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「私たちがすべき事は、だた一つ。」
戦闘が終わり、藩国へ戻った藩王たちを迎えた母なる犬は、労いの言葉とともにそう言った。
「今みんなとも話をしていたところだよ。」彼女の頭をなでる藩王。
「へそくりを取り崩しますっ」と藩のお財布担当たまきは微笑む。
藩王は号令をかける。
「冬の京とほねっこ男爵領に緊急支援に向かう! 準備開始だ。」
すべての子供たちの笑顔の為に。幸いにして戦場となることを免れた愛鳴藩国は、
被災国の救援・支援に立ち上がった。
とにかく行こう。
2国とも寒い国だ、暖かいものを食べてもらおう。元気が出るから。
「ホットケーキ班準備OK!」緑、さすが仕事が速い。
ミリは孤児院建設の指揮を、クロは受け入れ準備のリストを藩王へ手渡す。
グググ子がリーダーとなり、学生ボランティアを2班に分ける。
「もうこんなに集まってくれたんですよ~」
「みんなに防寒着を!」エル=ロンが支持を出す。
「こっちから貰って頂戴ねぇ~」カイエが手を上げる。

「それじゃ、出発しようか」
「おーっ!!」
2組の支援部隊は出来る限りの準備をし、それぞれの国へ向かった。



冬の京

「こりゃ・・・」エル=ロンが言葉につまる。
白銀に彩られた美しい街並があった場所は、まさに焼け野原だった。
簡易テントがいくつも並んだあたりに人だかりがある。
「あそこで活動させてもらおうか?」
「そうね、藩王様もいらっしゃるんじゃないかしら~」

「くぎゃ~藩王の命により、御国へ復興支援に参りました。」
エル=ロンはすこしドキドキしながら伏見藩王の前に出た。
「ありがとう。こちらからもてなしも出来ずにすまないね。」
ぽち王女の従兄弟の従兄弟?殿にあたる伏見藩王は、穏やかに言った。
眼鏡の奥が、すこしさびしそうに見える。
「きれいに何もなくなっちゃったからね、皆でまた作ればいいと思ってるよ。」
山の方を振り返ってみる伏見藩王。エル=ロンもそちらを見る。
白い髪の整った顔立ちの人たちが互いを気遣いあっている様子が目に入った。
壊れたものは直せばいい。なくなったものはまた作ればいい。
生きているんだもの。
エル=ロンは胸が詰まった。
「・・はい。我が藩国もちょー応援します!」
エル=ロンは包みの中からほかほかと湯気を立てるホットケーキを差し出す。
「というわけで、腹が減ってはなんとやらです。藩王様もいかがですか?」
「ああ、暖かいものは大歓迎だよ。」

人だかりの中に入り込むと、カイエはちょっと視線が痛かった。
それはこの赤い髪のせいだと腹を決めて、声を出す。
「焼きたてのホットケーキをどうぞぉ! ホットミルクもありますよぉ」
みんな憔悴している。よし、カイエみんなと相談。解散。
テントの中、外、大人、子供、ひとりひとりに近付いて、そっと手渡しする。
「美味しいですよぉ」
「さあどうぞ、お使いください。」グググ子、配るのはお手の物だ。
学生たちは毛布や携帯用カイロを配り、ひとこと励まして回る。
犬士たちはウィスキードックよろしく、大人限定でウィスキーを配る。
「この国の人は強いお酒好きだもんね。子供は舐めちゃダメだよ。」
「たくさんありますからね~」ハルキ、人懐っこい笑顔も配る。
「おっ!? そいつはありがてぇ…。 一枚、もらえっか?」
にかっと笑って白い髪の青年が言う。
「ええ、一枚といわずお腹いっぱいになるまでどうぞ~」
「そいつぁ、子供たちに配った後でな」もぐもぐ、うまいねぇと青年。
「さあ、歩けるやつはここに並べー! うまいホットケーキがあるぞー」
彼の声に安心したように子供たちが駆けてきた。



ほねっこ男爵領

火足藩王による歓迎のスピーチまでいただいて、緑は大喜びでホットケーキを焼く。
焼く。焼く。とにかく焼く。
「いくらでも焼いてくださいね!」「みんな喜んでますよ!」
イチカとリョウが焼きあがったホットケーキと交換に緑に状況を伝える。
甘い香りと暖かい湯気が、北国人である男爵領の人々の整った顔に少しずつ笑顔を生む。
「なんてお礼をいったらいいか・・・」
白い髪の少女がかしこまる。
「我々は仲間です。気にしないでまずは食べて、元気を出してください」
緑が言う。

「大人用にミルクティもありますよ」三祭ノアは背中にミルクタンクを背負って、
人の間をまわる。
「子供たちはホットミルクだよ」ライムが笑う。

その様子を少しはなれて見ている藩王2人。
「……。愛鳴藩の皆さんは、スケートなどを楽しまれますか?」
照れくさいような、何ともいえない顔で火足藩王が言う。
「子供たちはきっと喜ぶと思います。」
「・・では、戦火癒えたとき、どうか我が藩に皆さんをお招きさせていただきたい。」
目を遠くして火足藩王が続ける。
「家々は焼けたが、メッケ岳と鳴駒の湖、我が藩の山河は変わりません。」
「はい。その時ははぜひ貴国の豊かな自然を楽しみ、 よき友と会うために、
 子供達と一緒にお邪魔させていただきます。」
「ありがとう、友よ・・」
その後ろでは王犬じょり丸陛下を必死で引き止める一団がいたりして・・・


人の笑顔の橋は今、やっとかかったばかり。
愛鳴藩国ではお留守番組が次の出番を待っている。


冬の京、伏見藩王チェック済み
ほねっこ男爵領 火足藩王チェック済み
(文章:カイエ)