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第120話 Stairway To Heaven(前編)


現在フェイトとブラムスの乗るデッキブラシは、E-04エリアの森の中まで到達していた。
このデッキブラシは、本来なら最大で使用者の2倍の速度を出せるのだが、今の彼等の飛行速度は決して速くない。
これまでの道程では、障害物の無い道路や川沿いを移動してきたので全速で飛ぶ事が出来たのだが、
E-04に進入する少し前から進路上には道路も川も無くなり、代わりに待っていたのは樹木の群がり生えている、この森だ。
徐々に多くなる樹々に進路を遮られ始め、どうしても速度を落として飛ばざるを得なかったのだ。
フェイトは今、思うように進めない現状に気が逸っていた。

(くそっ!これじゃあ……走った方が速いんじゃないのか?)

フェイトのこの感覚は間違っていなかった。
操縦者の倍の速度で飛ぶ事の出来るデッキブラシが、走る事よりも遅いなどという事は本来ならば有り得ない。
だが、そもそもこのような空飛ぶブラシなどは、フェイトも初めて操るのだ。
いくら運動神経抜群のフェイトだからといって、ブラシの操縦に慣れていない彼に
“障害物を正確に精密に避け、尚且つ、速度とバランスを保って飛ぶ”などという事を求めるのは酷というものであろう。

(だけどこの足じゃ走れるわけがない!……くそっ!)

かと言って、万全の状態ならまだしも、今のフェイトの足ではとても走る事は出来ない。
焦りの気持ちだけがフェイトの心に蓄積していき、やがてその焦燥は、フェイトに1つの決断をさせた。

「こうなったら……ブラムスさん。降りてくれませんか?」
「何?」
「多分この森の中じゃあブラシで進むよりも走った方が速いと思います。
 でもこの足じゃ僕は走れない!ブラムスさん、先に行ってソフィアを探して下さい!」
「それは出来ん」
ブラムスは即座に返答した。
「?!……何でですか!?」
「この周辺にはロキが居るやもしれぬ。いや、ロキでなくとも殺戮に興じる輩が居ないとは限らぬ。
 この島からの脱出の鍵となるお前を置いていき、それが元で死なれては、ソフィアを護りに行く意味も無くなるであろう?」
「それはそうかもしれませんけど!……でも、ここで……え?」

フェイトが反論しようとした時、ブラシが軽くなった。ブラムスがブラシを降りたのだ。
その事に気付いたフェイトは慌てて速度を落として停止し、後ろを振り向いた。

「ブラムスさん?」
「だが、お前の言うように急がねばならぬのも事実。ソフィアに死なれてもまた脱出する事が困難になるのだからな」
「……それじゃあ……どうするんですか?」
「うむ」

ブラムスが頷いたと思った次の瞬間、ブラムスの身体がフェイトの視界から消えた。
ブラムスは素早くフェイトに迫り、背後に回り込んだのだ。
「え!?」
ブラムスの右腕がフェイトの下半身を捉え、抵抗する暇も与えられず、フェイトはブラシごと抱きかかえられた。

いわゆるお姫様だっこの形だ。

「ちょ……!?ブ、ブラムスさん!?」
「フェイト。お前が走るのもブラシで進むのも時間を取られる。だとすればこれしか方法は有るまい」
ブラムスの出した結論。それはフェイトを抱えて自ら走る事だった。体力の温存を気にしている場合ではない。
「これって……いや……せ、せめて背負う方で――」
フェイトは妥協案を提示してみたが、
「行くぞ!」
考える素振も見せず、ブラムスは猛スピードで走り出した。全く無駄の無い動きで樹々の間を通り抜けていく。
確かに、この林の中をブラシで進むよりも圧倒的に速かった。
(速っ……大丈夫なの…わっ!今何か頭掠めたんだけど……)
ブラムスの走る速度に少々危険を感じたフェイトは身を縮こませた。
それは、よりブラムスに抱きつく事になるのだが、
その事にはフェイト本人は気付いていないのが幸いだったと言える……のだろうか?




ふむ……フェイトは一体何を不満そうにしているのだ?
これほど合理的な移動手段はこの場において他には有るまいて。
……人間の考える事は時に不合理、不条理であるという事か。
そのような思考、なかなか懐かしいものではあるがな。


しかし、先程の放送……
フレイ、アリーシャに続き、ルーファス、アリューゼ、レナスまでもがこの地に沈むか……

アリューゼ。我もあの人間の魂には数百年前から期待していたのだがな。
奴はオーディンの配下にしておくのはあまりにも惜しい。
機会が有るならば次は是非とも我が配下に加えたいものよ。
奴ならば、『公』の爵位を与えるに相応しい魂の持ち主。素晴らしい不死者となるであろう。
うむ、もしも奴が不死者公爵となる暁には、この『ナミヘーノカツラ』を与えてやるのも良いかもしれぬ。

