「どうしたのさ? 二人共?」
僕はいつもと違う雰囲気の声を発する二人に急に嫌な感覚を覚えた。
「ギャッギャギャフン(今まで楽しかったぞ。アシュトン)」
「ちょっと!? ウルルン? 何言ってるの?」
「ギャース(このままでは3人纏めてあの世行きだからな。お前だけでも生きろ、アシュトン)」
「ギョロ!? 何勝手な事を言ってるのさ?」
「ギャフフギャフー(なんだかんだ言って俺たちはお前の事が気に入ってるんだ)」
「ギャッギャー(だから、お前にはもっと生きていて欲しい)」
二人が信じられない事を言っている。僕を生かす為に死のうとしている。
止めなくちゃ、そんな事受け入れられるはずが無い。
「待ってよ! また僕を困らせる様な事を言って! お願いだからたまには言う事を聞いてよっ!」
「ギャー(いいか? これを凌ぎきれたら一旦退け。北西の方角から二人。まだ遠いが近づいてきている)」
「ギャッフ(ボーマンが味方を連れて来たとは考えにくい。『トライエース』を撃った疲労状態でこれ以上の戦闘は危険だ)」
もう二人の姿は目を凝らさなければ視認出来ない程に薄くなっている。
「ギョロ! ウルルン! 話を聞けよっ! 僕達はこれからもずっと3人でっ!」
つい語気が荒くなってしまったけど、二人が思い直してくれるならそんな事構わない。

「ギャフー(生きろよ)」
「ギャース(生きろよ)」

そう言い残し二人は更に吐き出すブレスを巨大にさせた。
僕らに迫る矢は漸く止まり、そして纏わせた闘気を拡散させるように巨大な爆発を起こした。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「これで決まって無ければ…」
もう駄目だ、立っているだけで精一杯だ。血と一緒に残された気力も流れ落ちてるみたいだ。
爆煙の先に人影が蹲っているのが見える。
突如として吹いた夜風が煙を晴らしてくれた。
ぼんやりとした視界で捕らえたアシュトンのシルエットに違和感を覚える。
(何かが違う…。いや、それよりも倒せたのか?)
しかし、どうやら俺の願いはさっき叶えて貰った分で受付が終了したらしい。
フラリと立ち上がるその姿が見えた。でもおかしい。さっきより小さく見える。

完全に晴れた視界のおかげで漸くその違和感の正体に気付いた。
背中の龍がいないのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
突然叫び声を上げたアシュトンが続けて、ものすごい形相で俺を睨んできた。
「殺してやる! 次に会った時は必ず殺してやるっ! 二人が受けた苦痛を何倍にして味合わせてから殺してやるからなっ!!」
怨念の様なものを込めながら呟くアシュトンを中心に霧が発生したかと思うと、ややあってから霧が晴れた。
その時にはあいつはこの場から姿を消していた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

(なんとか追っ払えたみたいだな…)
チェスターが張り詰めていた緊張を解いた瞬間、急に膝がガクリと崩れ落ちた。
前のめりに倒れる彼を受け止めたのは硬い地面の感触ではなく、
何か別のやわらかい、擬音で例えるならフニャンといった感触だった。
「だっ、大丈夫ですか?」
意識を失いかけていたチェスターはその呼びかけで瞼を再び開けた。
その彼の目に飛び込んできたのは
(特盛りっ!)
何が特盛りなのかは敢えて説明するまでも無い。
「ごっ、ごめん! 大丈夫、大丈…」
慌てて飛び退いたものだからまたしてもグラリときてしまう。
再び倒れようとするチェスターを受け止めようとしたソフィアだったが、
散らばった瓦礫に躓いてしまい、チェスターを支えきる事は出来ず二人仲良く転倒してしまった。

