これまでのあらすじ
新たな仲間、雷電のオーバーンを加えたデベロッパー。
切り札"ツヴァイヘンダー"の最終調整は完了し、メッサー本社への反抗作戦決行は一ヶ月後に決定された。
家出少年パイロットのアルカと野良アームヘッドのレイル。
二人の逃亡者はどこへ向かうのか...


ストーリー:カウンター・アタック
第11話「後悔バケーション」


デベロッパー事務室。
コーバンが職員達にスピーチを行う。
「例の日はいよいよ一ヶ月後だ。
準備は入念に行わねばならん。
我々デベロッパー職員はこれより総員をもって...」


「...御蓮に慰安旅行に出る。」
新しい機体の開発が行われるのかと意気込んでいた技術者達がどよめく。コーバンは咳払いする。
「というのは建前で...本当の目的は、御蓮の技術者に製作を依頼した"重要なパーツ"を受け取る為だ、安心したまえ。」


「それと、君達の家族を本社との戦いに巻き込まないよう避難させる為でもある。希望者は後で私に申し出るように...以上だ。」
そう言い終えるとコーバンはまだ残っている作業の仕上げに取り掛かり始め、職員達もそれぞれの持ち場に戻った。


「御蓮に旅行かあ...そうだレーラビくん、パスポートとか持ってる?」
「...アームヘッドは多分貨物扱いじゃないのぜ?」
「ええっ、それで大丈夫なのかなあ...」


ーーーーー


翌日の日中。
デベロッパー職員を乗せたフェリーは海を進んでいた。
「わー!もう陸が見えないよレーラビくん!」
「ぜぜ....」
レイルの顔色が悪い。
「あれ、どうしたのレーラビくん?」


「浮力と質量...ぜぜぜ....落ちたら自力で上がってこれないぜ...」
「...もしかして、泳げないの?」
レイルは力無く頷く。
「...どちらかというと不可能だぜ」
大きめの波が機体に当たり水飛沫。
「怖いぜ」
レイルはアルカの服の裾を握り震えていた。


ーーーーー


「クソッ...こんな機体じゃ駄目だ」
狭い個室、雷電のオーバーンことオーバン・ガッポはノートパソコンを操作し新しい機体の設計図を構築していた。
「前回の敗因はチャージの隙を狙われた事...もっと機体を鍛えておくべきだったか」


生体兵器であるアームヘッドは、通常の生物同様に筋肉を鍛える事が可能である。
鍛錬により機体の基礎スペックを高めれば、能力の隙を帳消しにできるのでは?


だが、与えられた一ヶ月の間に新たな機体を構築し、それを鍛え上げる...それは容易い事ではない。
技術者だけでなく、パイロット、そしてトレーナーとしての能力も問われているのだ。


「ヘッ、隠居直前のジジイに負けてたまるかよ...」
オーバンはペットボトルの水をがぶ飲みし、保存食の四角い肉を齧り再び設計に取り掛かった。


ーーーーー


...水中。
複数の影が海底で蠢く。
『....ターゲット確認、今回の獲物はボーナス付きだ。』


次回、第12話「後悔バケーション②」に続く。



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最終更新:2017年01月10日 15:35
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