アリーシャにルーファス。
奴等はディパンで我と別れた後、ユグドラシルにてオーディンに抹殺された、そうアーリィとアリューゼから聞いていたが……
数百年前に魂すら消滅した筈の2人とは少し話をしてみたくもあったがな。
シルメリアへの良い土産話となったであろうに。

シルメリアの器……アリーシャ……
オーディンの器……ルーファス……ハーフエルフ、か。

神の器であるハーフエルフ、ルーファスの死……

神であるレナス・ヴァルキュリアの死……

そしてレザード・ヴァレスとソフィア・エスティード……2人の魔導師……

……換魂の法……?まさかな……

……いや、レザードのレナスに対する執着は並々ならぬ物が感じられた。
ルーファスとレナス達が出会っているならば或いは……





ふむ……まあ今考える事でも無い。
今は、時間が無い。兎に角急がねばならぬ。まずはE-05を探索…………む?



クン…………クン…………



これは、血の香り?




一歩間違えれば確実に激突死するであろう過酷な障害物レース。
何の装備も無い生身で、そしてこのような不安定な体勢では1度も体験した事の無い、強烈なGとストップ&ゴー。
命の保証は、可愛らしい衣装から不気味に生えている筋骨粒々の腕×2本のみ。
いつ終わるともしれないフェイトの恐怖のライディングは、唐突な急ブレーキでピットインに入った。

「うわぁっ!……っくく……っと……どうしたんですか!ブラムスさん?」

慣性の法則で身体が宙に投げ出されそうになるのを必死で堪え、
――実際には腕×2本のお陰で投げ出される事は無いのだが――
フェイトは急ブレーキの理由を尋ねた。

「途中で血の香りを感じた故、もしやと思い少々進路を変更したが……レナス達ではなかったようだな」
「はい?……え!?」
ブラムスの視線を追うと、横たわっている1人の人間が居た。
「おい、君!大丈夫かい!」
フェイトは左足を庇いながら飛び降り、その人物に近付いた。
金色で長い髪。どうやら少女のようだが――

「ッ!」「その者は既に事切れている」

ブラムスの発言とほぼ同時に、フェイトも気付いた。
何故一目で気付かなかったのかフェイト自身が理解に苦しむ程に、少女の身体は血溜まりに沈んでおり赤黒く染まっている。

「……こんな……こんな女の子を……こんな……残酷に……ッ!!」

この島では初めて見る事になった、戦闘になど全く縁の無さそうな人物の死体。
それは、フェイトにエリクールで出会った花売りの女の子を連想させた。
シーハーツとアーリグリフの戦争で、直接的ではないが犠牲となった、アミーナの事を。アミーナの死に際を。
そして連鎖的に、アミーナと瓜二つの顔を持つ幼馴染の事を思い出し、
アミーナの死体とこの少女の死体のイメージがソフィアに重なった。

(ッ!駄目だ駄目だ!そんな事考えるな!……そうだ、ソフィア!今は……急がないと……)

最悪のイメージを頭を振って振り払うフェイトに、
「フェイト」
ブラムスが声を掛けた。

「その少女……少なくとも4、5人の参加者と遭遇しているようだ」
「!?……どうしてそんな事が分かるんです!?」
「その少女には数人分の血が付着している事が、臭いで分かる。
 どうやら北東の方角からここまで辿り着いたようだが……」

ブラムスは地面に視線を落としながら言った。フェイトも地面を見て、ようやく気付いた。
血溜まり同様に赤黒く変色していた為、この暗闇では見つけ辛かったが、
明らかにこの少女の流してきたものだと思われる血痕が、この場所から北東に伸びている。

「ここから北東ってソフィア達の居た観音堂の方……じゃあ、もしかしたら?」
「方角以外に共通項は無いがな」

手掛かりと言うにはあまりにも関連性が薄すぎるが、他には何の当ても無いのも事実。
“藁にもすがる思い”そんな言葉が脳裏をよぎった。

「行きましょう、ブラムスさん」
ブラムスは黙って頷き、再びフェイトを抱きかかえる為に一歩、歩み寄る。が、
「あ、ちょっと待って下さい」
フェイトは一言断りを入れ、少女の死体に向き直した。

見ず知らずの他人の死に、自らの心を痛められる程に優しく、純粋な心を持つフェイト。
エリクールでは、戦争の犠牲になった人達の墓作りに進んで協力した事も有った。
この少女も出来る事なら弔ってやりたい。だが、今はあの時のように墓を作っている時間は無いのだ。
だからせめて――

(ごめん。君を……助けてあげる事も、弔ってあげる事も出来なくて。
 でも、こんなところに無理矢理連れて来られた君の仇は必ず取るよ。必ずルシファーを倒してみせる!
 だから今は……ここに……置いて行く事を……野晒しにしていく事を、許してほしい。……本当に、ごめん)

フェイトは目を瞑り、名前も知らない少女の為に、しばらく祈った。





「じゃあブラムスさん。行きましょう」
「うむ」
黙祷を終えたフェイトは再びブラムスに抱えられ……この移動手段が当たり前に思っている自身に気付き、やや落ち込んだ。
もう少し他の方法は無いものだろうかとも考えてみたが、
フェイトの格好悪さを除けばこれ以上合理的な移動手段が思いつかない為、口も出せないでいるのだ。

(この森さえ抜けられればブラシが使えるんだけど……しばらく抜けられ――うわっ!)