「ホントッ、ごめん。もう大丈夫だから゛!」
意図せずソフィアを押し倒すような形になってしまったチェスター。
そんな彼の眼前に広がった光景は童顔巨乳美少女のあられもない姿。
激しい戦闘の末所々破けてしまっているストッキング。
チラリと白い下着が見える様に捲くれ上がったミニスカート。
そして、先ほど彼を受け止めた豊かな胸。
その周囲の布地はアシュトンの『ハリケーンスラッシュ』やら何やらを受けて白い肌や下着が見え隠れしている。
更に、チェスターは健全な17歳男子である。目を逸らそうとしてもどうしてもチラチラとそれらに目が行ってしまう。
そう、彼は将来的には仲間内から『スケベだいまおう』というありがたい称号を賜る身。
そんな彼の男としての悲しい性がそうさせるのであった。

(イカン鼻血が…)
そして、彼は昏倒した。
ただでさえ脇腹に穴が開いて血が足りない状況だというのに、余計なところからも出血してしまったのだから無理も無い。

チェスター・バークライト享年17歳出血多量にて死亡

【チェスター・バークライト死亡】


○●○●○●○●○●○●○●○●

(ここは…?)
俺はやけに眩しい所に寝転がっていた。
起き上がると鼻からツツーっと鼻血が垂れて来るのを感じ取ったので素早く袖で拭った。
(おかしい、さっきまで夜だったのに…。しかもさっきの女の子がいない)

「チェスターさん」
背後から聞き覚えのある声に呼びかけられた。俺は立ち上がって声の主の方に向き直った。
「お久しぶりです。お元気にしてましたか?」
そう言って礼儀正しい一礼と共に優しい笑顔を俺に向けたのは
「ミント? ミントじゃないか!?」
「はい」
そう、目の前にいるのはサラリと流れるような長い金髪と、聖母の様な微笑みを併せ持つ女の子。
どこからどう見てもあのミントだ。
そして、その横には栗色の髪をした小さな女の子が立っている。

その女の子は俺と目が合うと小さな会釈をしてきた。
俺はその会釈の返答として軽く微笑み返した後に、俺の中に湧き出た疑問をミントにぶつけた。
「どうして死んだミントが俺の前に? 待てよ? もしかして、俺死んじまったのか?」
錯乱する俺の質問に首を左右に振るミント。
「いいえ、チェスターさんはまだ生きていますよ。ただ、近くを通りかかるって話を伺ったものですから。一言挨拶を、と思いまして。
 それと、どうしてもあなたに会いたいという人を連れてきました」
そう言ってミントは俺の視界から外れるように横に移動した。
ミントの背後に隠れていた人物が俺の目の前に現れた。
見間違うはずも無い。アイツの姿がそこにはあった。
ピンク色の髪をポニーテールに纏め、その髪と同じ色をした瞳でいつも挑みかかるように睨んできたアイツだ。

「アーチェ!」
アーチェに歩み寄る。話したい事がいっぱいあった。沖木島では再会して直ぐクロードに殺されちまったから。
だけど急に現れるものだから何を話せばいいかわからなくなっちまった。
よく見るとアーチェは俯いて小刻みに震えている。
そうかそうか。俺と会えてお前も嬉しいのか。こういうところはやっぱりかわいいなと思ってしまう。

「アーチェ…」
ズドム!
呼びかけながら一歩踏み出した俺の顔面にアーチェの鉄拳が炸裂した。

2HIT! 3HIT!
「何よ! 何よ! ちょっとあの娘がかわいいからってデレデレしてっ!」

4HIT! 5HIT! 6HIT!
「そんなに大きいのがいいのか!? 大きいのがいいのかぁー!!」

7HIT 8HIT! 9HIT!
「このスケベだいまおう! チェスターなんかーっ!」
訳もわからず連打を浴びた俺はグロッキー状態。頭の周りをヒヨコ達がくるくると回っている。
「巨乳の角に頭をぶつけて死んじゃえー!!」
10HIT!

アーチェのアッパーカットが俺の顎にクリーンヒット。俺はマットの上に沈んだ。
「しばらくこっち来んな! 行こっ! すずちゃん! ミント!」
アーチェはそう叫び踵を返すと、ミントの傍らにいた少女を伴って光の中へと消えていった。
「あっ! 待って下さいアーチェさん。それではチェスターさんごきげんよう。クレスさんとクラースさんにも宜しくお伝え下さい」
(えっ!? ちょっとミント! この扱いは酷くないっすか?)

