第2話 咎人の剣


氷川村に向かう道の途中で二人の女性が話をしていた。

片方の白い法衣を身に着けている女性は何やら嬉しそうに話をしている。
その話を聞くもう片方の女性は長い金髪から覗く額に、第三の目が見える。
「良かったです、オペラさんがゲームに乗っていなくて」
白い法衣の女性、ミント・アドネードは嬉しそうに三つ目の女性に話しかける。
「私もミントさんがゲームに乗っていなくて良かったわ」
オペラと呼ばれた三つ目の女性はミントに笑顔で答える。

二人はこの島に跳ばされてすぐに出会った。
最初はミントが三つも目があるオペラを見て少し警戒していたが、
オペラがこのゲームに乗る気は無いと言うと、ミントはすぐにそれを信じて警戒を解いたのであった。
そして軽い自己紹介の後、とりあえず落ち着ける場所を探そうと言うオペラの提案に従い、
二人は現在地から一番近い氷川村へと歩いていた。

「ところでオペラさんの支給品は何だったんですか?」
ミントが歩きながらオペラに尋ねる。
「…私の支給品にはたいした物は入って無かったわ。ミントさんは?」
聞き返されたミントは自分の鞄の中から一振りの剣を取り出した。
「この剣が私の支給品なんですけど、私は剣術とか苦手なんですよね。オペラさんはどうです?」
「いいえ。私も剣術の心得は無いわ。…その剣ちょっと見せてくれる?」
ミントはオペラの申し出に応じ剣を渡す。

「こんな剣見たことがないわ。恐らくかなりの業物ね…」
剣を受け取ったオペラが感心したように言う。
その様子を見ていたミントは何故か違和感を感じた。

今オペラさん…、笑った?

一瞬剣を持つオペラの口が歪んだ気がした。
しかし、目を凝らしてもう一度オペラを見るが何処も変わった様子は無い。

気のせいかしら

きっと自分は疲れているんだ。早く休める場所を探した方がいい。
そう思いミントがオペラに「そろそろ行きましょう」と言おうとした時だった。
「あら、あれは何かしら?」
そう言ってオペラがミントの背後を指差す。
「え?」
ミントは咄嗟に後ろを振り向く。
「特に何も見えな…!!」
その言葉を言い終わる前に突然、ミントは背中に鋭い衝撃を感じ、そのまま地面に倒れこむ。

背中が生温かい。
体から血が流れ出ていくのがわかる。このままだと死んでしまう。
「助けて、クレスさん…」
思わずこの場にいないクレスに助けを求める。
「まだ息があるのね」
倒れたミントの頭上で声がする。
「苦しい?大丈夫よ、すぐ楽にしてあげるから」
そう言ってオペラはミントの背中に剣を深く突き刺した。

「ごめんなさい。私はエルを死なせるわけにはいかないの」
オペラは息絶えたミントを見てそう静かに呟いた。
このゲームにはオペラの恋人であるエルネストもいる。
生き残れるのはたったの一人だけ。オペラはエルネストには死んで欲しくない。
だから決めたエルネスト以外の参加者を全て殺した後、最後に自ら命を絶ちエルネストを生き残らせようと。
勿論そんなことエルネストが望んでいないと分かっている。それでもオペラは決めたのだ。
エルネストのことを愛しているから。

ミントがオペラに渡した剣の名は『咎人の剣“神を斬獲せし者”』
天使を殺し続けた咎人が手にすると言われるバランス破壊の剣。
オペラはかけがえの無い恋人を生き残らせるためにその剣を振るい、彼女は逃れようのない咎を負った。
やがて咎人となった彼女はゆっくりと歩き出す。
愛する人を守るために。
全ての人を殺すために。



【H-8/朝】
【オペラ】[MP残量:100%]
[状態:正常]
[装備:咎人の剣“神を斬獲せし者”@VP]
[道具:???・???←本人確認済み・荷物一式×2]
[行動方針:参加者を殺し、エルネストを生き残らせる]
[思考1:エルネスト以外の参加者を全て殺しそのあとに自殺する]
[思考2:氷川村に行く]
[現在位置:H-8の道]


【ミント・アドネード@TOP 死亡】
【残り60名】

備考:ミントの荷物はオペラが持ち去りました。
   ミントの死体はH-8に放置してあります。




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最終更新:2007年06月05日 03:34