2ラップ目がスタートした。


☆  ★  ☆


森の中に不自然に存在する荒野。
その区域には月明かりを遮るような物はなく、場に有る全てをさらけ出していた。
ボーマンとレザードが目的のその場所に到着した時、
最初に目に飛び込んで来たのは男女が仲良く座って何やら話し込んでいる、何とも無防備な姿だった。

「あれは……チェスターと……ソフィアだよな?」
確信はしているが思わず問いかける。
「生憎私はこの距離から他人の顔を判別する事を苦手としておりまして」
「……そりゃ『近眼で見えません』って事だろ?何でそう回りくどく……まあ良い。
 ……で、こいつはまたどういう状況なんだ?」
ボーマンは、当然の疑問を口にした。
彼の予想では、戦闘はとっくにアシュトンの勝利で終わっているか、百歩譲っても未だ戦闘中か、だったのだ。
それが現状は、何故かアシュトンは居らず、チェスターはソフィアとお喋り中。一体何が起きたと言うのだろうか。

「ふむ……彼がチェスターなんですね?
 ……おそらくチェスターはアシュトンがゲームに乗っている事に気付き、ソフィアの側に付いたのでしょうね」
「はあ?……冗談だろ?」
「チェスターは見ず知らずの少女の死体を見て、復讐心を燃やす程に正義感の強い人物なのでしょう?
 ならば無力そうな少女であるソフィアを護る方向に心が動いたとしても何ら不思議は有りません」
「ちょっと待てよ。じゃあアシュトンはどうしたって言うんだ?」
「チェスターがソフィアに付いた事で状況が不利になり、逃走した、といったところでしょうか?」
「……マジかよ……」

(おいおい!ふざけんじゃねえぞ、あいつら!仲間割れだと?後にしろ、後に!)
レザードの推測した展開は、今のボーマンには最悪の展開だった。
ボーマンの計画では、いざとなればアシュトン、チェスター、そして自分の3人がかりでレザードを殺す予定だったのだ。
彼等と合流すればいつでもレザードを殺せる状況になる。
それがレザードとの取引に対するボーマンの優位性であり、自身の命の保障でもあった。
だが今、その仲間2人が仲間割れを起こしてしまっては、その優位性も保障も、儚く消え去ってしまっていた。

(どうしろってんだよ!くそッ!……チェスター……ここまで使えねえのか。
 ……やっぱり、とっとと殺しとくべきだったな……)

結局チェスターは、彼の持つアイテム以外には何の役にも立たなかった事になる。
いや、役に立たないどころではない。大いにボーマンの足を引っ張ってくれた。

「……じゃあよ、アシュトンは何処行ったって言うんだ?」
ボーマンはアシュトンの行方を気にした。レザードを殺す場合を考えれば、せめてアシュトンとは合流しておきたい。
「ふっ、逃走先まで私に分かる筈もないでしょう?
 言えるとしたら精々“貴方を追って行った可能性が有る”程度の事ですね」

(分かる筈もない……まあ、そりゃそうだよな。
 だが、確かに俺を追って行ったってセンは説得力が有る。じゃあ北の方――)

「ですが、今はアシュトンよりこちらの取引を優先して頂きますよ?
 ここから観察していて、彼等の大体の状況は推測出来ました。
 既に彼等の間で和解が成立しているのなら、我々が一緒に居る説明も楽になります。行きますよ、ボーマン」
「お……おお。そうだな……」

(――だ、だよな。どうやらアシュトンを探す事も出来そうにねえって事か。
 やれやれ、予定狂い過ぎだろ。……マジで……どうするかな?)