そうして俺は、この眩しい真っ白な世界の中で暗闇へと落ちていった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ってか、待てアーチェ! 巨乳に角なんてないぞ!!」
アーチェに向けて手を伸ばした俺の手は擬音にしてフニュンといった感触のモノを掴んだ。

【チェスター・バークライト生存確認】

次第に覚醒していく意識。今俺の右手に掴んでいるモノの正体を知覚するのに2秒程かかった。

どうやら俺はさっき助けた女の子に膝枕されている状態な様だ。
そして、伸ばした手は彼女の豊かな胸を下から持ち上げている様な格好になっていた。

「キャアッ!」「うわぁ、ごめん!」
慌ててその場から飛び退く俺。しまった。また急に動いちまったら。
「って、あれ? 傷が塞がっている」
「あの…、うなされていた様ですけど大丈夫ですか?」
胸を抱きかかえ、ちょっと涙目になりつつ上目遣いで俺に尋ねてきた。

(何だこれは? 反則だろ…)
「いや! もう! ホント大丈夫だから。それよりも君が傷を治してくれたのか?」
「はい。これを使って」
そう言って彼女はなにやら複雑な構造をした金属の塊を俺に見せてきた。
「もうエネルギーが切れちゃったから使えないけど、まだ痛みますか?」
傷はもう痛まない。服を捲くって確認してみたが綺麗に傷が塞がっている。
(どういった原理か判らないけど、きっとミントの法術を貯めこんでおける道具かなんかなんだろう。っとそれよりも)
「なぁ、君に聞きたい事があるんだ」
突然まじめな顔になった俺にこの娘も表情を強張らせる。
「君言ったよね。金髪の女の子を殺したって。アシュトンから君を守ったけど、事と次第によっては君を…」
殺す。そう続けようとしたが、どうしてもその続きは声に出せなかった。
命がけで守った娘だからだろうか。それとも、ずっとそばにいる長髪の男を守りながら戦っていた姿を見た所為だろうか。
不思議とこの娘が理由も無くあんな惨い殺し方をする訳が無いという確信があった。

少女は目を伏せポツポツと言葉を紡いでいく。
「多分あなたが言っている女の子は私達との戦いで負った傷が原因で亡くなったんだと思います。
 でも、そうするしかなかったんです。でなければ私達は皆あの子に殺されていた…」
「ちょっと待ってくれ! あの女の子に? だって君達はそこの男の人と、
 もう一人の金髪の男の人も含めて3人もいるじゃないか! それがあの子一人に?」
「そうだ! クリフさん! あの人はとても強いからきっと大丈夫だとは思うけれど、やっぱり心配。助けに行かなくちゃ」

そう言ってこの女の子は横たわる男を背負おうとして
「キャッ!」
つぶれた。
「おいおい、大丈夫か? 君の体格でそいつをおぶってくなんて無理だ。
 それよりもさっきの続きを聞かせてくれ。納得できたら俺も手を貸すから」

男の下敷きになったこの娘を引っ張り出して、服についたホコリを払ってやった。
別にセクハラ目的とかそんなんじゃないんだからな。勘違いすんなよ。
「すみません。ありがとうございます。それでは続きですけれど…」
こうして彼女は自分達と金髪の少女との間に何があったのかを俺に話してくれた。

【D-5/深夜】
【ソフィア・エスティード】[MP残量:10%]
[状態:疲労中]
[装備:クラップロッド、フェアリィリング、アクアリング、ミュリンの指輪のネックレス@VP2]
[道具:ドラゴンオーブ、魔剣グラム@VP、レザードのメモ、荷物一式]
[行動方針:ルシファーを打倒。そのためにも仲間を集める]
[思考1:レナス@ルーファスを守る]
[思考2:クリフと合流する]
[思考3:フェイトを探す]
[思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流]
[思考5:自分の知り合いを探す]
[思考6:ブレアに会って、事の詳細を聞きたい]
[思考7:レザードを警戒]
[思考8:チェスターを信頼]

