以下は、http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1284622351/から引用
985 :名無しさん@お腹いっぱい。 2010/09/20(月) 19:12:17 ID:5/hPo+Bt この作品はアニメ史上に燦然と輝く糞作品の金字塔です。これだけの準備期間と資金を注ぎ込んでここまでの粗悪作品ができることは二度とないと思われます。 われわれがリアルタイムで経験したこの作品を今後鑑賞してみたいと思う奇特な人もいるかと思います。こちらの人たちにとっては当たり前のことも踏まえてこの作品の生まれた経緯、売れた理由、荒れた事情などについてまとめてみました。 こちらの皆さんが書いておられたことをおおいに参考にさせていただきましたが、文章の責任は自分にあります。長文連投となりますが、御気に障りましたらNGにしてください。
987 :名無しさん@お腹いっぱい。 2010/09/20(月) 19:13:13 ID:5/hPo+Bt 【ABの特異性】ABの特殊なところは――――――――――――――――――――――――――――――――――(1)最初から期待された(2)オリジナルアニメ作品――――――――――――――――――――――――――――――――――だったところにある。 通常、(1)(2)は両立しない。オリジナル作品が大きな関心と期待を集めることは残念ながら難しい。この作品の特殊性はこの二つが両立していたところにある。 通常ありえない(1)(2)が揃っていたところに、大規模広告の出稿と大量のスポットCM投入がなされた。投入GRPと出講媒体部数は過去のオリジナルアニメ作品の比ではなかった。普段アニメの新作情報を探さないような一般層にまで、この深夜アニメの放送が広く告知された。「まず見てもらうため」にあらゆる手段を講じ、引きの強い煽り文句を並べて多くの視聴者を集めようとした。 その効果もあって、本作品は近年稀に見る前評判と多くの期待を集める作品として放送開始となった。 そんなことをしようと制作側が思い、また実際に注目を集められた根本的要因である(1)(2)が両立していたその原因は偏(ひとえ)に――――――――――――――――――――――――――――――――――(3)Keyのゲームシナリオ担当者が全話脚本を手掛ける、という触れ込み――――――――――――――――――――――――――――――――――にあった。 それが訴求力を持つ視聴誘因となったのは――――――――――――――――――――――――――――――――――(4)いわゆる「鍵ゲー」が十万を超える規模のファンを獲得していた(5)過去作のアニメ化作品の評価がそれなりに高かった――――――――――――――――――――――――――――――――――からであった。
989 :名無しさん@お腹いっぱい。 2010/09/20(月) 19:13:54 ID:5/hPo+Bt 作品を起点に話を紡げば以上の通りだが、作品が作られてゆく経緯として考えれば上の順序は逆転する。 この作品は(4)(5)(3)(1)(2)の経緯を経て作成・告知されたのであり、この作品にまつわる特異な現象の起点も(4)(5)にあったと言える。 ABという作品にまつわる現象を把握するためにはいわゆる「鍵ゲー」と、それを原作とするアニメ作品の受け止められ方について把握する必要がある。【「鍵ゲー」とアニメ化作品】 いわゆる「鍵ゲー」は、コアなファンが多いことで知られる。 「Air」「CLANNAD」など「鍵ゲー」が原作となったアニメ作品はそれぞれアニメ作品としての評判も高く、DVD等の売り上げもアニメ作品として上位にランクされていた。 原作ゲームには膨大なテキスト量をもつ分岐が数多くあり、そのアニメ化にあたっては内容の取捨選択が必要になる。必然的に、アニメ化にあたり多くの原作内容の省略・改変が伴なうことにならざるをえない。 愛着あるルートや場面が省略・改変された原作ファンの落胆はやむないこと。少なからぬ原作ファンから不満も出る。しかし、それぞれ作品としてのまとまりを欠いてはおらず、アニメ作品としてそれぞれ概ね高い評価を受けてきた。 さて、このような状況にあるとき、どのような発想が生まれるか?――――――――――――――――――――――――――――――――――(6)【「鍵ゲー」のシナリオ書いてる人がアニメ脚本書けば凄い傑作ができるんじゃね?】――――――――――――――――――――――――――――――――――この発想に基づいて企画・構想された作品こそ、このABだった。
990 :名無しさん@お腹いっぱい。 2010/09/20(月) 19:14:49 ID:5/hPo+Bt 慢性的な原作資源の枯渇に悩むアニメ業界にとって、これは類い稀な優良企画と映った。 初めから一定の購入層が計算できるアニメ作品は限られる。売れるとわかっているアニメ企画がもしもあるなら、それは当たるとわかっている宝くじと同じことになる。ならば有り金叩いて全力で買うのみ、となる。 そしてまた、企画者が算盤を弾いた通り、「鍵ゲー」のファン層(いわゆる「鍵っ子」)にとってもまた、これは夢の企画と映った。 ゲームに感じた満足がアニメになると薄れて/別物になってしまったように感じられたことのある「鍵っ子」にとって、ABは待望のアニメ企画と映った。