「ところで、その前に1つ御相談が有るのですが……」
「相談?……今度は何だよ?」
「ソフィアを護ろうとしているのならば、チェスターも些か邪魔な存在です。
 場合によっては彼の殺害も検討したいのですが、如何です?」
「チェスターを殺す?……まあ、別に良いけどよ、あいつの分の道具は俺がもらうぜ?」
「結構です。ですが、場合によっては、ですよ?そこのところはお忘れなく」
「ああ。分かってるよ」


☆  ★  ☆


突然森の中から2つの影がチェスター達に向かって飛び出してきた。
「きゃっ!?」「な、何だっ!?」
チェスターとソフィアの2人は心臓の立てる派手な鼓動と共にその方向を振り向き、狼狽しながらも立ち上がった。
2人の人間がまっすぐに走り込んで来ている。
「ちぃっ!」
考える間も無く反射的にチェスターが弓を構えようとしたその時、ソフィアが叫んだ。

「待って下さい!!私達は殺し合いに…………レザード……さん!?……と……?」

(レザード?)
ソフィアの言葉を聞き、チェスターは構えかけていた弓を止めた。
レザードとはソフィアの話に出てきていた名前だ。
「レザードって、どっちが……」
黒マントの男と青い髪の男。走り込んでくる2人を交互に見ていて気付いた。
「って、ボーマンさん!?」
白衣を着ておらず、髪が青くなっているので一瞬気付かなかったが、確かにボーマンだ。ならば黒マントの男がレザードか。
「な、何でボーマンさんがレザードって奴と一緒に居るんだ?えと……ソフィアの仲間と一緒に居るって事は……」
疲労で頭の回転がやや鈍っている。
戸惑い呟くチェスターに向かって、ボーマンが走りながら叫んだ。

「チェスター!お前何してんだ!」

(な、何がだ!?)
チェスターは何の事を言われているのかさっぱり理解出来なかった。
特に変な事はした覚えは何も無い。とりあえずチェスターは思ったまま、聞き返す。

「な、何がだよ!?」
「そんな目立つ所に居たらやる気になってる奴の格好の的になるだろうが!すぐ森ん中まで移動するぞ!」
「?!」

言われて初めて気が付いた。自分達の居る場所は、森側から見れば丸見えの場所だったのだ。
ソフィアを護りきれた安堵感と満足感、そしてアシュトンとの戦闘のダメージと疲労から、
周囲の状況に気を配る事を完全に忘れていた。
「そ、そうか!そうだよ、何やってんだ俺は!
 ソフィア、とりあえず荷物をまとめてここから移動だ!
 ボーマンさんも誤解は解けてる……(んだよな?)……みたいだし」
「は、はい」
チェスターは慌ててソフィアに声を掛け、
アシュトンとの戦いで散らばってしまっていたソフィアの荷物を片付け始めた。
2人が荷物を拾っているところへボーマンが近付いてきた。

「色々と聞きたい事も話す事も有るけどな、話は移動してからだ。
 ……ソフィアって言ったよな?さっきは知らない事とは言え、すまなかった。
 もう少しで取り返しのつかない事をするとこだった」

予期していなかったボーマンの謝罪の言葉にソフィアは戸惑っていたが、
彼女は別に怒ってなどいない。寧ろ、誤解が解けた事を喜ぶ筈だ。

「いえ……始めにちゃんと話せなかった私も悪かったんです。
 ……あ、あの、ボーマン……さん?クリフさんはどうしたんですか?」

ソフィアは少々不安そうに質問する。万が一の事を考えているのだろう。
そんなソフィアを見て、ボーマンは口元を上げて言った。

「あいつも無事だから安心しな」
「本当ですか!」
クリフの無事を聞かされ、ソフィアの顔にも自然と笑顔が浮かぶ。
「ああ。詳しい話は後でするが、クリフは鎌石村の役場に仲間を助けに行ったぜ」
「……鎌石村の…………そう、ですか……」
そしてすぐ、悲しげな表情を浮かべた。
「え?どうしたんだ、ソフィア?クリフって奴も無事で良かったじゃないか」
「……いえ、何でもないんです」
「そ、そうか?……それにしてもボーマンさん、その格好は……?」
チェスターは間近に寄って来たボーマンを見て驚いていた。ボーマンは、ただ白衣を着ていないだけではない。
ベストやシャツは焼け焦げて広範囲に渡って穴が開いているし、良く見ると顔面にも火傷の後が残っている。
想像以上に激しくやりあったようだ。尤もチェスターが1番気になっているのは髪型の変化だったが。

「ああ。クリフとの戦いでちょっとな。
 ……あいつが来てくれなかったら俺達はどちらかが死ぬまで戦ってただろうな」
「あいつ?あいつって……レザードの事か……?」

チェスターは、ふとレザードを見る。
彼は未だ目覚めないルーファス、いや、レナスか。その側に真直ぐに駆け寄り、様子を窺っていた。
レナスの容体を診ている(らしい)彼の表情を見たチェスターは、何故か唐突に嫌悪感と寒気を感じた。
その表情は、ただ穏やかに微笑んでいるだけなのだが。

レザード・ヴァレス。
ソフィアの話では、強敵との戦闘でソフィア達を置いて自分だけ逃げ出した男。
いや、正確には逃げ出したのではなく、レナスを甦らせる為に選択した行動だったようだが、
それでもソフィア達を連れて逃げる事だって出来た筈だろう。
力の無いソフィアのような者、チェスターにしてみれば護るべき対象である者を置き去りにするような男に対して、
チェスターは決して良い印象は持っていなかった。この男に嫌悪感を覚えるのはその先入観のせいだろうか。

