僕はアルカといいます。
家出しました。
いろいろあって今はアームヘッド・デベロッパー(アームヘッドを開発する所)のパイロットをやっています。
これも全て、あの日何があったかを知る為...
ストーリー:カウンター・アタック
第1話「夕暮れジャンクヤード」
『...ターゲットは、対アームヘッド砲台と陸戦型アームヘッド。
...相手は無人機とは言え実弾を使用してるわ。油断しないでね』
オペレーター、ハリッコさんの説明を聞きつつ、僕に任せられた機体"ツヴァイヘンダー"の起動を行う。
『このテストを無事終えれば君は晴れてその機体..."ツヴァイ"のパイロットだ、期待しているよ。』
風邪を引いた子供の様な声でコーバン部長がハードルを上げる。緊張する。
動力、センサー、同調。全起動シーケンス完了。
カタパルトに機体を乗せ、機体を射出衝撃に備えて構えさせる。
「こちらツヴァイヘンダー、発進準備完了です、射出お願いします!」
『3、2、1...射出!』
視界が真っ青な空の色で染まる。
ツヴァイに乗っている間は衝撃とか、重力とか窮屈なものを殆ど感じないから...
ずっと乗っていたら、自分が今アームヘッドに乗っているという事を忘れてしまいそうだ。
そう考えると少し怖い。
ーーーーー
戦闘領域に侵入!
地上からの砲撃を、ツヴァイは空気を足場にできる調和能力"プライマリレフト"で躱しながら少しづつ高度を下げていき、廃棄建造物と廃棄建造物の間をすり抜けていく超低空飛行に移行した。
進行ルート上に、対アームヘッド固定砲台、"ガンマー"を複数機確認。
そのまま直進するツヴァイに向け、可燃ジェル砲を射出する!
そしてすれ違い様に、椀部マルチシューターから攻性テトラダイ刀(粒子を固めて作った剣のようなもの)を一瞬だけ生成し、装甲の薄い側面から次々と切り裂いていく!
このまま進めば開けた所に出るが、
前方左右からアームヘッド反応!
脚部を車両形態に変形させたレーヴェが突っ込んでくる!このままでは挟み撃ちにあってしまう!
だがツヴァイは減速しようとせず、そのまま前進し...地面を蹴り跳躍!
一気に挟撃レーヴェの前を通り過ぎ、ツヴァイは上下逆の体制で両腕のマルチシューターからテトラダイ粒子砲!
空中で回転し着地。次の獲物を探すべく、機体のカメラアイと同調した視界をギョロギョロと動かす。
『全ターゲットの機能停止を確認。...後の作業はこっちで済ませるから一旦帰投してもいいわ。』
「...」
『...どうしたの?』
「...っ!すいません、少しぼんやりしてました。ツヴァイヘンダー帰投します!」
ふと我にかえる。
恥ずかしくなったので急いで帰投した。
ーーーーー
テストの結果はやや持久力に難ありだが合格。
僕はデベロッパーのアームヘッド"ツヴァイヘンダー"の正規パイロットに選ばれた。
アームヘッドに乗るのは嫌いじゃないんだけど、何故か妙に疲れる。
多分僕の体力の無さのせいだと...思うんだけれど。
....そんな事を考えながら僕はデベロッパー事務所から借家への道を歩いて帰っていた。
太陽の位置が低くなっている、もうすぐで夜だ。
その道中にあるジャンクヤード。
ふと、あたりを見回す。
目に入るものは廃棄された機械やアームヘッドの残骸ばかりの見慣れた光景。
...その中に紛れて黒い帽子を被った赤髪の男の人が倒れていた。
「た...助けてほしいぜ...」
行き倒れになった人だ。
次回、第2話「取得物レイルレーラビ」に続く。
軍需企業、メッサーに所属する一部署。
主にアームヘッドの開発と、そのテストを行っている。
アームヘッド・デベロッパーの専属パイロットの金髪の少年。
非常に強力なコア適性を持っているが、ある欠陥を抱えている。
デベロッパーの女性オペレーターとして勤めているが、本業はパイロット。
アームヘッド・デベロッパー部長。
衛生マスクを着けた子供のような容姿だが、一部署を任される程の技術を持っている優秀な技術者。
妻と娘と孫がいる。
デベロッパーの開発した、背中に二本、上部に一本のアームホーンを持つハイエンド機。
攻性テトラダイ刀と粒子砲を使い分けるマルチシューターを装備。
"ツヴァイ"と略されて呼ばれる事が多い。
アルカの搭乗するツヴァイヘンダーの調和能力の一つ。
パイロットから見て左背部のアームホーンにより発現。
空気を足場として蹴り、機体の軌道を変更できる。
密度が上がり、物理的破壊力を伴ったテトラダイ粒子の事を指す。
アームヘッド以外の"敵"との戦闘を想定したデベロッパーの機体を中心に採用されている。
アームヘッド・デベロッパーが初めて発表したアームヘッド。
タイヤ走行と二足歩行を使い分けることが出来るが、既に旧式化している。
対アームヘッド固定砲台。
正面のみのプロトデルミス装甲と可燃ゲル砲を装備している。
最終更新:2017年01月10日 15:21