――――――――――――――――――――――――――――――――――(7)企画側も、「鍵ゲー」ファンの多くも、これはすばらしい作品になるはずと期待し(信じ) た。(8)放送直前の番宣番組では全ての脚本を一手に手掛けた脚本家が真摯な姿勢で意気込みと自 信を語り、「絶対に面白い作品になっているから見てくれ」と自信たっぷりに大見得を切 って見せた。(9)放送開始時の盛り上がりは凄まじいものとなっていた。―――――――――――――――――――――――――――――――――― 作画に定評のあるP.A.が美麗な背景と滑らかな動きを実現し、キャッチーな楽曲は鍵作品の音楽実績を裏切らないはずと期待された。そして何よりシナリオは三年越しの準備期間を経て一年前に執筆完了しているというのである。 制作スケジュールに間に合わず、脚本崩壊を起こしてしまうアニメ作品に再三うんざりさせられてきているアニメ視聴者にとって、これは期待せざるを得ないところであった。 すでに話を全部書き終わって久しく、その全体を把握しきっている脚本家が(8)で自信たっぷりに、「今までのアニメを見てきて自分ならこうする」というところをやりきったというのだから。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 実はこの時点でABの売り上げがアニメ作品として破格のものになることは約束されていた。――――――――――――――――――――――――――――――――――(10)「鍵ゲー」の購入者は一作あたり18万人程度。コンプするためには長時間のプレイが必要で 強い思い入れが必要である。(11)「鍵ゲー」原作アニメの購入者は一巻あたり2万4千程度。アニメ作品としては年間上位クラ ス。 《共にCLANNADの概数。ゲームはPC・DC・PS2の総計。アニメはDVD一巻二週計》―――――――――――――――――――――――――――――――――― 「鍵っ子」のほぼすべてがABに関心を持つことは確実であった。
991 :名無しさん@お腹いっぱい。 2010/09/20(月) 19:15:30 ID:5/hPo+Bt ――――――――――――――――――――――――――――――――――(12)ゲーム原作があればアニメを見なくてもよいし、アニメに不満も持たれるが、アニメがオリジナルならそんなことはない。「鍵っ子」がアニメそのものをリアルタイムで鑑賞し、好きになってくれればアニメソフト購入者の比率は跳ね上がる。(13)これまでの鍵アニメ購入層に加え、これまでゲームオンリーだった鍵ファンの上積みが期待され、一般層にまで広く告知して巻き込むことに成功すれば、アニメソフト売り上げ本数は従来作品を大きく上回ると予想された。―――――――――――――――――――――――――――――――――― 広告投入量から考えて、企画者側は少なくとも3万本は確実に売れると考えていた。オリジナル作品でそんな制作・広報体制はとれないのが普通だが、この作品は違った。出稿計画の稟議を通すには客観性の高い予測を出さねばならないが、この作品に限っては容易だった。 ゲーム原作アニメの場合、視聴者の内最もコアな層である原作プレイ者全員が既に原作ゲームを購入している。作品のシナリオすべてどころか、アニメ作品では割愛しなければならないところまで、すべて知られている。そうした人たちは話を味わうためにアニメを見る必要がそもそもない。さらに割愛・改変したところについて不満を持てばアニメソフトを購入しない。 しかし原作ゲームが存在せず、アニメそのものがオリジナルとなるならば、「鍵っ子」たちもネタバレなしで毎週一話ずつ視聴する。比較対象となる原作がないのだから、改変や割愛による不満は発生しない。それどころかサイドストーリー等、作品描写の隙間を埋める商品展開が可能になるため、作品寿命も売り上げ総量も増加すると見込まれる。 売り上げ保障があることに強い説得力がある企画であることが広告の大量投入につながり、期待を煽った。自信たっぷりの制作者コメントはその完成度の高さと見続けて裏切られることがないだろうという期待となっていた。 そしていよいよ放送開始された作品は、――――――――――――――――――――――――――――――――――(14)近年売れたアニメ作品の要素をふんだんに盛り込まれ(15)ウけそうなキャラがふんだんに登場させられ(16)多くの設定を謎のままとされて スタートした。―――――――――――――――――――――――――――――――――― 舞台は不思議空間に存在する学園であり、女の子も戦闘も音楽も盛り込まれ、これから何が起こるのかと期待させる入口として1話が制作された。その整合性には試写会時点で疑問符もついていたが、「ウケそうな要素が並べられ」ていて、「これからどうなるかわからない」ことは提示された。ヒキの強い要素を羅列することができていた。 ABが売れた理由は以上に尽きる。