[備考1:ルーファスの遺言からドラゴンオーブが重要なものだと考えています]
[備考2:ヒールユニット@SO3を消費しました]

【チェスター・バークライト】[MP残量:50%]
[状態:クロードに対する憎悪、肉体的・精神的疲労(中程度)]
[装備:光弓シルヴァン・ボウ@VP、矢×15本、パラライチェック@SO2]
[道具:チサトのメモ、アーチェのホウキ、レーザーウェポン@SO3、荷物一式]
[行動方針:力の無い者を守る(子供最優先)]
[思考1:クロードを見つけ出し、絶対に復讐する]
[思考2:このままソフィアについて行く]

[備考1:チサトのメモにはまだ目を通してません]
[備考2:クレスに対して感じていた劣等感や無力感などはソフィアを守り抜けた事で無くなりました]
[備考3:スーパーボールを消費しました]
[備考4:レーザーウェポンを回収しました]

【レナス・ヴァルキュリア@ルーファス】[MP残量:40%]
[状態:ルーファスの身体、気絶、疲労中]
[装備:連弓ダブルクロス、矢×27本]
[道具:なし]
[行動方針:大切な人達と自分の世界に還るために行動する]
[思考1:???]
[思考2:ルシオの保護]
[思考3:ソフィア、クリフ、レザードと共に行動(但しレザードは警戒)]
[思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流]
[思考5:協力してくれる人物を探す]
[思考6:できる限り殺し合いは避ける。ただ相手がゲームに乗っているようなら殺す]
[備考1:ルーファスの記憶と技術を少し、引き継いでいます]
[備考2:ルーファスの意識はほとんどありません]
[備考3:半日以内にレナスの意識で目を覚まします]

[現在位置:D-5東部]

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「一体何が起きたっていうんだ?」
E-4を北東方向に突っ切ろうとしていたクロードが、目的地の確認をしようと探知機にスイッチを入れた時だった。
そこに表示されていたのは五つ集まっていた反応の内二つが北西に移動していた。
そしてそれを追う様にして少し離れた位置にあった光点も移動している。
他の三つの光点は位置を変えていない事から何かあった事は明確であった。
それを確認したのが一時間位前の出来事。

そしてD-5に足を踏み入れたので、再確認の為に探知機を起動したクロードは目的地に更なる変化が訪れている事に気が付いた。
「近くに誰かいる?」
目的地としていた三つの反応があった場所には現在二つしか反応が無かった。
そして、おそらくさっきまでその地点にいたと思われる反応が自分の直ぐ近くにあるのだ。
(何があったのかを聞かなくちゃ)
探知機の反応を頼りに周辺を探すクロード。
「この辺りの筈なんだけれど…。うわっ!」
夜の暗闇の所為で足元にあった何かに躓いてしまった。
やけに重たい感触だったのだが、今のは一体なんだろうと振り向いたクロードは驚いた。
「ちょっ!? 君大丈夫? って、アシュトンじゃないか!? しっかりしろアシュトン!」
アシュトンを助け起こし、肩を揺さぶる。
「うっ、クロード?」
目を開けたアシュトンと目が合った。何故倒れていたのか? とか、平瀬村に向かったんじゃないのか? 等の疑問が浮かんだが、
まず最初にクロードはアシュトンの体の変化について尋ねた。
「アシュトン。ギョロとウルルンはどうした?」
二人の名を呼ばれたアシュトンその身を強張らせる。
「…。あいつらが…」
今までクロードが見たことも無い暗い怒りを秘めた表情のアシュトンが先程の戦いで起きた出来事を語り始めた。