チェスターが眺めていると、視線を感じたのかレザードは振り返り、視線が合ったチェスターに一礼した。

「失礼、挨拶が遅れました。私の名はレザード・ヴァレス。貴方がチェスター殿ですね?
 話はボーマンとクリフから伺っております。そちらも誤解が解けたようで何よりです」

レザードが紳士的に話しかけてきた。だがやはり、先入観のせいだろうか、この男の笑みは何か気に入らない。
チェスターは一言、ああ、と愛想の無い返事を返した。

「ですが、このような開けた場所に留まっていたのは大変宜しくない。
 もしも私がその気でしたら森の中からでも貴方の命を奪う事が出来ましたよ?」
「ああ!?何だとッ!?」

癇にさわった。
このような嫌味や皮肉はチェスターの仲間であるクラースも度々口にするのだが、レザードのは癇にさわった。
クラースとは違い、レザードのそれには不快な何かが含まれている。
どうやらレザードが気に入らないのは先入観のせいではなく、直感によるもののようだ。いや、両方かもしれない。

「怒るなチェスター。レザードが言いたいのは、
 ここに来たのが俺たちじゃなかったら死んでてもおかしくないんだぜって事だ。それは事実だろ?」
「くっ……そうだけどよ……」

チェスターが気に入らないのは事実を指摘された事ではなく、レザードから感じられる何かの方だ。
そう反論しようとしたその時、

「終わりました!」

ソフィアが荷物をまとめ終えたようだった。3人はソフィアの方を振り向いた。

「では、まずは森の中へ移動しますよ。そこで簡単に情報交換を行いましょう。
 チェスター、彼を運ぶのに協力して下さい。ボーマンは念の為、先行して森の中に危険が無いか確認を」
「おう」
ボーマンは1人、先に森へと移動した。
「では我々も行きますよ。チェスター、お願いします」
レザードは既にレナスの右腕を自身の肩に掛けている。
レザードは気に入らないし、レザードに対する文句も有耶無耶(うやむや)になったが、蒸し返している状況でもない。
舌打ちで返事を返すと、チェスターもレナスの反対側の腕をレザード同様に肩に掛け、森へと移動を始めた。

少し歩いたところで、ふと、ソフィアがついて来ていない事に気が付いたチェスターは後ろを振り向いた。
ソフィアは先程の場所から移動しておらず、何故か不安そうな顔付きでレザードを見ている。
「ソフィア?」
「あ……はい」
チェスターが声を掛けると、ようやくソフィアも移動を始める。
不安そうな顔付きを変えないまま。



森に入り数十m程の場所でボーマンが戻ってきた。
「特に異常はねえな。誰かが居る気配も無いぜ」
「そうですか。ではこの辺りで良いでしょう」
レザードが足を止めたので、自然とチェスターも足を止める事となった。
「この辺りって……そんなに移動してないじゃないか」
「先程までの様な目立つ場所を避けられれば問題有りません。とりあえず彼を降ろしますよ」
そう言って、レザードはレナスをゆっくりと地面に横たわらせた。

「私とボーマンはある程度の情報交換を行っています。
 ですからソフィア、チェスター。出来れば2人から先に話をして頂きたいのですが宜しいですか?」
「……はい、分かりました」
「……ああ。別に良いぜ」
「ありがとうございます。
 では、まずはソフィア。私が離脱した後の金龍との戦いで何があったのか、
 そしてクリフとボーマンが去った後にここで何が起きたのかを話して下さい。
 チェスターはソフィアの話の補足、それからこの島での今までの経緯を教えて頂きたい」

4人は円状になり、腰を下ろした。




“どうやらアシュトンとの合流は止めた方が良さそうだ”

これがチェスターの話を聞き終えた俺の率直な意見だった。
アシュトンはチェスター、ソフィアとの戦闘で負けて逃げ出した。これはまあ仕方ない。
紋章術師だけならともかく弓使いまで相手にするんじゃあ、剣士1人だと確かに厳しいかもしれねえしな。
だが、逃げ出したアシュトンからは背中の龍が消えていた、だと?
ギョロとウルルンが消滅したアシュトン?
『ギョロ』と『ウルルン』が『消滅』したアシュトン?
そんなアシュトンどれだけ戦闘力が落ちるのか分かったもんじゃねえ。
それじゃ合流したところで、レザードを殺すには力不足も良いところだろ。
囮くらいになら使えなくもなさそうだが……今のこの状況でまたアシュトンと組むってのも難しそうだし、
それよりはこのままレザードと組んでるのも悪くない気がしてきたな。……まあ、いずれは殺すがな。