992 :名無しさん@お腹いっぱい。 2010/09/20(月) 19:16:11 ID:5/hPo+Bt 鍵作品が好きな人たちに対して訴求力のある宣伝をし、期待させられそうな設定に釣り込むことができた。そこに大宣伝で少なからぬ浮動層を巻き込むことができた。アニメソフトDVDBR合計で4万本程度はそれに見合う数字。 ここまでの企画・宣伝姿勢は、(4)(5)からスタートして定石通り。(4)(5)とくれば(6)と発想するのは当然。鍵のシナリオライターに話をもちかけて13話のアニメ作品の脚本を仕上げるのに三年。脚本が仕上がってから制作に一年。十分に余裕のあるスケジュールである。制作予算も潤沢に用意され、広報宣伝攻勢も十分だった。ここまで準備万端整えられて制作・放送されるアニメ作品は珍しい。 多くの客を呼び込み、期待を集めて放送を始めるまでの手順としてはこれでよかった。客は呼んだがウケなかったとなれば興味は失われるだろうし、ウケたらさらに客を呼べるはずである。 通常ならばそうなのだが、この作品ABは(7)(8)(9)、つまり鍵作品への信頼に動機づけられたコア視聴者が最初に集まる客の中核であるため、通常とは大きく異なる現象を巻き起こすことになる。 鳴り物入りでスタートしたこの作品は、――――――――――――――――――――――――――――――――――(17)先がどうなるかを誰も知らない中、(7)(8)(9)(鍵と脚本家への信頼)ゆえに「絶対に面白い作品に なるはずだ」と期待され(信じられ)つつ、放送を重ねてゆくこととなった。―――――――――――――――――――――――――――――――――― 視聴者が作品世界にすんなりと誘い込まれ、キャラたちを好きになったり感情移入したりしていける展開であったなら、この作品がどれだけヒットしていたことかわからない。しかしそうはならなかった。――――――――――――――――――――――――――――――――――(18)作品にはキャラの言動や世界設定の疑問点・矛盾点があふれていた。細かいことを挙げればキリ がないが、人物の行動動機・言動の一貫性という、作品の根幹にかかわるレベルでの疑問点が次 から次へと出てくることとなり、少なからぬ視聴者から、もはや制作者の意図しない方向からの「トンデモ本」的楽しみ方ばかりがなされるに至った。―――――――――――――――――――――――――――――――――― 具体的なことは散々語られてきたのでテンプレやWikiに譲るが、通常ならば視聴継続が危ぶまれるほどの酷さであった。 しかし準備万端で制作され、自信満々で送り出された作品を期待を込めて視聴し始めたばかりである。矛盾も疑問もそう見えているだけで意味があるのだとか、先々の仕掛けのためにそうなっているに過ぎないだとか、しっかりと完成された作品像があることを前提とした納得のさせ方、擁護のされ方をされながらファンたちには視聴されていった。
994 :名無しさん@お腹いっぱい。 2010/09/20(月) 19:17:24 ID:5/hPo+Bt ――――――――――――――――――――――――――――――――――(19)矛盾や疑問を感じながらも(17)ゆえに自分なりに解釈したり、補完したりする視聴者と、もはやそ んなことでは収拾がつかないのではないかと感じ始める視聴者のせめぎ合いは初期段階から始ま り、最終話まで加熱し続けることとなった。―――――――――――――――――――――――――――――――――― 掲示板での語られ方は酷いものであった。放送終了後はいわゆる「本スレがアンチスレ」状態となった。あくまでも作品を楽しみ、好意的な方向での意見交換を行うのが本スレであるという趣旨からすれば、誠に気の毒なことであった。 本スレ住民は自分たち自身、ファンとして、できるだけ好意的な解釈をしたり疑問を保留したりして、なんとか視聴モチベーションを保とうとしていた。そこに、しつこく矛盾や疑問をぶつけられたり作品・作者を罵倒され続けたりすることは、相当の煽り耐性を持つファンにとっても我慢し難いものがあったと見られる。 そのため本スレの態度は偏狭なものとなり、疑問や不満に対しての生理的反発が強くなった。少し疑問点を書き込んだだけでアンチ認定され、本スレから追い出される人が続出した。 作品がきちんとまとまり、「多くの人に感動を与える人生賛歌」となって結ばれることになっていれば、制作者を信じて好意的に考え続けようとした人たちも報われたことだろう。しかしそうはならなかった。――――――――――――――――――――――――――――――――――(20)放送が進むにつれて、肯定的な見方を堅持しようとする側(ファン側)と、もはや擁護できないと 嗤うアンチ側のせめぎ合いはアンチ側有利になっていった。6話以降最終話までのアンチスレの加 速と盛り上がりは凄まじいものがあった。終盤になるにつれ、疑問や矛盾を超解釈で納得させよ うとする書き込みには勢いがなくなり、本スレは単なるキャラ萌えスレと成り果てていった。―――――――――――――――――――――――――――――――――― 世に争い事は多く、論争の根が深く収拾がつかないことが多い。しかし、ABに関する論争はそうではない。放送中に疑問を持たれた矛盾や疑問点はそのままだが、それらに対する反論はすべて潰え去ったに等しい。 作品が継続されているから可能だったに過ぎない、先への期待・あるはずの裏設定による補完などはことごとく、作品と制作者自身によって裏切られることとなった。 もはやこの作品の救い難さ、どうしようもなさについては論を俟たない。どうしてこのような作品になったのかについての明白な資料が残っているため、制作者のありようと今後についても話題とならざるを得なくなっているのが現状である。 ・・・とりあえず以上です。失礼しました。異論はおおいに認めるところですw
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