第16話 決意の言葉


いつの間にこんな所に連れてこられたんだ。訳も分からずこの島に放り出されて殺し合えだって?
何度も頬をつねったり叩いたりしてみるが効果は無い。
「夢じゃ…ないよねえ…」
クレス・アルベインは自分の首に付けられた首輪に触れる。ガッチリと固定され、そう簡単に外せそうにはない。
一体どうやって付けたんだ。
自分に与えられた支給品は木刀が一本、それに使い方がよく分からない小さな機械が二つだった。
武器が無いよりはマシだが、こんな殺傷能力の無さそうな物で戦えるのだろうか?
(戦う…か)
あのルシファーという主催者の話では、生きて帰れるのは一人だけという事だ。
…死にたくはない。ダオスを倒し、ようやく平穏な暮らしに戻ったばかりだ。
だが、この殺し合いにはミントやチェスターを始め多くの仲間が参加させられている。
彼らを殺してまで生き延びたいとは思わなかった。それなら死んだ方がマシだ。
だったら足掻いてみよう。どうせ死ぬなら、出来ることを精一杯やってから死ぬ。
クレスの行動方針は固まった。
「そうと決まれば…」
クレスは決意の言葉を考える。勇気を奮い立たせ、周囲を和ませる効果もある言葉を。
腕組みをして考え込むこと数分。クレスの頭に神が舞い降りる。
これだ―――!


「僕は…ルシファーをゆルシファー(許しは)しない!」


「…あなた一人で何言ってるの?」
突然背後から話しかけられる。
しまった。ダジャレを考えるのに夢中で周囲の警戒を怠っていた。
振り向くと同時に、クレスの首筋にスタンガンが突きつけられる。
「荷物を捨てて両手を上に挙げなさい。逆らえば殺すわ」
スタンガンを突きつけてきたのは自分より少し年上の女性だった。美人だ。だが、性格は少しきつそうな印象を受ける。
「早く!」
女性が怒鳴ると、クレスは慌ててバッグを捨てて手を挙げる。
「今から私がする質問に、迅速に答えなさい。あなたの名前は?」
「ク、クレス・アルベインといいます」
「じゃあクレス君、職業は?」
「一応アルベイン流剣道場の師範代を…」
「この殺し合いに、他に知り合いは参加している?」
「は、はい。何人か…」
「そう…」
そこまで言うと、女性は一息吐く。
「それじゃあ最後に。これは質問ではないけど…」
女性の目が強くクレスを睨む。額に汗が一筋流れた。
「今から主催者を倒すために私に協力しなさい。断れば…どうなるか分かるわね?」
きつそうな女性ことマリア・トレイターはそう言って不適な笑みを浮かべた。



【D-1/朝】
【クレス・アルベイン】[MP残量:100%]
[状態:正常]
[装備:無し]
[道具:木刀、コミュニケーター@SO3×2、荷物一式]
[行動方針:ルシファーをゆルシファー(許しは)しない]
[思考1:目の前の女性に対応]
[思考2:仲間を探す]

【マリア・トレイター】[MP残量:100%]
[状態:正常]
[装備:サイキックガン@SO2]
[道具:???(0~2個、ある場合は確認済み)、荷物一式]
[行動方針:ルシファーを倒してゲームを終了させる]
[思考1:クレスを自分に協力をさせる]
[思考2:他の仲間達と合流]

[現在位置(二人共通):D-1 道沿い]

【残り57人】




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最終更新:2007年02月19日 21:09