ここは伝説の島、ドーナツ島。

葵ちゃん『わあっ、すごーい!本当に全部ドーナッツ!』

こんなにはしゃいでいる葵は初めて見た。
彼女はこの広大なフロマージュ・ビーチを駆け出す。
無理もない。専用ボートで7日間移動しっぱなしだったんだ。
葵の様子は学園にいる時とはだいぶ違っていた。
恐らく、窮屈な航海を終えてすぐに、甘い臭いの立ち込める広大な異界の地に降り立ったからだろう。
すべてが非日常なこの島で、彼女も非日常の姿を見せるのは当然であった。

視界の隅で点になっていた葵が、振り向いて手を振った。
俺はクッキークルーラーの山を踏みながらビーチを進む。

葵ちゃん『村井くん、ほら』
村井くん『あ、あれは・・・?』
葵ちゃん『ポン・デ・ライオンの群れよ』
村井くん『牧田にも見せてやりたかったな』
葵ちゃん『・・・そう・・・ね・・・』
村井くん『?』

葵は俺に背を向けて、海へと走り出した。
牧田の話題に気を悪くしたのだろうか?
いや、彼女は別段牧田を嫌ってなどないはずだ。
では、何故?
俺は彼女の後を追った。

葵が、海に膝まで浸かった。
俺は何か、不安になって、とっさに駆け寄る。

葵ちゃん『村井くん!』
バシャッ。

彼女は、ハニー海の黄金色の水をすくって、俺の顔にかけた。
シナモンの香りがほんのりと香る。

村井くん『やったな!』

俺もすかさず水を巻き上げ、思い切り引っかけてみる。

蜂蜜のかけあいは暫く続いて、二人してゴールデン・チョコレートの草原に寝転がった。

村井くん『まるで、子供、みたいだぞ、』

葵ちゃん『む、村井くん、だって、』

二人の息遣いがホールシングの林に響いた。

ドーナツ島。どうなることかと思ったが、葵は思いのほか楽しんでるようで、それだけで福引は大当たりだったと思えた。
俺も時間を忘れて、クランチの砂の上でいつまでも柑橘の匂いを嗅いでいたかった。

オールド・ファッションの木の下で、葵は抹茶色の空を見上げていた。
蜂蜜に濡れた彼女の姿を見ていると、変な気が湧き上がってきたので、俺は寝返りをうった。


葵ちゃん『村井くん・・・本当は牧田くんと来たかったのかな・・・』




ドスッ!!

突然、オールド・ファッションの木が倒れ、乗っていたハニーチュロの山が崩れる。
葵ちゃん『きゃあっ!』

村井くん『葵さん!!』
彼女は大きなドーナツに囲まれたままハニーチュロの中に埋まってしまった。

村井くん『くっ!』
俺は一心不乱にハニーチュロとドーナツの壁を食べ続けた。
窒息しそうになる。水が欲しい。だがそれよりも・・・


ドーナツの壁を越えた時、中に小部屋くらいの空間が見えた。
そこには葵が一人座り込んでいる。

葵ちゃん『村井くん・・・』

村井くん『無事だったか、葵さん』
俺は蜂蜜だらけの顔のまま、息を切らして言った。


葵ちゃん『ここなら、誰にも見られないよね』

そうか。彼女はわざわざ、事故に見せかけドーナツの穴の中に俺を誘った訳か。別に悪い気はしない。
・・・誘った?

葵ちゃん『村井くん、私・・・』
村井くん『!!』

葵が突然、俺に抱きついた。
蜂蜜に濡れた二人の体が密着し、クランチの砂を肌で感じる。

葵ちゃん『もう、我慢するだけの生き方は、嫌。こんなにも胸が締め付けられて・・・』
俺は驚いたまま、抵抗もしなかった。

葵ちゃん『ずっと、前から、貴方のことが好きでした。でも、私が近づいたりするのは、失礼かなって思ってて・・・ずっと言えなくて・・・』
村井くん『そうか・・・』

葵ちゃん『だから今だけは、積極的でいさせて・・・』
俺は困惑して、言葉を返せずにいた。

急に葵の顔が赤くなった。
葵ちゃん『ごめんなさい、私、何言ってるんだろう・・・本当にごめんなさい』
彼女は涙目になって、離れようとした。
しかし俺は彼女を抱きとめていた。

葵ちゃん『!?』
村井くん『不器用だな、葵さんは。でも俺は、そんな君を、ずっと前から守っていたいと思っていたのかもしれない』

葵ちゃん『むっ、村井く・・・』
何を思ったか、俺はいつの間にか彼女の唇を奪っていた。
一線を越えてしまった。
しかしずっと前から越えるべき一線だった。
まだまだ若いのだ・・・お互いに。

村井くん『・・・・・・すまない』

葵ちゃん『村井くん!』

俺はポンデリングの上に押し倒された。
少々強引な流れだが彼女の勇気が生した業だ、思い通りにさせてあげたい。

葵ちゃん『・・・村井くんの・・・スティックパイアップルキャラメル・・・』

村井くん『!?・・・ショコラマロン・・・・・・・パイ・・・!!』


@@@@@@@@@@ 以下、旅団長のターン @@@@@@@@@@





























































@@@@@@@@@@ ここまで、旅団長のターン @@@@@@@@@@

賢者村井『・・・ふぅ』

葵ちゃん『・・・ぅん・・・』



ドサッ



葵ちゃん『!?』

村イクん『な、何が落ちてきたんだ?』


葵ちゃん『人・・・だわ・・・』

村井くん『こいつは・・・・・・五円・・・・・・!?』



つづかない

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最終更新:2010年08月19日 02:03