これまでのあらすじ
旅を続けるアルカとレーラビが次にたどり着いた場所は人間の街だった。
そこで「夜な夜な現れる謎の怪人」の噂に、二人は巻き込まれることとなるが...?


アームヘッド・ストーリー:リターン・デイズ
第05話「土くれの怪人」


...深夜、人通りの無い街道。
ひどく怯えた様子の長い黒服の男が、"何か"から逃げていた。
『くっ...逃げきれねえ』
背後からゆらゆらと揺れる形の崩れた人型の影!


男は振り切るように逃げるが、遂に行き止まりに追い詰められてしまった!
『ここまでか...』
人型の影の腕が変質し、鎌のような形状へと変わる!
だがそこへ足音と共に新手の影!


「そこまでだぜ!」
駆けつけたレーラビは大型ライフルで人型の影を殴りつけた!
「...ぜ?」
人型の影はその一撃を受けて、呆気なく砕け散った。


「大丈夫ですか?...立てます?」
遅れて駆けつけたアルカは、周囲の安全を確認して黒服の男を救出する。
『ああ...助かったよお嬢ちゃん』
「...ごめんなさい、僕お嬢ちゃんじゃないです」


「アルカ、ちょっとこれを見て欲しいぜ」
「どうしたの、レーラビくん」
辺りには砕け散った筈の敵の破片らしいものは残っておらず、周囲に少し湿った"土"が残るのみだった。
「これって...?」


『...土くれの怪人』
男はそう呟いた。
「何か知っているのぜ?」
『...俺達を狙う正体不明の土の化け物と聞いていたが...まさか自分が襲われるとは』


『赤髪の兄ちゃん、あんたも気をつけたほうがいい。...同類なら解るはずだ』
「同類?...お前もファントムぜ?」
『...貴族共には秘密にしてくれよ』
「そんなことしないぜ...」


『...もしこれが知れれば、俺はここに居られなくなっちまう』
ヒトとの関わり無くしては生きられないと悟った一部のはぐれアームヘッドは、人間のふりをしてその社会の中に溶け込む事を選んだのだった...


ーーー


翌日、アルカとレーラビは"土くれの怪人"を追っていた。
「何も君まで付き合う事は無かったのぜ」
「今更何言ってるのさ、僕達の仲でしょ?」
「アルカ...」


「あ...レーラビくん、昨日の怪人の事なんだけど...あの気配、調和能力による物みたいだ」
「そうなのぜ?だが能力を発動したアームヘッドは何処にも居なかったぜ」


「うん、だから僕達で、本体をおびき出すんだ」
アルカはレーラビにレゾナンスギアを取り出して見せた。
「...成る程、俺達が目立てばいいのだぜ」


ーーー


静まり返った深夜の街中、突如赤い光と共に巨人が顕現した!
『みんな聞いてくれ!俺はアームヘッドだぜ!!』
片腕武器のアームヘッド...クアドアルは両手を広げてアピールする!


『レーラビくん、ちょっとやり過ぎなんじゃ...』『これぐらい派手な方が効率がいいぜ?』
クアドアルに反応して地面が盛り上がり、土くれの巨人が出現する!
『...来た!あれが怪人の本体だよ!』


アルカがアームコアの存在を感じ取った土の巨人...身体が土と廃材で構築されたアームヘッド!
『一度倒してパイロットに説教してやるぜ!』
先手必勝!クアドアルは加速の調和能力で一気に接近!


加速で赤熱する右腕ブレードで刺突!土くれの巨人は呆気なく貫かれた!
『やったぜ?』『まだだ、レーラビくん!』
傷口がブレードを取り込みすぐに塞がる!こちらの身動きが封じられた!


さらに土の破片から発生した無数の"土くれの怪人"がクアドアルに取り付く!
『うああ!』『アルカ!』
土に含まれた鉱石でフレームが削られ身体中から火花!このままでは痛覚を共有するアルカが持たない!


『レーラビくん、相手が不定形なら』
右腕ブレードの刀身を指で弾く!
『...はっそうだぜ!セイルライラビット!』
ブレードの振動が調和能力で加速され増幅...最初は鈍かった金属音がみるみる高くなっていき....!?


...やがて土くれのアームヘッドのボディが波打ち、弾け飛んだ!!
身体を失いアームホーンが地面に刺さる...勝ったのだ。
『すまないぜアルカ...もう痛まないぜ?』『...うん、レーラビくんが守ってくれたから』


ーーー


...アルカは地面に刺さったアームホーンにそっと触れた。
「...このコア、意思が殆ど無い」
「ぜ?だったらどうしてパイロットも無しにあんな能力を使えたのぜ?」


「...仮説だけど、この街の人達の意識と共鳴していたんだと思う」
..."土くれのアームヘッド"は、この街に住む人間達の潜在的な意識...つまり"夢"で覚醒したのだ。
「街の住人全員がパイロットだったのぜ...?」


故に、彼等の意識が曖昧になる深夜に現れ、彼等が恐れるアームヘッドを攻撃していたのだ。
「...このコアは、人間の味方だったんだ。」
「そうだったのぜ...」
「レーラビくん...早くここを離れよう、これ以上長居はできない」


「土くれの怪人」終わり。


次回、第06話「キリキリ・レイラグラグ・リリリリリ」に続く。



  • 土くれのアームヘッド:型式番号不明
ネクストエイジにおいては貴重な"人間に従う"アームヘッド。
土を操る調和能力を持っている。
長い時を経てアームホーン以外のボディを失った為、それ以外のパーツは"土"で構築されている。



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最終更新:2017年03月07日 21:52
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