「…」
アシュトンの語った内容を聞き終えたクロードは言葉を失った。
「僕行かなくちゃ…」
フラリと立ち上がったアシュトンを慌ててクロードが止める。
「行かなくちゃってどこに? そんな体でどうするつもりなんだよ?」
「決まってるじゃないか、二人の敵討ちだよ。僕はあいつらが許せないんだよ。僕から大切な友達を奪っていったあいつらが。
 あの時は二人が逃げろって言ったから逃げてきたけどさ、このままだとあいつらがどこかに行ってしまうからね。
 少し休んで疲れも取れたから大丈夫だよ」
「アシュトン、君がどれだけ悲しいのかはよくわかるよ。でもね、敵討ちなんかしてもあの二人は生き返らないんだよ」
(そう、ここで死んでしまった皆も…)
「そんな事はわかってるよ! でもあの二人の為に何かして上げられる事がこれ位しかないんだ!
 だから僕は行くよ。クロードが止めたって無駄だからね」
それを聞いたクロードは少し悲しげな顔をした。
(あの温厚なアシュトンがこんなにも憎しみに囚われてしまうなんて…。
 それにねアシュトン。ギョロとウルルンが命がけで守ろうとした君に対して望む事は、敵討ちとかそんな事じゃなくて、
 二人はなにがあろうと君に生き抜いて欲しいって思っているんじゃないのかな?)
そう口に出そうとしたがクロードはやめておいた。
今の彼にはきっと何を言っても心に届かない。そう判断したのだ。
だから変わりに
「わかった。僕も行くよ。敵討ちを認めることは出来ないけど、そんな危険な連中を野放しにするなんて出来ない」
アシュトンに対して同行を求めた。
こんなにも危うい状態の友人を放っておくなんて事は彼には出来なかったし、
近くにいればアシュトンの無茶を止める事が出来るかもしれないと思ったからだ。
「そう…。じゃあついて来て、こっちだよ」
アシュトンは剣を掴んで虚ろな眼をしながら北の方向へと歩みだした。
クロードも荷物を纏めてアシュトンの後について行く。
これが良くない兆候だとはわかってはいたものの、今のクロードにはどうする事も出来なかった。

【D-5/黎明】
【クロード・C・ケニー】[MP残量:100%]
[状態:右肩に裂傷(応急処置済み、大分楽になった)背中に浅い裂傷(応急処置済み)、左脇腹に裂傷(多少回復)]
[装備:エターナルスフィア@SO2+エネミー・サーチ@VP、スターガード]
[道具:昂魔の鏡@VP、首輪探知機、荷物一式×2(水残り僅か)]
[行動方針:仲間を探し集めルシファーを倒す]
[思考1:アシュトンと共に行動]
[思考2:プリシスを探し、誤解を解いてアシュトンは味方だと分かってもらう。他にもアシュトンを誤解している人間がいたら説得する]
[思考3:レザードを倒す、その為の仲間も集めたい]
[思考4:ブレア、ロキとも鎌石村で合流]
[備考1:昂魔の鏡の効果は、説明書の文字が読めないため知りません]
[備考2:アシュトンの説明によりソフィアとチェスターは殺し合いに乗っていると思っています]


【アシュトン・アンカース】[MP残量:60%(最大130%)]
[状態:疲労中、激しい怒り、体のところどころに傷・左腕に軽い火傷・右腕打撲・ギョロ、ウルルン消滅]
[装備:アヴクール、ルナタブレット、マジックミスト]
[道具:無稼働銃、物質透化ユニット、首輪×3、荷物一式×2]
[行動方針:第4回放送頃に鎌石村でクロード・プリシスに再会し、プリシスの1番になってからプリシスを優勝させる]
[思考1:チェスターとソフィアを殺してギョロとウルルンの仇を討つ]
[思考2:プリシスのためになると思う事を最優先で行う]
[思考3:ボーマンを利用して首輪を集める]
[思考4:プリシスが悲しまないようにクロードが殺人鬼という誤解は解いておきたい]
[備考1:ギョロとウルルンを殺された怒りが原因で一時的に思考1しか考えられなくなっています]
[思考2:イグニートソード@SO3は破損しました]

[現在位置:D-5南西部]

【残り21人+α】




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第118話(前編) ソフィア 第120話
第118話(前編) レナス@ルーファス 第120話
第118話(前編) クロード 第120話
第118話(前編) アシュトン 第120話
第118話(前編) アーチェ 第134話
第118話(前編) ミント 第134話
第118話(前編) すず 第134話
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