……しかしチェスター……やってくれるぜ。
本当にこいつはどこまで俺の予定を狂わせてくれるんだ?全く……




消滅した筈のルーファスの魂が発現していた……そのような事が起こり得るとはにわかには信じ難いが、
ヴァルキュリアではなくルーファスがソフィアを助けに向かったと言うなら、疑問に感じていた『あの事』にも説明がつく。

金龍との再戦に臨むヴァルキュリアが、私の荷物から『剣』ではなく『弓』を持ち出していた事に違和感を感じていた。
ヴァルキュリアの弓技は確かに素晴らしいが、剣技はそれを遥かに凌駕する。
ソフィアを護る為(愚かな事だが)とは言え一度は敗北した相手、金龍。
その金龍との戦いに何故己の尤も得意とする武器で挑まなかったのかと疑問だったのだが、
『持ち出したのはヴァルキュリアではなくルーファスだった』
分かってみればそれだけの事だったのだ。

この、ルーファスの魂の発現という事実が物語る事……実に興味深い!
ドラゴンオーブの力とは消滅した魂でさえも発現させる事が可能なのだ!
ならばやはり、再構築中のヴァルキュリアの魂でも覚醒させる事が出来る筈。
魂の再構築が完了する半日の時(後7~8時間程か?)を待たずとも良い。
オーブさえ有ればヴァルキュリアの復活は今すぐにでも可能という事になる!!
だが、今はその時では無い。今はまだ、ソフィアが居る。
ヴァルキュリアを覚醒させる時機は、ヴァルキュリアとソフィアを離れさせた後、もしくはソフィア殺害後が好ましいのだ。
再びヴァルキュリアにソフィアを護る為に動かれ命を落とされては、私のこれまでの行動が無意味に終わる事となるのだからな。

……しかし……ソフィアの話には2つ、気になる点が有る。
まず、何故ソフィアはドラゴンオーブに関しては一切触れなかった?
ルーファスが私の荷物からドラゴンオーブを持ち出したという事は、彼はドラゴンオーブの力、重要性を理解していた筈。
オーブはまず間違いなくルーファスからソフィアに受け渡されているのだろうが、
その力を知っていながら何の説明も無くオーブを受け渡すなど、有り得る事ではない。
ソフィアはルーファスから何らかの助言、忠告を受けている筈なのだが、何故その事を私に話さない?

もう1つ。
D-05西部に埋めたルーファスが、何故この場所で戦闘していたソフィアの危機を知り、駆けつける事が出来た?
ルーファスが意識を取り戻した状況から、私がヴァルキュリアの魂をルーファスの肉体に移し変えた事は推測出来よう。
ソフィアの聞いた話からすれば、ルーファスには自身の肉体が『神の器』である自覚は有った様子だからな。
そして、ソフィアを護っていたヴァルキュリアの死体が側に有った事から、ソフィアが危機に陥っていた事も推測出来ただろう。
だが、何処でソフィア達が戦闘しているかまでは推測出来る筈も無い。偶然駆けつけた、と言うのは出来過ぎている。
戦闘が行われている場所を特定していたとしか思えないが、どのように特定したと言うのだ?
考えられる事としては…………まさか、ヴァルキュリアの魂の記憶で?記憶を共有しているのか……?
本来ならば有り得ない事だが……そもそもルーファスの魂が発現した事が既に不可思議な事象。
『本来ならば』などと考える事自体、この状況ではそぐわない……か。

……記憶を共有していたとするなら、ソフィアが私にドラゴンオーブに関して説明しなかった事も理解出来る。
おそらくは、ヴァルキュリアの記憶から私の事を知ったルーファスが、
私を警戒するようソフィアに警告をした。そして私にオーブを渡さないよう忠告をした。そんなところだろう。
まあオーブはソフィアのデイパックの中の筈。渡さないのならば奪い取れば良いのだから、大した問題ではない。

厄介なのは、寧ろルーファスの記憶。
死して尚、命を懸けてソフィアを護ったルーファスの記憶がヴァルキュリアに有るのならば、
その影響を受け、ヴァルキュリアのソフィアを護ろうとする気持ちはより強固なものになると考えられなくはない。
すると今後、金龍戦のような事が起こる可能性はますます高まってしまうという事になる……

ならばやはり……いや、しかし今は…………




(ボーマンさん……やっぱ、ショックだよな)
チェスターがアシュトンの話をし終えた辺りから、ボーマンは黙りこくっていた。
かつての仲間が殺し合いに乗っていた。
チェスターの立場で考えればクレスが殺し合いに乗っているようなものだ。そんな事は想像したくも無い。
おまけに、ボーマンにとってはクロードに続いて2人目の仲間が殺し合いに乗っていた事になるのだ。
どれほどの衝撃を受けているのかはチェスターには計り知れなかった。

