「ふんふんふふーん」鏡台に並べた五つの球。アームコアである。私のアクセサリーはこれの形状を変化させて形作られている。
今日はどんな形にしようかしら。鏡に舌を突き出すと、そこにあいた穴がとてもかわいい。やっぱり今日も私はかわいい。かわいいは木から落ちないし棒にも当たらない。人々の視線を拾い上げ視線に当たる。
かわいい私がアクセサリー型アームヘッドを起動する。
ひとつは、指輪。
ひとつ、それからもうひとつは、大きく穴のあいた耳を飾るためのイヤリング。
ひとつは、髪留め。今日はバレッタでまとめよう。
ひとつは、まあ、指輪。

そして、指輪をひとつつけてベッドのほうを向いた。アホがアホ面を晒してマッパで寝ている。それに慣れてしまっている自分。四年目に入ったのだっけ。
「起きて!なんで寝てるのよ!」べしべしと無駄にでかい乳をたたく。
「おひゃあ、おはようございます」
「はい!おはよう!あなた……」
「もう、お姉さまったらそんなに浮かれて!いいですよ、すぐ着替えますから」
「……もう!」
仕方ないじゃない。あなたこれで売れっ子のグラビアアイドルなんだから。久々のデートだっていうのに。

「朝は外で済ませちゃいましょうか」
「そうね」
「いいですねー、私もホットドッグの気分です。あの店人気ですもんね」
「違うわ、私が食べたいのはたくあんホットドッグよ」
「えーお姉さまへんなの。またカリカリが好きなんですか」
「こんなところだけちゃんと会話をつなげるなバカ」
バカで容量が悪そうなくせにそれはもう恐ろしい手つきで化粧を済ませる。プロ……。
すっぴんもまあまあ可愛いけれど、化粧をするとさらに中々かわいい。

そしてメリーが笑う。
「それじゃ!いきましょうか」
私も笑う。
「ええ」

四年目。この日も二人の手に同じ指輪が輝いている。私の渡した、二人の繋がりだった。

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最終更新:2016年10月15日 11:59