これまでのあらすじ
遠い未来の世界で再会を果たしたアルカ・クライアとレイル・レーラビは、二人で旅を始める事にした。
...そんな彼等が辿り着いた場所は、人間の様に文化を持ったアームヘッド達の小さな国だった。
アームヘッド・ストーリー:リターン・デイズ
第03話「カセットの国」
かつての時代、人間達が作り出した広大な軍事拠点は、自我を持つアームヘッド達の集落になっていた。
雨風で彼等のボディが錆びる事は無いが、快適な生活の為には頑丈な建造物は必要だったのだ。
「レーラビくん、これファミリープロセッサだよ!」
「おお、まだ起動できるとは驚きだぜ」
頭にダミーホーンを乗せアームヘッドに変装したアルカとレイルは、露店でゲーム機を見つけはしゃいでいた。
『お客さん、それが何か分かるの?』
アンテナ頭の店主が話しかけてくる。
「えっと、これは大昔の電子ゲーム機で...ここにカセットを入れるんですよ」
『カセット...?』「どうしたぜ」
ーーーーー
二人は、そのまま宮殿...赤カーペットの敷き詰められた司令室に連行された。
「えっと...僕たち何か変なことしちゃいました?」
『いや、君達に頼みたいことがあるのだ』
「頼みたい事ぜ?」
『我らの王、カセットさまを復活させて欲しいのだ』
厳重な警備の元、一台のカセットが運び込まれる...どうやら旧世代に生産された初期型ファントムのようだ。
「アルカ、何とかなりそうぜ?」
「うん...何故か規格が一緒だから僕でも出来そうだ...えいっ」
ブラウン管のモニターに接続されたファミリープロセッサの本体に"カセットさま"を差し込む。
『ピガーーー』
電子音とともにモニターに意味不明な文字の羅列が表示される。
「あれ、失敗ぜ?」
一瞬は盛り上がった宮殿内が再び静まり返った。
「ううん、まだ手はあるよ」
なんとアルカは一度"カセットさま"を取り外し...端子に息を吹き掛けた!
「ぜ?それじゃあ端子が錆びてしまうのぜ...?」
「う...でも一回だけだし」
そして再起動!
[ハローワールト゛わたしは Ad-F.device ファントムて゛す。]
起動成功!一万年以上の時を経...旧世代のファントムが新しい身体(ゲーム機)を得て復活した!
『おお、カセットさまの復活だ!』
[こんかいのからた゛は みょうに きゅうくつて゛すね]
「すいません、貴方に合う身体がこれしか見つからなくて...」
[まあいいて゛しょう、これて゛わたしのもくてき を たっせいて゛きます]
「目的?」
[あかか゛み の にんけ゛んか゛たファントム レイルレーラヒ゛ に リヘ゛ンシ゛ することて゛す。]
「...ぜ?俺ぜ?」「えっ、レーラビくん?」
モニターに大きく表示される[リベンジ]のドット文字。一体なぜ...?
次回 第04話「カセットの国②」に続く。
旧世代に開発されたカセット式の初期型ファントム導入装置。
何故かネクストエイジでは、アームヘッド達の崇拝の対象にされていた。
背面に「Armhead.Developer」と刻印されている。
最終更新:2017年01月15日 20:27