「でもよかった……マリアさんも無事なんですね!」
そんなボーマンとは対照的に、仲間であるマリアの無事を知ったソフィアは喜びを隠しきれない様子だった。
放送で名前が呼ばれていないのだから生存している事は間違いないのだが、
例え数時間前の情報でも本人の居場所や無事が分かるのとそうでないのでは安心感が全く違うのだろう。
その気持ちはチェスターにも分からなくはない。
この島に来てから未だ出会えていない、チェスターの仲間の1人、クラース。
彼も今の所は放送で呼ばれていないが、だからと言って素直に喜べる筈も無い。
人づてにでも無事を確認出来れば、どれほど安堵出来るだろうか。

チェスターはショックを受けている様子のボーマンに対し、少々の後ろめたさを感じながらも、話を進める事にした。
“もしかしたらクラースの情報が聞けるかもしれない”そんな淡い期待を抱いて。

「それじゃあ今度はそっちの情報を頼むぜ」

一通り自分の持つ情報を伝え終えたチェスターは、次にレザードに話をするよう促した。
だが、その要求は即座に却下される。

「いえ、まだ確認したい事があります」
「確認?」
「ええ。マリア・トレイターは第3回放送までは平瀬村に居る。これは間違い有りませんね?」
「間違いねえよ。絶対にそう言ってたぜ」
チェスターはレザードの確認に少々うんざりした態度で答えるが、
「第3回放送の後、どうするかは聞いていないのですか?」
「ん…………」
それを聞いて、言葉に詰まった。
「如何です?」
「……聞いてない」
「そうですか……」

レザードはそう呟き、地図を眺め始めた。

「それじゃあ……マリアさんが今何処に居るのかは……」
「……悪い……分からない」
「そんな……」

マリアとはもう合流出来る気で居たのだろう。ソフィアは顔を曇らせた。
チェスターはクレス達と別れた時の事を思い出す。
あの時はクロードへの復讐心とクレスへの劣等感で頭の中が埋め尽くされていた。
クレスやマリアの下に戻ろうなどと考えてもいなかったので、合流の事については碌に聞こうともしなかったし、
このようにマリアと合流したがる人物に会う可能性なども考えもしなかった。
今更ながら、いや、多少冷静になれた今だからこそ、
チェスターはそれらの事を後悔し、ソフィアに対し少々の負い目を感じていた。

「だ、だけどよ、きっとまだ平瀬村に居るって。ほら、こんな夜中に移動するなんて危ないだろ?
 多分朝までは村のどっかの家で休んでるさ」
「……うん、そうですよね!」「いえ、それはどうでしょう」
「……え?」

チェスターがソフィアを気遣って掛けた言葉は、レザードの空気を読めない一言で台無しにされた。
一々レザードはチェスターの癇にさわる。

「おい!どういう意味だよ!」
「先程の放送では平瀬村近くの菅原神社に支給品が置かれたのでしょう?
 “平瀬村には支給品目当ての参加者が集まってくる”
 マリアがそう考えたのなら、平瀬村から移動しても不思議は有りません」
「マリアがどう考えるかなんて分からないだろうが!」
「…………まあ何にせよ、マリア捜索の為に平瀬村には向かう必要が有りますね。
 そこで、我々の今後の行動方針について話をしたいと思います」
「行動方針……って待てよ、まだそっちの話を聞いてないぜ?」
「ええ。その事も含めて話します。まずは聞いて下さい」

そう言い、レザードは開いていた地図を4人の中心に置き、地図上を指差した。

「今後、我々が向かうべき地点は2箇所有ります。
 1つは私の仲間が先行している鎌石村。
 もう1つはマリア・トレイターの居る可能性が有る平瀬村です」
「仲間?ああ、クリフが助けに行ったって奴か」

チェスターが何気なく呟くと奇妙な沈黙が周囲を包んだ。

「え?俺何か変な事言ったか?」
「……いえ、そういう訳ではありません。
 ただ……クリフの助けに行ったその方は……既に亡くなっております」
「何だって!?」
「その方はミラージュ・コースト。
 彼女は先程の放送で名前を呼ばれていたのですが……クリフも私もその放送を聞き逃していたのです。
 クリフと別れた後、私はボーマンから放送内容を聞きましたが……」
「……ミラージュ……コースト……?」

チェスターも確かに聞き覚えが有る。その名前は第3回放送で呼ばれていた。
(そんな事って……あっ!?さっきのソフィア……)
チェスターは先程ボーマンがクリフの話をしていた時のソフィアの様子を思い出し、彼女を振り向いた。
ソフィアは俯き、小刻みに身体を震わせている。どうやら涙を堪えているようだった。

「そういう事……だったのか。……ボーマンさん!何でその時に教えてやらなかったんだよ!」
「……俺も今初めて聞いたんだよ。その仲間の名前はな」
「……え?」
「さっきはクリフも俺達も急いでいた。細かい情報交換は後回しにしちまったのさ」
「……そんな……」

