これまでのあらすじ
共振装置レゾナンスギアが二人に見せた光景は、それぞれの過去の記憶だった。
アルカの家族の異変、レイルと兄弟の謎、メッサー本社の闇。
多くの人とモノを巻き込みつつ、本社との決戦の日は近づいていく....。


ストーリー:カウンター・アタック
第21話「調和レゾナンス③」


ーーー
...ツヴァイの調整を終え、いよいよ作戦開始を明日に控えた夜。
デベロッパー寮の屋上...御蓮の冬は寒く、二人の息は白い。
「...いよいよ、明日だぜ」
「...うん。」
「君は...怖くないのぜ?」


「...僕は、やっぱり怖い。本当は僕と家族の問題なのに...結果的にみんなを巻き込んで、利用してしまっているんだ。」
アルカは正直に自分の心境を話した。
「いや違うぜ、皆...偶然目的が同じだから協力しているだけだぜ」


「アルカ、君は優しいぜ...だからこそ戦うのはやめた方がいいぜ」
「...レーラビくん、ありがとう。」
アルカは嬉しそうに微笑むが、その後すぐに下を向いた。
「...でも僕、本当は良い子でもなんでもないんだ」


「ただ人に親切にして、真面目にしていれば誰かが褒めてくれる。...それが好きでそうしてきただけで」
「...ぜ?ならアルカはやっぱりダークサイドの不良なのぜ?」
いよいよレイルにはアルカの言う事がよく分からなくなっていた。


「ふふっ、ごめんねレーラビくん...僕変な事言ってたみたい。...いつも通りで良かったんだね」
「...おうぜ?」
アルカはいつもの調子に戻ったようだ。
「さあ、今日はもう寝よう...いよいよ明日だからね」


「...本当に巻き込んでいるのは俺の方だぜ、だから俺は何があっても君の味方だぜ」
レイルはそう呟きアルカの後を追って部屋に戻って行った。


ーーー
屋上の下の階。
パイロットのハリッコは下からその一部始終をこっそり観察していた。
「いや、やっぱり最近の子でもあんな会話は普通しないわ...」
ハリッコは気になって今日もよく眠れなかった...。


ーーーーー


アプルーエ大陸某所、照明のない密室...部屋の中心の培養プールから赤紫の髪の男が這い上がってくる。
「おかえり、レーリレイ...君は僕の大切な"兄弟"だ、無理はしないでくれよな?」
レーリレイを引き上げる紫髪の少年。


「レギ...申し訳ありません、私があの様な不良品に遅れを...」
「レーリレイ、君は悪くない...そのお陰で、やっと確信が持てたんだ」
レギと呼ばれた紫髪の男は真面目な顔になる。
「...今逃亡中のレイルレーラビは...我々の"兄弟"だ」


「そ...そんな馬鹿な、あいつが我々と同じ...?」
「それを確かめる機会は"絶対に来る"、兄弟とはそういうものだよ。
そして、もし喜ばしい結果なら...あの子には悪いが、レイルレーラビには兄弟に加わって貰うさ。」


「ああ...兄弟が増えたのなら、相応の"祝福"が必要だね」
レギは心底嬉しそうにそう言った。
「...すべては延命の為に。」


次回、第22話「帰国エクスプレス」に続く。



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最終更新:2017年01月10日 15:46