これまでのあらすじ
デベロッパーの特殊アームヘッド"ツヴァイヘンダー"と、その正規パイロットであるアルカ・クライア。
ついにその機体の最終調整の為のテスト戦闘が開始された。


ストーリー:カウンター・アタック
第06話「雷電オーバーン」


視界がやや青く染まる。今日は曇り空のようだ。
...カタパルトから射出されたツヴァイは、慣性で跳び、速度が落ちる前に空気を蹴る事で高度を維持する。


本来、ツヴァイヘンダーはカタパルトによる射出とその脚力を用いて空中戦闘に対応する"陸戦機"である。
だが、正規パイロットのアルカが"空気を足場にする"調和能力を発現した為、その機体コンセプトと合わさり異常な機動力を生んだ。


今回のテスト戦闘は、その戦闘スタイルに合わせた機体へとチューンする為の"最終調整"となる。


ーーーーー


目的地上空に到達。
前回のテスト戦闘で使用された廃ビル群が霞んで見える。


突如、連射フィジカル弾が上空からツヴァイに向かって殺到する!
途中で気付き、ジグザグ飛行で取りつつ距離を取ろうとするが、回避し切れず覚醒壁が削られる!


弾丸が飛んできた方向には敵機が3。
グレーにペイントされた細い手足を持つアームヘッド"シュランゲ"だ。
接近にすぐに気付けなかったのは、限定的だがアームホーンの反応を隠匿する特殊機構"ステルスホーン"によるものである。


敵機の位置を確認したツヴァイは姿勢を調節し斜め上へ跳躍!
迎撃フィジカル弾がそこを狙うが、鋭角的な高速機動を捉えることは出来ない!
両腕に攻性テトラダイを生成しつつ接近!


振り切れないと悟ったシュランゲは、次々とフィジカルライフル下部に搭載されたジャベリンを射出する!
ジャベリンには機体のテトラダイ粒子が充填されている為、直撃すればアームキルは避けられない!


ファントム(無人機)特有の正確なジャベリン攻撃!
一本目を急な鋭角機動で回避、二本目を攻性テトラダイ刀で跳弾、三本目を左肩部追加装甲で受け流す!
破損したそのパーツを破棄(パージ)し軽量化!


上空に逃げる隙を与えず接近し、すれ違い様に背部の翼状アームホーンで切りつける!アームキル!
対応しきれなかった二機のシュランゲは機能を停止、パラシュートを展開して落下していく。
ツヴァイはそのまま生き残った一機に接近する!


右手攻性テトラダイ刀!シュランゲの左手ダガーが弾かれる!
左手攻性テトラダイ刀!シュランゲの可動アームホーン刺突をいなす!
両手攻性テトラダイ刀を射出!シュランゲの胴に直撃し機能を停止させる!アームキル!


三機目のシュランゲがパラシュートを展開し、落下していく。全ターゲットの機能停止を確認。
「おお、この戦いぶりはまるで....」
「いつも通り機体の回収はこっちで済ませておくから、一旦戻ってもいいわ....アルカ君?」
アルカからの返事は帰ってこなかった。
『...どうしたぜ?』


ーーーーー
...僕は、奇妙なビジョンを見ていた。
目の前に立つ、人型の、白い猛禽。
鷹の様に見えるその顔は、よく見ると、儀式的な人工物..."マスク"の様だ。
(こせ... よこせ...)
それが僕に向かって近付き、手を伸ばしてくる...
ーーーーー


ーーーーー
(早く電気ショックでも何でも使ってあれを止めるぜ!このままでは...ぜぜぜ)
俺の思考の中で"回路"が俺に語りかけてくる。
(一体どういう事だ?)
《あれは融合の前触れだぜ...ぜぜぜぜ》
ノイズが大きくてよく聞き取れない。"回路"が動揺している?
ーーーーー


「...アルカ君の脳の活動が低下...睡眠状態に近づいています」
「これは...融合現象....?この短時間で?」
「コーバンさん!電気ショック機能とか無いのぜ!?」
「残念だがツヴァイにそんな機能は搭載されてはいない...」
「そんな!だぜ!」


ーーーーー
...その伸びる手が、僕の胸に触れ...なかった。
そのまま身体をすり抜けて僕の中に入ってくる。
(...ミコよ...その身体を....)
痛い、苦しい。
レーラビくん.....僕は.........。
ーーーーー


ーーーーー
このままではまずい気がする。
(おい、聞こえるだろう!なんとかしろ!)
《ぜぜ、結論だけを言うと可能だぜ...だが、すぐにそのツケを払う事になるぜ。》
(構わない!さっさとしろ!)
《ぜ。対象に"補正"を適応するぜ...》
ーーーーー


ーーーーー
暗い宇宙のような空間に、無数の光るラインが走っている。
真っ直ぐ伸びるものもあれば、途中で折れ曲がるもの、重なるもの、途切れて消えるものもある。
その内の一つが、書き換わった。
ーーーーー


.....突如、コア由来の力で空中で浮遊したまま静止するツヴァイに凄まじい電流が浴びせられる!
そのショックでアルカの意識は現実に引き戻される!
「げほっ...う、あれは.....?」


...同調が切れ落下したツヴァイの正面に、黒と黄の攻撃的なカラーリングの機体が降り立つ。
『俺様は雷電のオーバーン...お前に決闘を申し込む!』
次回、第07話「雷電オーバーン②」に続く。


  • シュランゲ:Ad-016
デベロッパーの開発した陸空対応の量産型機体。
ジャベリン、フィジカルライフル等の対アームヘッド装備や、ステルスホーンなどの先進技術が導入されている。


  • ステルスホーン
適応中はアームホーンの出力を落とす(非戦闘レベルの出力)事になるが、そのアームホーン反応を隠匿する事が出来る特殊機構。
メッサーのセンサー系技術による物。



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2017年01月10日 15:59