チェスターは仲間の亡骸と対面するクリフの事を想像した。
今頃その死体を見つけている頃だろうか?どれだけの絶望が彼を包むのだろうか?
そんな事を考え、やりきれない想いを感じた。

「……話を進めても宜しいですか?」
「……ああ」
「それでは……鎌石村と平瀬村。我々はどちらの村にも向かわねばなりませんが、
 各村を5人全員で順番に回るのはあまりにも効率が悪い。そこで、二手に別れて各村を目指したいと思います」
「二手に?」
「ええ。チェスター、ソフィア。
 2人にはマリアと……クレス・アルベインでしたね?彼等の居る平瀬村に向かってもらいます。
 平瀬村に居るのは貴方達の仲間。私やボーマンが行くよりも合流も容易でしょう」
「え……?」

チェスターは逡巡した。
クレス達とあれだけもめたのはたった数時間前の出来事だ。
先程までのような、クレスへの蟠(わだかま)りは何時の間にか薄れていたが、単純な気まずさは残っている。
どの面を下げて彼等の下に戻れば良いのだろうか?

「同感だな。俺もそれが良いと思うぜ」
「……そうですね。私もそう思います」
「チェスター。平瀬村には他の参加者も多く集まっている可能性が高い。
 ソフィアを護ってやって下さい。アシュトンからソフィアを護り抜いた貴方なら信頼出来る」
「あっと……ああ……」

チェスターが迷っている間にも、話は決まってしまった。
だがここで“クレスに合わせる顔が無いから平瀬村には行けない”などと言う事は出来ないだろう。
(……そうだ、ソフィアを護る為なんだ。気まずいとか言ってる場合じゃないよな)
チェスターはそう考え、自らを納得させる。

「ソフィア。言うまでも無く、いざという時には貴様も戦うのだ。
 ヴァルキュリアの時のような失態は2度と許さん。肝に銘じておけ!」
「は、はい!……あの、ところで、レナスさんは……どうするんですか?」
「決まっているだろう。ヴァルキュリアは私とボーマンで鎌石村に運ぶ。
 ブラムスの先行している鎌石村は比較的安全な場所だからな、
 この状態のヴァルキュリアを運ぶにはうってつけの場所だ。……不満でも有るのか?」
「い、いえ!」

当然だ、と言った様子でレザードは頷いた。

「チェスター。情報交換の話ですが、私の持つ情報は全てソフィアと共有しております。
 平瀬村への道中でソフィアから聞いて下さい」
「……分かった」
「マリア達と合流したら直ちに鎌石村に向かって下さい。
 ソフィア。合流地点はブラムスと待ち合わせている場所だ。覚えているな?」
「大丈夫です!」
「宜しい。それでは――」

レザードは立ち上がった。つられて、全員が立ち上がる。

「――早速移動したいと思いますが、その前にソフィア」
「は、はい?」
「ドラゴンオーブをこちらへ」

息を飲むような音がした。そして、ソフィアは返事を返さないでいる。
気になったチェスターがソフィアを見ると、ソフィアはしっかりとデイパックを抱えこみ、
先程見たような不安そうな表情で、そして迷っているような目でレザードを見ていた。




レザードさんと再会した時から、私の頭のどこかでルーファスさんの遺言とも言える最期の言葉が繰り返し響いていた。


『――レザードには気をつけろ、アイツは別の何か企んでやがる――』
『――絶対にアイツに心を開くな。アイツは危険だ。このドラゴンオーブを狙ってやがる――』


レザードさんは信用しちゃだめ……

レザードさんが何かを企んでるって言っても、殺し合いに乗ってるとかそんな事じゃないと思う。
はっきり言って、私にはレザードさんの企みなんて想像も付かないけど。
ルーファスさんの気付いたような、レザードさんの危険性だって全然分からない。感じない。
レザードさんと、こうしてまた会ってみた今だって、やっぱり分からない。
でも、私の事を何度も何度も護ってくれたルーファスさんが、今にも消えそうな意識を必死に繋ぎ止めて残してくれた遺言だから。
私の思った事、感じた事なんかよりも、ずっと重く、ずっとずっと正しいはずなんだもん!そうだよね?ルーファスさん……

だから、レザードさんは信用しちゃだめ。ドラゴンオーブは私が護らなきゃだめ……

……でも……でも……





どうやって護ったらいいの?








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第112話 フェイト 第120話(後編)
第112話 ブラムス 第120話(後編)
第113話 ボーマン 第120話(後編)
第113話 レザード 第120話(後編)
第118話 レナス@ルーファス 第120話(後編)
第118話 チェスター 第120話(後編)
第118話 ソフィア 第120話(後編)
第118話 クロード 第120話(後編)
第118話 アシュトン 第120話(後編)
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